350 / 519
第20章 16 2人からの報告
しおりを挟む
コンビニでワインやチューハイ、缶ビール。それにおつまみやスナックを買い込んだ私達はそれぞれレジ袋片手に店を出た。
「珍しいね~お姉ちゃんがスナック菓子を買うなんて。それにお酒まで…」
隣を歩くお姉ちゃんに言った。
「ええ、たまにはいいじゃない」
お姉ちゃんは星空を見上げながら言った。…こうしてみてみるとお姉ちゃんはもうすっかり元通りに戻っている気がする。
「鈴音ちゃん…もう交通事故の後遺症とかは大丈夫なの?」
不意にお姉ちゃんが尋ねてきた。え?どうしたんだろう?突然に…。
「う、うん。私はもう大丈夫。一応三ヶ月に一度は病院に行ってたけど、それも今年で終わりだよ」
「そうなのね?それは良かったわ」
お姉ちゃんはそして前を歩く亮平をじっと見つめていた―。
****
「「「かんぱーい!」」」
リビングに食べ物を広げ、それぞれアルコールを手に取ると私達は皆でお酒を飲んだ。お姉ちゃんはワイン、亮平は缶ビール。そして私はチューハイ。3人共飲み物は全員バラバラ。
「コンビニの唐揚げって、こんなに美味しいのね」
普段あまり市販のお惣菜を食べたことのないお姉ちゃんが驚いたように言う。
「でしょう?このコロッケだって美味しいですよ。鈴音は何食べてるんだ?その丸いものは何だ?」
亮平がポテトコロッケを食べながら私を見た。
「これ?芋餅だよ?」
「へ~…中々マニアックなもの食べてるな?」
「芋餅の何処がマニアックなのよ、こんなの普通だよ、ふ・つ・う!」
そんな私と亮平の会話をクスクス笑って見ているお姉ちゃんが言った。
「亮平くん。そろそろ…あの話したら?」
「そうですね?忍さん」
え?あの話?
するとお姉ちゃんが言った。
「あのね…私と亮平くん…結婚しようかと思ってるの」
つ、ついに…ついにこの話が…!
「そ、そうなのっ?!お、おめでとう!」
私の身体に緊張が走る。今の言葉…自然に言えたかな?
「それでさ…鈴音に意見聞こうかと思って…」
亮平がためらいがちに言う。意見?意見て何の?
「俺達の結婚…鈴音が反対するなら…やめてもいいかなって考えているんだ」
「え…?」
亮平の言葉に耳を疑う。
「ええ、そう。鈴音ちゃんが嫌だって言うなら…結婚やめようかと思うの」
お姉ちゃんまで何言い出すの?
「や…やだな~…どうして私が2人の結婚に反対するの?む、むしろ遅すぎたように感じてるよ…」
「鈴音…」
何故か亮平が悲しそうな目で私を見ている。な…何よ。ひょっとし私に同情でもしているつもり?
「おめでとう!心からお祝いするよ!」
私は手をパチパチと叩いたけれど、どうしようもない寂しさを感じていた。私だけ…2人から置いてけぼりをされてしまったかのように…お姉ちゃんと亮平が手を取り合って前へ進み…私はいつまでも同じ場所から動けないでいる…そんな感覚に陥ってしまったような。
お姉ちゃんと亮平は一度視線を交わし、頷き合うと言った。
「それで…内輪だけで式を挙げようかと考えているんだ。そこで鈴音の出番だ」
亮平の言葉に固まった。
「え?ちょ・ちょっと待って。何が私の出番なのよ?」
「あのね、鈴音ちゃんに結婚式のスタイルとか…式場を選んでほしいの」
「えっ?!な、何で私がっ?!」
あまりの言葉に驚いてしまった。するとお姉ちゃんが言う。
「私ね…まだ色々な人達と打ち合わせしたり…話をするのが不安で…」
「お姉ちゃん…」
お姉ちゃん、亮平…私に2人の結婚式のプランを考えろって言うの…?
あまりにそれは…酷いんじゃないの…?
私は、持っている缶チューハイをギュッと握りしめた―。
「珍しいね~お姉ちゃんがスナック菓子を買うなんて。それにお酒まで…」
隣を歩くお姉ちゃんに言った。
「ええ、たまにはいいじゃない」
お姉ちゃんは星空を見上げながら言った。…こうしてみてみるとお姉ちゃんはもうすっかり元通りに戻っている気がする。
「鈴音ちゃん…もう交通事故の後遺症とかは大丈夫なの?」
不意にお姉ちゃんが尋ねてきた。え?どうしたんだろう?突然に…。
「う、うん。私はもう大丈夫。一応三ヶ月に一度は病院に行ってたけど、それも今年で終わりだよ」
「そうなのね?それは良かったわ」
お姉ちゃんはそして前を歩く亮平をじっと見つめていた―。
****
「「「かんぱーい!」」」
リビングに食べ物を広げ、それぞれアルコールを手に取ると私達は皆でお酒を飲んだ。お姉ちゃんはワイン、亮平は缶ビール。そして私はチューハイ。3人共飲み物は全員バラバラ。
「コンビニの唐揚げって、こんなに美味しいのね」
普段あまり市販のお惣菜を食べたことのないお姉ちゃんが驚いたように言う。
「でしょう?このコロッケだって美味しいですよ。鈴音は何食べてるんだ?その丸いものは何だ?」
亮平がポテトコロッケを食べながら私を見た。
「これ?芋餅だよ?」
「へ~…中々マニアックなもの食べてるな?」
「芋餅の何処がマニアックなのよ、こんなの普通だよ、ふ・つ・う!」
そんな私と亮平の会話をクスクス笑って見ているお姉ちゃんが言った。
「亮平くん。そろそろ…あの話したら?」
「そうですね?忍さん」
え?あの話?
するとお姉ちゃんが言った。
「あのね…私と亮平くん…結婚しようかと思ってるの」
つ、ついに…ついにこの話が…!
「そ、そうなのっ?!お、おめでとう!」
私の身体に緊張が走る。今の言葉…自然に言えたかな?
「それでさ…鈴音に意見聞こうかと思って…」
亮平がためらいがちに言う。意見?意見て何の?
「俺達の結婚…鈴音が反対するなら…やめてもいいかなって考えているんだ」
「え…?」
亮平の言葉に耳を疑う。
「ええ、そう。鈴音ちゃんが嫌だって言うなら…結婚やめようかと思うの」
お姉ちゃんまで何言い出すの?
「や…やだな~…どうして私が2人の結婚に反対するの?む、むしろ遅すぎたように感じてるよ…」
「鈴音…」
何故か亮平が悲しそうな目で私を見ている。な…何よ。ひょっとし私に同情でもしているつもり?
「おめでとう!心からお祝いするよ!」
私は手をパチパチと叩いたけれど、どうしようもない寂しさを感じていた。私だけ…2人から置いてけぼりをされてしまったかのように…お姉ちゃんと亮平が手を取り合って前へ進み…私はいつまでも同じ場所から動けないでいる…そんな感覚に陥ってしまったような。
お姉ちゃんと亮平は一度視線を交わし、頷き合うと言った。
「それで…内輪だけで式を挙げようかと考えているんだ。そこで鈴音の出番だ」
亮平の言葉に固まった。
「え?ちょ・ちょっと待って。何が私の出番なのよ?」
「あのね、鈴音ちゃんに結婚式のスタイルとか…式場を選んでほしいの」
「えっ?!な、何で私がっ?!」
あまりの言葉に驚いてしまった。するとお姉ちゃんが言う。
「私ね…まだ色々な人達と打ち合わせしたり…話をするのが不安で…」
「お姉ちゃん…」
お姉ちゃん、亮平…私に2人の結婚式のプランを考えろって言うの…?
あまりにそれは…酷いんじゃないの…?
私は、持っている缶チューハイをギュッと握りしめた―。
11
お気に入りに追加
865
あなたにおすすめの小説

関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
「好き」の距離
饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。
伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。
以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる