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第23話 退学の勧め
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「お前たち、これから理事長室へ行くのだろう?聞いているぞ?ユリア。お前…本日『魔法学』の授業で炎の玉を出して、教師に投げつけたらしいな?しかもその教師は髪の毛が一部燃え落ちてしまったそうじゃないか?」
さすが、王子。情報収集力が半端では無い。でも…髪の毛が一部燃え落ちてしまったとは知らなかった。
「全く…随分派手な事をしたようだな?」
ベルナルド王子は私達を交互に見ると言った。しかし、犯人は私ではない。やったのは隣に立っているジョンである。けれどもまさかあれは私ではありませんと言えるはずは無かった。そんな事を言おうものなら、私はイカサマで『魔法学』のテストを受けて合格したことになってしまい、ますます自分の置かれている立場が危うくなってしまう。
「知ってるか?あの女教師…泣きながら教員室でお前に酷い目に遭わされたと訴えたらしい。フフフ…何と言って訴えたか知りたいか?」
ベルナルド王子は意地の悪い笑い方をすると私達を睨み付けた。一体その女教師は私の事を何と言ったのだろう?怖い…!怖すぎるっ!だけど知っておきたい。そこで私は返事をした。
「はい、知りたいです」
「いいえ、別に知りたくありません」
あろう事か、ジョンは言葉を重ねて来た。
「何?知りたくはないのかっ?!」
ベルナルド王子は驚いた表情を見せる。え?私は知りたいって言いましたけど?!
「ええ、少しも知りたくはないですね。それに…確かにユリアは授業中魔法で炎の玉を出しましたが、教師に投げつけたのはわざとでありませんよ」
はぁ?!何それっ!
魔法の玉を作ったのも私の姿に変身したジョン、そして投げつけたのもジョンである。しかし、今の言い方ではまるで本当に私の仕業に聞こえてしまう。
「ちょ、ちょっとジョン!何て事言うのよ!」
思わずジョンの腕を掴んで揺すぶるとベルナルド王子が声を荒らげた。
「おい!2人とも、距離が近い!もう少し離れるんだっ!」
言われた通り、サッと離れるとジョンが言った。
「ベルナルド王子、それよりも先程の校内放送をお聞きになりましたよね?ユリアは今理事長室に呼ばれているのです。急いで向かわなかれば退学になりかねませんのでこれにて我々は失礼致します。行こう、ユリア」
ジョンは王子に頭を下げると再び私の腕を掴んだ。
その時―。
「いいじゃないか、退学になってしまえば」
王子が素晴らしい発言をしてくれた。ナイスなご意見、ありがとうございます!
心のなかで感謝する一方、不機嫌な顔つきになったのは言うまでも無くジョンである。
「何ですって?」
ジョンの声に殺気が宿る。それは当然だろう。彼にとって私に学園を退学されてしまっては非常にまずい事になるのだから。
「ベルナルド王子、何故ユリアが退学になってしまえば良いと思うのですか?」
「当然だろう?ユリアは魔力も乏しければ、学力も足りない。そのくせ俺ががこの学園に通うと言うだけの理由で追いかけて来たのだ。おまけに人の周りをウロチョロして…目障りでしょうがなかったからな。退学?俺としては是非ともそうして貰いたいね」
ベルナルド王子は何故か勝ち誇ったように言う。そんな王子をジャンは冷ややかな目で見ると言った。
「そんなにユリアが目障りなら、わざわざ彼女の前に姿を現さなければいいでしょう?」
「っな…っ?!」
ベルナルド王子が驚愕の表情を浮かべる。…確かに言われてみればその通り。何故王子は私が目障りだと言っているのに…姿を見せるのだろう?
すっかり固まっている王子にジョンは言った。
「それでは今度こそ我々は理事長室へ行きますから。失礼致します」
そしてジョンに腕を掴まれ、私はまるで連行されるような恰好で理事長室へと連れて行かれた―。
さすが、王子。情報収集力が半端では無い。でも…髪の毛が一部燃え落ちてしまったとは知らなかった。
「全く…随分派手な事をしたようだな?」
ベルナルド王子は私達を交互に見ると言った。しかし、犯人は私ではない。やったのは隣に立っているジョンである。けれどもまさかあれは私ではありませんと言えるはずは無かった。そんな事を言おうものなら、私はイカサマで『魔法学』のテストを受けて合格したことになってしまい、ますます自分の置かれている立場が危うくなってしまう。
「知ってるか?あの女教師…泣きながら教員室でお前に酷い目に遭わされたと訴えたらしい。フフフ…何と言って訴えたか知りたいか?」
ベルナルド王子は意地の悪い笑い方をすると私達を睨み付けた。一体その女教師は私の事を何と言ったのだろう?怖い…!怖すぎるっ!だけど知っておきたい。そこで私は返事をした。
「はい、知りたいです」
「いいえ、別に知りたくありません」
あろう事か、ジョンは言葉を重ねて来た。
「何?知りたくはないのかっ?!」
ベルナルド王子は驚いた表情を見せる。え?私は知りたいって言いましたけど?!
「ええ、少しも知りたくはないですね。それに…確かにユリアは授業中魔法で炎の玉を出しましたが、教師に投げつけたのはわざとでありませんよ」
はぁ?!何それっ!
魔法の玉を作ったのも私の姿に変身したジョン、そして投げつけたのもジョンである。しかし、今の言い方ではまるで本当に私の仕業に聞こえてしまう。
「ちょ、ちょっとジョン!何て事言うのよ!」
思わずジョンの腕を掴んで揺すぶるとベルナルド王子が声を荒らげた。
「おい!2人とも、距離が近い!もう少し離れるんだっ!」
言われた通り、サッと離れるとジョンが言った。
「ベルナルド王子、それよりも先程の校内放送をお聞きになりましたよね?ユリアは今理事長室に呼ばれているのです。急いで向かわなかれば退学になりかねませんのでこれにて我々は失礼致します。行こう、ユリア」
ジョンは王子に頭を下げると再び私の腕を掴んだ。
その時―。
「いいじゃないか、退学になってしまえば」
王子が素晴らしい発言をしてくれた。ナイスなご意見、ありがとうございます!
心のなかで感謝する一方、不機嫌な顔つきになったのは言うまでも無くジョンである。
「何ですって?」
ジョンの声に殺気が宿る。それは当然だろう。彼にとって私に学園を退学されてしまっては非常にまずい事になるのだから。
「ベルナルド王子、何故ユリアが退学になってしまえば良いと思うのですか?」
「当然だろう?ユリアは魔力も乏しければ、学力も足りない。そのくせ俺ががこの学園に通うと言うだけの理由で追いかけて来たのだ。おまけに人の周りをウロチョロして…目障りでしょうがなかったからな。退学?俺としては是非ともそうして貰いたいね」
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「そんなにユリアが目障りなら、わざわざ彼女の前に姿を現さなければいいでしょう?」
「っな…っ?!」
ベルナルド王子が驚愕の表情を浮かべる。…確かに言われてみればその通り。何故王子は私が目障りだと言っているのに…姿を見せるのだろう?
すっかり固まっている王子にジョンは言った。
「それでは今度こそ我々は理事長室へ行きますから。失礼致します」
そしてジョンに腕を掴まれ、私はまるで連行されるような恰好で理事長室へと連れて行かれた―。
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