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第18章 7 亮平の迎え
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夕方6時―
帰宅すると部屋の中にはシチューの匂いが漂っていた。
「ただいま~」
するとお姉ちゃんが玄関に迎えに来てくれた。
「お帰りなさい、鈴音ちゃん」
「美味しそうな匂いがするね。今夜はシチューなんだね」
玄関から上がり込むとお姉ちゃんを見た。
「ええ、だけど亮平君がスーパー銭湯で食事するって電話かけてきたのよ」
「え?そうなの?別に家で食べていけばいいのに…」
「ふふ。お風呂上がりお酒が飲みたいんじゃないのかしら?」
「そっか…まあ別にいいけどね」
ダウンジャケットを脱いでコート掛けに掛けると手を洗いに洗面台へ向かった。
手を石鹸でよく洗って部屋に戻るとお姉ちゃんがリビングで洗濯物を畳んでいた。
「私も手伝うよ」
「そう、ありがとう」
笑みを浮かべるお姉ちゃん。2人でリビングで洗濯物を畳んでいるとお姉ちゃんが話しかけてきた。
「鈴音ちゃん、何買ってきたの?」
「うん、バスグッズを買ってきたの。今のマンションはお風呂が付いているから、色々な入浴剤試してみたくて。でも結局入浴剤じゃなくてシャンプーやコンディショナーを買っちゃったんだけどね」
「そうだったの。鈴音ちゃんはお風呂好きだものね」
「うん」
2人で会話をしながらこうしていると何だか昔に戻ったみたいだ。お姉ちゃんはもう…普通と変わりないように見えた―。
****
午後7時―
ピンポーン
玄関のインターホンが部屋に鳴り響いた。お姉ちゃんと2人でニュース番組を見ているときだった。
「きっと亮平君ね。鈴音ちゃん、出てくれる?」
「う、うん。別にいいけど…」
恋人のお姉ちゃんが出迎えなくていいのかな?少し疑問に思ったけど、ソファから立ち上がると玄関へ向かった。
ガチャリ
扉を開けると、そこにはダウンジャケットをきたジーンズ姿の亮平がスポーツバックを持って立っていた。
「お待たせ、鈴音」
「こんばんは、亮平」
亮平は私の姿を見ると言った。
「何だよ、まだ出掛けられる準備出来ていないのか?」
「そんな事無いよ、もうお風呂に行ける準備は終わっているよ。ほら荷物はこれだもの。」
私は玄関に置いておいた大きめのビニール製のトートバックを指差すと言った。
「よし、それじゃすぐ行こうぜ。上着持ってこいよ」
「うん、でも待って。お姉ちゃんにも出掛ける準備するように声掛けてこなくちゃいけないから」
「何言ってるんだ?忍は行かないぞ?」
「え?嘘でしょう?何で?」
「何でって最初から俺とお前で行く予定なんだから」
「ええっ?!ど、どうしてなの?!」
その時―
「あら、まだ出掛けてなかったの?」
お姉ちゃんが私のダウンコートを持って玄関に現れた。
「あ、こんばんは。忍さん」
亮平が笑顔でお姉ちゃんに挨拶する。だけど…忍さん?何だか亮平の言葉にお姉ちゃんに対して他人行儀に感じるのは気の所為かな?
「それじゃ、亮平君。鈴音ちゃんをよろしくね。はい、上着」
お姉ちゃん私に上着を渡してきた。
「はい、勿論。よし、鈴音。行くぞ」
亮平はさっさと玄関から出ていってしまう。
「え?あ、あの!」
焦ってお姉ちゃんを見ると、ニコニコしながら私に言った。
「ほら、亮平君行ったわよ。早く行かないと」
今の状況を理解できなかったけれども、後で話は亮平に聞けばいいかな。
「う、うん…行ってきます」
玄関を出ると、亮平が門の外で待っていた。
「遅いぞ、鈴音」
白い息を吐きながら亮平が言う。
「うん、ごめんね」
「よし、行くか」
そして亮平が歩き始めたので私もその後を追った―。
帰宅すると部屋の中にはシチューの匂いが漂っていた。
「ただいま~」
するとお姉ちゃんが玄関に迎えに来てくれた。
「お帰りなさい、鈴音ちゃん」
「美味しそうな匂いがするね。今夜はシチューなんだね」
玄関から上がり込むとお姉ちゃんを見た。
「ええ、だけど亮平君がスーパー銭湯で食事するって電話かけてきたのよ」
「え?そうなの?別に家で食べていけばいいのに…」
「ふふ。お風呂上がりお酒が飲みたいんじゃないのかしら?」
「そっか…まあ別にいいけどね」
ダウンジャケットを脱いでコート掛けに掛けると手を洗いに洗面台へ向かった。
手を石鹸でよく洗って部屋に戻るとお姉ちゃんがリビングで洗濯物を畳んでいた。
「私も手伝うよ」
「そう、ありがとう」
笑みを浮かべるお姉ちゃん。2人でリビングで洗濯物を畳んでいるとお姉ちゃんが話しかけてきた。
「鈴音ちゃん、何買ってきたの?」
「うん、バスグッズを買ってきたの。今のマンションはお風呂が付いているから、色々な入浴剤試してみたくて。でも結局入浴剤じゃなくてシャンプーやコンディショナーを買っちゃったんだけどね」
「そうだったの。鈴音ちゃんはお風呂好きだものね」
「うん」
2人で会話をしながらこうしていると何だか昔に戻ったみたいだ。お姉ちゃんはもう…普通と変わりないように見えた―。
****
午後7時―
ピンポーン
玄関のインターホンが部屋に鳴り響いた。お姉ちゃんと2人でニュース番組を見ているときだった。
「きっと亮平君ね。鈴音ちゃん、出てくれる?」
「う、うん。別にいいけど…」
恋人のお姉ちゃんが出迎えなくていいのかな?少し疑問に思ったけど、ソファから立ち上がると玄関へ向かった。
ガチャリ
扉を開けると、そこにはダウンジャケットをきたジーンズ姿の亮平がスポーツバックを持って立っていた。
「お待たせ、鈴音」
「こんばんは、亮平」
亮平は私の姿を見ると言った。
「何だよ、まだ出掛けられる準備出来ていないのか?」
「そんな事無いよ、もうお風呂に行ける準備は終わっているよ。ほら荷物はこれだもの。」
私は玄関に置いておいた大きめのビニール製のトートバックを指差すと言った。
「よし、それじゃすぐ行こうぜ。上着持ってこいよ」
「うん、でも待って。お姉ちゃんにも出掛ける準備するように声掛けてこなくちゃいけないから」
「何言ってるんだ?忍は行かないぞ?」
「え?嘘でしょう?何で?」
「何でって最初から俺とお前で行く予定なんだから」
「ええっ?!ど、どうしてなの?!」
その時―
「あら、まだ出掛けてなかったの?」
お姉ちゃんが私のダウンコートを持って玄関に現れた。
「あ、こんばんは。忍さん」
亮平が笑顔でお姉ちゃんに挨拶する。だけど…忍さん?何だか亮平の言葉にお姉ちゃんに対して他人行儀に感じるのは気の所為かな?
「それじゃ、亮平君。鈴音ちゃんをよろしくね。はい、上着」
お姉ちゃん私に上着を渡してきた。
「はい、勿論。よし、鈴音。行くぞ」
亮平はさっさと玄関から出ていってしまう。
「え?あ、あの!」
焦ってお姉ちゃんを見ると、ニコニコしながら私に言った。
「ほら、亮平君行ったわよ。早く行かないと」
今の状況を理解できなかったけれども、後で話は亮平に聞けばいいかな。
「う、うん…行ってきます」
玄関を出ると、亮平が門の外で待っていた。
「遅いぞ、鈴音」
白い息を吐きながら亮平が言う。
「うん、ごめんね」
「よし、行くか」
そして亮平が歩き始めたので私もその後を追った―。
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