13 / 126
第13話 責められても何の事だか分りません
しおりを挟む
今の声は先程の学生の声なのだろうか?一体誰が彼をそんなに苛つかせているのだろう?しかし、触らぬ神に祟りなし…。私はそのまま教室目指して歩いていると、今度は先程よりも強い口調で呼び止められた。
「おいっ!聞こえているのかっ!ユリア・アルフォンスッ!」
名前をハッキリ呼ばれてしまった。え?嘘!まさか呼び止められていたのが私の事だったとは…。恐る恐る振り向くと、先程の5人組が私を険しい目で睨みつけている。
ただ1人、銀の髪の女性を除いては…。
「あ、あの…何か御用でしょうか…?」
何故?何故この人達はこんなにも私を睨みつけているのだろう?心当たりも何も記憶がなければどうしようもない。おまけに私は彼等の名前すら知らないのだ。
「何?何か御用だと…?」
金の髪の青年が美しい眉をしかめた。うん…確かに彼はハンサムかも知れないが、今の私の中ではジョンの方がハンサムだと思う。
「お前…昨日はテレシアに嫌がらせのつもりで学校を休んだのだろう?!」
いきなりその人物は私を指差すと、訳の分からない事を言ってきた。え?テレシアって…一体誰の事だろう?その時、私の目に銀の髪の女生徒が目に入った。彼女は金の髪の青年にしがみつくような格好をしている。
「あの…もしかして、その方がテレシアさん…?」
「な、何っ?!」
「えっ?!」
私の発した言葉に何故か驚く青年と女生徒。おまけに背後にいる青年3人もギョッとした顔で私を見る。
「な、何だ?お前…その言葉使いは…」
声を震わせる青年に私は言った。
「あ、申し訳ございません。言葉遣いが悪かったでしょうか?」
慌てて謝罪する。この人達に学生たちは通路を譲っていたから、もしかすると私よりも高貴な身分なのかも知れない。私は公爵家の者だから、王族なのかもしれない。
「お前…ひょっとするとふざけているのか…?昨日お前が学園を休み、俺がお前の様子を見に行かなかったことに対するあてつけのつもりでそんな態度を取るのか?どうせ昨日の休みも命を狙われていると思い込んでいる妄想癖と、テレシアに対する嫌がらせで休んだのだろう?」
青年は今にも血管が切れそうなくらい顔を赤くさせている。え?私はこの人物にも命を狙われていると相談していたのだろうか?
「ベルナルド様…」
テレシアはベルナルドと呼んだ青年に擦り寄ると言った。
「うん?どうした。テレシア」
途端に先程までの強面とはガラリと表情を変えてベルナルドはテレシアを見た。
「私の事はもう大丈夫ですから、どうかもうそこまでにしてあげて下さい」
言いながらチラリと私を見るテレシア。しおらしい姿でベルナルドと見つめるが…しかし、私は見てしまった。彼女の口元に一瞬笑みが浮かんでいたのを。
一体その笑みは何を意味しているのだろうか…?
「テレシア…お前は本当に優しいな。あんな悪女に情けなど掛けてやる必要は無いのだが…」
「え?悪女?」
実感は全く無かったけれども、やっぱり私は悪女だったのだ…っ!だから学生達は皆私を避けるようにしていたのだ。きっと目の前の彼等にとって、私が悪女ならさながらきっとテレシアは善女なのだろうな…と。
ベルナルドはジロリと私を睨みつけると言った。
「…お前を見ていると気分が悪くなってくる。早く俺の視界から消え失せろ」
ムカッ!
流石にその物言いに多少なりともイラっと来た。大体自分の方から呼び止めておいて、何と言う物の言い方なのだろう。けれども私自身、一刻も早くこの場を逃げたかったので、ある意味好都合だった。
「はい。お見苦しい姿をお見せてしまい、大変申し訳ございませんでした。それでは失礼致します」
こういう輩には余計な事は一切言わず、不本意だが頭を下げておくに限る。
「な、何だって?」
その声に顔を上げてみるとベルナルドは戸惑いの表情を顔に浮かべていた。
そして今にも私に声を掛けそうな雰囲気を醸し出していたが…。
気付かないふりをして再び彼らに背を向けると急ぎ足で自分の教室へと向かった―。
「おいっ!聞こえているのかっ!ユリア・アルフォンスッ!」
名前をハッキリ呼ばれてしまった。え?嘘!まさか呼び止められていたのが私の事だったとは…。恐る恐る振り向くと、先程の5人組が私を険しい目で睨みつけている。
ただ1人、銀の髪の女性を除いては…。
「あ、あの…何か御用でしょうか…?」
何故?何故この人達はこんなにも私を睨みつけているのだろう?心当たりも何も記憶がなければどうしようもない。おまけに私は彼等の名前すら知らないのだ。
「何?何か御用だと…?」
金の髪の青年が美しい眉をしかめた。うん…確かに彼はハンサムかも知れないが、今の私の中ではジョンの方がハンサムだと思う。
「お前…昨日はテレシアに嫌がらせのつもりで学校を休んだのだろう?!」
いきなりその人物は私を指差すと、訳の分からない事を言ってきた。え?テレシアって…一体誰の事だろう?その時、私の目に銀の髪の女生徒が目に入った。彼女は金の髪の青年にしがみつくような格好をしている。
「あの…もしかして、その方がテレシアさん…?」
「な、何っ?!」
「えっ?!」
私の発した言葉に何故か驚く青年と女生徒。おまけに背後にいる青年3人もギョッとした顔で私を見る。
「な、何だ?お前…その言葉使いは…」
声を震わせる青年に私は言った。
「あ、申し訳ございません。言葉遣いが悪かったでしょうか?」
慌てて謝罪する。この人達に学生たちは通路を譲っていたから、もしかすると私よりも高貴な身分なのかも知れない。私は公爵家の者だから、王族なのかもしれない。
「お前…ひょっとするとふざけているのか…?昨日お前が学園を休み、俺がお前の様子を見に行かなかったことに対するあてつけのつもりでそんな態度を取るのか?どうせ昨日の休みも命を狙われていると思い込んでいる妄想癖と、テレシアに対する嫌がらせで休んだのだろう?」
青年は今にも血管が切れそうなくらい顔を赤くさせている。え?私はこの人物にも命を狙われていると相談していたのだろうか?
「ベルナルド様…」
テレシアはベルナルドと呼んだ青年に擦り寄ると言った。
「うん?どうした。テレシア」
途端に先程までの強面とはガラリと表情を変えてベルナルドはテレシアを見た。
「私の事はもう大丈夫ですから、どうかもうそこまでにしてあげて下さい」
言いながらチラリと私を見るテレシア。しおらしい姿でベルナルドと見つめるが…しかし、私は見てしまった。彼女の口元に一瞬笑みが浮かんでいたのを。
一体その笑みは何を意味しているのだろうか…?
「テレシア…お前は本当に優しいな。あんな悪女に情けなど掛けてやる必要は無いのだが…」
「え?悪女?」
実感は全く無かったけれども、やっぱり私は悪女だったのだ…っ!だから学生達は皆私を避けるようにしていたのだ。きっと目の前の彼等にとって、私が悪女ならさながらきっとテレシアは善女なのだろうな…と。
ベルナルドはジロリと私を睨みつけると言った。
「…お前を見ていると気分が悪くなってくる。早く俺の視界から消え失せろ」
ムカッ!
流石にその物言いに多少なりともイラっと来た。大体自分の方から呼び止めておいて、何と言う物の言い方なのだろう。けれども私自身、一刻も早くこの場を逃げたかったので、ある意味好都合だった。
「はい。お見苦しい姿をお見せてしまい、大変申し訳ございませんでした。それでは失礼致します」
こういう輩には余計な事は一切言わず、不本意だが頭を下げておくに限る。
「な、何だって?」
その声に顔を上げてみるとベルナルドは戸惑いの表情を顔に浮かべていた。
そして今にも私に声を掛けそうな雰囲気を醸し出していたが…。
気付かないふりをして再び彼らに背を向けると急ぎ足で自分の教室へと向かった―。
47
お気に入りに追加
2,871
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる