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第18章 10 食堂での会話
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「どんなって…どうしてそんな事聞いてくるの?」
「そんなのは聞いて当然じゃないか?お前は川口に捨てられたばかりだろう?その事知ってるんだろう?」
亮平は一体何処までお姉ちゃんからその話を聞いているのだろう?お姉ちゃん…どうして亮平に動画の事ばらしてしまったのかな?
「はぁ…」
思わずため息を着くと、亮平が言った。
「鈴音…ため息をついたって事は、その男の告白を迷惑だと思ってついたのか?」
「え?違うよ。そんなわけ無いでしょう?」
「それじゃ、今のため息は何だよ」
「あ、こ、これは…」
言えなかった。折角私の大好きな温泉に連れてきてもらっているのに、お姉ちゃんが亮平に動画の事をばらしてしまって面倒な事になったからため息をついた…なんてこと。
ブーッ
ブーッ
ブーッ
その時、タイミングよく呼び出しブザーが鳴った。
「お、飯が出来たみたいだな。俺が取ってくるからお前はここにいろよ」
亮平が立ち上がった。
「え、いいよ。だってきっと2人分の大きなお盆で出されるよ。いくら何でも無理だよ」
「そうか?別に平気だけど…」
「いいってば。私も取りに行くから」
「分かった。じゃ、取りに行くか」
私も立ち上がると、亮平と一緒にカウンターに料理を取りに行った―。
****
「それで、さっきの話の続きだけどな…」
サラダを食べていると、サイコロステーキをフォークに刺した亮平が話しかけてきた。
「え?話し?」
まさか…まだ続ける気なのかな?亮平はステークを口に入れ咀嚼して飲み込むと言った。
「鈴音、その男の事だけど…返事、どうするんだ?」
「お姉ちゃんにも言ったけど…そんなすぐに返事出来るはずないじゃない。だって…今まで知らなかったんだよ?先輩が私の事好きだったなんて事…」
最もお姉ちゃんからはそこまでされていて気付かなかったの?って言われてしまったけど…。
「告白されたから付き合うって軽い気持ちならやめておけよ。」
亮平はカットステーキを口に入れた。
「え?」
「1人の男として見たことないんだったら、告白は断ったほうがいい」
「亮平…」
「俺はな、お前がまた裏切られて傷つく姿をもう見たくないんだよ。そもそも俺のせいだろう?川口と交際するきっかけになったのは」
「でも、それ以前から…彼は凄くいい人だったよ?」
そう、直人さんと付き合ったのはきっかけのひとつでしかない。だって…多分私は少しずつ惹かれていたんだと思う。だけど…こんな結果に…。
「いい人だったらお前をあっさり捨てるはずないだろう?しかも政略結婚?川口が自分の実家の会社を顧みてこなかった結果だろう?無責任な事せずに自分の家の会社くらい自分たちの力で守っていればこんな事…」
「もうやめて、亮平」
カチャンと乱暴にフォークを皿の上に置くと亮平を見た。
「鈴音…」
「直人さんの話は…もうやめて。折角忘れようと頑張っているんだから…」
「あ…すまん。悪かった。つい…お前の事が心配で…」
亮平は落ち込んだ様子で謝ってきた。
「だから元気づけてくれるために、今夜温泉に連れてきてくれたんでしょう?…ありがとう」
「あ、ああ。まあな…鈴音は温泉が好きだからな…」
カットステーキを食べながら亮平は言う。
「先輩への返事は…今すぐ出来ないよ…。職場の先輩として凄く頼りになる人だけど…1人の男の人として付き合うかどうかは別問題だし…。第一直人さんと別れたばかりだし…」
クリームコロッケを口に入れた。
「動画を見た忍は、すごく良い人そうに見えたから交際は賛成だって言ってたけどな…。」
「…」
私は黙ってエビフライを食べていると亮平がボソリと言った。
「俺は…反対だ」
と―。
「そんなのは聞いて当然じゃないか?お前は川口に捨てられたばかりだろう?その事知ってるんだろう?」
亮平は一体何処までお姉ちゃんからその話を聞いているのだろう?お姉ちゃん…どうして亮平に動画の事ばらしてしまったのかな?
「はぁ…」
思わずため息を着くと、亮平が言った。
「鈴音…ため息をついたって事は、その男の告白を迷惑だと思ってついたのか?」
「え?違うよ。そんなわけ無いでしょう?」
「それじゃ、今のため息は何だよ」
「あ、こ、これは…」
言えなかった。折角私の大好きな温泉に連れてきてもらっているのに、お姉ちゃんが亮平に動画の事をばらしてしまって面倒な事になったからため息をついた…なんてこと。
ブーッ
ブーッ
ブーッ
その時、タイミングよく呼び出しブザーが鳴った。
「お、飯が出来たみたいだな。俺が取ってくるからお前はここにいろよ」
亮平が立ち上がった。
「え、いいよ。だってきっと2人分の大きなお盆で出されるよ。いくら何でも無理だよ」
「そうか?別に平気だけど…」
「いいってば。私も取りに行くから」
「分かった。じゃ、取りに行くか」
私も立ち上がると、亮平と一緒にカウンターに料理を取りに行った―。
****
「それで、さっきの話の続きだけどな…」
サラダを食べていると、サイコロステーキをフォークに刺した亮平が話しかけてきた。
「え?話し?」
まさか…まだ続ける気なのかな?亮平はステークを口に入れ咀嚼して飲み込むと言った。
「鈴音、その男の事だけど…返事、どうするんだ?」
「お姉ちゃんにも言ったけど…そんなすぐに返事出来るはずないじゃない。だって…今まで知らなかったんだよ?先輩が私の事好きだったなんて事…」
最もお姉ちゃんからはそこまでされていて気付かなかったの?って言われてしまったけど…。
「告白されたから付き合うって軽い気持ちならやめておけよ。」
亮平はカットステーキを口に入れた。
「え?」
「1人の男として見たことないんだったら、告白は断ったほうがいい」
「亮平…」
「俺はな、お前がまた裏切られて傷つく姿をもう見たくないんだよ。そもそも俺のせいだろう?川口と交際するきっかけになったのは」
「でも、それ以前から…彼は凄くいい人だったよ?」
そう、直人さんと付き合ったのはきっかけのひとつでしかない。だって…多分私は少しずつ惹かれていたんだと思う。だけど…こんな結果に…。
「いい人だったらお前をあっさり捨てるはずないだろう?しかも政略結婚?川口が自分の実家の会社を顧みてこなかった結果だろう?無責任な事せずに自分の家の会社くらい自分たちの力で守っていればこんな事…」
「もうやめて、亮平」
カチャンと乱暴にフォークを皿の上に置くと亮平を見た。
「鈴音…」
「直人さんの話は…もうやめて。折角忘れようと頑張っているんだから…」
「あ…すまん。悪かった。つい…お前の事が心配で…」
亮平は落ち込んだ様子で謝ってきた。
「だから元気づけてくれるために、今夜温泉に連れてきてくれたんでしょう?…ありがとう」
「あ、ああ。まあな…鈴音は温泉が好きだからな…」
カットステーキを食べながら亮平は言う。
「先輩への返事は…今すぐ出来ないよ…。職場の先輩として凄く頼りになる人だけど…1人の男の人として付き合うかどうかは別問題だし…。第一直人さんと別れたばかりだし…」
クリームコロッケを口に入れた。
「動画を見た忍は、すごく良い人そうに見えたから交際は賛成だって言ってたけどな…。」
「…」
私は黙ってエビフライを食べていると亮平がボソリと言った。
「俺は…反対だ」
と―。
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