312 / 519
第18章 22 亮平からの着信
しおりを挟む
家に辿り着いたのは午後2時半だった。
「…」
私は暫く無言で玄関の前に立っていた。思い付きで、ほんの少しだけ外出するつもりが、こんな時間になっているなんて…。お姉ちゃん、心配してるかな?亮平は怒っているかな?もういいや。とにかく2人に何か言われたら謝れば。
「ただいまー」
ガチャリとドアを開けて、玄関を見るとお姉ちゃんの靴だけが置いてある。
「亮平…?」
亮平の靴は何所へ行ったのだろう?ひょっとして家に帰っているのかな?
すると、バタバタと玄関へ向かって駆けてくる足音が聞こえた。
「鈴音ちゃんっ?!」
「え?どうしたの?お姉ちゃん」
お姉ちゃんは青い顔をして私を見ると、次の瞬間、思い切り抱きしめて来た。
「鈴音ちゃん!」
「え?え?何?」
「何所へ行ってたのよ!」
お姉ちゃんが震えている。
「ど、何所って…ちょっと散歩に…」
「買って来たみかんを玄関に置きっぱなしのままっ?!」
「え?みかん?」
言われてその時思い出した。そうだ!私…みかんを買って帰ったらお姉ちゃんと亮平の結婚話が聞こえて来て、ショックで家を出て来てしまったんだっけ…。
「一体、みかんだけ置いて何所へ行ってたの?いくらスマホに連絡入れても電話にも出ないし、メールも返信が無いし‥‥」
あ…そうだった。2人から連絡が来るのが怖かったから、着信音を消していたんだっけ‥‥。
「ご、ごめんね。ちょっと図書館に行きたくなっちゃって、それで着信音切っていたんだ」
慌てて咄嗟に言い訳した。
「でも、それならそれで家に一度帰ってきたら声を掛けて欲しかったわ」
お姉ちゃんは口をとがらせながら言う。
「うん、ごめんなさい。そうするべきだったと思ってる」
ウソついてごめんなさい…。心の中でお姉ちゃんに謝罪した。
「それより早く亮平君に連絡入れてあげて?」
「え?どうして?」
「亮平君ね、鈴音ちゃんと連絡取れなくなったからって探しに行ったのよ?」
「ええっ?!ほ、本当に?!」
亮平が私の居場所を知るはずないのに!
「ずっと探してると思うから…連絡入れてあげて?」
「う、うん…」
私はスマホを取り出し、電源を入れてギョッとした。私のスマホには亮平から10件以上の電話とメールの着信が入っていたからだ。少しだけメールを開いてみた。
『鈴音、どこだ?』
『返信位しろっ!』
『お前、俺をからかってるのか?』
『頼むから連絡入れてくれ!』
『まさか変な事考えたりしてないよな?!』
うわ…この分だと、相当怒っているかもしれない…。でも、変な事?変な事って一体どんな事なんだろう…?
お姉ちゃんがため息をつきながら言った。
「亮平君ね…今の鈴音ちゃんはまともな状況じゃないから探しにくいって聞かなかったのよ。いくらこっちが止めてもね?」
「そ、そうだったんだ…」
もう、亮平の馬鹿っ!恋人であるお姉ちゃんの前で私の心配なんかしないでよ!余計怪しまれてしまうじゃない!
「とにかく、まずは連絡入れてみるよ」
スマホをタップして亮平の番号を呼び出した。
トゥルルルル‥
『もしもしっ?!鈴音かっ?!』
たったワンコールで亮平が電話に出た。
「あ、亮平…」
『この馬鹿ッ!一体何所ほっつき歩いてたんだよっ!!』
いきなり大声で怒鳴りつけられ、咄嗟にスマホを耳から外した。
「ごめんなさい…」
『ごめんですめば警察はいらねーんだよっ!』
「何もそんなに怒鳴らなくても…それは確かに連絡取らなかったのはまずかったと思うけど‥」
『お前なぁ…!俺がどれ程心配したのか分からないのかよっ!どれだけ駅前を探し回ったのか、お前には分らないだろうっ?!』
「亮平…」
何で?どうして私にそこまで構うのよ?亮平とお姉ゃんは結婚するんでしょう?
『兎に角、帰ったら話聞かせてもらうから…逃げるなよ?』
プツッ!
そこまで言うと電話は切れた―。
「…」
私は暫く無言で玄関の前に立っていた。思い付きで、ほんの少しだけ外出するつもりが、こんな時間になっているなんて…。お姉ちゃん、心配してるかな?亮平は怒っているかな?もういいや。とにかく2人に何か言われたら謝れば。
「ただいまー」
ガチャリとドアを開けて、玄関を見るとお姉ちゃんの靴だけが置いてある。
「亮平…?」
亮平の靴は何所へ行ったのだろう?ひょっとして家に帰っているのかな?
すると、バタバタと玄関へ向かって駆けてくる足音が聞こえた。
「鈴音ちゃんっ?!」
「え?どうしたの?お姉ちゃん」
お姉ちゃんは青い顔をして私を見ると、次の瞬間、思い切り抱きしめて来た。
「鈴音ちゃん!」
「え?え?何?」
「何所へ行ってたのよ!」
お姉ちゃんが震えている。
「ど、何所って…ちょっと散歩に…」
「買って来たみかんを玄関に置きっぱなしのままっ?!」
「え?みかん?」
言われてその時思い出した。そうだ!私…みかんを買って帰ったらお姉ちゃんと亮平の結婚話が聞こえて来て、ショックで家を出て来てしまったんだっけ…。
「一体、みかんだけ置いて何所へ行ってたの?いくらスマホに連絡入れても電話にも出ないし、メールも返信が無いし‥‥」
あ…そうだった。2人から連絡が来るのが怖かったから、着信音を消していたんだっけ‥‥。
「ご、ごめんね。ちょっと図書館に行きたくなっちゃって、それで着信音切っていたんだ」
慌てて咄嗟に言い訳した。
「でも、それならそれで家に一度帰ってきたら声を掛けて欲しかったわ」
お姉ちゃんは口をとがらせながら言う。
「うん、ごめんなさい。そうするべきだったと思ってる」
ウソついてごめんなさい…。心の中でお姉ちゃんに謝罪した。
「それより早く亮平君に連絡入れてあげて?」
「え?どうして?」
「亮平君ね、鈴音ちゃんと連絡取れなくなったからって探しに行ったのよ?」
「ええっ?!ほ、本当に?!」
亮平が私の居場所を知るはずないのに!
「ずっと探してると思うから…連絡入れてあげて?」
「う、うん…」
私はスマホを取り出し、電源を入れてギョッとした。私のスマホには亮平から10件以上の電話とメールの着信が入っていたからだ。少しだけメールを開いてみた。
『鈴音、どこだ?』
『返信位しろっ!』
『お前、俺をからかってるのか?』
『頼むから連絡入れてくれ!』
『まさか変な事考えたりしてないよな?!』
うわ…この分だと、相当怒っているかもしれない…。でも、変な事?変な事って一体どんな事なんだろう…?
お姉ちゃんがため息をつきながら言った。
「亮平君ね…今の鈴音ちゃんはまともな状況じゃないから探しにくいって聞かなかったのよ。いくらこっちが止めてもね?」
「そ、そうだったんだ…」
もう、亮平の馬鹿っ!恋人であるお姉ちゃんの前で私の心配なんかしないでよ!余計怪しまれてしまうじゃない!
「とにかく、まずは連絡入れてみるよ」
スマホをタップして亮平の番号を呼び出した。
トゥルルルル‥
『もしもしっ?!鈴音かっ?!』
たったワンコールで亮平が電話に出た。
「あ、亮平…」
『この馬鹿ッ!一体何所ほっつき歩いてたんだよっ!!』
いきなり大声で怒鳴りつけられ、咄嗟にスマホを耳から外した。
「ごめんなさい…」
『ごめんですめば警察はいらねーんだよっ!』
「何もそんなに怒鳴らなくても…それは確かに連絡取らなかったのはまずかったと思うけど‥」
『お前なぁ…!俺がどれ程心配したのか分からないのかよっ!どれだけ駅前を探し回ったのか、お前には分らないだろうっ?!』
「亮平…」
何で?どうして私にそこまで構うのよ?亮平とお姉ゃんは結婚するんでしょう?
『兎に角、帰ったら話聞かせてもらうから…逃げるなよ?』
プツッ!
そこまで言うと電話は切れた―。
0
お気に入りに追加
865
あなたにおすすめの小説

関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
「好き」の距離
饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。
伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。
以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる