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第79話 恨まれるのは筋違い
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キーンコーンカーンコーン…
とうとうベルナルド王子に会う前に午後の授業開始の予鈴が鳴ってしまった。
全く…マテオとアーク…あの2人のせいで王子に会えるチャンスを失ってしまった。
「…」
私はチラリと後ろの席に座るノリーンを見た。きっとノリーンはベルナルド王子とテレシアに邪魔者扱いされながらも一緒に昼食を取ったのだろう。何だかノリーンが浮かれているように見えた。
ふぅ…。
私は心の中でため息をついた―。
****
午後4時―
本日の授業も全て終了した。
私はノリーンと関わりたくは無かったので大急ぎで片付けを始めていると、こちらにノリーンが近付いて来る気配を感じた。
ちょっ、ちょっと!お願いだからこっちに来ないでよっ!
私はもうベルナルド王子とは無関係なのだからっ!多分…。
そう思った時―。
「ユリア様」
「ユリアッ!」
ノリーンと同時に教室の入り口で誰かに大声で呼ばれた。
「「え?」」
私とノリーンは声の方向を振り返り…目を見張った。何と私の名を呼んだのはよりにもよってベルナルド王子だったのである。そして何故かその隣にはテレシアまでもが一緒にいる。
何故?どうしてベルナルド王子がこの教室へ?
しかもよりにもよってノリーンの前で私を呼びに現れるなんて…!
テレシアとベルナルド王子は恋仲で、婚約者である私と三角関係だと噂になっている為、クラスメイト達は興味深気に私たちの様子をうかがっている。
「ユリア、一緒に帰ろう。お前を迎えに来た」
そしてここでベルナルド王子が口を開く。
なんとベルナルド王子は私のクラスメイト達の視線を意に介せずに堂々と誘って来た。そしてテレシアは明らかに不満そうな顔を私に向けている…。いや、テレシアだけでは無い。やはりノリーンが無表情で私を見ている。
いやいや、それはちょっとおかしいでしょう?!誘ってきているのは王子なのに、何故私が一2人から一方的に恨まれなければならないのだろう?ここはやはり断るに限る。
「あ、あの…折角のお誘いですが、遠慮させて頂きます」
その途端に教室がざわめく。まぁ無理も無いだろう。記憶を失う前の私は今まではどんなに邪険にされようとも王子の側から離れなかったのだから。その私が王子の誘いを断ったのが信じられないのだろう。
「何故だ?」
全く空気の読めないベルナルド王子が眉間にしわを寄せながら質問してきた。この王子はテレシアとノリーンが私を睨んでいる事に気付いていないのだろうか?
「そ、それは…お2人のお邪魔になりたくないので…」
さらに教室中がざわめく。
「ねぇ、今の台詞聞いた?」
「ベルナルド王子の誘いを断った…」
「信じられん。今まで虫けらの様に追い払われてもまとわりついていたのに」
「やっぱり頭でも打っておかしくなったのかもしれないわね…」
周囲からは失礼なささやきが聞こえて来る。
「…いいから一緒に帰るんだ。…これは王族の命令だ」
しかしベルナルド王子は顔色一つ変えずに言う。
妙に迫力のある声で『命令だ』と言われれば、私はそれに従うしかない。何故なら私は王子よりも身分が下なのだから。
「はい…分りました…」
渋々返事をすると私は鞄を持ってベルナルド王子の元へ歩きかけた時…。
「あの、待って下さいっ!」
突如ノリーンがベルナルド王子に声を掛けて来た。
ええええっ?!
まさかこんな状況でベルナルドう王子に声を掛けるとは!
「何だ?」
ベルナルド王子は不機嫌そうにジロリとノリーンをみる。
「あの、実は私ユリア様と一緒に帰る約束をしていたのです。私もご一緒させて頂いて宜しいですか?」
しかし…。
「断る」
ベルナルド王子はにべも無く言った。
「え?!」
ノリーンの顔色が変わる。
「行くぞ、ユリア」
ベルナルド王子は私を一瞥すると言った。
「は、はい…」
そして私はベルナルド王子とテレシアの3人で教室を後にした。
背後からクラスメイト達の好奇心の目と、ノリーンの突き刺さるよう視線を受けながら―。
とうとうベルナルド王子に会う前に午後の授業開始の予鈴が鳴ってしまった。
全く…マテオとアーク…あの2人のせいで王子に会えるチャンスを失ってしまった。
「…」
私はチラリと後ろの席に座るノリーンを見た。きっとノリーンはベルナルド王子とテレシアに邪魔者扱いされながらも一緒に昼食を取ったのだろう。何だかノリーンが浮かれているように見えた。
ふぅ…。
私は心の中でため息をついた―。
****
午後4時―
本日の授業も全て終了した。
私はノリーンと関わりたくは無かったので大急ぎで片付けを始めていると、こちらにノリーンが近付いて来る気配を感じた。
ちょっ、ちょっと!お願いだからこっちに来ないでよっ!
私はもうベルナルド王子とは無関係なのだからっ!多分…。
そう思った時―。
「ユリア様」
「ユリアッ!」
ノリーンと同時に教室の入り口で誰かに大声で呼ばれた。
「「え?」」
私とノリーンは声の方向を振り返り…目を見張った。何と私の名を呼んだのはよりにもよってベルナルド王子だったのである。そして何故かその隣にはテレシアまでもが一緒にいる。
何故?どうしてベルナルド王子がこの教室へ?
しかもよりにもよってノリーンの前で私を呼びに現れるなんて…!
テレシアとベルナルド王子は恋仲で、婚約者である私と三角関係だと噂になっている為、クラスメイト達は興味深気に私たちの様子をうかがっている。
「ユリア、一緒に帰ろう。お前を迎えに来た」
そしてここでベルナルド王子が口を開く。
なんとベルナルド王子は私のクラスメイト達の視線を意に介せずに堂々と誘って来た。そしてテレシアは明らかに不満そうな顔を私に向けている…。いや、テレシアだけでは無い。やはりノリーンが無表情で私を見ている。
いやいや、それはちょっとおかしいでしょう?!誘ってきているのは王子なのに、何故私が一2人から一方的に恨まれなければならないのだろう?ここはやはり断るに限る。
「あ、あの…折角のお誘いですが、遠慮させて頂きます」
その途端に教室がざわめく。まぁ無理も無いだろう。記憶を失う前の私は今まではどんなに邪険にされようとも王子の側から離れなかったのだから。その私が王子の誘いを断ったのが信じられないのだろう。
「何故だ?」
全く空気の読めないベルナルド王子が眉間にしわを寄せながら質問してきた。この王子はテレシアとノリーンが私を睨んでいる事に気付いていないのだろうか?
「そ、それは…お2人のお邪魔になりたくないので…」
さらに教室中がざわめく。
「ねぇ、今の台詞聞いた?」
「ベルナルド王子の誘いを断った…」
「信じられん。今まで虫けらの様に追い払われてもまとわりついていたのに」
「やっぱり頭でも打っておかしくなったのかもしれないわね…」
周囲からは失礼なささやきが聞こえて来る。
「…いいから一緒に帰るんだ。…これは王族の命令だ」
しかしベルナルド王子は顔色一つ変えずに言う。
妙に迫力のある声で『命令だ』と言われれば、私はそれに従うしかない。何故なら私は王子よりも身分が下なのだから。
「はい…分りました…」
渋々返事をすると私は鞄を持ってベルナルド王子の元へ歩きかけた時…。
「あの、待って下さいっ!」
突如ノリーンがベルナルド王子に声を掛けて来た。
ええええっ?!
まさかこんな状況でベルナルドう王子に声を掛けるとは!
「何だ?」
ベルナルド王子は不機嫌そうにジロリとノリーンをみる。
「あの、実は私ユリア様と一緒に帰る約束をしていたのです。私もご一緒させて頂いて宜しいですか?」
しかし…。
「断る」
ベルナルド王子はにべも無く言った。
「え?!」
ノリーンの顔色が変わる。
「行くぞ、ユリア」
ベルナルド王子は私を一瞥すると言った。
「は、はい…」
そして私はベルナルド王子とテレシアの3人で教室を後にした。
背後からクラスメイト達の好奇心の目と、ノリーンの突き刺さるよう視線を受けながら―。
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