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第110話 3人との噂話
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「そう言えば、さっき学生食堂でノリーンとか言うメガネの女子生徒がまたベルナルド王子にまとわりついていたよな?」
オーランドの話にアークが頷く。
「ああ。それでベルナルド王子に命じられて俺たちが追い払ったんだよ。全くしつこい女だよ。俺から言わせれば、あんな王子のどこがいいんだか、気が知れないぜ」
「俺だってそう思うさ。まぁ、相手が王子だからその地位に惚れて付きまとっている可能性もあるがな」
「成程、そうなのね…」
私は納得して頷く。それにしても彼らは分っているのだろうか?仮にも王子に仕える身でありながら、言いたい放題言っている。こんな事が王子の耳に入ったら不敬罪に問われるのではないだろうか?
「そういや、あの女…俺たちの事をすごい目で睨みつけていたな…仕返ししてやるとか何とか言ってたけど…訳が分からん」
首を傾げるオーランド。
「そう、それよ!その仕返しがさっきの私に対する口説きよ」
「はぁ?何だよ、それは…」
「ああ、そう言えばオーランド、お前さっきユリアを口説いていたよな?まさかあれが仕返しなのか?」
アークが尋ねて来た。
「ええ。ノリーンはオーランド王子の腰巾着である貴方達にどんな手を使ったかは知らないけれど、暗示に掛けて私を好きにさせる様にしたんだわ。だって3人とも、私の事を物凄く嫌っていたもの。嫌いな相手を口説かせる…これは精神的に結構ダメージを与えられるんじゃないかしら?」
自分で言っておきながら何だか虚しい気持ちになってきた。
「成程…その仕返しは確かに嫌かもしれないな」
「ああ。まさに屈辱的だ」
大真面目に頷くアークとオーランド。
「あの…。せめてそこは『そんな事は無いだろう?』位は言って貰えないかしら?」
「何を言う?俺は常に自分の心に正直でありたいからな」
「ああ。幾ら操られていたからと言って、屈辱的だ」
「あ…そ、そうなのね?」
私は引きつった笑みを浮かべながら返事をする。
「でも良かったわ。ノリーンの言う仕返しが些細なもので…」
安堵のため息をつきながら言うと、オーランドが声を掛けて来た。
「え?それじゃこの教室に来ていたのって…?」
「そんなの決まってるじゃない。クラスメイトの女生徒達に聞いたのだけど、ノリーンが貴方達に仕返しやるって言ってたそうだから慌てて様子を見に来たのよ」
「それって、つまり俺達を心配してきたって事か?」
「当たり前じゃない。そうでなければわざわざベルナルド王子がいる教室になんて来たくないもの」
アークの質問に答える。
「へ…へぇ~…意外とユリアは良い性格してたんだな」
「ああ。俺もそう思う」
「でも2人が無事なら良かったわ。それじゃ、私はノリーンの所へ行くから」
「え?なら俺達と一緒に…」
アークが言いかけた時…。
キ―――ンッ…
突然耳をつんざくような金属音が鳴り響いた。
「キャアッ!」
あまりの音の大きさに耳を塞ぎ、目を閉じた。
「…」
少しの間耳を塞いでいたが、そろそろと目を開けて私は異変に気付いた。私は灰色のモヤに包まれた見慣れない空間に1人、立っていた。
「え…?な、何…これ…。ま、まさか…また…?」
ひょっとして、私はまたオルニアスの怪しい術にかけられたのだろうか…?思わず身震いしたその時―。
「ユリア」
すぐ背後で私を呼ぶ声が聞こえた―。
オーランドの話にアークが頷く。
「ああ。それでベルナルド王子に命じられて俺たちが追い払ったんだよ。全くしつこい女だよ。俺から言わせれば、あんな王子のどこがいいんだか、気が知れないぜ」
「俺だってそう思うさ。まぁ、相手が王子だからその地位に惚れて付きまとっている可能性もあるがな」
「成程、そうなのね…」
私は納得して頷く。それにしても彼らは分っているのだろうか?仮にも王子に仕える身でありながら、言いたい放題言っている。こんな事が王子の耳に入ったら不敬罪に問われるのではないだろうか?
「そういや、あの女…俺たちの事をすごい目で睨みつけていたな…仕返ししてやるとか何とか言ってたけど…訳が分からん」
首を傾げるオーランド。
「そう、それよ!その仕返しがさっきの私に対する口説きよ」
「はぁ?何だよ、それは…」
「ああ、そう言えばオーランド、お前さっきユリアを口説いていたよな?まさかあれが仕返しなのか?」
アークが尋ねて来た。
「ええ。ノリーンはオーランド王子の腰巾着である貴方達にどんな手を使ったかは知らないけれど、暗示に掛けて私を好きにさせる様にしたんだわ。だって3人とも、私の事を物凄く嫌っていたもの。嫌いな相手を口説かせる…これは精神的に結構ダメージを与えられるんじゃないかしら?」
自分で言っておきながら何だか虚しい気持ちになってきた。
「成程…その仕返しは確かに嫌かもしれないな」
「ああ。まさに屈辱的だ」
大真面目に頷くアークとオーランド。
「あの…。せめてそこは『そんな事は無いだろう?』位は言って貰えないかしら?」
「何を言う?俺は常に自分の心に正直でありたいからな」
「ああ。幾ら操られていたからと言って、屈辱的だ」
「あ…そ、そうなのね?」
私は引きつった笑みを浮かべながら返事をする。
「でも良かったわ。ノリーンの言う仕返しが些細なもので…」
安堵のため息をつきながら言うと、オーランドが声を掛けて来た。
「え?それじゃこの教室に来ていたのって…?」
「そんなの決まってるじゃない。クラスメイトの女生徒達に聞いたのだけど、ノリーンが貴方達に仕返しやるって言ってたそうだから慌てて様子を見に来たのよ」
「それって、つまり俺達を心配してきたって事か?」
「当たり前じゃない。そうでなければわざわざベルナルド王子がいる教室になんて来たくないもの」
アークの質問に答える。
「へ…へぇ~…意外とユリアは良い性格してたんだな」
「ああ。俺もそう思う」
「でも2人が無事なら良かったわ。それじゃ、私はノリーンの所へ行くから」
「え?なら俺達と一緒に…」
アークが言いかけた時…。
キ―――ンッ…
突然耳をつんざくような金属音が鳴り響いた。
「キャアッ!」
あまりの音の大きさに耳を塞ぎ、目を閉じた。
「…」
少しの間耳を塞いでいたが、そろそろと目を開けて私は異変に気付いた。私は灰色のモヤに包まれた見慣れない空間に1人、立っていた。
「え…?な、何…これ…。ま、まさか…また…?」
ひょっとして、私はまたオルニアスの怪しい術にかけられたのだろうか…?思わず身震いしたその時―。
「ユリア」
すぐ背後で私を呼ぶ声が聞こえた―。
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