65 / 126
第65話 夢の中での再会?
しおりを挟む
ジョンは普段とは全く違う格好をしていた。フード付きの長いマントを羽織り…その格好はまさに魔法使いの姿のようにも見える。
「ユリア…記憶は戻ったかい?」
その声は今迄聞いたことが無いくらい、優しい声だった。
「ジョン…一体今まで何処に行ってたの?」
するとジョンは首を傾げた。
「ジョン?誰の事を言ってるんだい?」
バルコニーの手すりからひらりと降り立ったジョンが月明かりを背に尋ねてくる。
「え…?だって…」
するとジョンは言った。
「ユリア…もう12日目になったけど…その様子だと、まだ殆ど記憶は戻っていないようだね?まぁ60日目になる頃には完全に記憶が戻ってくるとは思うけど…」
「え?」
分からない、さっきからジョンが何を言っているのか私にはさっぱり理解出来なかった。それに…目の前のジョンは本当に私が知っているジョンなのだろうか?顔はまるきり一緒だけども雰囲気も口調もまるきり違う。とても同一人物には思えなかった。
「それにしても…アイツがここまで力を持っているとは思わなかった…完全に油断していたよ。まさか力を奪われてしまうとはね。いまだに僕の力が完全に戻っていないから、今はまだこういう形でしかユリアの前に姿を表すことが出来ないけれど…。とにかく僕が完全に力を取り戻すまでは…死ぬなよ?その指輪も絶対に外さないようにね。ユリアを必ず守ってくれるから」
ジョンは私の右手を指さした。
「え…?」
その言葉に私は自分の右手に視線を落とし…目を見張る。いつの間にか右手の薬指に青白く光る指輪がはめられている。
するとジョンが言った。
「今、ユリアが見ているのは…ただの夢だ。目が覚めたら今夜の事は完全に忘れる事。いいね?それが今の…ユリアを守るただ一つの手段だ」
そしてジョン?は指をパチンと鳴らし…そのまま私は意識を失ってしまった―。
****
コンコン
コンコン
扉をノックする音が聞こえてくる。
「う~ん…」
「ユリアお嬢様?入りますよ?」
誰かの声が扉の外で聞こえる。
ガチャッ
扉が開かれる音が聞こえ、私の眠っているベッドに足音が近付き…
「ユリアお嬢様っ!なんて格好で寝てらっしゃるのですかっ?!」
突然の金切り声で私の意識は覚醒した。
「え?何?何っ?」
そして私は気がついた。ベッドの足元に隠れるように転がって眠っていたと言うことに―。
****
朝食の席―
カチャカチャとフォークとナイフの動く音だけが響き渡るダイニングルーム。
「…」
私の向かい側の席には父が無言で食事を続けている。う…何だかきまずい。父が黙って食事をしているので、私も何を話せばよいか分からず無言で食事を続けていると、不意に父が話しかけてきた。
「…風邪は引かなかったか?」
「はい?」
突然の質問に何の事か分からず、首を傾げた。
「メイドから聞いた。今朝…上掛けも掛けずに床の上に転がって眠っていたそうだな」
「は、はい…そのようです。あ、それで風邪を引かなかったか尋ねられたのですね?」
「あ、ああ。そうだ…しかし…」
父はチラリと私を見た。
「その様子だと…大丈夫そうだな」
「ええ、ピンピンしています」
すると父が言った。
「本日、お前の2人の兄がこの屋敷に帰ってくる。ユリアが馬車事故から目覚めたことを連絡した所、会いに来ると言ってな」
「え?!」
確か最初に父に会った時、私は父からも兄たちからも嫌われているような事を言われた気がするけれども…。
「今日は週末だし、丁度良かった。二日間はこの屋敷に泊まるそうだから…久しぶりに家族団欒の時間を過ごせそうだな」
そして父は笑った。
「は、はい。そうですね…」
私はそう返事をしたものの内申不安で不安でたまらかなった。何故なら私は未だに記憶喪失のままなのだから…。
記憶喪失…。その時、脳裏で誰かの声が蘇る。
「ユリア…記憶は戻ったかい?」
と―。
「ユリア…記憶は戻ったかい?」
その声は今迄聞いたことが無いくらい、優しい声だった。
「ジョン…一体今まで何処に行ってたの?」
するとジョンは首を傾げた。
「ジョン?誰の事を言ってるんだい?」
バルコニーの手すりからひらりと降り立ったジョンが月明かりを背に尋ねてくる。
「え…?だって…」
するとジョンは言った。
「ユリア…もう12日目になったけど…その様子だと、まだ殆ど記憶は戻っていないようだね?まぁ60日目になる頃には完全に記憶が戻ってくるとは思うけど…」
「え?」
分からない、さっきからジョンが何を言っているのか私にはさっぱり理解出来なかった。それに…目の前のジョンは本当に私が知っているジョンなのだろうか?顔はまるきり一緒だけども雰囲気も口調もまるきり違う。とても同一人物には思えなかった。
「それにしても…アイツがここまで力を持っているとは思わなかった…完全に油断していたよ。まさか力を奪われてしまうとはね。いまだに僕の力が完全に戻っていないから、今はまだこういう形でしかユリアの前に姿を表すことが出来ないけれど…。とにかく僕が完全に力を取り戻すまでは…死ぬなよ?その指輪も絶対に外さないようにね。ユリアを必ず守ってくれるから」
ジョンは私の右手を指さした。
「え…?」
その言葉に私は自分の右手に視線を落とし…目を見張る。いつの間にか右手の薬指に青白く光る指輪がはめられている。
するとジョンが言った。
「今、ユリアが見ているのは…ただの夢だ。目が覚めたら今夜の事は完全に忘れる事。いいね?それが今の…ユリアを守るただ一つの手段だ」
そしてジョン?は指をパチンと鳴らし…そのまま私は意識を失ってしまった―。
****
コンコン
コンコン
扉をノックする音が聞こえてくる。
「う~ん…」
「ユリアお嬢様?入りますよ?」
誰かの声が扉の外で聞こえる。
ガチャッ
扉が開かれる音が聞こえ、私の眠っているベッドに足音が近付き…
「ユリアお嬢様っ!なんて格好で寝てらっしゃるのですかっ?!」
突然の金切り声で私の意識は覚醒した。
「え?何?何っ?」
そして私は気がついた。ベッドの足元に隠れるように転がって眠っていたと言うことに―。
****
朝食の席―
カチャカチャとフォークとナイフの動く音だけが響き渡るダイニングルーム。
「…」
私の向かい側の席には父が無言で食事を続けている。う…何だかきまずい。父が黙って食事をしているので、私も何を話せばよいか分からず無言で食事を続けていると、不意に父が話しかけてきた。
「…風邪は引かなかったか?」
「はい?」
突然の質問に何の事か分からず、首を傾げた。
「メイドから聞いた。今朝…上掛けも掛けずに床の上に転がって眠っていたそうだな」
「は、はい…そのようです。あ、それで風邪を引かなかったか尋ねられたのですね?」
「あ、ああ。そうだ…しかし…」
父はチラリと私を見た。
「その様子だと…大丈夫そうだな」
「ええ、ピンピンしています」
すると父が言った。
「本日、お前の2人の兄がこの屋敷に帰ってくる。ユリアが馬車事故から目覚めたことを連絡した所、会いに来ると言ってな」
「え?!」
確か最初に父に会った時、私は父からも兄たちからも嫌われているような事を言われた気がするけれども…。
「今日は週末だし、丁度良かった。二日間はこの屋敷に泊まるそうだから…久しぶりに家族団欒の時間を過ごせそうだな」
そして父は笑った。
「は、はい。そうですね…」
私はそう返事をしたものの内申不安で不安でたまらかなった。何故なら私は未だに記憶喪失のままなのだから…。
記憶喪失…。その時、脳裏で誰かの声が蘇る。
「ユリア…記憶は戻ったかい?」
と―。
34
お気に入りに追加
2,871
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。

【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる