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第31日目 オリビアの陰謀
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私が呆然とタリク王子と町の中に立っていると、突然ピロリンと音が鳴り、目の前に液晶パネルが表示された。
「砂漠からの脱出お疲れさまでした。30日目が無事終了致しました。これより31日目が始まります。『アルハール』に同行した『白銀のナイト』達の好感度がオリビアにより奪われました。3日以内に全員の好感度を300まで上げてください。尚、彼らは好感度が下がってしまった為に先に出発してしまいました。『インベル』と呼ばれる国でコンピューターウィルスが発生しました。駆除に向って下さい。それでは健闘を祈ります。残り時間は後42日です。」
「・・・・・!」
私は怒りのあまり無言で肩を震わせていた。何それ?『アルハール』に同行した白銀のナイト達全員の好感度が奪われたうえ、先に出発した?この私を1人・・・こんな辺境の国『アルハール』に置き去りにして・・・。
おまけに『インベル』という国ではコンピューターウィルスが発生しているので駆除に向え?
ふ・・ふざけないでよっ!もう嫌だ、何もかも投げ出したいっ!だけど・・ここで投げ出しては・・私はゲームオーバーとなって、永久にこの世界に閉じ込められてしまうっ!そ、それだけは・・何としても防がなくては!
「エリス?どうしたんだ?さっきから肩がプルプル震えているぞ?」
言いながらタリク王子がするりと人の肩に腕を回してくる。
ブチッ!
私の中で・・・何かが切れる音がした。
「タリク王子・・・。」
私は笑みを浮かべると自分の肩に回されたタリク王子の手の甲を思い切りつねった。
「う!痛い痛い痛い!な、何をするんだエリスッ!」
タリク王子が顔をしかめながら抗議をしてくる。
「幾ら何でもフードでお顔が隠れているとはいえ、貴方はこの国の王子様ではありませんか?そのようなお方がこんな町中で女性の肩を抱いていてはあらぬ噂が立てられてしまいますよ?」
タリク王子の手の甲をつねりながら、私は笑顔で言う。
「ああ。それなら何の問題も無い。何と言ってもお前は俺と結婚するのだからな?」
私のつねり攻撃?にもめげず、タリク王子はニコニコしながら言う。
「ですからその話はお断りしましたよね?何処の世界に王子様がメイドと結婚するのですか?聞いたことがありませんよ。」
呆れ顔で溜息をつきながら言うとタリク王子は言った。
「前例がないなら、作ればいいのだ。俺とお前が初めて身分差を超えた夫婦になるのだ。」
「お断りです。」
秒単位で即答する。
「うん。そのようにつれない態度もまた惹かれる。可愛い奴め。」
言いながら今度は私の肩を引き寄せ、頭を撫でて来るでは無いか。
ちょ、ちょっと・・・っ!
これだけ言えば、普通好感度は下がるでしょう?!
なのにタリク王子の好感度をチラリと見ても・・あいも変わらず500のMAX。
ひょっとするとタリク王子はマゾヒストの気があるのかもしれない。罵られればののられる程に喜んでいるようにも思える。
しかし、このままではいられない。
「タリク王子・・・私には任務があるのです。どうも『インベル』という国でモンスターが出現したらしく、モンスター討伐に向わなくてはならないんです。一晩休んだら明日の朝には出発しなくてはならないので、私はホテルに戻ります。それでは失礼致します。」
そしてペコリと頭を下げて立ち去ろうとした時・・・。
「無駄だよ。エリス。」
背後からタリク王子が声を掛けてきた。
「は・・・?無駄・・とは?」
「ああ、実はお前がホテルに着いた後、白銀のナイトを全員追い払ったのだ。お前からの命令と言う事でな。そして彼等に告げた。エリスはこの国に残り、俺と結婚するのだと。それを聞いたら奴等全員真っ青になって、散々口々に罵って来たが・・。」
その後、タリク王子は魔法の玉らしきものを取り出して、私に見せてきた。
「ほら、ここに映し出している映像を見てみるが良い。」
「え?」
見ると、それはこちらに背中を向けた金の髪の女性と抱き合ってキスをしている映像が映り出されていた。
「はああああっ?!な・・・何ですかっ?!この映像は・・・この女性は誰ですかっ?!どう見ても私では無いですよっ?!」
そう、ここに映し出されている女性はどう見ても私よりはぽっちゃり?しているし、背だって恐らく10㎝は高いだろう。
それなのに・・こんな明らかに偽物だと分かる映像を観て・・彼等は私だと信じてしまったのだろうか?だとしたら・・心外だっ!
「フフン。取りあえず・・・奴等はこの映像を観ると何故か全員が絶句して、納得したかのように荷物をまとめてこの国から立ち去って行ったのだ。」
腕組みをしながらタリク王子は満足げに言う。
しかし成程、これで合点が言った。私は今迄好感度が奪われる全ての原因はオリビアが直接『白銀のナイト』に接触して、誘惑をして好感度を奪っていたのだと思ったけれども・・どうやらその考えは間違いだったようだ。
つまりオリビアはゲーム上のキャラクターを操り、このような功名?な罠を張り巡らして、彼等から私に対する好感度を奪っていた可能性もあるのだと言う事に今更気が付いてしまった。
恐らくいくら私がタリク王子に冷たい態度を取ってもタリク王子の好感度が下がらないのは『白銀のナイト』達から私に対する好感度が急激に下がった為、恐らく彼等はもう私に関心を示さないだろうとの自信?からきているのかもしれない。
それにしても・・・いくら諸悪の権化がオリビアだとしても、実際に白銀のナイト達の私に対する好感度を奪ったのは目の前にいるタリク王子だと思うと、どうにもむしゃくしゃしてしょうがない。
しかし、相手はこれでもこの国の王子様。本来なら1、2発ぶん殴ってやりたいところだが・・・。ここは我慢だ。
深呼吸すると私は言った。
「それなら別の宿にでも泊まって明日の朝『インベル』へ行く事にします。それではタリク王子、ごきげんよう。」
お辞儀をしてタリク王子から立去ろうとした時、左腕を思い切り掴まれた。
「あの・・・痛いんですけど。」
ジロリとタリク王子を睨み付ける私。
「あ・・・す、すまん。エリス。」
パッと私から手を離すとタリク王子は言った。
「おい、エリス。本当に『インベル』へ行くのか?悪い事は言わない。あの国へは行くな。モンスター討伐なんかほっておけ。」
「・・・自分の国では無いからと・・・あまりにも無責任な言動ですね。自分達の国さえ良ければ他の国はどうだっていいって訳ですか?」
気付けば私は腕組みをして仁王立ちになっていた。
「い、いや・・・そ、そう言う訳では無いのだが・・・そ・そうだっ!取りあえず今夜は何処かの宿に泊まろう!安心しろッ!俺とお前はまだ婚姻関係は結んでいないから泊まる部屋は別々にしてやるからな?うん、そうしようっ!」
そして再びタリク王子は私の腕を掴むとずんずん町の中を歩きだす。
へ?今の話の流れからどうして私とタリク王子が一緒の宿に泊まる事になってしまうのだ?全く持って訳が分からない。
「ちょっと待って下さいッ!私はタリク王子と同じ宿に泊まるつもりは・・・!」
そこまで言いかけた時、タリク王子がクルリと振り向くと言った。
「エリス。俺が何故『インベル』という国には行くなと言った意味を知りたくは無いか?」
いつになく真剣な瞳でタリク王子は私をじっと見つめる。
「あ・・・あの・・・『インベル』という国は・・何かあるんですね・・・・?」
声を震わせながらタリク王子に尋ねると、頷く彼。
「だから、宿屋に着いたら詳しく話をしてやるからな?」
タリク王子の言葉に渋々私は頷くのだった—。
「砂漠からの脱出お疲れさまでした。30日目が無事終了致しました。これより31日目が始まります。『アルハール』に同行した『白銀のナイト』達の好感度がオリビアにより奪われました。3日以内に全員の好感度を300まで上げてください。尚、彼らは好感度が下がってしまった為に先に出発してしまいました。『インベル』と呼ばれる国でコンピューターウィルスが発生しました。駆除に向って下さい。それでは健闘を祈ります。残り時間は後42日です。」
「・・・・・!」
私は怒りのあまり無言で肩を震わせていた。何それ?『アルハール』に同行した白銀のナイト達全員の好感度が奪われたうえ、先に出発した?この私を1人・・・こんな辺境の国『アルハール』に置き去りにして・・・。
おまけに『インベル』という国ではコンピューターウィルスが発生しているので駆除に向え?
ふ・・ふざけないでよっ!もう嫌だ、何もかも投げ出したいっ!だけど・・ここで投げ出しては・・私はゲームオーバーとなって、永久にこの世界に閉じ込められてしまうっ!そ、それだけは・・何としても防がなくては!
「エリス?どうしたんだ?さっきから肩がプルプル震えているぞ?」
言いながらタリク王子がするりと人の肩に腕を回してくる。
ブチッ!
私の中で・・・何かが切れる音がした。
「タリク王子・・・。」
私は笑みを浮かべると自分の肩に回されたタリク王子の手の甲を思い切りつねった。
「う!痛い痛い痛い!な、何をするんだエリスッ!」
タリク王子が顔をしかめながら抗議をしてくる。
「幾ら何でもフードでお顔が隠れているとはいえ、貴方はこの国の王子様ではありませんか?そのようなお方がこんな町中で女性の肩を抱いていてはあらぬ噂が立てられてしまいますよ?」
タリク王子の手の甲をつねりながら、私は笑顔で言う。
「ああ。それなら何の問題も無い。何と言ってもお前は俺と結婚するのだからな?」
私のつねり攻撃?にもめげず、タリク王子はニコニコしながら言う。
「ですからその話はお断りしましたよね?何処の世界に王子様がメイドと結婚するのですか?聞いたことがありませんよ。」
呆れ顔で溜息をつきながら言うとタリク王子は言った。
「前例がないなら、作ればいいのだ。俺とお前が初めて身分差を超えた夫婦になるのだ。」
「お断りです。」
秒単位で即答する。
「うん。そのようにつれない態度もまた惹かれる。可愛い奴め。」
言いながら今度は私の肩を引き寄せ、頭を撫でて来るでは無いか。
ちょ、ちょっと・・・っ!
これだけ言えば、普通好感度は下がるでしょう?!
なのにタリク王子の好感度をチラリと見ても・・あいも変わらず500のMAX。
ひょっとするとタリク王子はマゾヒストの気があるのかもしれない。罵られればののられる程に喜んでいるようにも思える。
しかし、このままではいられない。
「タリク王子・・・私には任務があるのです。どうも『インベル』という国でモンスターが出現したらしく、モンスター討伐に向わなくてはならないんです。一晩休んだら明日の朝には出発しなくてはならないので、私はホテルに戻ります。それでは失礼致します。」
そしてペコリと頭を下げて立ち去ろうとした時・・・。
「無駄だよ。エリス。」
背後からタリク王子が声を掛けてきた。
「は・・・?無駄・・とは?」
「ああ、実はお前がホテルに着いた後、白銀のナイトを全員追い払ったのだ。お前からの命令と言う事でな。そして彼等に告げた。エリスはこの国に残り、俺と結婚するのだと。それを聞いたら奴等全員真っ青になって、散々口々に罵って来たが・・。」
その後、タリク王子は魔法の玉らしきものを取り出して、私に見せてきた。
「ほら、ここに映し出している映像を見てみるが良い。」
「え?」
見ると、それはこちらに背中を向けた金の髪の女性と抱き合ってキスをしている映像が映り出されていた。
「はああああっ?!な・・・何ですかっ?!この映像は・・・この女性は誰ですかっ?!どう見ても私では無いですよっ?!」
そう、ここに映し出されている女性はどう見ても私よりはぽっちゃり?しているし、背だって恐らく10㎝は高いだろう。
それなのに・・こんな明らかに偽物だと分かる映像を観て・・彼等は私だと信じてしまったのだろうか?だとしたら・・心外だっ!
「フフン。取りあえず・・・奴等はこの映像を観ると何故か全員が絶句して、納得したかのように荷物をまとめてこの国から立ち去って行ったのだ。」
腕組みをしながらタリク王子は満足げに言う。
しかし成程、これで合点が言った。私は今迄好感度が奪われる全ての原因はオリビアが直接『白銀のナイト』に接触して、誘惑をして好感度を奪っていたのだと思ったけれども・・どうやらその考えは間違いだったようだ。
つまりオリビアはゲーム上のキャラクターを操り、このような功名?な罠を張り巡らして、彼等から私に対する好感度を奪っていた可能性もあるのだと言う事に今更気が付いてしまった。
恐らくいくら私がタリク王子に冷たい態度を取ってもタリク王子の好感度が下がらないのは『白銀のナイト』達から私に対する好感度が急激に下がった為、恐らく彼等はもう私に関心を示さないだろうとの自信?からきているのかもしれない。
それにしても・・・いくら諸悪の権化がオリビアだとしても、実際に白銀のナイト達の私に対する好感度を奪ったのは目の前にいるタリク王子だと思うと、どうにもむしゃくしゃしてしょうがない。
しかし、相手はこれでもこの国の王子様。本来なら1、2発ぶん殴ってやりたいところだが・・・。ここは我慢だ。
深呼吸すると私は言った。
「それなら別の宿にでも泊まって明日の朝『インベル』へ行く事にします。それではタリク王子、ごきげんよう。」
お辞儀をしてタリク王子から立去ろうとした時、左腕を思い切り掴まれた。
「あの・・・痛いんですけど。」
ジロリとタリク王子を睨み付ける私。
「あ・・・す、すまん。エリス。」
パッと私から手を離すとタリク王子は言った。
「おい、エリス。本当に『インベル』へ行くのか?悪い事は言わない。あの国へは行くな。モンスター討伐なんかほっておけ。」
「・・・自分の国では無いからと・・・あまりにも無責任な言動ですね。自分達の国さえ良ければ他の国はどうだっていいって訳ですか?」
気付けば私は腕組みをして仁王立ちになっていた。
「い、いや・・・そ、そう言う訳では無いのだが・・・そ・そうだっ!取りあえず今夜は何処かの宿に泊まろう!安心しろッ!俺とお前はまだ婚姻関係は結んでいないから泊まる部屋は別々にしてやるからな?うん、そうしようっ!」
そして再びタリク王子は私の腕を掴むとずんずん町の中を歩きだす。
へ?今の話の流れからどうして私とタリク王子が一緒の宿に泊まる事になってしまうのだ?全く持って訳が分からない。
「ちょっと待って下さいッ!私はタリク王子と同じ宿に泊まるつもりは・・・!」
そこまで言いかけた時、タリク王子がクルリと振り向くと言った。
「エリス。俺が何故『インベル』という国には行くなと言った意味を知りたくは無いか?」
いつになく真剣な瞳でタリク王子は私をじっと見つめる。
「あ・・・あの・・・『インベル』という国は・・何かあるんですね・・・・?」
声を震わせながらタリク王子に尋ねると、頷く彼。
「だから、宿屋に着いたら詳しく話をしてやるからな?」
タリク王子の言葉に渋々私は頷くのだった—。
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