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第95話 セラフィムの正体
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「ねぇ、私はユリアじゃないの?ひょっとして、この身体に入り込んでしまった別の人間なの?」
ひょっとすると私は本当はこことは違う世界の人間で、セラフィムに召喚されてこのユリアという人物の中に憑依してしまったのではないだろうか?
「いいや、君は間違いなくユリアだよ。記憶が失われているだけで」
「そう言えば…夢で見た気がするのよ。セラフィムが私に記憶を操作するって話していた夢を」
「それは夢じゃない。本当のことだよ。ユリアを守る為に一時的に別の記憶を入れ替えたんだけど…ごめん。こんな事になるとは思わなかったんだ」
「は?何故…突然謝るの?」
「まさか、僕がオルニアスに身体を乗っ取られるとは思わなかったから結局はユリアを危険に晒す事にしてしまった。本当にごめん。ユリアからは多額の護衛費を受け取っていたのに…少し返そうか?」
セラフィムは申し訳無さげに言う。
「え?そこ?謝る所って…。私ってそんなにセラフィムに多額の護衛費を払ったの?そのお金って…お父様からのお金かしら?それとも自腹…?」
「さぁ…。生憎お金の出処は何処からなのか分からないけれど…もう完全に身体を取り戻すことが出来たし、当初の計画からは大分ずれてしまったけれども、今度こそ間違いなくユリアを護衛すると誓うよ。…だからお金は返さなくてもいいかな?」
「…別にそれはいいけど…やっぱり何となくセラフィムとジョン…じゃなくて、オルニアスは性格が似ているわね…お金の話を持ち出すところとか、やけにリアルだわ」
「まぁね…元々は僕の人格が主体になっているから。オルニアスは堕天使となって魔界に身を落とした時に身体を失って魂だけの存在になっていたからね。そして僕という器に乗り映ってしまったんだよ。戦いの最中にね。それで少し性格が似てしまったんだよ」
「戦いの最中って…?」
「勿論、ユリアの命を狙って襲って来た時にさ。でもあいつは大分力が弱くなっていたんだろうね。僕を完全に支配することが出来なかった。だから機会を狙っていたんだ。力を蓄えて、元の自分を取り戻す機会をね。オルニアスも大分葛藤していたと思うよ。本来はユリアの命を奪うために側にいながら、ユリアを守ろうとしている僕の身体の中に入り込んでいたのだからね。ユリアの命を奪いたくても出来なかったんだよ」
「成程…言われてみればジョンは得体のしれない男だったわね…」
私の護衛騎士のくせに、何故か私の立場が悪くなるような行動を取っていた気がするし、ジョンと一緒の時に危険な目に遭っていた時が多かった気もする。それにあの馬車の事故…」
そこまで話して私は気付いた。
「あ…ねぇ、もしかして貴方がオルニアスの支配から逃れるきっかけになったのは…あの馬車事故の時なの?!」
私はセラフィムの襟首を掴みながら尋ねた。
「そうだよ、よく分かったね。あの事故がきっかけだよ。あの時、オルニアスはユリアの命を助ける為にかなり魔力を消費して弱っていたからね…お陰で僕は自分の身体からオルニアスを追い出すことが出来たけど…既にあいつは身体を複製していたんだ」
ポツリと言うセラフィム。そこで私はある疑問が生まれた。何故セラフィムはこんなにオルニアスについて詳しく知っているのだろう?
「ねぇ…セラフィム。貴方…一体何者なの?」
「僕?僕の正体は…元は天使だったのさ。今は人間としてこの世界で生きているけどね」
セラフィムはニッコリ笑うと言った。
やっぱり、セラフィムも天使だったんだ―。
ひょっとすると私は本当はこことは違う世界の人間で、セラフィムに召喚されてこのユリアという人物の中に憑依してしまったのではないだろうか?
「いいや、君は間違いなくユリアだよ。記憶が失われているだけで」
「そう言えば…夢で見た気がするのよ。セラフィムが私に記憶を操作するって話していた夢を」
「それは夢じゃない。本当のことだよ。ユリアを守る為に一時的に別の記憶を入れ替えたんだけど…ごめん。こんな事になるとは思わなかったんだ」
「は?何故…突然謝るの?」
「まさか、僕がオルニアスに身体を乗っ取られるとは思わなかったから結局はユリアを危険に晒す事にしてしまった。本当にごめん。ユリアからは多額の護衛費を受け取っていたのに…少し返そうか?」
セラフィムは申し訳無さげに言う。
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「さぁ…。生憎お金の出処は何処からなのか分からないけれど…もう完全に身体を取り戻すことが出来たし、当初の計画からは大分ずれてしまったけれども、今度こそ間違いなくユリアを護衛すると誓うよ。…だからお金は返さなくてもいいかな?」
「…別にそれはいいけど…やっぱり何となくセラフィムとジョン…じゃなくて、オルニアスは性格が似ているわね…お金の話を持ち出すところとか、やけにリアルだわ」
「まぁね…元々は僕の人格が主体になっているから。オルニアスは堕天使となって魔界に身を落とした時に身体を失って魂だけの存在になっていたからね。そして僕という器に乗り映ってしまったんだよ。戦いの最中にね。それで少し性格が似てしまったんだよ」
「戦いの最中って…?」
「勿論、ユリアの命を狙って襲って来た時にさ。でもあいつは大分力が弱くなっていたんだろうね。僕を完全に支配することが出来なかった。だから機会を狙っていたんだ。力を蓄えて、元の自分を取り戻す機会をね。オルニアスも大分葛藤していたと思うよ。本来はユリアの命を奪うために側にいながら、ユリアを守ろうとしている僕の身体の中に入り込んでいたのだからね。ユリアの命を奪いたくても出来なかったんだよ」
「成程…言われてみればジョンは得体のしれない男だったわね…」
私の護衛騎士のくせに、何故か私の立場が悪くなるような行動を取っていた気がするし、ジョンと一緒の時に危険な目に遭っていた時が多かった気もする。それにあの馬車の事故…」
そこまで話して私は気付いた。
「あ…ねぇ、もしかして貴方がオルニアスの支配から逃れるきっかけになったのは…あの馬車事故の時なの?!」
私はセラフィムの襟首を掴みながら尋ねた。
「そうだよ、よく分かったね。あの事故がきっかけだよ。あの時、オルニアスはユリアの命を助ける為にかなり魔力を消費して弱っていたからね…お陰で僕は自分の身体からオルニアスを追い出すことが出来たけど…既にあいつは身体を複製していたんだ」
ポツリと言うセラフィム。そこで私はある疑問が生まれた。何故セラフィムはこんなにオルニアスについて詳しく知っているのだろう?
「ねぇ…セラフィム。貴方…一体何者なの?」
「僕?僕の正体は…元は天使だったのさ。今は人間としてこの世界で生きているけどね」
セラフィムはニッコリ笑うと言った。
やっぱり、セラフィムも天使だったんだ―。
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