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第54話 スパルタ護衛騎士
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キーンコーンカーンコーン…
1時限目の授業終了の鐘が鳴り終わり、テスト用紙が回収された。
「…」
私は机の上に突っ伏していた。…駄目だった。何一つ解答用紙に答えを書くことが出来なかった。唯一書くことが出来たのは自分の名前だけだったなんて…!大体、どれ程の間、学校の勉強から離れていたと言うのだろう?それは確かに受験生時代は真面目に勉強して大学に無事に入学…。
え?
そこまで考えて、我に返った。どうして私は何年も学校の勉強から離れていた気持ちになっているのだろう?それに受験生時代って?大学って何の事?大体私はまだ高校生のはずでは…?
まただ。
この時々現れ奇妙な感覚は一体何なのだろう?
その時―
「ユリア、テストはどうだった?」
突如、隣の席のジョンが声を掛けて来た。
「はぁ…テスト…?」
私はゆっくり顔を上げてジョンを見た。
「おい…どうしたんだ?ユリア。その座った目は随分迫力があるな?それでテストはどうだった?出来たのか?」
「出来るはずないでしょう?」
ジロリと睨み付けながら私はジョンに返事をする。
「あぁ、出来なかったのか…でもそうは言ってもせいぜい1~2問。悪くても3~4問程度だろう?それ位気にするな。次回頑張って挽回すればいいだろう?」
ジョンの言い方が非常に嫌味たっぷりに聞こえるのは…うん、きっと気のせいでは無いだろう。絶対に嫌がらせで言っているに違いない。
「はぁ?そんなはずないでしょう?名前しか書けなかったわよ」
真底不機嫌そうに言う。
「………え?…嘘だろう?あんな問題、普通に授業を聞いていれば誰にだって解ける問題だろう?まぁ最後の問題は多少捻ってあるが、ちょっと頭の回転を速めれば解けないはずは無い」
「ええ。それは確かにジョンの場合はそうだったでしょう?何しろテスト開始早々、ものすごい速さでペンを走らせ、終了20分前には書き上げて、ペンを下ろして居眠りしていた位なのだから」
「何?お前…テスト中だと言うのに、そんなに俺の事を気にしていたのか?ま、まさか…」
「?まさか…何よ?」
「まさか俺に気があるんじゃないだろうな?」
「はぁぁぁ?!そんなはずないでしょう?!」
いくらジョンが見惚れる程に美しい顔をしていたって絶対無理だ。その捻くれた性格は何があっても受け入れられない。お金を積まれたって交際なんて無理な相手だ。
「あぁ…そうか、なら良かった。もし告白してきたら、速攻に断りを入れていたところだった」
ジョンは胸をなでおろしながら言う。全く失礼な男だ。本当なら文句を言ってやりたいところだが、彼は私の護衛騎士。下手な事を言って、命を狙われている真っ最中に見捨てられてはたまらない。
「しかし、困ったことになったな…まさかユリアがそこまで落ちこぼれだとは思わなかった。これではレポートや反省文を提出しても学力不足で退学になってしまうかもしれないな…よし、今日から毎日帰宅後は夕食と入浴以外は寝るまでずっと勉強だ。そうだな…帰宅する時間を午後17時とみなし、1時間学習する。夕食が18時から19時。いくら俺でも食後すぐに勉強しろと鬼のようなことは言わない。30分の休憩をはさみ、入浴は…そうだな。おおまけにまけて30分間の時間をやろう。そして23時に就寝すれば平日だけでも4時間程度の勉強時間を確保する事が出来るだろう。土日は軽く見積もっても10時間は勉強できるだろう」
「…」
ジョンの滅茶苦茶な提案に思わず目を見開く私。
「うん?どうしたんだ?何故そんな目で俺の事を見る?」
「…ねえ、冗談よね?」
「何故冗談を言わなければならない?俺はいつだって大真面目だ」
「そんなに勉強できるはずないでしょう?」
酷い、鬼だ。スパルタだ。
「いいや、出来る。いや、やってもらう。退学になってはたまらないからな。それにこれは俺の為じゃない。全てはユリアの為なんだからな?成績が上がれば、お前の評価も上がり、周りの見る目も変わってくる。快適な学園生活を送りたいのだろう?」
ジョンは真剣な目で私を見る。
「た、確かにそうね…。退学することが出来ないのなら、居心地の良い環境で学園生活を送りたいわね」
ジョンの言うことも尤もだろう
「そうだ、よし。大分ユリアも理解力が早くなったな?」
「ええ、ジョンのお陰で目が覚めたわ」
そうだ。きっとジョンの行動は全て私の為を思っての事なのだろう。
けれど…この時の私はまだ知らなかった。
ジョンはまたしても私を窮地に陥れる行動を取っていたという事に―。
1時限目の授業終了の鐘が鳴り終わり、テスト用紙が回収された。
「…」
私は机の上に突っ伏していた。…駄目だった。何一つ解答用紙に答えを書くことが出来なかった。唯一書くことが出来たのは自分の名前だけだったなんて…!大体、どれ程の間、学校の勉強から離れていたと言うのだろう?それは確かに受験生時代は真面目に勉強して大学に無事に入学…。
え?
そこまで考えて、我に返った。どうして私は何年も学校の勉強から離れていた気持ちになっているのだろう?それに受験生時代って?大学って何の事?大体私はまだ高校生のはずでは…?
まただ。
この時々現れ奇妙な感覚は一体何なのだろう?
その時―
「ユリア、テストはどうだった?」
突如、隣の席のジョンが声を掛けて来た。
「はぁ…テスト…?」
私はゆっくり顔を上げてジョンを見た。
「おい…どうしたんだ?ユリア。その座った目は随分迫力があるな?それでテストはどうだった?出来たのか?」
「出来るはずないでしょう?」
ジロリと睨み付けながら私はジョンに返事をする。
「あぁ、出来なかったのか…でもそうは言ってもせいぜい1~2問。悪くても3~4問程度だろう?それ位気にするな。次回頑張って挽回すればいいだろう?」
ジョンの言い方が非常に嫌味たっぷりに聞こえるのは…うん、きっと気のせいでは無いだろう。絶対に嫌がらせで言っているに違いない。
「はぁ?そんなはずないでしょう?名前しか書けなかったわよ」
真底不機嫌そうに言う。
「………え?…嘘だろう?あんな問題、普通に授業を聞いていれば誰にだって解ける問題だろう?まぁ最後の問題は多少捻ってあるが、ちょっと頭の回転を速めれば解けないはずは無い」
「ええ。それは確かにジョンの場合はそうだったでしょう?何しろテスト開始早々、ものすごい速さでペンを走らせ、終了20分前には書き上げて、ペンを下ろして居眠りしていた位なのだから」
「何?お前…テスト中だと言うのに、そんなに俺の事を気にしていたのか?ま、まさか…」
「?まさか…何よ?」
「まさか俺に気があるんじゃないだろうな?」
「はぁぁぁ?!そんなはずないでしょう?!」
いくらジョンが見惚れる程に美しい顔をしていたって絶対無理だ。その捻くれた性格は何があっても受け入れられない。お金を積まれたって交際なんて無理な相手だ。
「あぁ…そうか、なら良かった。もし告白してきたら、速攻に断りを入れていたところだった」
ジョンは胸をなでおろしながら言う。全く失礼な男だ。本当なら文句を言ってやりたいところだが、彼は私の護衛騎士。下手な事を言って、命を狙われている真っ最中に見捨てられてはたまらない。
「しかし、困ったことになったな…まさかユリアがそこまで落ちこぼれだとは思わなかった。これではレポートや反省文を提出しても学力不足で退学になってしまうかもしれないな…よし、今日から毎日帰宅後は夕食と入浴以外は寝るまでずっと勉強だ。そうだな…帰宅する時間を午後17時とみなし、1時間学習する。夕食が18時から19時。いくら俺でも食後すぐに勉強しろと鬼のようなことは言わない。30分の休憩をはさみ、入浴は…そうだな。おおまけにまけて30分間の時間をやろう。そして23時に就寝すれば平日だけでも4時間程度の勉強時間を確保する事が出来るだろう。土日は軽く見積もっても10時間は勉強できるだろう」
「…」
ジョンの滅茶苦茶な提案に思わず目を見開く私。
「うん?どうしたんだ?何故そんな目で俺の事を見る?」
「…ねえ、冗談よね?」
「何故冗談を言わなければならない?俺はいつだって大真面目だ」
「そんなに勉強できるはずないでしょう?」
酷い、鬼だ。スパルタだ。
「いいや、出来る。いや、やってもらう。退学になってはたまらないからな。それにこれは俺の為じゃない。全てはユリアの為なんだからな?成績が上がれば、お前の評価も上がり、周りの見る目も変わってくる。快適な学園生活を送りたいのだろう?」
ジョンは真剣な目で私を見る。
「た、確かにそうね…。退学することが出来ないのなら、居心地の良い環境で学園生活を送りたいわね」
ジョンの言うことも尤もだろう
「そうだ、よし。大分ユリアも理解力が早くなったな?」
「ええ、ジョンのお陰で目が覚めたわ」
そうだ。きっとジョンの行動は全て私の為を思っての事なのだろう。
けれど…この時の私はまだ知らなかった。
ジョンはまたしても私を窮地に陥れる行動を取っていたという事に―。
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