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第75話 マテオと一緒に
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ベルナルド王子の制止を振り切って、私はその場を急ぎ足で去っていく。すると駆け寄ってくる足音が聞こえ、私を呼び止めてくる。
「おいっ!待てってばっ!」
もう~…王子、しつこいっ!無視して歩いていると…。
「待てって言ってるだろうっ?!」
あまりにもその声が大きいので、我慢出来ずに振り返りながら言った。
「ですから、私は遠慮しますと…っ!って…え…?」
何と振り向くとそこに立っていたのはマテオだった。
「え…?マテオ…?」
「だから…待てって言っただろう?」
マテオは私を見ると肩をすくめた。
「ふ~ん」
再び歩き始めるとマテオが後からついてくる。
「おい、何処行くんだよ」
「そうね…別のカフェテリアに行こうかと思ってるわ」
「え?場所を覚えているのか?記憶喪失じゃ無かったのかっ?!」
マテオが驚いたように言う。
「ええ、まだ記憶喪失中だけど…徐々に記憶が戻ってきているの」
「ふ~ん…そう言えば前回理事長室へ連れて行った時と雰囲気が違うよな。以前は俺に敬語使って話していたし…」
「ええ、そうね。でもよくよく考えてみれば私と貴方は同級生だし、爵位だって私の方が上だったし…別にいいかなって思ったの」
「ふ~ん…」
言いながらマテオは未だに私についてくる。
「ねぇ、マテオ。どうして私についてくるの?貴方は王子の腰巾着じゃなかったの?」
「誰が腰巾着だ、誰が」
「それともベルナルド王子に私を連れ戻すように言われているの?」
「おい、今俺の質問無視しただろう?それに別にベルナルド王子に言われて来たわけじゃない。ただあの女が気に入らなかったから、逃げてきただけだ。おまけにいくら親の命令だからと言って年がら年中王子に付き合っていられるか」
「ふ~ん…そうなんだ…」
私とマテオはいつの間にかカフェテリアの前に到着していた。
「…」
黙って入り口の前で立っているとマテオが声をかけてきた。
「何だ?入らないのか?」
「入るつもりだったけど…マテオ、貴方はどうするの?」
「なっ…!」
すると何故か顔を真っ赤にするマテオ。
「な、何だよっ?!俺も一緒に入ったら駄目だって言うのかよっ?!」
「別に、そういうわけではないけれど…でも確か私のおぼろげながらの記憶に寄ると貴方に嫌われていた気がするのよね…嫌いな私とどうして一緒にカフェテリアに入るのだろうって思って聞いただけよ」
「はぁっ?俺がいつそんな事言ったっ?!」
「う~ん…言われたかどうか記憶がないけど…でも何となくよく思われていなかった気がするのよ」
「何だよっ!折角人が忠告しておいてやろうかと思ってベルナルド王子に不評を買いながらユリアを追いかけて来たっていうのに」
「え?私に忠告」
「ああ、そうだ。でもその前に早く中へ入ろうぜ。俺腹減ってさ…」
言いながらマテオが店の中へ入って行ったので私も彼の後を追ってカフェテリアの中へと入って行った―。
****
私はパスタを食べているマテオをじっと見ていた。
「な、何だよ。人のこと、そんなに見て…」
マテオが何故か頬を赤らめながら私に言う。…ひょっとするとマテオは赤面症なだろうか?
「ううん、ただねぇ…仮にも貴族のお坊ちゃまが随分ガラの悪い言葉使う~って思ってね」
サンドイッチを食べながら答える。
「何だよ、そういうユリアだって随分性格が変わったぞ?ベルナルド王子につきまとっていた時は随分気位の高い女だったが…今じゃ、品位の欠片もない正確になったな」
「そう?以前の自分をまだあまり思い出せないけど…多分私の性格は記憶が完全に戻ったとしてこのままの性格だと思うわ」
「ふ~ん…良く分からないが…そんなものか?」
「そう言えば、さっきあの女が気に入らなかったって言ってたけど…テレシアさんの事なら今更なんじゃないの?今までだってずっとベルナルド王子と一緒にいたのに…」
するとマテオが言った。
「は?何言ってるんだ?あの女って言うのはテレシアの事じゃないぞ。ノリーンの方だ。そのこともあってユリアに警告しようと思って追いかけてきたんだよ」
「え…?」
マテオの言葉に思わずサンドイッチを食べていた私の手が止まった―。
「おいっ!待てってばっ!」
もう~…王子、しつこいっ!無視して歩いていると…。
「待てって言ってるだろうっ?!」
あまりにもその声が大きいので、我慢出来ずに振り返りながら言った。
「ですから、私は遠慮しますと…っ!って…え…?」
何と振り向くとそこに立っていたのはマテオだった。
「え…?マテオ…?」
「だから…待てって言っただろう?」
マテオは私を見ると肩をすくめた。
「ふ~ん」
再び歩き始めるとマテオが後からついてくる。
「おい、何処行くんだよ」
「そうね…別のカフェテリアに行こうかと思ってるわ」
「え?場所を覚えているのか?記憶喪失じゃ無かったのかっ?!」
マテオが驚いたように言う。
「ええ、まだ記憶喪失中だけど…徐々に記憶が戻ってきているの」
「ふ~ん…そう言えば前回理事長室へ連れて行った時と雰囲気が違うよな。以前は俺に敬語使って話していたし…」
「ええ、そうね。でもよくよく考えてみれば私と貴方は同級生だし、爵位だって私の方が上だったし…別にいいかなって思ったの」
「ふ~ん…」
言いながらマテオは未だに私についてくる。
「ねぇ、マテオ。どうして私についてくるの?貴方は王子の腰巾着じゃなかったの?」
「誰が腰巾着だ、誰が」
「それともベルナルド王子に私を連れ戻すように言われているの?」
「おい、今俺の質問無視しただろう?それに別にベルナルド王子に言われて来たわけじゃない。ただあの女が気に入らなかったから、逃げてきただけだ。おまけにいくら親の命令だからと言って年がら年中王子に付き合っていられるか」
「ふ~ん…そうなんだ…」
私とマテオはいつの間にかカフェテリアの前に到着していた。
「…」
黙って入り口の前で立っているとマテオが声をかけてきた。
「何だ?入らないのか?」
「入るつもりだったけど…マテオ、貴方はどうするの?」
「なっ…!」
すると何故か顔を真っ赤にするマテオ。
「な、何だよっ?!俺も一緒に入ったら駄目だって言うのかよっ?!」
「別に、そういうわけではないけれど…でも確か私のおぼろげながらの記憶に寄ると貴方に嫌われていた気がするのよね…嫌いな私とどうして一緒にカフェテリアに入るのだろうって思って聞いただけよ」
「はぁっ?俺がいつそんな事言ったっ?!」
「う~ん…言われたかどうか記憶がないけど…でも何となくよく思われていなかった気がするのよ」
「何だよっ!折角人が忠告しておいてやろうかと思ってベルナルド王子に不評を買いながらユリアを追いかけて来たっていうのに」
「え?私に忠告」
「ああ、そうだ。でもその前に早く中へ入ろうぜ。俺腹減ってさ…」
言いながらマテオが店の中へ入って行ったので私も彼の後を追ってカフェテリアの中へと入って行った―。
****
私はパスタを食べているマテオをじっと見ていた。
「な、何だよ。人のこと、そんなに見て…」
マテオが何故か頬を赤らめながら私に言う。…ひょっとするとマテオは赤面症なだろうか?
「ううん、ただねぇ…仮にも貴族のお坊ちゃまが随分ガラの悪い言葉使う~って思ってね」
サンドイッチを食べながら答える。
「何だよ、そういうユリアだって随分性格が変わったぞ?ベルナルド王子につきまとっていた時は随分気位の高い女だったが…今じゃ、品位の欠片もない正確になったな」
「そう?以前の自分をまだあまり思い出せないけど…多分私の性格は記憶が完全に戻ったとしてこのままの性格だと思うわ」
「ふ~ん…良く分からないが…そんなものか?」
「そう言えば、さっきあの女が気に入らなかったって言ってたけど…テレシアさんの事なら今更なんじゃないの?今までだってずっとベルナルド王子と一緒にいたのに…」
するとマテオが言った。
「は?何言ってるんだ?あの女って言うのはテレシアの事じゃないぞ。ノリーンの方だ。そのこともあってユリアに警告しようと思って追いかけてきたんだよ」
「え…?」
マテオの言葉に思わずサンドイッチを食べていた私の手が止まった―。
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