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第15日目 コンピューターウィルスを駆除せよ! ③
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馬車が現場?に到着すると、私はすぐに2人の運営局員達に声を掛けた。
3人の白銀のナイト達に馬車から降りるように言われたけれども、少しだけ運営局員達と話があるから待っていて欲しいと私が頼んだ為、ナイト達は外で待機してくれている。
「それで?当然貴方達は一緒に来てくれるのよね?」
「ヒイッ!か、勘弁して下さいよっ!」
「そうですよ、お・俺達は既に一度この中へ入って・・・ウィルス駆除を行っているんですからっ!」
彼等は互いに情けない声を出して震えあがった。
「そう・・・そちらの会社では私1人を危険な目に遭わすと言う事ですね?」
青筋を浮かべながら笑みを浮かべる私を前に2人の男は震えあがっている。
「む・無理言わないで下さいよっ!俺達は・・・貴女と違ってレベルが低いんですからっ!そ、それでも最新式のウィルス駆除機を背負って・・・。」
1人の覆面男はどうやら・・・相当泣き虫らしい。既に涙声になっている。
「うん?ちょっと待って・・・。何?そのウィルス駆除機って?」
「ば、馬鹿ッ!お・・お前、何余計な事喋ってるんだよっ!」
もう1人の覆面男が・・・ってあー!ややこしいっ!
「ねえ!貴方達・・・名前教えなさいよ。」
「え・・?」
「な・・・名前・・ですか?」
「ええ、名前よ。」
「そ、それが・・・。」
「個人情報は・・・・。」
「そう、それなら私が勝手に貴方達の名前を付けるからね?!」
そして私は右側の背が高い男を指さすと言った。
「いい?貴方は今日から『ノッポ』よ!」
「えええ?!そ、そんな・・・『ノッポ』なんて・・・。」
よし、今度は左側の男だ!
「貴方は今日から『ベソ』よ!」
「な・何ですか・・・?その『ベソ』って・・・?」
「男のくせにすぐに泣くからに決まってるでしょう?」
「ひ・酷い・・・・。」
途端にベソはまた涙ぐむが・・・知った事では無い。大体自分達は秘密兵器を使ってウィルス駆除をし、今回は見守るだけなんて・・・・?
「そうだっ!その『ウィルス駆除機』とやらを私にも貸してよっ!」
「えええっ!だ、駄目ですよっ!」
ベソが言う。
「そ、そうですっ!会社側から絶対に渡さないように止められているんですよっ!」
ノッポが喚く。
「どうして渡せないのよ?!こっちは命がかかってるのよ?!」
2人の襟首を同時に掴んでグイッと顔を近付けると私は悪魔のように囁いた。
「いいの?仮にも私は乙女ゲーマなのよ?私の書くブログは常に上位にランクインで私の意見1つでそのゲームの売り上げが大きく変動すると言われている位なのに・・・。私がクリア後、このゲームの評価を低くしたら・・・一体どうなるのかしらね?」
「ヒッ!わ・・分かりました。渡します・・渡しますから、それだけは勘弁して下さっ!」
そしてベソは私に『ウィルス駆除機』を差し出してきた。ふむ・・見た目はこの間の害虫駆除で使用した『噴霧器』に形状は似ているけれども・・・。二つの機会には決定的な違いがあった。
ウィルス駆除機は金属製?のタンクの先頭に長さ1m程、直系5センチ程度のホースの様な物が取り付けられているのであった。
「使い方ですが・・この先端についているスイッチを押すとビームが発射されます。するとウィルスがこの電磁波で満たされたタンクに吸い込まれて破壊されます。」
「おおっ!これは・・・何て素晴らしいアイテムなの!どうして、私に渡そうとしなかったのよ?」
「そ、それが・・・。」
「あの・・・・。」
ベソとノッポが口籠る。
「ファンタジーの世界に似合わないと・・・。」
「近代的なアイテムは雰囲気を壊すって・・・。」
私はそれを聞いて耳を疑った。
「はあ?!何それ!そもそも乙女ゲームの世界にコンピューターウィルスが出た事自体が既に世界観を壊してるんじゃないっ!あ・・もしかしてこの間の害虫駆除のダンゴムシ・・・あれだって本当はコンピューターウィルスだったんじゃないの?!」
すると私の話に顔色を変えるノッポとベソ。
「ひょ、ひょっとして・・・私をこの世界に送り込んだのは・・このコンピューターウィルスを駆除させる為・・?」
「ち、違いますよっ!メインは乙女ゲームのバーチャルテストプレイです!ウィルス駆除はついでなんですよ!」
おお!ついにベソが真相を喋ったッ!
「馬・・馬鹿ッ!お前何口走ってるんだよっ!」
焦ったのはノッポの方だ。
「そう・・・やっぱりそういう言う事だったのね・・・?それで?ウィルスがいるのを知っていて、私をこの世界に連れてきたくせに。この便利アイテムを世界観が壊れるから渡すなと言われて・・・。だけどね、既に日本式のスーパー銭湯が出てきた事で十分世界観が壊れてると思うけど?おまけにこの間だって、害虫駆除で噴霧器を背負わされたり、火炎放射器を手渡されたり・・・。」
「うう・・・だ、だから この間、『ウィルス駆除ステッキ』をお渡ししたんじゃないですか・・・。」
「そう、あの雷が出てくる杖はそう言う名前のステッキなのね?」
ベソの言葉に私は頷く。
「いえ、特に名前なんか無いですよ。今、こいつが勝手にネーミングしただけですから。」
ノッポが親指でベソを指しながら言う。
その時・・・。
コンコン。
馬車のドアがノックされた。見ると、フレッドが眉間にしわを寄せながらこちらを見ている。
「うわあっ!は、早く行って下さいよっ!オ・俺達を睨んでるじゃないですかっ!」
ベソが震えながら言う。
「わ・・・分かったわよ。それじゃ・・・行って来るけど・・・。」
「「?」」
「毎日、私に会う時間を作って頂戴よっ?!貴方達・・・まだ当分ゲームの世界にいるんでしょう?」
「「駄目ですよっ!」」
声を揃えて言う2人に私は言った。
「貴方達がバイトでは無いの・・・もうバレてるんだからね?」
すると2人の肩が跳ねた。やっぱりね・・・。鎌をかけて正解だった。
「それじゃ、行ってきまーす。」
笑顔で言い、私は馬車を降りた。するとすぐにフレッドが声を掛けてきた。
「・・中で何を話していたんだ?」
「ええ。どんなモンスターなのか聞いてました。・・・私、やれそうです。」
ガッツポーズを取ると、フレッドが案の定尋ねて来た。
「ところで背中に背負っているのは何だ?」
「はい、あの方達が私でも扱えるモンスター討伐のアイテムを貸してくれたんですよ?」
「・・・何だか変わった形状をしているが・・・扱いは簡単なのか?」
「ええ、ばっちり覚えました。」
笑顔で答えると、フレッドは頬を染めてパッと視線を逸らせた。
「・・・お、俺がお前を守るから・・心配するな。」
「・・・ありがとうございます。」
チラリと好感度ゲージを見ると・・ウッ!5・・・増えてる・・・。ま、まずい・・。今日はなるべくアベルの側にいよう・・・。
「エリス、随分遅かったじゃ無いか?あいつらと何話していたんだ?」
アベルがイライラしながら私を見ている。
「申し訳ございませんでした。少しこちらのアイテムの使い方を教えて頂いていたおので・・。」
頭を下げて背負っているアイテムを見せた。
「うん?何だ・・?変わったアイテムだな?」
アベルとジェフリーがペタペタとウィルス駆除機に触れている。
「このボタンをモンスターに向けて押すと、中へ吸い込まれるんですよ。そして、この中で雷が発生して、モンスターを消滅させるそうです。これなら私だって戦えますよ。だから皆さんは私の事等気にせず、心置きなく戦って下さいね。」
私は笑顔で言った。
フフフ・・・きっとこのミッションは貰えるポイントが高いはず・・・。沢山ウィルスを駆除して、メイドのレベルを上げてやるんだか・・・・っ!
私はほくそ笑むと、ナイト達と一緒にダンジョンへ入って行った—。
3時間後—。
私達がダンジョンから戻って来ると、ノッポとベソが慌ててこちらへ向かって駆けよって来た。
「大丈夫でしたか?!エリスさんっ!」
「怪我はありませんでしたかっ?!」
そしてベソは私の両手を握りしめる。うん?何なんだ?この2人の態度は・・・?
すると・・・。
「おい、エリスに馴れ馴れしくするな。」
好感度の上がったアベルがベソの手をはたき落しながら言った。
「ああっ!す、すみません!」
しかし・・2人の態度が何か気になる。
「あの、後でお2人にお話があります。予定・・・空けておいて下さいね?」
「「はい・・・。」」
しかし、それを耳にした3人に何故か猛反対され・・・結局会う約束を取る事が出来なかった。
う~ん・・・。もしかして・・・嫉妬?されてるのだろうか・・?
しかし・・・中々ハードな闘いだった。
ダンジョンの内部は一本道で迷う事は無かったが。足場が悪く歩きにくかった。
アベルの『灯』の魔法が無ければ真っ暗で歩く事すら出来なかったし・・・・。
「それにしても・・・流石『白銀のナイト』様達はお強いですね。初めてその戦いぶりを見ましたが、感動しました!格好良くて素敵でしたよ!」
うん、流石乙女ゲームのイケメンヒーロー達は違った。ゲームスチル画面の如く戦い方が様になり・・・思わず見惚れてしまった位だしね・次々と襲ってくるモンスター(コンピューターウィルス)をものともせず、剣で戦う姿は本当に様になっていたな。
「う、うん・・・。お、お前も頑張ったよ、エリス。」
ジェフリーがポンと頭に手をやって褒めてくれた。
「そうですか?!ありがとうございますっ!」
まあ、私も頑張ったものね。このタンクには数えきれないほどのコンピューターウィルスが入っているのだ。多分100体以上は倒したんじゃないな?
一緒に戦って・・・好感度も上がったし・・・。って言うか。最早フレッドはやばいくらいに好感度が上がっている。彼の好感度は180を指しているのだ。
ほらっ!もう私を見る目が・・・完全に恋する男の目になってるよ・・・。
な、何とかしなければ・・・近日中に告白されてしまうかもしれないっ!
今の彼等の好感度は
フレッド 180
アベル 130
ジェフリー 125
となっている。
ど、どうしよう・・・・
「あの、エリス・・・。」
マズイっ!フレッドが話しかけようとしている。だが、丁度タイミングよく・・
「「エリスさんっ!」」
ノッポとベソが駆け寄って来た。
良し!ナイスなタイミングだ。
「すみません。預けていたアイテム、まだお返ししていませんでしたね。」
私はわざとらしく言いながら、『ウィルス駆除機』を背中から降ろすと2人に渡した。
「いえ、それでは一緒に馬車に乗って帰りましょう。」
ノッポがわざとらしく肩を抱き寄せると言った。
「「「!」」」
途端に凄い形相で睨み付ける白銀のナイト達。
チラリと見るとノッポの顔が青ざめている・・・。かもしれない。
「すみません。では私は馬車に乗ってこの方達と学園に戻りますので皆様は先にお戻りください。」
すると3人は馬にまたがり、皆私達を睨み付けるような視線で先に学園へ戻って行った・・・。
彼等が言った後、ノッポが喚いた。
「酷いじゃないですかっ!俺達・・完全に目を付けられましたよっ!」
「そうですよっ!特にフレッドさんの目・・・完全に殺気を宿していましたよっ!」
ベソとノッポが交互に喚く。
・・・実はこれ以上好感度を上げたくなかったので、白銀のナイト達に話しかけれたタイミングを見計らって、現れるように言っておいたのだ。
「まあ、これで貸し借りは無しと言う事ね?」
そして私は彼等に言った。
「・・・当然、今日はもうメイドの仕事・・・やらなくてもいいわよね?」
『ミッションクリアおめでとうございます。メイドのレベルが25に上がりました。この調子で頑張って下さい。15日目無事終了です。本日も1日お疲れさまでした。』
3人の白銀のナイト達に馬車から降りるように言われたけれども、少しだけ運営局員達と話があるから待っていて欲しいと私が頼んだ為、ナイト達は外で待機してくれている。
「それで?当然貴方達は一緒に来てくれるのよね?」
「ヒイッ!か、勘弁して下さいよっ!」
「そうですよ、お・俺達は既に一度この中へ入って・・・ウィルス駆除を行っているんですからっ!」
彼等は互いに情けない声を出して震えあがった。
「そう・・・そちらの会社では私1人を危険な目に遭わすと言う事ですね?」
青筋を浮かべながら笑みを浮かべる私を前に2人の男は震えあがっている。
「む・無理言わないで下さいよっ!俺達は・・・貴女と違ってレベルが低いんですからっ!そ、それでも最新式のウィルス駆除機を背負って・・・。」
1人の覆面男はどうやら・・・相当泣き虫らしい。既に涙声になっている。
「うん?ちょっと待って・・・。何?そのウィルス駆除機って?」
「ば、馬鹿ッ!お・・お前、何余計な事喋ってるんだよっ!」
もう1人の覆面男が・・・ってあー!ややこしいっ!
「ねえ!貴方達・・・名前教えなさいよ。」
「え・・?」
「な・・・名前・・ですか?」
「ええ、名前よ。」
「そ、それが・・・。」
「個人情報は・・・・。」
「そう、それなら私が勝手に貴方達の名前を付けるからね?!」
そして私は右側の背が高い男を指さすと言った。
「いい?貴方は今日から『ノッポ』よ!」
「えええ?!そ、そんな・・・『ノッポ』なんて・・・。」
よし、今度は左側の男だ!
「貴方は今日から『ベソ』よ!」
「な・何ですか・・・?その『ベソ』って・・・?」
「男のくせにすぐに泣くからに決まってるでしょう?」
「ひ・酷い・・・・。」
途端にベソはまた涙ぐむが・・・知った事では無い。大体自分達は秘密兵器を使ってウィルス駆除をし、今回は見守るだけなんて・・・・?
「そうだっ!その『ウィルス駆除機』とやらを私にも貸してよっ!」
「えええっ!だ、駄目ですよっ!」
ベソが言う。
「そ、そうですっ!会社側から絶対に渡さないように止められているんですよっ!」
ノッポが喚く。
「どうして渡せないのよ?!こっちは命がかかってるのよ?!」
2人の襟首を同時に掴んでグイッと顔を近付けると私は悪魔のように囁いた。
「いいの?仮にも私は乙女ゲーマなのよ?私の書くブログは常に上位にランクインで私の意見1つでそのゲームの売り上げが大きく変動すると言われている位なのに・・・。私がクリア後、このゲームの評価を低くしたら・・・一体どうなるのかしらね?」
「ヒッ!わ・・分かりました。渡します・・渡しますから、それだけは勘弁して下さっ!」
そしてベソは私に『ウィルス駆除機』を差し出してきた。ふむ・・見た目はこの間の害虫駆除で使用した『噴霧器』に形状は似ているけれども・・・。二つの機会には決定的な違いがあった。
ウィルス駆除機は金属製?のタンクの先頭に長さ1m程、直系5センチ程度のホースの様な物が取り付けられているのであった。
「使い方ですが・・この先端についているスイッチを押すとビームが発射されます。するとウィルスがこの電磁波で満たされたタンクに吸い込まれて破壊されます。」
「おおっ!これは・・・何て素晴らしいアイテムなの!どうして、私に渡そうとしなかったのよ?」
「そ、それが・・・。」
「あの・・・・。」
ベソとノッポが口籠る。
「ファンタジーの世界に似合わないと・・・。」
「近代的なアイテムは雰囲気を壊すって・・・。」
私はそれを聞いて耳を疑った。
「はあ?!何それ!そもそも乙女ゲームの世界にコンピューターウィルスが出た事自体が既に世界観を壊してるんじゃないっ!あ・・もしかしてこの間の害虫駆除のダンゴムシ・・・あれだって本当はコンピューターウィルスだったんじゃないの?!」
すると私の話に顔色を変えるノッポとベソ。
「ひょ、ひょっとして・・・私をこの世界に送り込んだのは・・このコンピューターウィルスを駆除させる為・・?」
「ち、違いますよっ!メインは乙女ゲームのバーチャルテストプレイです!ウィルス駆除はついでなんですよ!」
おお!ついにベソが真相を喋ったッ!
「馬・・馬鹿ッ!お前何口走ってるんだよっ!」
焦ったのはノッポの方だ。
「そう・・・やっぱりそういう言う事だったのね・・・?それで?ウィルスがいるのを知っていて、私をこの世界に連れてきたくせに。この便利アイテムを世界観が壊れるから渡すなと言われて・・・。だけどね、既に日本式のスーパー銭湯が出てきた事で十分世界観が壊れてると思うけど?おまけにこの間だって、害虫駆除で噴霧器を背負わされたり、火炎放射器を手渡されたり・・・。」
「うう・・・だ、だから この間、『ウィルス駆除ステッキ』をお渡ししたんじゃないですか・・・。」
「そう、あの雷が出てくる杖はそう言う名前のステッキなのね?」
ベソの言葉に私は頷く。
「いえ、特に名前なんか無いですよ。今、こいつが勝手にネーミングしただけですから。」
ノッポが親指でベソを指しながら言う。
その時・・・。
コンコン。
馬車のドアがノックされた。見ると、フレッドが眉間にしわを寄せながらこちらを見ている。
「うわあっ!は、早く行って下さいよっ!オ・俺達を睨んでるじゃないですかっ!」
ベソが震えながら言う。
「わ・・・分かったわよ。それじゃ・・・行って来るけど・・・。」
「「?」」
「毎日、私に会う時間を作って頂戴よっ?!貴方達・・・まだ当分ゲームの世界にいるんでしょう?」
「「駄目ですよっ!」」
声を揃えて言う2人に私は言った。
「貴方達がバイトでは無いの・・・もうバレてるんだからね?」
すると2人の肩が跳ねた。やっぱりね・・・。鎌をかけて正解だった。
「それじゃ、行ってきまーす。」
笑顔で言い、私は馬車を降りた。するとすぐにフレッドが声を掛けてきた。
「・・中で何を話していたんだ?」
「ええ。どんなモンスターなのか聞いてました。・・・私、やれそうです。」
ガッツポーズを取ると、フレッドが案の定尋ねて来た。
「ところで背中に背負っているのは何だ?」
「はい、あの方達が私でも扱えるモンスター討伐のアイテムを貸してくれたんですよ?」
「・・・何だか変わった形状をしているが・・・扱いは簡単なのか?」
「ええ、ばっちり覚えました。」
笑顔で答えると、フレッドは頬を染めてパッと視線を逸らせた。
「・・・お、俺がお前を守るから・・心配するな。」
「・・・ありがとうございます。」
チラリと好感度ゲージを見ると・・ウッ!5・・・増えてる・・・。ま、まずい・・。今日はなるべくアベルの側にいよう・・・。
「エリス、随分遅かったじゃ無いか?あいつらと何話していたんだ?」
アベルがイライラしながら私を見ている。
「申し訳ございませんでした。少しこちらのアイテムの使い方を教えて頂いていたおので・・。」
頭を下げて背負っているアイテムを見せた。
「うん?何だ・・?変わったアイテムだな?」
アベルとジェフリーがペタペタとウィルス駆除機に触れている。
「このボタンをモンスターに向けて押すと、中へ吸い込まれるんですよ。そして、この中で雷が発生して、モンスターを消滅させるそうです。これなら私だって戦えますよ。だから皆さんは私の事等気にせず、心置きなく戦って下さいね。」
私は笑顔で言った。
フフフ・・・きっとこのミッションは貰えるポイントが高いはず・・・。沢山ウィルスを駆除して、メイドのレベルを上げてやるんだか・・・・っ!
私はほくそ笑むと、ナイト達と一緒にダンジョンへ入って行った—。
3時間後—。
私達がダンジョンから戻って来ると、ノッポとベソが慌ててこちらへ向かって駆けよって来た。
「大丈夫でしたか?!エリスさんっ!」
「怪我はありませんでしたかっ?!」
そしてベソは私の両手を握りしめる。うん?何なんだ?この2人の態度は・・・?
すると・・・。
「おい、エリスに馴れ馴れしくするな。」
好感度の上がったアベルがベソの手をはたき落しながら言った。
「ああっ!す、すみません!」
しかし・・2人の態度が何か気になる。
「あの、後でお2人にお話があります。予定・・・空けておいて下さいね?」
「「はい・・・。」」
しかし、それを耳にした3人に何故か猛反対され・・・結局会う約束を取る事が出来なかった。
う~ん・・・。もしかして・・・嫉妬?されてるのだろうか・・?
しかし・・・中々ハードな闘いだった。
ダンジョンの内部は一本道で迷う事は無かったが。足場が悪く歩きにくかった。
アベルの『灯』の魔法が無ければ真っ暗で歩く事すら出来なかったし・・・・。
「それにしても・・・流石『白銀のナイト』様達はお強いですね。初めてその戦いぶりを見ましたが、感動しました!格好良くて素敵でしたよ!」
うん、流石乙女ゲームのイケメンヒーロー達は違った。ゲームスチル画面の如く戦い方が様になり・・・思わず見惚れてしまった位だしね・次々と襲ってくるモンスター(コンピューターウィルス)をものともせず、剣で戦う姿は本当に様になっていたな。
「う、うん・・・。お、お前も頑張ったよ、エリス。」
ジェフリーがポンと頭に手をやって褒めてくれた。
「そうですか?!ありがとうございますっ!」
まあ、私も頑張ったものね。このタンクには数えきれないほどのコンピューターウィルスが入っているのだ。多分100体以上は倒したんじゃないな?
一緒に戦って・・・好感度も上がったし・・・。って言うか。最早フレッドはやばいくらいに好感度が上がっている。彼の好感度は180を指しているのだ。
ほらっ!もう私を見る目が・・・完全に恋する男の目になってるよ・・・。
な、何とかしなければ・・・近日中に告白されてしまうかもしれないっ!
今の彼等の好感度は
フレッド 180
アベル 130
ジェフリー 125
となっている。
ど、どうしよう・・・・
「あの、エリス・・・。」
マズイっ!フレッドが話しかけようとしている。だが、丁度タイミングよく・・
「「エリスさんっ!」」
ノッポとベソが駆け寄って来た。
良し!ナイスなタイミングだ。
「すみません。預けていたアイテム、まだお返ししていませんでしたね。」
私はわざとらしく言いながら、『ウィルス駆除機』を背中から降ろすと2人に渡した。
「いえ、それでは一緒に馬車に乗って帰りましょう。」
ノッポがわざとらしく肩を抱き寄せると言った。
「「「!」」」
途端に凄い形相で睨み付ける白銀のナイト達。
チラリと見るとノッポの顔が青ざめている・・・。かもしれない。
「すみません。では私は馬車に乗ってこの方達と学園に戻りますので皆様は先にお戻りください。」
すると3人は馬にまたがり、皆私達を睨み付けるような視線で先に学園へ戻って行った・・・。
彼等が言った後、ノッポが喚いた。
「酷いじゃないですかっ!俺達・・完全に目を付けられましたよっ!」
「そうですよっ!特にフレッドさんの目・・・完全に殺気を宿していましたよっ!」
ベソとノッポが交互に喚く。
・・・実はこれ以上好感度を上げたくなかったので、白銀のナイト達に話しかけれたタイミングを見計らって、現れるように言っておいたのだ。
「まあ、これで貸し借りは無しと言う事ね?」
そして私は彼等に言った。
「・・・当然、今日はもうメイドの仕事・・・やらなくてもいいわよね?」
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