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54話 婚約破棄宣言と修羅場
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「な、何ですって……ギスランが来た……?」
フットマンの言葉に青ざめるシャロン。
「ふ~ん……ギスラン、やっと来たのね」
「ちょっと! オリビエッ! まさかあんたがギスランを呼んだの!?」
シャロンはオリビエを指さしてきた。
「は? まさか。何故私がギスランをわざわざ家に呼ぶのよ。大体いつも彼は貴女に会う為だけに来ていたでしょう? でも折角来たのだから、応接室にでも案内してあげれば?」
「はぁ!? ふざけないで! さっさと追い返しなさいよ!」
ヒステリックな声を上げるシャロンに、フットマンはオロオロした様子で返事をする。
「そ、それがあの……もう、いつものようにギスラン様を応接室にお通ししてしまったのですが……」
「何ですって! どうしてそんな勝手な真似をするのよ!」
「そんな……勝手なマネだなんて……」
半泣きのフットマン。
シャロンはもう使用人の前でも自分の本性を隠そうとはしない。そこでオリビエは助け舟を出した。
「シャロン、責めるのはおよしなさいよ。元々彼は自分の仕事を忠実にこなしただけでしょう?」
「オリビエ様……」
感動した様子でフットマンがオリビエを見つめる。
「それでギスランは何と言って、訪ねてきたのかしら?」
シャロンを無視し、フットマンに尋ねた。
「ちょ、ちょっとオリビエッ! 余計な口挟まないでよ!」
「はい。ギスラン様はたいそうシャロン様のことを心配なされておいでで、会えるまでは何があっても帰らないと仰っております」
「あら、そうなの? 本当にギスランはシャロンのことを愛しているのねぇ。良かったじゃない?」
オリビエは笑顔をシャロンに向ける。
「嫌味なことを言うんじゃないわよ! 大体ねぇ、あんたは私があの男に興味が無いのは、もう知っているでしょう! 冗談じゃないわよ! あんな男、もういらない。あんたに返してあげるわよ!」
「シャロン! 今の話は本当なのか!?」
その直後。
突如として廊下にギスランの声が響き渡った。
「あら、ギスラン。いらっしゃい」
何食わぬ顔でオリビエはギスランに声をかける。
「あ、ああ‥‥‥お邪魔しているが……シャロン。今俺に興味が無いって言葉が聞こえてきたんだが……」
ギスランは青ざめた顔で訴えるような目でシャロンを見る。
「ええ、そうよ! この際だからはっきり言ってあげる。私はねぇ、一度たりともあんたに好意を抱いたことは無いのよ! 母親に命じられたから、仕方なくあんたに気があるそぶりを見せていただけなんだから! そこにいるオリビエに嫌がらせをするためにね!」
「そんな……! あんなに俺たち、愛し合っただろう? 今でも俺は覚えているよ。君と初めて愛を交わしたあの日の……」
「やめてよ!! 汚らわしい! そんなこと口にするなんて最低よ!」
ギスランの言葉を遮るように耳を抑えて叫ぶシャロン。
しかしシャロン以上に衝撃を受けたのはオリビエだった。
(シャロンは何を言ってるの? むしろ声を出して叫びたいのは私の方よ。ギスランはまだ15歳のシャロンと男女の関係になっていたなんておぞまし過ぎるわ。まだ未成年の娘に手を出すなんて、もはや犯罪レベルね)
オリビエはスランを見つめ、自分でも驚くほど冷たい声が口から出てきた。
「ギスラン……」
「な、何だ? オリビエ」
「もう、あなたとは婚約破棄よ。金輪際、私の前に二度と姿を現さないで。そしてまだ未成年の妹に手を出したのだから、責任をとってシャロンと結婚してもらうわよ」
「そうだな。分かった、責任をとると約束しよう」
どこまでも愚かなギスランは嬉しそうに笑う。
「はぁ!? 何言ってるのよ!! 冗談じゃないわよ! こんな男、お断りよ!」
シャロンは叫ぶが、あまりにも説得力が無かった。
「馬鹿なシャロンね。もう他の男性のお手付きになってしまった娘を誰がお嫁に貰ってくれるというのかしら? そんなことも分からないの?」
しかし、さらに耳を疑うセリフをギスランは口にする。
「そうだよ、シャロン。俺が初めての相手では無いのは分かっているが、それでも俺は少しも構わない。それだけ君を深く愛しているからな!」
「え……? シャロン……?」
思わずシャロンに視線を送るオリビエ。
「ば、馬鹿っ!! ギスランッ! あんた、人前で何てことを口にするのよ!! だから私はあんたがイヤなのよ!!」
その頃にはオリビエたちの騒ぎを聞きつけて、多くの使用人達が集まっていたのだ。
当然彼らの視線はシャロンに集中する。
「まさか、シャロン様が?」
「清純そうな顔していたのに?」
「まだ15歳だったよな……?」
「あ~俺、ショックだ……」
使用人達のざわめきを聞きながら、オリビエは提案した。
「そうね、シャロン。あなたみたいなアバズレを貰ってくれるような物好きは、ギスランだけね。この際潔くお嫁にしてもらったらどう? 私はもうアレとは婚約破棄するからいらないの。あなたにあげるわよ」
オリビエは思いっきり軽蔑の目をギスランに向けた。
「じょ、冗談じゃないわよ!! あいつと結婚するくらいなら……一生誰とも結婚しない方がマシよ!!」
シャロンは叫ぶと、廊下を走り去ってしまった。
「そんな、シャロンッ!」
ギスランの呼びかけに振り向くこともなく——
フットマンの言葉に青ざめるシャロン。
「ふ~ん……ギスラン、やっと来たのね」
「ちょっと! オリビエッ! まさかあんたがギスランを呼んだの!?」
シャロンはオリビエを指さしてきた。
「は? まさか。何故私がギスランをわざわざ家に呼ぶのよ。大体いつも彼は貴女に会う為だけに来ていたでしょう? でも折角来たのだから、応接室にでも案内してあげれば?」
「はぁ!? ふざけないで! さっさと追い返しなさいよ!」
ヒステリックな声を上げるシャロンに、フットマンはオロオロした様子で返事をする。
「そ、それがあの……もう、いつものようにギスラン様を応接室にお通ししてしまったのですが……」
「何ですって! どうしてそんな勝手な真似をするのよ!」
「そんな……勝手なマネだなんて……」
半泣きのフットマン。
シャロンはもう使用人の前でも自分の本性を隠そうとはしない。そこでオリビエは助け舟を出した。
「シャロン、責めるのはおよしなさいよ。元々彼は自分の仕事を忠実にこなしただけでしょう?」
「オリビエ様……」
感動した様子でフットマンがオリビエを見つめる。
「それでギスランは何と言って、訪ねてきたのかしら?」
シャロンを無視し、フットマンに尋ねた。
「ちょ、ちょっとオリビエッ! 余計な口挟まないでよ!」
「はい。ギスラン様はたいそうシャロン様のことを心配なされておいでで、会えるまでは何があっても帰らないと仰っております」
「あら、そうなの? 本当にギスランはシャロンのことを愛しているのねぇ。良かったじゃない?」
オリビエは笑顔をシャロンに向ける。
「嫌味なことを言うんじゃないわよ! 大体ねぇ、あんたは私があの男に興味が無いのは、もう知っているでしょう! 冗談じゃないわよ! あんな男、もういらない。あんたに返してあげるわよ!」
「シャロン! 今の話は本当なのか!?」
その直後。
突如として廊下にギスランの声が響き渡った。
「あら、ギスラン。いらっしゃい」
何食わぬ顔でオリビエはギスランに声をかける。
「あ、ああ‥‥‥お邪魔しているが……シャロン。今俺に興味が無いって言葉が聞こえてきたんだが……」
ギスランは青ざめた顔で訴えるような目でシャロンを見る。
「ええ、そうよ! この際だからはっきり言ってあげる。私はねぇ、一度たりともあんたに好意を抱いたことは無いのよ! 母親に命じられたから、仕方なくあんたに気があるそぶりを見せていただけなんだから! そこにいるオリビエに嫌がらせをするためにね!」
「そんな……! あんなに俺たち、愛し合っただろう? 今でも俺は覚えているよ。君と初めて愛を交わしたあの日の……」
「やめてよ!! 汚らわしい! そんなこと口にするなんて最低よ!」
ギスランの言葉を遮るように耳を抑えて叫ぶシャロン。
しかしシャロン以上に衝撃を受けたのはオリビエだった。
(シャロンは何を言ってるの? むしろ声を出して叫びたいのは私の方よ。ギスランはまだ15歳のシャロンと男女の関係になっていたなんておぞまし過ぎるわ。まだ未成年の娘に手を出すなんて、もはや犯罪レベルね)
オリビエはスランを見つめ、自分でも驚くほど冷たい声が口から出てきた。
「ギスラン……」
「な、何だ? オリビエ」
「もう、あなたとは婚約破棄よ。金輪際、私の前に二度と姿を現さないで。そしてまだ未成年の妹に手を出したのだから、責任をとってシャロンと結婚してもらうわよ」
「そうだな。分かった、責任をとると約束しよう」
どこまでも愚かなギスランは嬉しそうに笑う。
「はぁ!? 何言ってるのよ!! 冗談じゃないわよ! こんな男、お断りよ!」
シャロンは叫ぶが、あまりにも説得力が無かった。
「馬鹿なシャロンね。もう他の男性のお手付きになってしまった娘を誰がお嫁に貰ってくれるというのかしら? そんなことも分からないの?」
しかし、さらに耳を疑うセリフをギスランは口にする。
「そうだよ、シャロン。俺が初めての相手では無いのは分かっているが、それでも俺は少しも構わない。それだけ君を深く愛しているからな!」
「え……? シャロン……?」
思わずシャロンに視線を送るオリビエ。
「ば、馬鹿っ!! ギスランッ! あんた、人前で何てことを口にするのよ!! だから私はあんたがイヤなのよ!!」
その頃にはオリビエたちの騒ぎを聞きつけて、多くの使用人達が集まっていたのだ。
当然彼らの視線はシャロンに集中する。
「まさか、シャロン様が?」
「清純そうな顔していたのに?」
「まだ15歳だったよな……?」
「あ~俺、ショックだ……」
使用人達のざわめきを聞きながら、オリビエは提案した。
「そうね、シャロン。あなたみたいなアバズレを貰ってくれるような物好きは、ギスランだけね。この際潔くお嫁にしてもらったらどう? 私はもうアレとは婚約破棄するからいらないの。あなたにあげるわよ」
オリビエは思いっきり軽蔑の目をギスランに向けた。
「じょ、冗談じゃないわよ!! あいつと結婚するくらいなら……一生誰とも結婚しない方がマシよ!!」
シャロンは叫ぶと、廊下を走り去ってしまった。
「そんな、シャロンッ!」
ギスランの呼びかけに振り向くこともなく——
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