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第8話 怪しい日記
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カチャ…
「!!」
自室の扉を開け、思わず悲鳴をあげそうになった。何故なら私の部屋でソファの上で寝転がって本を開いているジョンの姿があったからである。
「お帰りなさい、ユリアお嬢様」
彼はムクリと起き上がると私に言った。
「な、何故ここにいるの?驚くじゃないのよ」
抗議の意を込めて頬を膨らませながら言うと、ジョンはクックと肩を震わせて笑った。
「本当にユリアお嬢様を見れば見る程、別人としか思えませんね。以前の貴女ならそんな可愛らしい行動は取りませんでしたよ?それで?実の父親と対面してどうでしたか?何か思い出せましたか?」
「いいえ、何も思い出せなかったわ。それどころか、本当に私の父親なのかと疑いたくなってしまったわ。何しろすごく冷たい人だったのよ?私が記憶喪失のふりをして関心を引こうとしていると考えていたのよ?それに虚言を吐いて、自分達を困らせるなと釘を刺されてしまったし。本当に…私って父親にも嫌われていたのね…」
思わずため息をついて、チラリとジョンを見ると彼はまた本に目を落としている。
「ねぇ…さっきから何してるの?」
「ええ。これはユリアお嬢様のライティングデスクの上に置かれていた日記帳のようでしたよ」
「ふ~ん…日記帳…ええっ?!に、日記帳っ?!やめてよっ!何故勝手に人の日記帳を盗み見るのよっ!」
すると彼はサラリと言った。
「別にいいじゃないですか。ユリアお嬢様は記憶喪失なのですから。日記帳を私に読まれても何とも思わないでしょう?」
「それはそうだけど…って違うでしょう!兎に角日記を返してよ!」
「別にいいですけどね…たった1行しか書かれていない日記帳なのですから」
ジョンの言葉に耳を疑う。
「え…?嘘でしょう?」
「嘘なんてついてどうするのです?本当に1行しか書かれていませんよ。どうぞご自分の目で確かめて下さい」
ジョンが私に日記帳を手渡して来た。
「そんな、一行だけなんて…」
パラリと最初のページをめくってみると、そこには1行だけ書かれていた。
『9月9日 残り、後1日』
「…」
何、この内容…。続きは無いのだろうか?他のページも試しにパラパラとめくってみる。しかし、やはりどこにも何も書かれていなかった。
「ねぇ…今日は何月何日なのかしら…」
「そんな事も分らないのですか?今日は9月10日ですよ?」
何処か小馬鹿にしたような言い方をするジョン。
「9月10日…。ええっ?!そ、それじゃ、この日記は…昨日の事を言ってるの?!」
「ええ、たしかにそうですけど?だから日記帳かと思ったのです」
「そうなのね…でも、何だろう…この内容…何だか…」
するとジョンが私の言葉の後に続ける。
「何だか言い知れぬ不安を感じる…とでも言いたいですか?」
「ジョン…」
「まぁ、単にお嬢様が筆不精だったのか…それともこの日記に何か重要な秘密が隠されているかはまだ不明ですが…」
そしてジョンは私をじっと見ると言った。
「少なくとも…ユリアお嬢様は、今回自分の身に異変が起こるのを知っていた可能性があるって事ですね」
「…」
私は…ジョンの言葉にごくりと息を飲んだ―。
「!!」
自室の扉を開け、思わず悲鳴をあげそうになった。何故なら私の部屋でソファの上で寝転がって本を開いているジョンの姿があったからである。
「お帰りなさい、ユリアお嬢様」
彼はムクリと起き上がると私に言った。
「な、何故ここにいるの?驚くじゃないのよ」
抗議の意を込めて頬を膨らませながら言うと、ジョンはクックと肩を震わせて笑った。
「本当にユリアお嬢様を見れば見る程、別人としか思えませんね。以前の貴女ならそんな可愛らしい行動は取りませんでしたよ?それで?実の父親と対面してどうでしたか?何か思い出せましたか?」
「いいえ、何も思い出せなかったわ。それどころか、本当に私の父親なのかと疑いたくなってしまったわ。何しろすごく冷たい人だったのよ?私が記憶喪失のふりをして関心を引こうとしていると考えていたのよ?それに虚言を吐いて、自分達を困らせるなと釘を刺されてしまったし。本当に…私って父親にも嫌われていたのね…」
思わずため息をついて、チラリとジョンを見ると彼はまた本に目を落としている。
「ねぇ…さっきから何してるの?」
「ええ。これはユリアお嬢様のライティングデスクの上に置かれていた日記帳のようでしたよ」
「ふ~ん…日記帳…ええっ?!に、日記帳っ?!やめてよっ!何故勝手に人の日記帳を盗み見るのよっ!」
すると彼はサラリと言った。
「別にいいじゃないですか。ユリアお嬢様は記憶喪失なのですから。日記帳を私に読まれても何とも思わないでしょう?」
「それはそうだけど…って違うでしょう!兎に角日記を返してよ!」
「別にいいですけどね…たった1行しか書かれていない日記帳なのですから」
ジョンの言葉に耳を疑う。
「え…?嘘でしょう?」
「嘘なんてついてどうするのです?本当に1行しか書かれていませんよ。どうぞご自分の目で確かめて下さい」
ジョンが私に日記帳を手渡して来た。
「そんな、一行だけなんて…」
パラリと最初のページをめくってみると、そこには1行だけ書かれていた。
『9月9日 残り、後1日』
「…」
何、この内容…。続きは無いのだろうか?他のページも試しにパラパラとめくってみる。しかし、やはりどこにも何も書かれていなかった。
「ねぇ…今日は何月何日なのかしら…」
「そんな事も分らないのですか?今日は9月10日ですよ?」
何処か小馬鹿にしたような言い方をするジョン。
「9月10日…。ええっ?!そ、それじゃ、この日記は…昨日の事を言ってるの?!」
「ええ、たしかにそうですけど?だから日記帳かと思ったのです」
「そうなのね…でも、何だろう…この内容…何だか…」
するとジョンが私の言葉の後に続ける。
「何だか言い知れぬ不安を感じる…とでも言いたいですか?」
「ジョン…」
「まぁ、単にお嬢様が筆不精だったのか…それともこの日記に何か重要な秘密が隠されているかはまだ不明ですが…」
そしてジョンは私をじっと見ると言った。
「少なくとも…ユリアお嬢様は、今回自分の身に異変が起こるのを知っていた可能性があるって事ですね」
「…」
私は…ジョンの言葉にごくりと息を飲んだ―。
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