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第20日目 休暇日なので明日の朝まで学園には戻りません ②
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「あ、あの・・・付き合うって・・?」
思わず目をパチパチさせて、じっとアンディを見つめると・・何故か彼は少しだけ頬を染めて視線をそらす。
「アンディ様・・・?」
「あ、ああ。勿論言葉通りだ。フレッドとアベルの事で困ったから・・・明日の朝まで学園には戻らないって事なんだろう?だから俺もエリスに同行しようかと思って・・・。もしかして・・・迷惑か?」
少し寂しげにじっと見つめて来るアンディ。・・・あの~そんな捨てられた子犬のような目で訴えられても困るのですけど・・・・。
「あ、あの・・・迷惑と言うか・・・何故アンディ様が私に同行したいのですか・・?」
すると少しアンディは何か考え込んでいたが、私に言った。
「実は・・・今俺も少し困った状況に置かれていて・・・あまり学園内にはいたくなんだ。毎週末寮にいるとオリビアが俺の処へやってきて・・・誘いに来るようになって他の仲間たちから白い目で見られていたんだ。だが、最近になって、急に皆の興味が・・・エリス。お前に向けられるようになってきた。そのお陰で俺に対する風当たりも無くなったんだが・・・何故皆あれ程オリビアに夢中だったのに、エリスに好意を抱くようになったのか・・・俺もお前に興味が沸いた。それに・・・実はお前にフレッドとアベルの事を忠告した後は何処かへ出掛けようと思っていところだったんだよ。」
じっと私を見つめながら熱く?語るアンディ。
だけど・・・・。
「あの~アンディ様は・・・オリビア様の恋人・・・ですよね?」
するとサッと視線をそらすアンディ。
まさか・・・もう恋人の対象外になったのだろうか・・・?
今のところ、液晶画面も表示されないし、好感度のゲージは100のまま。この際だ・・。好感度が下がってもいいから、思ったことを言ってやれ。
「アンディ様・・・。申し訳ありませんが、私は恋人のいる男性と出かけるような真似はしたくないんです。オリビアさんは・・・全校生徒の方達から認められた恋人ですよね?それに・・私は学園中から嫌われて、爵位も失った・・只のメイドのエリスです。恋人のいるアイドル的存在のアンディ様と外出した事が皆にばれたら、それこそ私はこの学園にもいられなくなります。」
「・・・・。」
アンディは私の話を黙って聞いている。彼の頭上に浮かんでいる好感度のゲージを見ても・・・傷付いた顔をしているものの、彼の好感値は相変わらず100のまま。
な・・・何故?何故好感値が下がらない?!
「アンディ様・・・聞いてますか?」
ひょっとして、私の話を聞いていないのかと思い、声を掛けてみる。
「あ、ああ。勿論聞いてるよ、エリス。」
「そうですか、なら・・・。」
私が言いかけるとアンディが上から言葉を重ねてきた。
「ああ、だから学園の外で待ち合わせをしよう。エリス・・・今日も『クロレンス』へ行こうとしていたんだろう?大方スーパー銭湯にでも行って、そこで一晩泊るつもりだったのではないか?」
ギクッ!!
そ、そんな!バレてる!
「な・何故・・・そ、それを・・・?もしや・・アンディ様は名探偵になれるのでは・・・?」
声を震わせながら数歩後ずさった私を見てアンディは笑った。
「ハハハ・・・エリスは本当に面白いな。それに愛嬌もあって・・。知らなかったよ。お前がそんな性格だったなんて。」
ええ、そりゃそうでしょうとも。だって私は本物のエリスでは無い。悪役令嬢であったエリスの身体に乗り移ったようなものだからね。
しかし・・・・。
「私も知りませんでしたよ。アンディ様がそんなに鋭い観察眼を持っていらっしゃる方だったのですからね。」
すると何やら意味深な事を言って来るアンディ。
「ああ・・・。それはエリス、お前だから・・・見ていたんだ。」
え?何・・・?どうしてそんな・・・潤んだ瞳で見つめてくるわけ?と言うか、こんな所をオリビアに見られようものなら・・・・何を言われるか分かったものでは無い!一刻も早くこの場から立去らなければ・・・!
「と、とに角・・・フレッド様とアベル様に見つかりたくないので、私はここで失礼しますね!」
「お、おい!エリスッ?!」
アンディが何か言いかけているのを完全に無視して、私は一目散にその場を逃げ出した。
「ふう~・・・。やっと駅に着いた・・。ほんとに学園から駅までって歩くには・・・ちょっと通過ぎるなあ。・・・自転車に乗っている学生達もいる事だし・・やっぱり私も自転車買おうかな?明日の朝・・・この駅周辺に自転車屋が無いか・・探してみよう。」
そしてクロレンス行の切符を買って駅のホームのベンチに座り、電車に乗る前に買っておいた観光ガイドブックを読んでいた。
「へえ~『ロメリア』は海が近いのか・・・何々?青い海に白いサンゴ礁の美しい海だって・・・。う~ん。でもちょっと遠いなあ・・・。日帰りは難しそうだし、宿を取るのも難しそうだな・・。」
「何だ、エリス。海に行きたいのか?」
すると突然背後から声をかけられ、ヒョイとガイドブックを取り上げられてしまった。驚いて振り向くと、そこに立っていたのはニコルだった。
「ニ、ニコルさん?!な・・・何故ここに?」
「ああ。今日は久々に実家に帰る予定だったんだ。そうか・・・。『ロメリア』ねえ・・・。エリスは海が好きなのか?」
「ええ、泳ぎは苦手ですけど、青い海に白いサンゴ礁なんて・・・素敵じゃないですか。出来れば日が沈むまで眺めていたいくらいですよ。」
「そうか。それじゃ・・・一緒に行くか?」
ニコルが意味深な笑みを浮かべながら言う。
「はい?今・・・何て言いましたか?」
「いや、だから・・俺と一緒に『ロメリア』へ行くか?って聞いてるんだけど?」
ニコルは親指を立てて自分を指しながら言う。
「だって・・・実家へ今から帰る所なんですよね?」
「ああ、そうだな。家族に連絡もしてある。」
「だったら家に帰らないと・・・。」
「だから、一緒に行くか?って聞いてるんだ。」
「はあ・・・。仰ってる意味が良く分からないのですが・・?」
言いながら私はモブキャラから攻略対象になったニコルの頭上を見上げるが、好感度を表すハートのゲージは表示されていない。と言う事は今はフリートークモードなのだろうか・・・・?
「ええ~。本気で言ってるのか。エリス・・・、ここまで言ってもまだ気づかないのか?『ロメリア』は俺の実家なんだよ。家だって、海岸通りにあるから海はすぐだぞ?」
「おおっ!すごい!観光地に住んでいたんですね?」
「ああ。それに地元だから観光案内だってしてやれるぞ?」
ニコルの言葉に思わずグラリと心が傾きそうになるが・・・首を振ると言った。
「やっぱり駄目ですよ、ニコルさん。」
「え・・何故だ?」
「だって・・実家に帰るって事は・・・何か大事な用事があって帰るんですよね?
それに、昨日は野外パーティーで朝から晩まで働かせて・・・疲れているんじゃないですか?どうか、今日は実家で休んで下さい。・・・また機会があれば誘って下さい。」
私が言うと、途端にニコルの目がキラキラと輝きだす。
「何?エリス・・・お前の事また誘ってもいいのか?!」
「そ、そうですね。いずれは・・・・。」
その時、『ロメリア』行の電車がホームに滑り込んできた。やった!ナイスタイミングッ!
「ほら、ニコルさん。電車が来たから・・・乗って下さいっ!」
急かすようにニコルに言うと、彼は大人しく電車に乗り込んで私に言った。
「そうだ、エリス。休暇明け・・・お前にお土産を持って来るよ。」
「はい、ありがとうございます。」
早く好感度があまり上がらない内に、いなくなってよ!
ニコニコ笑顔で手を振って見送る私。
そして、ドアが閉まる直前、ニコルの頭上のハートがジワジワと好感度を表示し始めた。
その結果を見て私は絶句した。
何故ならニコルの好感度が・・いつの間にか160になっていたのだ—。
思わず目をパチパチさせて、じっとアンディを見つめると・・何故か彼は少しだけ頬を染めて視線をそらす。
「アンディ様・・・?」
「あ、ああ。勿論言葉通りだ。フレッドとアベルの事で困ったから・・・明日の朝まで学園には戻らないって事なんだろう?だから俺もエリスに同行しようかと思って・・・。もしかして・・・迷惑か?」
少し寂しげにじっと見つめて来るアンディ。・・・あの~そんな捨てられた子犬のような目で訴えられても困るのですけど・・・・。
「あ、あの・・・迷惑と言うか・・・何故アンディ様が私に同行したいのですか・・?」
すると少しアンディは何か考え込んでいたが、私に言った。
「実は・・・今俺も少し困った状況に置かれていて・・・あまり学園内にはいたくなんだ。毎週末寮にいるとオリビアが俺の処へやってきて・・・誘いに来るようになって他の仲間たちから白い目で見られていたんだ。だが、最近になって、急に皆の興味が・・・エリス。お前に向けられるようになってきた。そのお陰で俺に対する風当たりも無くなったんだが・・・何故皆あれ程オリビアに夢中だったのに、エリスに好意を抱くようになったのか・・・俺もお前に興味が沸いた。それに・・・実はお前にフレッドとアベルの事を忠告した後は何処かへ出掛けようと思っていところだったんだよ。」
じっと私を見つめながら熱く?語るアンディ。
だけど・・・・。
「あの~アンディ様は・・・オリビア様の恋人・・・ですよね?」
するとサッと視線をそらすアンディ。
まさか・・・もう恋人の対象外になったのだろうか・・・?
今のところ、液晶画面も表示されないし、好感度のゲージは100のまま。この際だ・・。好感度が下がってもいいから、思ったことを言ってやれ。
「アンディ様・・・。申し訳ありませんが、私は恋人のいる男性と出かけるような真似はしたくないんです。オリビアさんは・・・全校生徒の方達から認められた恋人ですよね?それに・・私は学園中から嫌われて、爵位も失った・・只のメイドのエリスです。恋人のいるアイドル的存在のアンディ様と外出した事が皆にばれたら、それこそ私はこの学園にもいられなくなります。」
「・・・・。」
アンディは私の話を黙って聞いている。彼の頭上に浮かんでいる好感度のゲージを見ても・・・傷付いた顔をしているものの、彼の好感値は相変わらず100のまま。
な・・・何故?何故好感値が下がらない?!
「アンディ様・・・聞いてますか?」
ひょっとして、私の話を聞いていないのかと思い、声を掛けてみる。
「あ、ああ。勿論聞いてるよ、エリス。」
「そうですか、なら・・・。」
私が言いかけるとアンディが上から言葉を重ねてきた。
「ああ、だから学園の外で待ち合わせをしよう。エリス・・・今日も『クロレンス』へ行こうとしていたんだろう?大方スーパー銭湯にでも行って、そこで一晩泊るつもりだったのではないか?」
ギクッ!!
そ、そんな!バレてる!
「な・何故・・・そ、それを・・・?もしや・・アンディ様は名探偵になれるのでは・・・?」
声を震わせながら数歩後ずさった私を見てアンディは笑った。
「ハハハ・・・エリスは本当に面白いな。それに愛嬌もあって・・。知らなかったよ。お前がそんな性格だったなんて。」
ええ、そりゃそうでしょうとも。だって私は本物のエリスでは無い。悪役令嬢であったエリスの身体に乗り移ったようなものだからね。
しかし・・・・。
「私も知りませんでしたよ。アンディ様がそんなに鋭い観察眼を持っていらっしゃる方だったのですからね。」
すると何やら意味深な事を言って来るアンディ。
「ああ・・・。それはエリス、お前だから・・・見ていたんだ。」
え?何・・・?どうしてそんな・・・潤んだ瞳で見つめてくるわけ?と言うか、こんな所をオリビアに見られようものなら・・・・何を言われるか分かったものでは無い!一刻も早くこの場から立去らなければ・・・!
「と、とに角・・・フレッド様とアベル様に見つかりたくないので、私はここで失礼しますね!」
「お、おい!エリスッ?!」
アンディが何か言いかけているのを完全に無視して、私は一目散にその場を逃げ出した。
「ふう~・・・。やっと駅に着いた・・。ほんとに学園から駅までって歩くには・・・ちょっと通過ぎるなあ。・・・自転車に乗っている学生達もいる事だし・・やっぱり私も自転車買おうかな?明日の朝・・・この駅周辺に自転車屋が無いか・・探してみよう。」
そしてクロレンス行の切符を買って駅のホームのベンチに座り、電車に乗る前に買っておいた観光ガイドブックを読んでいた。
「へえ~『ロメリア』は海が近いのか・・・何々?青い海に白いサンゴ礁の美しい海だって・・・。う~ん。でもちょっと遠いなあ・・・。日帰りは難しそうだし、宿を取るのも難しそうだな・・。」
「何だ、エリス。海に行きたいのか?」
すると突然背後から声をかけられ、ヒョイとガイドブックを取り上げられてしまった。驚いて振り向くと、そこに立っていたのはニコルだった。
「ニ、ニコルさん?!な・・・何故ここに?」
「ああ。今日は久々に実家に帰る予定だったんだ。そうか・・・。『ロメリア』ねえ・・・。エリスは海が好きなのか?」
「ええ、泳ぎは苦手ですけど、青い海に白いサンゴ礁なんて・・・素敵じゃないですか。出来れば日が沈むまで眺めていたいくらいですよ。」
「そうか。それじゃ・・・一緒に行くか?」
ニコルが意味深な笑みを浮かべながら言う。
「はい?今・・・何て言いましたか?」
「いや、だから・・俺と一緒に『ロメリア』へ行くか?って聞いてるんだけど?」
ニコルは親指を立てて自分を指しながら言う。
「だって・・・実家へ今から帰る所なんですよね?」
「ああ、そうだな。家族に連絡もしてある。」
「だったら家に帰らないと・・・。」
「だから、一緒に行くか?って聞いてるんだ。」
「はあ・・・。仰ってる意味が良く分からないのですが・・?」
言いながら私はモブキャラから攻略対象になったニコルの頭上を見上げるが、好感度を表すハートのゲージは表示されていない。と言う事は今はフリートークモードなのだろうか・・・・?
「ええ~。本気で言ってるのか。エリス・・・、ここまで言ってもまだ気づかないのか?『ロメリア』は俺の実家なんだよ。家だって、海岸通りにあるから海はすぐだぞ?」
「おおっ!すごい!観光地に住んでいたんですね?」
「ああ。それに地元だから観光案内だってしてやれるぞ?」
ニコルの言葉に思わずグラリと心が傾きそうになるが・・・首を振ると言った。
「やっぱり駄目ですよ、ニコルさん。」
「え・・何故だ?」
「だって・・実家に帰るって事は・・・何か大事な用事があって帰るんですよね?
それに、昨日は野外パーティーで朝から晩まで働かせて・・・疲れているんじゃないですか?どうか、今日は実家で休んで下さい。・・・また機会があれば誘って下さい。」
私が言うと、途端にニコルの目がキラキラと輝きだす。
「何?エリス・・・お前の事また誘ってもいいのか?!」
「そ、そうですね。いずれは・・・・。」
その時、『ロメリア』行の電車がホームに滑り込んできた。やった!ナイスタイミングッ!
「ほら、ニコルさん。電車が来たから・・・乗って下さいっ!」
急かすようにニコルに言うと、彼は大人しく電車に乗り込んで私に言った。
「そうだ、エリス。休暇明け・・・お前にお土産を持って来るよ。」
「はい、ありがとうございます。」
早く好感度があまり上がらない内に、いなくなってよ!
ニコニコ笑顔で手を振って見送る私。
そして、ドアが閉まる直前、ニコルの頭上のハートがジワジワと好感度を表示し始めた。
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