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1章6 父との再会 1
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55年ぶり? の再会を無事果たすと、チェルシーの身体から離れた。
「ごめんなさい、心配かけさせてしまったわね。でももう大丈夫だから」
「え? もう大丈夫なのですか?」
チェルシーが目をパチパチさせる。
「ええ、それではお父様の所へ行ってくるわね」
「はい、行ってらっしゃいませ」
私はチェルシーに手を振ると、再び歩き始めた。
婆や、爺や……それにチェルシー。あの時は私が助けられたけど、今回は違う。
私があなた達を助けるから――
長い廊下を歩き続け、ようやく父の待つ書斎の前に辿り着いた。
「ここに……お父様がいるのね」
父に会うのも実に60年ぶり。複雑な感情が込み上げてくる。
私はずっと父に愛されていると信じていた。けれどアシルに婚約破棄されて『ルーズ』へ追放されることが決定したとき、父は王室に歯向かうことは無かった。
それどころか『ルーズ』へ旅立つ日、見送りしてくれることも無く、一度も会いに来てくれたことすら無かったのだ。
お金に困り、資金援助して欲しいと手紙を出しても返事すらくれなかった。
そして私が追放されて丁度10年が経過したその年、父は流行り病で亡くなった。
その知らせが私の元に届いたのは、とっくに父の葬儀が済んだ後だった。
ドヌーブ家には跡取りとなる人物が一人もおらず、結局父が残した遺産は全額領民に寄付された。
私は遺産を分けてもらうことは無かったのだった。
あの時の私は何故たった一人きりの娘を見捨てたのだと父のことを恨んだ。
父が援助してくれれば……遺産を分けてくれれば、こんなに苦労せずに済んだのにと。
けれど時が流れて私は様々な経験をし……父の気持ちを理解することが出来るようになった。
王室からの命令は絶対。歯向かえば重い罰を受け、領地ごと王室に奪われて領民は路頭に頭に迷うことになる。
アシルは私を毛嫌いしていた。ドヌーブ家の領民達を受け入れてくれるはずが無い。
父は領主として領民を守る為に、私を切り捨てたのだ。
それは正しい選択だったのだと今なら理解できる。
「お父様……」
ごくりと息を飲むと、目の前の扉をノックした
――コンコン
するとすぐに返事があった。
『誰だ?』
「私です、オフィーリアです」
60年ぶりの再会、緊張で声が震える。
『オフィーリアか? 入りなさい』
「はい、では失礼いたします」
返事をするとノブを回して扉を開けた。
キィ~……
きしんだ音を立てて開く木製の扉。開けた先には父の書斎が広がり、机に向かってこちらをじっと見つめている父と視線が合う。
お父様……!
父はあの頃と全く同じ姿で、そこに座っていた。
銀色の髪にハシバミ色の瞳の父……。
懐かしい気持ちと緊張する気持ちが入りみだり、思わず足が止まってしまう。
「来たか、オフィーリア。こっちへ来なさい」
「は、はい……」
ぎこちない動きで、父の書斎机の前まで来ると足を止めた。
そんな私を父はじっと見つめている――
「ごめんなさい、心配かけさせてしまったわね。でももう大丈夫だから」
「え? もう大丈夫なのですか?」
チェルシーが目をパチパチさせる。
「ええ、それではお父様の所へ行ってくるわね」
「はい、行ってらっしゃいませ」
私はチェルシーに手を振ると、再び歩き始めた。
婆や、爺や……それにチェルシー。あの時は私が助けられたけど、今回は違う。
私があなた達を助けるから――
長い廊下を歩き続け、ようやく父の待つ書斎の前に辿り着いた。
「ここに……お父様がいるのね」
父に会うのも実に60年ぶり。複雑な感情が込み上げてくる。
私はずっと父に愛されていると信じていた。けれどアシルに婚約破棄されて『ルーズ』へ追放されることが決定したとき、父は王室に歯向かうことは無かった。
それどころか『ルーズ』へ旅立つ日、見送りしてくれることも無く、一度も会いに来てくれたことすら無かったのだ。
お金に困り、資金援助して欲しいと手紙を出しても返事すらくれなかった。
そして私が追放されて丁度10年が経過したその年、父は流行り病で亡くなった。
その知らせが私の元に届いたのは、とっくに父の葬儀が済んだ後だった。
ドヌーブ家には跡取りとなる人物が一人もおらず、結局父が残した遺産は全額領民に寄付された。
私は遺産を分けてもらうことは無かったのだった。
あの時の私は何故たった一人きりの娘を見捨てたのだと父のことを恨んだ。
父が援助してくれれば……遺産を分けてくれれば、こんなに苦労せずに済んだのにと。
けれど時が流れて私は様々な経験をし……父の気持ちを理解することが出来るようになった。
王室からの命令は絶対。歯向かえば重い罰を受け、領地ごと王室に奪われて領民は路頭に頭に迷うことになる。
アシルは私を毛嫌いしていた。ドヌーブ家の領民達を受け入れてくれるはずが無い。
父は領主として領民を守る為に、私を切り捨てたのだ。
それは正しい選択だったのだと今なら理解できる。
「お父様……」
ごくりと息を飲むと、目の前の扉をノックした
――コンコン
するとすぐに返事があった。
『誰だ?』
「私です、オフィーリアです」
60年ぶりの再会、緊張で声が震える。
『オフィーリアか? 入りなさい』
「はい、では失礼いたします」
返事をするとノブを回して扉を開けた。
キィ~……
きしんだ音を立てて開く木製の扉。開けた先には父の書斎が広がり、机に向かってこちらをじっと見つめている父と視線が合う。
お父様……!
父はあの頃と全く同じ姿で、そこに座っていた。
銀色の髪にハシバミ色の瞳の父……。
懐かしい気持ちと緊張する気持ちが入りみだり、思わず足が止まってしまう。
「来たか、オフィーリア。こっちへ来なさい」
「は、はい……」
ぎこちない動きで、父の書斎机の前まで来ると足を止めた。
そんな私を父はじっと見つめている――
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