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第25話 理事長室で
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途中トラブル?があったものの、私とジョンは理事長室の前に到着した。
ジョンが私の耳元で囁く。
「いいか?ユリア。打ち合わせ通り、お前は理事長室の中に入った後は挨拶だけすればいい。後はすべて俺に任せろ。な~に、案ずることはない。大船に乗ったつもりでいればいいさ」
打ち合わせらしい打ち合わせもしていないのに、何故ジョンはそこまで自信満々にいい切れるのだろう?正直に言えば私は不安でたまらない。大船どころか泥舟に乗らされているような気がする。 けれど、炎の玉を出せたことに関する言い訳が何も思い浮かばない私はジョンに任せるしかなった。
だ、大丈夫…彼はこれでもお金で雇われた私の護衛騎士なのだから…悪いようにはしないはずだ。…多分。
「わ、分かったわ…。貴方に任せるわ。信用しているからね?」
「ああ、任せておけ。よし、では行くか」
「え、ええ」
そして私とジョンは部屋の扉をノックした。
コンコン
ややあって、扉の奥から声が聞こえてきた。
「…誰かね?」
「私です。ユリア・アルフォンスです」
「入りたまえ」
「失礼致します…」
ガチャリと扉を開けて理事長室の中へと入っていく私。真正面には大きなライティングデスクを前にこちらを向いて座るのは口ひげを生やした男性である。
あの偉そうな人がこの学園の理事長…。
そして理事長室のソファにはジョンに髪の毛を焦がされた女教師である。
…確かにベルナルド王子の話していた通り、前髪の一部が焼け焦げて無くなっている。
女教師は憎しみを込めた目で私を睨みつけていた。
うう…犯人は私ではないのに、何故恨まれなければならないのだろう?
「ユリア・アルフォンス。随分来るのが遅かったではないか?校内放送から15分もかかって到着するとはどういう事だね?おまけに…君は誰だね?」
理事長はジョンを見ると眉をしかめた。
「はい、私はジョン・スミスと申しましてクラスメイトです。今回の事件でユリアの証人として付いてきました。実は彼女は事件を起こしたショックで一時的に記憶障害を起こしてしまったので、側にいた私が証人となるべくついて参りました。なので私が彼女の代わりにお話を伺います」
だ、誰が記憶障害ですって?!まぁ確かに記憶喪失ではあるけれども…。
「何がショックで一時的な記憶障害ですかっ!むしろショックを受けているのはこの私ですよっ!」
女教師は立ち上がり、ヒステリックに叫ぶと私を指さした。
パサリ…。
その時、立ち上がった女教師の焼け焦げていた髪の毛の一部が床の上に一房落ちてしまった。
「キャアアアッ!髪が!私の大切な髪の毛がまた…!!」
絶叫する女教師。それを見ていた理事長が諭した。
「静かにしたまえ、ミス・キャロライン」
そして再び私を見ると言った。
「ユリア・アルフォンス。何故君はミス・キャロラインに向けて炎の玉を投げつけたのだね?それに第一君は魔力は殆どゼロに近いはずだったが?炎の玉を出すのは相当高位レベルの魔法なのだぞ?ここにいるミス・キャロラインですら作り出せないのに」
え?それなのに…『魔法学』の教師をしているとは…。
「理事長っ!余計な事はお話にならないでっ!」
キャロライン教師はヒステリックに叫ぶ。
「はい、それについて私が説明致します」
ジョンは手を上げた。
「ええと…確か、君は…ジョン・スミスだったかね?」
理事長はジョンを見た。
「はい。そうです。理事長も御存知の通り、ユリアは殆ど魔力がありません。なので今回キャロライン教師が学生たちにテストさせた指先から炎を出す魔法など、当然出来るはずはないのです。出来もしないテストを受けさせるのは教師としてはいかがなものでしょうか?そういう生徒の場合には別のテストを用意するべきだとは思いませんか?例えば筆記試験とか…」
「ううむ…確かにそれは一理あるかもしれんな」
唸る理事長にキャロライン教師は叫ぶ。
「理事長っ!何を仰っているのですかっ?!私がどれだけの生徒を受け持っているかご存知ですよね?たった1人の生徒の為に別にテストを用意する?冗談じゃありませんわっ!」
「いいえ。もう1人出来なかった女生徒がいましたよ?ご存知無かったのですか?あ、知らないのは無理も無いかも知れませんね?何しろ先生はユリアが魔法を使うことが出来ずにクラス中から笑いものにされているのを一緒になって笑いながら見ていただけなのですから。普通なら周りの学生を注意するべきなのに、同じレベルで笑って…いえ、そもそも魔力がゼロにひとしい学生に魔法を使うテストを受けさせるなんて教師としてはいかがでしょう?」
ジョンの追求にキャロライン教師の顔に焦りが見える。
「ミス・キャロライン…君はその様な真似をしたのかね?」
ジロリと理事長は女教師を睨みつける。
「う…そ、それは…。で、でも最終的にはあの生徒は炎の玉を出して…この私に投げつけたのですよっ?!結局本当は魔法が使えたって事じゃないのっ?!」
ついに出た!一番答えに困る質問がっ!
私は傍らに立つジョンをそっと見た。彼は一体何と言って論破するのだろうか―?
ジョンが私の耳元で囁く。
「いいか?ユリア。打ち合わせ通り、お前は理事長室の中に入った後は挨拶だけすればいい。後はすべて俺に任せろ。な~に、案ずることはない。大船に乗ったつもりでいればいいさ」
打ち合わせらしい打ち合わせもしていないのに、何故ジョンはそこまで自信満々にいい切れるのだろう?正直に言えば私は不安でたまらない。大船どころか泥舟に乗らされているような気がする。 けれど、炎の玉を出せたことに関する言い訳が何も思い浮かばない私はジョンに任せるしかなった。
だ、大丈夫…彼はこれでもお金で雇われた私の護衛騎士なのだから…悪いようにはしないはずだ。…多分。
「わ、分かったわ…。貴方に任せるわ。信用しているからね?」
「ああ、任せておけ。よし、では行くか」
「え、ええ」
そして私とジョンは部屋の扉をノックした。
コンコン
ややあって、扉の奥から声が聞こえてきた。
「…誰かね?」
「私です。ユリア・アルフォンスです」
「入りたまえ」
「失礼致します…」
ガチャリと扉を開けて理事長室の中へと入っていく私。真正面には大きなライティングデスクを前にこちらを向いて座るのは口ひげを生やした男性である。
あの偉そうな人がこの学園の理事長…。
そして理事長室のソファにはジョンに髪の毛を焦がされた女教師である。
…確かにベルナルド王子の話していた通り、前髪の一部が焼け焦げて無くなっている。
女教師は憎しみを込めた目で私を睨みつけていた。
うう…犯人は私ではないのに、何故恨まれなければならないのだろう?
「ユリア・アルフォンス。随分来るのが遅かったではないか?校内放送から15分もかかって到着するとはどういう事だね?おまけに…君は誰だね?」
理事長はジョンを見ると眉をしかめた。
「はい、私はジョン・スミスと申しましてクラスメイトです。今回の事件でユリアの証人として付いてきました。実は彼女は事件を起こしたショックで一時的に記憶障害を起こしてしまったので、側にいた私が証人となるべくついて参りました。なので私が彼女の代わりにお話を伺います」
だ、誰が記憶障害ですって?!まぁ確かに記憶喪失ではあるけれども…。
「何がショックで一時的な記憶障害ですかっ!むしろショックを受けているのはこの私ですよっ!」
女教師は立ち上がり、ヒステリックに叫ぶと私を指さした。
パサリ…。
その時、立ち上がった女教師の焼け焦げていた髪の毛の一部が床の上に一房落ちてしまった。
「キャアアアッ!髪が!私の大切な髪の毛がまた…!!」
絶叫する女教師。それを見ていた理事長が諭した。
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そして再び私を見ると言った。
「ユリア・アルフォンス。何故君はミス・キャロラインに向けて炎の玉を投げつけたのだね?それに第一君は魔力は殆どゼロに近いはずだったが?炎の玉を出すのは相当高位レベルの魔法なのだぞ?ここにいるミス・キャロラインですら作り出せないのに」
え?それなのに…『魔法学』の教師をしているとは…。
「理事長っ!余計な事はお話にならないでっ!」
キャロライン教師はヒステリックに叫ぶ。
「はい、それについて私が説明致します」
ジョンは手を上げた。
「ええと…確か、君は…ジョン・スミスだったかね?」
理事長はジョンを見た。
「はい。そうです。理事長も御存知の通り、ユリアは殆ど魔力がありません。なので今回キャロライン教師が学生たちにテストさせた指先から炎を出す魔法など、当然出来るはずはないのです。出来もしないテストを受けさせるのは教師としてはいかがなものでしょうか?そういう生徒の場合には別のテストを用意するべきだとは思いませんか?例えば筆記試験とか…」
「ううむ…確かにそれは一理あるかもしれんな」
唸る理事長にキャロライン教師は叫ぶ。
「理事長っ!何を仰っているのですかっ?!私がどれだけの生徒を受け持っているかご存知ですよね?たった1人の生徒の為に別にテストを用意する?冗談じゃありませんわっ!」
「いいえ。もう1人出来なかった女生徒がいましたよ?ご存知無かったのですか?あ、知らないのは無理も無いかも知れませんね?何しろ先生はユリアが魔法を使うことが出来ずにクラス中から笑いものにされているのを一緒になって笑いながら見ていただけなのですから。普通なら周りの学生を注意するべきなのに、同じレベルで笑って…いえ、そもそも魔力がゼロにひとしい学生に魔法を使うテストを受けさせるなんて教師としてはいかがでしょう?」
ジョンの追求にキャロライン教師の顔に焦りが見える。
「ミス・キャロライン…君はその様な真似をしたのかね?」
ジロリと理事長は女教師を睨みつける。
「う…そ、それは…。で、でも最終的にはあの生徒は炎の玉を出して…この私に投げつけたのですよっ?!結局本当は魔法が使えたって事じゃないのっ?!」
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