194 / 519
第13章 15 希望を打ち砕く言葉
しおりを挟む
「おばさん・・・亮平はお姉ちゃんとは・・・会っていないってどういう事ですか?」
『さあ・・・私もお父さんもそのことについては何も亮平と話したことは無いから・・。でも鈴音ちゃんには悪いけど・・正直言うと私たちは亮平が忍ちゃんと会わなくなってくれてほっとしているのよ。』
「そう・・だったんですね・・。それで・・お姉ちゃんは今あの家で1人で住んでいるんですよね?」
『ええ、そうよ。掃除や洗濯・・・家の事はきちんとやっているみたいね。会えばきちんと笑顔で挨拶してくるし・・。まるでもう以前の忍ちゃんと変わらないみたいだわ。』
「そう・・なんですね・・・?」
良かった・・・。お姉ちゃん・・回復してきているんだ・・・。思わず目頭が熱くなってしまった。
『そうそう、それでこの間ケースワーカーの男性と会ったのだけど・・とても気さくな感じの人だったわ。忍ちゃんと一緒にスーパーに買い物に行ったらしいのだけど・・何だか全面的にその男性を頼り切っているっていう感じだったわ。あ・・ひょっとしてその男性のお陰かしら?亮平が忍ちゃんと距離を開けるようになったのは・・。』
「え・・?」
私はおばさんの言葉に一抹の不安を感じた。私が交通事故に遭うまでは・・お姉ちゃんは笠井先生を恋人だった進むさんと勘違いしていた。だけど・・今のお姉ちゃんはひょっとしてケースワーカーの男性を・・進さんと勘違いしているのではないだろうか?私からお姉ちゃんに尋ねることが出来ればいいけど・・とてもじゃないけどそれは無理な気がする。亮平に聞けば、傷つけてしまうかもしれない・・。そうなるとやはりケースワーカーの男性に話を聞くのが一番なのかもしれないけれど・・。どうすればその男性と連絡を取ることが出来るのだろう・・?
『もしもし、鈴音ちゃん?大丈夫?具合でも悪いの?
受話器越しからおばさんの心配そうな声が聞こえてきた。私が突然黙ってしまったからだ。
「い、いえ・・・大丈夫です。それじゃ・・また連絡しますね。」
『ええ、待ってるわ。鈴音ちゃん。』
そして私は電話を切った。
「お姉ちゃん・・・。本当によくなってきているのかな・・。」
確かめなければ。お姉ちゃんのことを。私はスマホをギュッと握りしめた。やっぱり今のお姉ちゃんの状況を確認するにはケースワーカーさんに連絡を入れてみないと・・。その為には・・・。
「亮平・・・。」
多分亮平なら・・ケースワーカーさんと連絡方法を知っているはずだ。亮平に頼んでケースワーカーさんの連絡先を訪ねてみよう。そして今のお姉ちゃんの状態を確認しなければ・・。
私はスマホを握り締めると・・亮平にメッセージを書いて送信した―。
その日の午後6時半―
トゥルルルルル・・・・
私のスマホの着信音が突然鳴り響いた。着信相手はやっぱり亮平からだった。
「もしもし・・・。」
『良かった・・。』
電話に出た途端、突然安堵の声が亮平から聞こえてきて驚いた。
「え?何が良かったの・・・?」
『いや・・・昨夜、あんな強引な事して・・鈴音は怒って帰ってしまっただろう?だからもう連絡がこないかと思っていたんだ。良かったよ・・お前から連絡入れてくれて・・。』
「亮平・・。」
え・・・?ひょっとして・・亮平・・私からの連絡を待っていたの・・?もしかして私の事・・?
それなのに・・次の亮平の言葉は私の希望を打ち砕いた。
『それで・・鈴音。昨夜・・川口って男に交際申し込まれたけど・・断っただろう?』
え・・?なぜ突然そんな話をするのだろう?
『あの時・・俺に気を使って、あの男からの告白断ったんだろう?』
「え・・?亮平・・何言ってるの・・?」
『あの後・・・あいつと暫く話をしたんだけど・・いい奴じゃないか?本当にお前の事大事に思っているみたいだったし・・・あいつなら・・付き合ってみてもいいんじゃないか?』
私は受話器越しから聞こえてくる亮平の言葉に凍り付いてしまった―。
『さあ・・・私もお父さんもそのことについては何も亮平と話したことは無いから・・。でも鈴音ちゃんには悪いけど・・正直言うと私たちは亮平が忍ちゃんと会わなくなってくれてほっとしているのよ。』
「そう・・だったんですね・・。それで・・お姉ちゃんは今あの家で1人で住んでいるんですよね?」
『ええ、そうよ。掃除や洗濯・・・家の事はきちんとやっているみたいね。会えばきちんと笑顔で挨拶してくるし・・。まるでもう以前の忍ちゃんと変わらないみたいだわ。』
「そう・・なんですね・・・?」
良かった・・・。お姉ちゃん・・回復してきているんだ・・・。思わず目頭が熱くなってしまった。
『そうそう、それでこの間ケースワーカーの男性と会ったのだけど・・とても気さくな感じの人だったわ。忍ちゃんと一緒にスーパーに買い物に行ったらしいのだけど・・何だか全面的にその男性を頼り切っているっていう感じだったわ。あ・・ひょっとしてその男性のお陰かしら?亮平が忍ちゃんと距離を開けるようになったのは・・。』
「え・・?」
私はおばさんの言葉に一抹の不安を感じた。私が交通事故に遭うまでは・・お姉ちゃんは笠井先生を恋人だった進むさんと勘違いしていた。だけど・・今のお姉ちゃんはひょっとしてケースワーカーの男性を・・進さんと勘違いしているのではないだろうか?私からお姉ちゃんに尋ねることが出来ればいいけど・・とてもじゃないけどそれは無理な気がする。亮平に聞けば、傷つけてしまうかもしれない・・。そうなるとやはりケースワーカーの男性に話を聞くのが一番なのかもしれないけれど・・。どうすればその男性と連絡を取ることが出来るのだろう・・?
『もしもし、鈴音ちゃん?大丈夫?具合でも悪いの?
受話器越しからおばさんの心配そうな声が聞こえてきた。私が突然黙ってしまったからだ。
「い、いえ・・・大丈夫です。それじゃ・・また連絡しますね。」
『ええ、待ってるわ。鈴音ちゃん。』
そして私は電話を切った。
「お姉ちゃん・・・。本当によくなってきているのかな・・。」
確かめなければ。お姉ちゃんのことを。私はスマホをギュッと握りしめた。やっぱり今のお姉ちゃんの状況を確認するにはケースワーカーさんに連絡を入れてみないと・・。その為には・・・。
「亮平・・・。」
多分亮平なら・・ケースワーカーさんと連絡方法を知っているはずだ。亮平に頼んでケースワーカーさんの連絡先を訪ねてみよう。そして今のお姉ちゃんの状態を確認しなければ・・。
私はスマホを握り締めると・・亮平にメッセージを書いて送信した―。
その日の午後6時半―
トゥルルルルル・・・・
私のスマホの着信音が突然鳴り響いた。着信相手はやっぱり亮平からだった。
「もしもし・・・。」
『良かった・・。』
電話に出た途端、突然安堵の声が亮平から聞こえてきて驚いた。
「え?何が良かったの・・・?」
『いや・・・昨夜、あんな強引な事して・・鈴音は怒って帰ってしまっただろう?だからもう連絡がこないかと思っていたんだ。良かったよ・・お前から連絡入れてくれて・・。』
「亮平・・。」
え・・・?ひょっとして・・亮平・・私からの連絡を待っていたの・・?もしかして私の事・・?
それなのに・・次の亮平の言葉は私の希望を打ち砕いた。
『それで・・鈴音。昨夜・・川口って男に交際申し込まれたけど・・断っただろう?』
え・・?なぜ突然そんな話をするのだろう?
『あの時・・俺に気を使って、あの男からの告白断ったんだろう?』
「え・・?亮平・・何言ってるの・・?」
『あの後・・・あいつと暫く話をしたんだけど・・いい奴じゃないか?本当にお前の事大事に思っているみたいだったし・・・あいつなら・・付き合ってみてもいいんじゃないか?』
私は受話器越しから聞こえてくる亮平の言葉に凍り付いてしまった―。
3
お気に入りに追加
865
あなたにおすすめの小説

関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】
白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語
※他サイトでも投稿中

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
「好き」の距離
饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。
伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。
以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる