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49話 邪魔者ギスラン
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—―15時30分
授業が終わると、オリビエは急いで帰り支度を始めた。何しろ、16時からアデリーナとディートリッヒの決闘が始まるのだ。何としてもすぐ近くで見守らなければならない。
「ねぇ、オリビエ。本当にアデリーナ様の決闘を見に行くの?」
隣りの席に座るエレナが心配そうに尋ねてきた。
「ええ、当然よ。私はこの目でアデリーナ様の勝負の行方を見守らなければいけないのだから」
「そうなのね。でも……ほら、あれを見て」
エレナが教室の入り口を指さす。
「え? 何かあるの? あら」
入り口に視線を移し、オリビエは目を見開いた。他の教室で講義を受けていたはずのギスランが大股でこちらへ近づいて来た。
「オリビエ、待たせたな」
「え? 私は別に待ってなんかいないけど?」
今のオリビエはギスランに全く興味が無い。そこでありのままの気持ちを口にした。
「は? 何言ってるんだ。そんなに慌てた様子で帰り支度していたってことは俺のことを待っていたんだろう?」
「どうして私がギスランを待たなければいけないのよ」
「何だよ。ここ最近様子がおかしいな……もしかして俺が今までお前をあまり構わなかったから心配させようとして、そんな態度を取っているのか?」
「本当にギスランのことなんか待っていないわよ。急いでいたのは他に用事があるからよ」
「そうよ、オリビエはこれから大事な用事があるのだから。帰りたいなら1人で帰りなさいよ」
見かねたエレナが会話に入って来た。
「部外者は黙っていてくれ。大体大事な用事だって? 一体これから何があるって言うんだよ。俺は今朝、言ったよな? 放課後シャロンの見舞いに行くって。忘れてしまったのか?」
「ええ、覚えているわよ。お見舞いに行くなら、こんなところにいないでさっさと行けばいいでしょう?」
「何言ってるんだよ! 俺が1人で行ってどうするんだよ。お前も一緒に来るんだよ!」
いきなり右手でオリビエの腕を掴んできた。
「ちょっと放してよ!」
「いいから帰るぞ、ほら!」
乱暴に腕を引っ張るギスランをエレナが止める。
「ギスランッ! オリビエに乱暴はやめなさいよ!」
その時――
「おい。何してるんだよ」
突然背後からギスランの左腕がねじりあげられた。
「うぁあっ! 痛って!」
あまりの痛さに叫ぶギスラン。オリビエはそのすきに腕から逃れた。
「大丈夫!? オリビエッ!」
エレナがオリビエを支える。
「大丈夫よエレナ。マックス、助けてくれてありがとう」
オリビエはギスランの腕をねじ上げているマックスに礼を述べる。
「マックス!? な、何でお前がここに…‥‥うあっ! は、離せよ!」
さらに腕をねじり上げられ、ギスランは堪らず悲鳴を上げる。
「何でここにいるかだって? オリビエを迎えに来たんだよ」
そして次にオリビエに視線を移す。
「オリビエ、これからアデリーナ嬢の決闘を見に行くんだろう? 一緒に行こうぜ。誘いに来たんだよ」
「そうね、一緒に見に行きましょう」
マックスの誘いにオリビエは笑顔で答える。
「はぁ!? 決闘を見に行くのと、俺と一緒に帰るのとどっちが大事なんだよ! いたっ! やめろって!」
文句を言うギスランの腕がマックスによってさらにねじり上げられる。
「そんなの聞くまでも無いじゃない。アデリーナ様の決闘が大事に決まっているでしょう?」
「な、何だって! いたたたたた!」
悲鳴を上げるギスランにマックスは低い声で言う。
「おい。これ以上オリビエに構うな。帰りたければ1人でさっさと帰れ」
「わ、分かった! 帰る! 1人で帰るから放してくれよ!」
悲鳴交じりにギスランが叫ぶと同時に掴まれていた腕が解放される。
「く、くそっ! なんて乱暴な奴なんだ!」
ようやく自由になれると、ギスランは逃げるように教室を走り去って行った。そこでオリビエはマックスに礼を述べた。
「ありがとう。マックスのお陰で助かったわ」
「いや、礼には及ばない。なら、早速行こうか」
「ええ、そうね。エレナはどうする? 一緒に行く?」
するとエレナは首を振る。
「う~ん、ごめんなさい。行きたいのは山々だけど、今日はカールとデートなの。もうすぐこの教室に迎えに来てくれる頃なのよ」
「それなら仕方ないわね。デート楽しんできてね。それじゃマックス、行きましょう」
「ああ。行くか」
こうして2人はエレナに見送られて教室を後にした。
アデリーナの決闘を見届ける為に——
授業が終わると、オリビエは急いで帰り支度を始めた。何しろ、16時からアデリーナとディートリッヒの決闘が始まるのだ。何としてもすぐ近くで見守らなければならない。
「ねぇ、オリビエ。本当にアデリーナ様の決闘を見に行くの?」
隣りの席に座るエレナが心配そうに尋ねてきた。
「ええ、当然よ。私はこの目でアデリーナ様の勝負の行方を見守らなければいけないのだから」
「そうなのね。でも……ほら、あれを見て」
エレナが教室の入り口を指さす。
「え? 何かあるの? あら」
入り口に視線を移し、オリビエは目を見開いた。他の教室で講義を受けていたはずのギスランが大股でこちらへ近づいて来た。
「オリビエ、待たせたな」
「え? 私は別に待ってなんかいないけど?」
今のオリビエはギスランに全く興味が無い。そこでありのままの気持ちを口にした。
「は? 何言ってるんだ。そんなに慌てた様子で帰り支度していたってことは俺のことを待っていたんだろう?」
「どうして私がギスランを待たなければいけないのよ」
「何だよ。ここ最近様子がおかしいな……もしかして俺が今までお前をあまり構わなかったから心配させようとして、そんな態度を取っているのか?」
「本当にギスランのことなんか待っていないわよ。急いでいたのは他に用事があるからよ」
「そうよ、オリビエはこれから大事な用事があるのだから。帰りたいなら1人で帰りなさいよ」
見かねたエレナが会話に入って来た。
「部外者は黙っていてくれ。大体大事な用事だって? 一体これから何があるって言うんだよ。俺は今朝、言ったよな? 放課後シャロンの見舞いに行くって。忘れてしまったのか?」
「ええ、覚えているわよ。お見舞いに行くなら、こんなところにいないでさっさと行けばいいでしょう?」
「何言ってるんだよ! 俺が1人で行ってどうするんだよ。お前も一緒に来るんだよ!」
いきなり右手でオリビエの腕を掴んできた。
「ちょっと放してよ!」
「いいから帰るぞ、ほら!」
乱暴に腕を引っ張るギスランをエレナが止める。
「ギスランッ! オリビエに乱暴はやめなさいよ!」
その時――
「おい。何してるんだよ」
突然背後からギスランの左腕がねじりあげられた。
「うぁあっ! 痛って!」
あまりの痛さに叫ぶギスラン。オリビエはそのすきに腕から逃れた。
「大丈夫!? オリビエッ!」
エレナがオリビエを支える。
「大丈夫よエレナ。マックス、助けてくれてありがとう」
オリビエはギスランの腕をねじ上げているマックスに礼を述べる。
「マックス!? な、何でお前がここに…‥‥うあっ! は、離せよ!」
さらに腕をねじり上げられ、ギスランは堪らず悲鳴を上げる。
「何でここにいるかだって? オリビエを迎えに来たんだよ」
そして次にオリビエに視線を移す。
「オリビエ、これからアデリーナ嬢の決闘を見に行くんだろう? 一緒に行こうぜ。誘いに来たんだよ」
「そうね、一緒に見に行きましょう」
マックスの誘いにオリビエは笑顔で答える。
「はぁ!? 決闘を見に行くのと、俺と一緒に帰るのとどっちが大事なんだよ! いたっ! やめろって!」
文句を言うギスランの腕がマックスによってさらにねじり上げられる。
「そんなの聞くまでも無いじゃない。アデリーナ様の決闘が大事に決まっているでしょう?」
「な、何だって! いたたたたた!」
悲鳴を上げるギスランにマックスは低い声で言う。
「おい。これ以上オリビエに構うな。帰りたければ1人でさっさと帰れ」
「わ、分かった! 帰る! 1人で帰るから放してくれよ!」
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ようやく自由になれると、ギスランは逃げるように教室を走り去って行った。そこでオリビエはマックスに礼を述べた。
「ありがとう。マックスのお陰で助かったわ」
「いや、礼には及ばない。なら、早速行こうか」
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するとエレナは首を振る。
「う~ん、ごめんなさい。行きたいのは山々だけど、今日はカールとデートなの。もうすぐこの教室に迎えに来てくれる頃なのよ」
「それなら仕方ないわね。デート楽しんできてね。それじゃマックス、行きましょう」
「ああ。行くか」
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アデリーナの決闘を見届ける為に——
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