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第7話 家族に嫌われている悪女
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18時半―
広々とした美しいシャンデリアに照らされたダイニングルーム。テーブルの上には豪華な食事がズラリと並べられていた。そして私の向かい側に座っているのはこの屋敷の当主であり、父でもあるフィブリゾ・アルフォンス公爵が食事をしている。父の瞳の色は私と同じ紫色だった。それにしても…流石は公爵。見事なテーブルマナーである。
「…」
私は食事をしながら公爵をじっと見つめていた。…本当にこの人は私の父なのだろうか…?自分の父を見れば記憶が蘇るだろうと思ったが、あいにくそんな事は全く無かった。それどころか、父親とも思えなかった。こうして面と向かい合わせに座っていても違和感しか感じない。すると、私の視線に気付いたのか、父は顔を合わせることもなく尋ねてきた。
「池に落ちて溺れかけて、さらには記憶を失ったそうだな」
「!」
あまりにもそっけない物言いに、思わず食事をする手が止まる。何て…無関心な物言いをする人なのだろう?父は私の行動を気にすることもな聞く話を続ける。
「それで?どうなのだ?少しは記憶が戻ったのか?」
「い、いえ…全く…」
すると父はため息をついた。
「全く…命を狙われているから護衛騎士を雇ってくれと言われて雇ってみれば、自分から池に飛び込んで今度は記憶喪失になったとは…」
そして私をジロリと見ると言った。
「そんなに私の関心を引きたいのか?」
「え?」
一体何を…。
「お前には十分な金を与え、何でも好きなものを与えてきた。王子の婚約者になりたいと訴えるから、王家に恩を売ってお前を王子の婚約者にもさせてやった。だが、私に出来るのはそこまでだ。王子に嫌われているのはお前自身に問題があるからだろう?いくら人々の気を引きたいからと言って、命を狙われているだとか、記憶喪失になった等と虚言を吐いて周囲を困らせるのはやめるんだ。そんな事をしても誰もお前に関心を持たないぞ。逆に疎まれたりするだけだ。これ以上妙な行動を取って、この家の名を汚すのはやめるんだ。私やお前の兄たちに迷惑をかけるのはやめろ。亡くなったお前の母はそれは気立ての良い女性だった。何故お前はその様に振る舞えないのだ?」
「…」
父であるはずの公爵の話を私は半分呆れた様子で聞いていた。ユリアとして生きていた記憶は全く無いが、一つ分かったことがある。記憶を失う前の私は…父親と、まだ会ったこともない兄達から嫌われているという事を。
ここまで嫌われているということは…きっと私は相当な悪女だったのだろう。
「どうも、申し訳ございませんでした」
事情が何も分からない状況だったので、素直に頭を下げることにした。
「何?!」
この時、初めて父は私と視線を合わせた。その顔には戸惑いが浮かんでいる。
「私のせいで、この家に今迄ご迷惑ばかりお掛けしていたのでしたら、謝罪させていただきます。ただ、記憶喪失なのは本当です。本当に何もかも覚えていないのです。どうかそれだけは信じて頂けませんか?」
もう一度深々と頭を下げる。
「ユ、ユリア…お前…」
初めて父である目の前の人物に名前を呼ばれた。
「私の事を見ていると…苛立ちで食欲が無くなるでしょうから…私はもう部屋に戻ります。今度から食事も1人で取るように致します。申し訳ございませんでした」
立ち上がり、深々と父に頭を下げると私はダイニングルームを後にした―。
広々とした美しいシャンデリアに照らされたダイニングルーム。テーブルの上には豪華な食事がズラリと並べられていた。そして私の向かい側に座っているのはこの屋敷の当主であり、父でもあるフィブリゾ・アルフォンス公爵が食事をしている。父の瞳の色は私と同じ紫色だった。それにしても…流石は公爵。見事なテーブルマナーである。
「…」
私は食事をしながら公爵をじっと見つめていた。…本当にこの人は私の父なのだろうか…?自分の父を見れば記憶が蘇るだろうと思ったが、あいにくそんな事は全く無かった。それどころか、父親とも思えなかった。こうして面と向かい合わせに座っていても違和感しか感じない。すると、私の視線に気付いたのか、父は顔を合わせることもなく尋ねてきた。
「池に落ちて溺れかけて、さらには記憶を失ったそうだな」
「!」
あまりにもそっけない物言いに、思わず食事をする手が止まる。何て…無関心な物言いをする人なのだろう?父は私の行動を気にすることもな聞く話を続ける。
「それで?どうなのだ?少しは記憶が戻ったのか?」
「い、いえ…全く…」
すると父はため息をついた。
「全く…命を狙われているから護衛騎士を雇ってくれと言われて雇ってみれば、自分から池に飛び込んで今度は記憶喪失になったとは…」
そして私をジロリと見ると言った。
「そんなに私の関心を引きたいのか?」
「え?」
一体何を…。
「お前には十分な金を与え、何でも好きなものを与えてきた。王子の婚約者になりたいと訴えるから、王家に恩を売ってお前を王子の婚約者にもさせてやった。だが、私に出来るのはそこまでだ。王子に嫌われているのはお前自身に問題があるからだろう?いくら人々の気を引きたいからと言って、命を狙われているだとか、記憶喪失になった等と虚言を吐いて周囲を困らせるのはやめるんだ。そんな事をしても誰もお前に関心を持たないぞ。逆に疎まれたりするだけだ。これ以上妙な行動を取って、この家の名を汚すのはやめるんだ。私やお前の兄たちに迷惑をかけるのはやめろ。亡くなったお前の母はそれは気立ての良い女性だった。何故お前はその様に振る舞えないのだ?」
「…」
父であるはずの公爵の話を私は半分呆れた様子で聞いていた。ユリアとして生きていた記憶は全く無いが、一つ分かったことがある。記憶を失う前の私は…父親と、まだ会ったこともない兄達から嫌われているという事を。
ここまで嫌われているということは…きっと私は相当な悪女だったのだろう。
「どうも、申し訳ございませんでした」
事情が何も分からない状況だったので、素直に頭を下げることにした。
「何?!」
この時、初めて父は私と視線を合わせた。その顔には戸惑いが浮かんでいる。
「私のせいで、この家に今迄ご迷惑ばかりお掛けしていたのでしたら、謝罪させていただきます。ただ、記憶喪失なのは本当です。本当に何もかも覚えていないのです。どうかそれだけは信じて頂けませんか?」
もう一度深々と頭を下げる。
「ユ、ユリア…お前…」
初めて父である目の前の人物に名前を呼ばれた。
「私の事を見ていると…苛立ちで食欲が無くなるでしょうから…私はもう部屋に戻ります。今度から食事も1人で取るように致します。申し訳ございませんでした」
立ち上がり、深々と父に頭を下げると私はダイニングルームを後にした―。
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