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第19章 2 3人でおせち
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「「「明けましておめでとう!」」」
3人でダイニングテーブルに座ると、お重に入ったおせち料理に御雑煮、そしてお屠蘇セットが置かれている。杯には既に金箔入りの日本酒が注がれている。
「凄い…こんなお屠蘇セット家にあったの?」
「これはね、亮平君が持ってきてくれたのよ?すごいでしょう?」
笑みを浮かべながら亮平を見たお姉ちゃん。
「えっ?!亮平が持ってきたの?」
「ああ。家から持ってきたんだ。これはな、会津塗のお屠蘇セットなんだ。どうだ?立派ですごいだろう?」
自慢げに言う亮平。
「いいの?勝手に持ってきたりして…。おじさんとおばさんに謝って返しにいったほうがいいんじゃないの?」
「お、お前なぁ!まるで子供がいたずらしたような言い方するなっ!別にいいんだよ。俺の家じゃ宝の持ち腐れなんだから。こんなのサイドボードに飾られていて一度だって使われた事無いんだからな!いや待てよ?1度…いや、2度位はあったか?」
亮平があやふやな事を言っている。
「まぁまぁ、2人共落ち着いて。折角のおめでたい日なんだし…まずはお屠蘇で乾杯しましょう」
お姉ちゃんが杯を持って私達を見渡した。
「うん、そうだね」
「それもそうだ」
私と亮平も杯を持つと3人で一斉に乾杯をし、豪華な食事が始まった―。
「うおっ!このアワビ、美味い!最高だっ!」
亮平は滅多に食べる事の無いアワビの料理に舌鼓を打っている。
「このエビの塩焼きもとっても美味しいわよ」
お姉ちゃんもご満悦だ。
「それで鈴音は何食べてるんだ?」
「うん…紅白なます」
「「え?」」
「な、何だよっ!そのなますって!」
亮平はおかしくてたまらないと言わんばかりに笑っている。
「鈴音ちゃん、確かになますもお節料理でいいけど、ほら。この重箱のおせちも食べましょうよ。見てごらんなさい。オマール海老までついているのよ?」
お姉ちゃんは巨大なオマール海老を指さしながら言う。
「うん。そうなんだけど、二日酔い気味で食欲が無くて…」
「あら、そうなの?この後、近所の神社に初詣に行こうと思っていたんだけど…」
「ごめんね。無理そうだからお姉ちゃんと亮平の2人で行って来て」
それに2人は結婚するんだから、なるべく2人きりにさせてあげなくちゃ。
「えっ?何だよ。鈴音、お前行かないのかよ」
亮平が何故か不満そうに言うけど、亮平だって本当はお姉ちゃんと2人きりで出掛けたいんじゃないの?
「うん、悪いけど、家で休んでるよ。夜にはマンションへ帰るし」
「そうなの…残念だわ」
お姉ちゃんがため息をつく。
「え?鈴音。お前、今夜帰るのか?」
お屠蘇を飲んでいた亮平が尋ねて来た。
「う、うん。帰るよ」
「そうか…」
すると何を思ったか、亮平が杯を置いた。
「あれ?お酒飲まないの?」
「ああ。やめた」
「あ、分ったわ。亮平君、鈴音ちゃんを車でマンションまで送ってくれるのね?」
お姉ちゃんがパチンと手を叩く。
「勿論、そのつもりですよ」
「えっ?!いいよ、そんなっ!」
驚いて亮平を見ると、いきなり鼻をつままれた。
「ひゃ、ひゃひふんの~(な、何するの~)」
「バーカ、何遠慮してるんだよ。荷物だってあるんだろう?」
それだけ言うと、亮平は私の鼻をつまむのをやめて、再びお節料理を「旨い旨い」と言って食べ始める。
「ええ。そうよ。それに今おせちが食べられないなら、鈴音ちゃんの分はタッパにいれてあげるから。荷物も増えるわよ?遠慮せずに送ってもらいなさい」
「でも…」
言いかけると、何故かギロリと亮平に睨まれる。な、なんか怖いんですけど…。
「う、うん。それじゃ…帰りよろしくお願いします」
亮平に頭を下げる。
「うん、最初からそうしてれば可愛げがあるんだよ」
亮平は私を横目で見ると言った。
でも…本当にいいのだろか…?それとも私が神経質すぎるのかな?
私は黙って、田作りに箸を伸ばした―。
3人でダイニングテーブルに座ると、お重に入ったおせち料理に御雑煮、そしてお屠蘇セットが置かれている。杯には既に金箔入りの日本酒が注がれている。
「凄い…こんなお屠蘇セット家にあったの?」
「これはね、亮平君が持ってきてくれたのよ?すごいでしょう?」
笑みを浮かべながら亮平を見たお姉ちゃん。
「えっ?!亮平が持ってきたの?」
「ああ。家から持ってきたんだ。これはな、会津塗のお屠蘇セットなんだ。どうだ?立派ですごいだろう?」
自慢げに言う亮平。
「いいの?勝手に持ってきたりして…。おじさんとおばさんに謝って返しにいったほうがいいんじゃないの?」
「お、お前なぁ!まるで子供がいたずらしたような言い方するなっ!別にいいんだよ。俺の家じゃ宝の持ち腐れなんだから。こんなのサイドボードに飾られていて一度だって使われた事無いんだからな!いや待てよ?1度…いや、2度位はあったか?」
亮平があやふやな事を言っている。
「まぁまぁ、2人共落ち着いて。折角のおめでたい日なんだし…まずはお屠蘇で乾杯しましょう」
お姉ちゃんが杯を持って私達を見渡した。
「うん、そうだね」
「それもそうだ」
私と亮平も杯を持つと3人で一斉に乾杯をし、豪華な食事が始まった―。
「うおっ!このアワビ、美味い!最高だっ!」
亮平は滅多に食べる事の無いアワビの料理に舌鼓を打っている。
「このエビの塩焼きもとっても美味しいわよ」
お姉ちゃんもご満悦だ。
「それで鈴音は何食べてるんだ?」
「うん…紅白なます」
「「え?」」
「な、何だよっ!そのなますって!」
亮平はおかしくてたまらないと言わんばかりに笑っている。
「鈴音ちゃん、確かになますもお節料理でいいけど、ほら。この重箱のおせちも食べましょうよ。見てごらんなさい。オマール海老までついているのよ?」
お姉ちゃんは巨大なオマール海老を指さしながら言う。
「うん。そうなんだけど、二日酔い気味で食欲が無くて…」
「あら、そうなの?この後、近所の神社に初詣に行こうと思っていたんだけど…」
「ごめんね。無理そうだからお姉ちゃんと亮平の2人で行って来て」
それに2人は結婚するんだから、なるべく2人きりにさせてあげなくちゃ。
「えっ?何だよ。鈴音、お前行かないのかよ」
亮平が何故か不満そうに言うけど、亮平だって本当はお姉ちゃんと2人きりで出掛けたいんじゃないの?
「うん、悪いけど、家で休んでるよ。夜にはマンションへ帰るし」
「そうなの…残念だわ」
お姉ちゃんがため息をつく。
「え?鈴音。お前、今夜帰るのか?」
お屠蘇を飲んでいた亮平が尋ねて来た。
「う、うん。帰るよ」
「そうか…」
すると何を思ったか、亮平が杯を置いた。
「あれ?お酒飲まないの?」
「ああ。やめた」
「あ、分ったわ。亮平君、鈴音ちゃんを車でマンションまで送ってくれるのね?」
お姉ちゃんがパチンと手を叩く。
「勿論、そのつもりですよ」
「えっ?!いいよ、そんなっ!」
驚いて亮平を見ると、いきなり鼻をつままれた。
「ひゃ、ひゃひふんの~(な、何するの~)」
「バーカ、何遠慮してるんだよ。荷物だってあるんだろう?」
それだけ言うと、亮平は私の鼻をつまむのをやめて、再びお節料理を「旨い旨い」と言って食べ始める。
「ええ。そうよ。それに今おせちが食べられないなら、鈴音ちゃんの分はタッパにいれてあげるから。荷物も増えるわよ?遠慮せずに送ってもらいなさい」
「でも…」
言いかけると、何故かギロリと亮平に睨まれる。な、なんか怖いんですけど…。
「う、うん。それじゃ…帰りよろしくお願いします」
亮平に頭を下げる。
「うん、最初からそうしてれば可愛げがあるんだよ」
亮平は私を横目で見ると言った。
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私は黙って、田作りに箸を伸ばした―。
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