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第36話 揃いも揃って
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シュッ!!
突如、空気を切り裂くような鋭い音が聞こえ、気づけば1本の氷の矢が私に向かって飛んできた。
「え…?」
咄嗟の事に身体が固まって動けない。勿論ベルナルド王子達もだ。
次の瞬間―
「危ない!ユリアッ!!」
バチッ!!
聞き覚えのある声と同時に突如目の前で氷の矢が砕け散った。そして氷の粒となった矢はバラバラと地面に落ちていく。
「あ…」
あまりの突然の出来事にヘナヘナと地面に座り込んでしまった。そこへジョンが駆けつけてきた。
「ユリアッ!大丈夫だったかっ?!」
ジョンは私に声を掛けると、立ち上がるのに手を貸してくれた。
「あ、ありがとう…ジョン…」
少しだけ声を震わせながら私はジョンにお礼を述べた。
「ああ、でも間に合って良かった」
ジョンが安堵のため息をつく。
その時―。
「おい…今のは一体…?」
ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「見てのとおりです。氷の矢がユリアに向かって飛んできた。ただそれだけですよ」
「はぁっ?!」
何っ?!その物言いは!今私は命を狙われたのにそれだけって何?思わず文句を言ってやろうかと思ったその時、ものすごい剣幕でベルナルド王子が尋ねてきた。
「おい、一体どういう事だ?ユリアは命を狙われているのか?」
「ええ、そうですよ。何しろ貴方曰く、ユリアは父親からも疎まれているような人物ですから」
ジョンは嫌味たっぷりにベルナルド王子に言う。
「あ…」
この言葉はさすがに堪えたのか、王子だけでなく3人の腰巾着達もバツが悪そうに俯く。
「…行こう、ユリア。迎えの馬車がもう来ているから。こっちだ」
「え、ええ…」
ジョンに手招きされ、歩き始めた時―。
「ユリアッ!」
突然ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「何かまだ用があるのですか?」
ジョンがベルナルド王子を見る。
「あ、ああ…良かったら…俺の馬車に乗らないか?俺の馬車はシールドの魔法が掛けられているから安心だぞ?」
今までに無い穏やかな口調でベルナルド王子が私に話しかけてきた。
「あの…」
「結構です、お断りします」
私が返事をするより早く、またしてもジョンが先に返事をする。
「俺は…お前にではなくユリアに尋ねているのだが?」
ベルナルド王子はジロリとジョンを睨みつけた。
「いいえ、ユリアに聞くまでもありません。王子がユリアを嫌ってるのは学園中の誰もが知っている事実ですし。ひょっとするとユリアの命を狙っているかもしれないような人物と一緒の馬車に乗らせるわけにはいきませんからね」
「な、何だってっ?!」
王子が顔を真っ赤にさせる。
「王子に向かってなんて口を叩くんだっ?!」
「いくらユリア様の事を嫌っていても命なんて狙うものかっ!」
「謝罪しろっ!」
3人の腰ぎんちゃく達もジョンに言い返してくる。
「なら、どうしてユリアに氷の矢が飛んできた時、揃いも揃って大の男が4人もいながら何も対処しなかったのですか?」
『!!』
その言葉にベルナルド王子たちはビクリと肩を動かしたが、言葉を返す者は誰もいなかった。
「つまり、そういう事ですよ。…行こう、ユリア。馬車は門の外で待っているから」
「え、ええ…」
ジョンは私の右手を掴むと、門へ向かって歩き出した―。
突如、空気を切り裂くような鋭い音が聞こえ、気づけば1本の氷の矢が私に向かって飛んできた。
「え…?」
咄嗟の事に身体が固まって動けない。勿論ベルナルド王子達もだ。
次の瞬間―
「危ない!ユリアッ!!」
バチッ!!
聞き覚えのある声と同時に突如目の前で氷の矢が砕け散った。そして氷の粒となった矢はバラバラと地面に落ちていく。
「あ…」
あまりの突然の出来事にヘナヘナと地面に座り込んでしまった。そこへジョンが駆けつけてきた。
「ユリアッ!大丈夫だったかっ?!」
ジョンは私に声を掛けると、立ち上がるのに手を貸してくれた。
「あ、ありがとう…ジョン…」
少しだけ声を震わせながら私はジョンにお礼を述べた。
「ああ、でも間に合って良かった」
ジョンが安堵のため息をつく。
その時―。
「おい…今のは一体…?」
ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「見てのとおりです。氷の矢がユリアに向かって飛んできた。ただそれだけですよ」
「はぁっ?!」
何っ?!その物言いは!今私は命を狙われたのにそれだけって何?思わず文句を言ってやろうかと思ったその時、ものすごい剣幕でベルナルド王子が尋ねてきた。
「おい、一体どういう事だ?ユリアは命を狙われているのか?」
「ええ、そうですよ。何しろ貴方曰く、ユリアは父親からも疎まれているような人物ですから」
ジョンは嫌味たっぷりにベルナルド王子に言う。
「あ…」
この言葉はさすがに堪えたのか、王子だけでなく3人の腰巾着達もバツが悪そうに俯く。
「…行こう、ユリア。迎えの馬車がもう来ているから。こっちだ」
「え、ええ…」
ジョンに手招きされ、歩き始めた時―。
「ユリアッ!」
突然ベルナルド王子が声を掛けてきた。
「何かまだ用があるのですか?」
ジョンがベルナルド王子を見る。
「あ、ああ…良かったら…俺の馬車に乗らないか?俺の馬車はシールドの魔法が掛けられているから安心だぞ?」
今までに無い穏やかな口調でベルナルド王子が私に話しかけてきた。
「あの…」
「結構です、お断りします」
私が返事をするより早く、またしてもジョンが先に返事をする。
「俺は…お前にではなくユリアに尋ねているのだが?」
ベルナルド王子はジロリとジョンを睨みつけた。
「いいえ、ユリアに聞くまでもありません。王子がユリアを嫌ってるのは学園中の誰もが知っている事実ですし。ひょっとするとユリアの命を狙っているかもしれないような人物と一緒の馬車に乗らせるわけにはいきませんからね」
「な、何だってっ?!」
王子が顔を真っ赤にさせる。
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「いくらユリア様の事を嫌っていても命なんて狙うものかっ!」
「謝罪しろっ!」
3人の腰ぎんちゃく達もジョンに言い返してくる。
「なら、どうしてユリアに氷の矢が飛んできた時、揃いも揃って大の男が4人もいながら何も対処しなかったのですか?」
『!!』
その言葉にベルナルド王子たちはビクリと肩を動かしたが、言葉を返す者は誰もいなかった。
「つまり、そういう事ですよ。…行こう、ユリア。馬車は門の外で待っているから」
「え、ええ…」
ジョンは私の右手を掴むと、門へ向かって歩き出した―。
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