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第28日目 死の砂漠から呼ぶ者は ①
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『おはようございます。28日目の朝がやってまいりました。本日「オリビア」により「アルハール」地方で無数のコンピューターウィルスが発生しました。討伐隊を組んでウィルス駆除に向かって下さい。尚、メンバーの選出は5名まで選択可能です。健闘をお祈り致します。』
「・・・・。」
朝、目覚めると既に液晶画面が私の顔面近くで表示されていた。しかもその内容は今までに例を見ない驚愕な内容である。
あまりのショックに身体は固まり、絶句する私。
え~と・・・。今私はどんなジャンルのヴァーチャルゲームの世界にいるんだっけ?
確か・・・私の勘違いで無ければ、この世界は乙女ゲームの世界であるはず・・・。
なのに、何なの?このミッションは?最早攻略対象の好感度を上げる等と言うレベルでは無い。これでは完全にRPGの世界では無いかっ!
しかも討伐隊を組めだあっ?!RPGだけでなく、戦略シュミレーションまでぶっこんで来ているとしか思えない。
「い・・・いったい、ここのゲーム会社は私に何をさせたいのよ・・・っ!」
ベッドに横たわりながら怒りで身体を震わす私。酷い、こんなのは最早完全に契約?違反だ。一刻も早くこのゲームをクリアしてアースプロダクツエンターテイメントを訴えてやるっ!
そしてガバッと起き上がると、ニヤリと不敵な笑み?を私は浮かべた。
「討伐隊を組んで下さいって言われたと言う事は・・・私から自由にメンバーを選出してもいいって事だよね・・・・?」
なら・・・最初に選ぶメンバーは、もう・・・決まっているっ!!
いつも通りのミューティングの場・・・。
スタッフルームに集まった従業員達をキョロキョロ見渡し、すぐに私は異変に気が付いた。
あれ?今日はジョージがいないのだろうか?今朝会ったら絶対に昨日の出来事について話しをしようと思っていたのに・・・・。それにトビーの姿も見えない。
「ねえ~。どうしてリーダーが来ないのよ。」
カミラは足を組み、腕を組むといった男顔負けの横柄な態度で椅子に座り、口をとがらせている。
「全く・・・もうこれ以上あいつにリーダーを任せてられないわ。絶対にいつかあいつをリーダーの座から引きずりおろしてやるんだから・・・っ!」
爪を噛みながら何やらナタリーは物騒な言い方をしているが・・・おおっ!私と気があうっ!しかし面倒な事に巻き込まれるのは御免蒙らせてもらい、傍観者に徹していよう。
方やジャニスは我関せずと言った様子で長く伸ばした爪にマニュキュアを塗って手入れをしている。
あの~メイドが爪伸ばして、マニュキュアを塗っていても大丈夫なのでしょうか・・・?
一方でダンとニコルの話声が突然私の耳に飛び込んできた。
「ダン。今朝はジョージはどうしたんだ?」
「ああ、何でも昨日は・・・・。」
うん?急に言葉が小さくなって聞こえなくなってしまった。
思わず気になり彼等の方を見ると、何故か二人とも私の事を凝視しながら会話をしている。そして、ダンとニコルは私と目がバチッと合うと、慌てたように視線を外す。
ンもう・・・一体何なのよ・・?
恋人同士のガルシアとアンは2人で頭をくっつけ合うようにして雑誌を読んでいるし・・・。
1人蚊帳の外にいる私は何度目かの欠伸をした頃―。
ガチャリとドアが開けられて、トビーが現れたのである。
その場にいた全員が一斉にトビーの方を見つめ・・・。
全員が言葉を無くしてしまった。
何と、トビーは涙でグシャグシャの顔で現れたからである。
全員が露骨に嫌そうに顔を歪めてトビーを見たのは言うまでもない。
な・・・何なんだ?あのトビーと言う男は・・・。確か年齢は23歳と聞いていたけれども・・・最近は年齢を偽っているのでは無いかと疑いたくなってくる。
実はトビーの実年齢は・・・13歳だったりして・・・?
そんな事をボンヤリと考えいると、いつの間にかトビーが真っ赤に泣きはらした目で私をじっと見つめているでは無いかっ!
こ・・・怖い・・・っ!!
そしてトビーはついに大声で私の名を呼んだ。
「エリスゥっ!!」
「は、はいいいっ!」
名前を呼ばれて、思わず立ち上がってしまう私。そして椅子が後ろに激しく音を立てて倒れる。
「エリスゥッ!!お願いだ!今すぐ僕と一緒に逃げようっ!!」
トビーが泣きながらズカズカと大股で私に近付いてくる。
「はあっ?!い、いきなり何を言うんですかっ?!」
思わず後ずさる私の両肩をまるで逃がさんと言わんばかりに、ガシイッと掴んでくるトビーを前に最早恐怖しか感じない。
「お願いだあっ!こ、このままじゃ・・・エリス・・・本当に君は・・ウウウ・・・。」
「おいっ!トビーッ!いい加減にしろっ!エリスが怖がっているだろう?!」
「そうだっ!エリスから手を離せッ!」
見兼ねたニコルとダンが助けに現れた。おおっ!救いの神だっ!
「うるさーいっ!お前達に何が分かる?!いいか・・・エ、エリスはなあ・・・上層部の連中から危険な任務を言い渡されたんだよぅッ!」
言いながら、トビーは今度はガバッと私を強く抱きしめてきた。
ギャアアッ!だ、誰かっ!!
「いい加減にしろよっ!」
「そうだっ、やめろ!トビーッ!!」
ダンとニコルによって何とかトビーから引き放して貰う。
「ト、トビーさん。落ち着いて下さいよ。一体何があったのか教えてください。」
今朝の液晶画面の表示で私に対して何の命令が下されたのかは分かってはいたが・・・・トビーは何と説明を受けたのだろう?
「いいかい、エリス。落ち着くんだよ?落ち着いて僕の話を聞くんだよ?あ、そうだ。まずはエリス、深呼吸するんだ。そうすればきっと心が落ち着ける・・・。」
トビーはダンとニコルに取り押さえられながら私に落ち着けと連呼してくる。いやいや、むしろ落ち着かなければならないのはトビーの方でしょう?
他の従業員達は、完全にトビーの事を冷めきった目で見つめているよ・・・。
そこで私は言った。
「私は落ち着いていますので、何があったのか早く説明して頂けますか?」
「あ、ああ。そうだった。悪かったね?ついエリスに対する思いの丈が強すぎて、自分自身を見失う所だったよ。」
トビーはようやく泣き止むとにこっと微笑むが・・・その顔には幾筋もの涙の痕が付いている。
う~ん・・。見せたい。・・・トビーに今の自分の表情を。そして言ってやりたい。今の貴方は完全に自分を見失っていますよ。と―。
「実はエリス、この国には恐ろしい場所が存在しているんだよ・・・。」
はいはい、知っておりますよ・・・。
「アルハール砂漠・・・別名『死の砂漠』と呼ばれている場所に・・・モンスターの大群が現れて・・・、そ・そこのボスが名指しでエリスを指名してきたんだよっ!わ・・我を倒しにやって来いって!!」
「は?」
何それ?あまりにも予想の斜め上を行き過ぎていて、頭がちっとも追いつかない。
他の従業員達もそうなのだろうか?全員口をポカンと開けたまま、トビーと私を交互に見比べている。
「あの、トビーさん。その話・・・誰から聞いたのですか?」
「上層部の方からだよ?」
「アルハール砂漠って・・確かすごく遠いんですよね?」
「ああ、すごく遠いよ。電車を3回乗り継がなければ行けない場所だもの。」
「それでは、そのモンスターのボスはどんな方法で自分を倒しに来いと上層部の方々に連絡を入れたのでしょうか?そもそもモンスターのボスはどうして私の名前を知っていると思いますか?」
すると私の言葉にトビーは目を見開き・・・。
「おのれっ!上層部の奴らめ!さては愛し合う僕とエリスの中を引き裂く為にエリスを砂漠に追いやって亡き者にしようとしているのだなっ?!」
はあああっ?!
何言っちゃってるの?この男は!冗談じゃない!一言文句を言ってやろうかと思った矢先にダンとニコルが声を荒げた。
「おい!誰と誰が愛し合っているだって?!」
ダンがトビーの襟首を締め上げている。
「そうだっ!お前のような男にエリスは渡せるかよっ!」
ニコルも声を荒げる。
「ちょっとーっ!いい加減にしてよっ!朝は忙しいって言ってるでしょっ!!」
ジャネットは再び文句を言ってるし、いつの間にかカミラとアン、ガルシアは忽然と姿を消していた。
よ、よし。私もこのままどさくさに紛れて逃げてやれ。
そして彼等に背を向けると、一瞬の隙をついて、一気にダッシュッ!!
そのまま振りむかずに出口から外へ飛び出す私。
よし、脱出成功した!
さて、アルハール砂漠・・・実際のゲームでは名前だけしか出てこなかった場所・・。
でも実際にミッションとして表示されたからには行くしかない。
ベソ、ノッポ、当然貴方達には行ってもらうからね!
そして私は『管理事務局』へと足を向けた・・・。
「・・・・。」
朝、目覚めると既に液晶画面が私の顔面近くで表示されていた。しかもその内容は今までに例を見ない驚愕な内容である。
あまりのショックに身体は固まり、絶句する私。
え~と・・・。今私はどんなジャンルのヴァーチャルゲームの世界にいるんだっけ?
確か・・・私の勘違いで無ければ、この世界は乙女ゲームの世界であるはず・・・。
なのに、何なの?このミッションは?最早攻略対象の好感度を上げる等と言うレベルでは無い。これでは完全にRPGの世界では無いかっ!
しかも討伐隊を組めだあっ?!RPGだけでなく、戦略シュミレーションまでぶっこんで来ているとしか思えない。
「い・・・いったい、ここのゲーム会社は私に何をさせたいのよ・・・っ!」
ベッドに横たわりながら怒りで身体を震わす私。酷い、こんなのは最早完全に契約?違反だ。一刻も早くこのゲームをクリアしてアースプロダクツエンターテイメントを訴えてやるっ!
そしてガバッと起き上がると、ニヤリと不敵な笑み?を私は浮かべた。
「討伐隊を組んで下さいって言われたと言う事は・・・私から自由にメンバーを選出してもいいって事だよね・・・・?」
なら・・・最初に選ぶメンバーは、もう・・・決まっているっ!!
いつも通りのミューティングの場・・・。
スタッフルームに集まった従業員達をキョロキョロ見渡し、すぐに私は異変に気が付いた。
あれ?今日はジョージがいないのだろうか?今朝会ったら絶対に昨日の出来事について話しをしようと思っていたのに・・・・。それにトビーの姿も見えない。
「ねえ~。どうしてリーダーが来ないのよ。」
カミラは足を組み、腕を組むといった男顔負けの横柄な態度で椅子に座り、口をとがらせている。
「全く・・・もうこれ以上あいつにリーダーを任せてられないわ。絶対にいつかあいつをリーダーの座から引きずりおろしてやるんだから・・・っ!」
爪を噛みながら何やらナタリーは物騒な言い方をしているが・・・おおっ!私と気があうっ!しかし面倒な事に巻き込まれるのは御免蒙らせてもらい、傍観者に徹していよう。
方やジャニスは我関せずと言った様子で長く伸ばした爪にマニュキュアを塗って手入れをしている。
あの~メイドが爪伸ばして、マニュキュアを塗っていても大丈夫なのでしょうか・・・?
一方でダンとニコルの話声が突然私の耳に飛び込んできた。
「ダン。今朝はジョージはどうしたんだ?」
「ああ、何でも昨日は・・・・。」
うん?急に言葉が小さくなって聞こえなくなってしまった。
思わず気になり彼等の方を見ると、何故か二人とも私の事を凝視しながら会話をしている。そして、ダンとニコルは私と目がバチッと合うと、慌てたように視線を外す。
ンもう・・・一体何なのよ・・?
恋人同士のガルシアとアンは2人で頭をくっつけ合うようにして雑誌を読んでいるし・・・。
1人蚊帳の外にいる私は何度目かの欠伸をした頃―。
ガチャリとドアが開けられて、トビーが現れたのである。
その場にいた全員が一斉にトビーの方を見つめ・・・。
全員が言葉を無くしてしまった。
何と、トビーは涙でグシャグシャの顔で現れたからである。
全員が露骨に嫌そうに顔を歪めてトビーを見たのは言うまでもない。
な・・・何なんだ?あのトビーと言う男は・・・。確か年齢は23歳と聞いていたけれども・・・最近は年齢を偽っているのでは無いかと疑いたくなってくる。
実はトビーの実年齢は・・・13歳だったりして・・・?
そんな事をボンヤリと考えいると、いつの間にかトビーが真っ赤に泣きはらした目で私をじっと見つめているでは無いかっ!
こ・・・怖い・・・っ!!
そしてトビーはついに大声で私の名を呼んだ。
「エリスゥっ!!」
「は、はいいいっ!」
名前を呼ばれて、思わず立ち上がってしまう私。そして椅子が後ろに激しく音を立てて倒れる。
「エリスゥッ!!お願いだ!今すぐ僕と一緒に逃げようっ!!」
トビーが泣きながらズカズカと大股で私に近付いてくる。
「はあっ?!い、いきなり何を言うんですかっ?!」
思わず後ずさる私の両肩をまるで逃がさんと言わんばかりに、ガシイッと掴んでくるトビーを前に最早恐怖しか感じない。
「お願いだあっ!こ、このままじゃ・・・エリス・・・本当に君は・・ウウウ・・・。」
「おいっ!トビーッ!いい加減にしろっ!エリスが怖がっているだろう?!」
「そうだっ!エリスから手を離せッ!」
見兼ねたニコルとダンが助けに現れた。おおっ!救いの神だっ!
「うるさーいっ!お前達に何が分かる?!いいか・・・エ、エリスはなあ・・・上層部の連中から危険な任務を言い渡されたんだよぅッ!」
言いながら、トビーは今度はガバッと私を強く抱きしめてきた。
ギャアアッ!だ、誰かっ!!
「いい加減にしろよっ!」
「そうだっ、やめろ!トビーッ!!」
ダンとニコルによって何とかトビーから引き放して貰う。
「ト、トビーさん。落ち着いて下さいよ。一体何があったのか教えてください。」
今朝の液晶画面の表示で私に対して何の命令が下されたのかは分かってはいたが・・・・トビーは何と説明を受けたのだろう?
「いいかい、エリス。落ち着くんだよ?落ち着いて僕の話を聞くんだよ?あ、そうだ。まずはエリス、深呼吸するんだ。そうすればきっと心が落ち着ける・・・。」
トビーはダンとニコルに取り押さえられながら私に落ち着けと連呼してくる。いやいや、むしろ落ち着かなければならないのはトビーの方でしょう?
他の従業員達は、完全にトビーの事を冷めきった目で見つめているよ・・・。
そこで私は言った。
「私は落ち着いていますので、何があったのか早く説明して頂けますか?」
「あ、ああ。そうだった。悪かったね?ついエリスに対する思いの丈が強すぎて、自分自身を見失う所だったよ。」
トビーはようやく泣き止むとにこっと微笑むが・・・その顔には幾筋もの涙の痕が付いている。
う~ん・・。見せたい。・・・トビーに今の自分の表情を。そして言ってやりたい。今の貴方は完全に自分を見失っていますよ。と―。
「実はエリス、この国には恐ろしい場所が存在しているんだよ・・・。」
はいはい、知っておりますよ・・・。
「アルハール砂漠・・・別名『死の砂漠』と呼ばれている場所に・・・モンスターの大群が現れて・・・、そ・そこのボスが名指しでエリスを指名してきたんだよっ!わ・・我を倒しにやって来いって!!」
「は?」
何それ?あまりにも予想の斜め上を行き過ぎていて、頭がちっとも追いつかない。
他の従業員達もそうなのだろうか?全員口をポカンと開けたまま、トビーと私を交互に見比べている。
「あの、トビーさん。その話・・・誰から聞いたのですか?」
「上層部の方からだよ?」
「アルハール砂漠って・・確かすごく遠いんですよね?」
「ああ、すごく遠いよ。電車を3回乗り継がなければ行けない場所だもの。」
「それでは、そのモンスターのボスはどんな方法で自分を倒しに来いと上層部の方々に連絡を入れたのでしょうか?そもそもモンスターのボスはどうして私の名前を知っていると思いますか?」
すると私の言葉にトビーは目を見開き・・・。
「おのれっ!上層部の奴らめ!さては愛し合う僕とエリスの中を引き裂く為にエリスを砂漠に追いやって亡き者にしようとしているのだなっ?!」
はあああっ?!
何言っちゃってるの?この男は!冗談じゃない!一言文句を言ってやろうかと思った矢先にダンとニコルが声を荒げた。
「おい!誰と誰が愛し合っているだって?!」
ダンがトビーの襟首を締め上げている。
「そうだっ!お前のような男にエリスは渡せるかよっ!」
ニコルも声を荒げる。
「ちょっとーっ!いい加減にしてよっ!朝は忙しいって言ってるでしょっ!!」
ジャネットは再び文句を言ってるし、いつの間にかカミラとアン、ガルシアは忽然と姿を消していた。
よ、よし。私もこのままどさくさに紛れて逃げてやれ。
そして彼等に背を向けると、一瞬の隙をついて、一気にダッシュッ!!
そのまま振りむかずに出口から外へ飛び出す私。
よし、脱出成功した!
さて、アルハール砂漠・・・実際のゲームでは名前だけしか出てこなかった場所・・。
でも実際にミッションとして表示されたからには行くしかない。
ベソ、ノッポ、当然貴方達には行ってもらうからね!
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