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第5日目 初めての休日 —中編―
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『エタニティス学園』には専用の駅がある。この駅から様々な場所へ電車で出かける事が出来るのだが・・・。
「おい、エリス。お前は何処の町へ行きたいんだ?」
切符売り場で突然グルリと顔を向けて、オリバーが声を掛けて来た。
「う~ん・・・そうですね・・・・。あまり学園の生徒達が行かない町へ行こうかなと思います。だって、私みたいなのと一緒にいたらオリバー様が白い目で見られるかもしれないじゃないですか。」
私が言うと、オリバーは何故か口をぽかんと開けて私を見ている。
「おい・・エリス。お前・・・本気でそんな事を考えているのか?」
「はい、勿論ですよ。それに・・・なるべく私は目立ちたくないんですよ。」
それもこれも貴方が私に勝手について来たからでしょうが!1人だったら帽子を目深にかぶっていれば、あの悪役令嬢の『エリス』だとばれないでしょうけど・・・。
「俺は・・誰もお前だと気付かないと思うけどなあ・・・。」
のんびりと言うオリバー。
「いやいや、そんな事無いですって。きっとすぐにバレますよ。」
だから早く一番辺境?の町へ行きましょうよっ!
「いーや、そんな事は絶対ないな。よし、バレるかバレないか実際に町へ行ってみようぜ。よし!ここから一番近い『コルト』の町へ行こう!」
え・・・?コルト・・・コルト・・・どんな町だったっけ・・・?ゲームの記憶を必死に手繰り寄せ・・・思い出したっ!
「な・な・な、何言ってるんですかっ!駄目ですよ!『コルト』はこの国の首都じゃないですかっ!そ、それに・・・一番学生も多くいるじゃないですかっ!」
「まあいいから。それじゃバレるかバレないか・・・賭けをしようぜ。」
オリバーはニヤニヤしながら私を見下ろしている。
「賭け・・・ですか?」
「そう、賭けだ。」
「お金をかけるのですか?賭け事をすると下手をすれば退学になりますよ?」
私が言うとオリバーは顔を真っ赤にして言った。
「誰が!金なんか賭けるか!そうだな・・・。もし俺が勝ったら・・来週のコンテストにペアで参加してもらおうかな?」
「コンテスト・・・?一体何のコンテストがあるんですか?」
「ああ、剣の技術がどれだけあるのかを競い合うコンテストがあるんだ。例えば1分間に何回素振りができるかと上から落ちて来る葉っぱを切り裂く事が出来るかとか・・・。」
「ちょ、ちょっと待って下さいっ!私は剣なんて使えません!参加できるわけないじゃないですかっ!」
目の前にいるこのオリバーという男は突然何を言い出すのだろう!大体剣なんて触った事も無いのにコンテストになんか参加できるはずがない!
「いーや、別にエリスは剣を持たなくてもいい。ただ、少しだけ助手をしてくれるだけでいいからさ。」
「それでも嫌ですよ。だって私が参加したら皆さんにバレてしまいます。エリスは学園中の嫌われ者なんですよ?皆さんから白い目で見られるのは流石に耐えがたいです。」
よし、ここは何としてもコンテストのペアの相手に私を選ぶのは諦めて貰わなければ・・・。エリスじゃ泣き落としなんて技?は通用しないかもしれないけれど・・・。
わざと涙目を必死で作って、上目遣いにオリバーを見つめて、訴える。
「お願いですから・・・賭けは無しにして下さい・・・。」
そしてなるべくオリバーから距離を取って・・・。
じ~ッ・・・。
すると・・・。
「わ・・分かったよっ!分かったから・・・・そんな目で見るなってっ!賭けは無しにするからっ!」
不意に視線を逸らせて顔を逸らせるオリバー。しかし・・・何故か彼の耳が赤く染まっている事に気が付いた。更に驚くべき事に頭の上に浮かぶ好感度のゲージが少し上昇している。先程は数値が5を示していたのに、今は10にまで数値が上昇している。え?嘘!な・・何で・・・?
「そ、それじゃ・・・代わりと言っては何だが・・・。」
オリバーがそこまで言いかけた時、突然背後から声が聞こえた。
「よお!オリバーッ!お前、切符売り場で何してるんだよ。何処かに出掛けるつもりだったのか?」
「げ!トビーに・・・セネカ・・・。」
オリバーが何故か狼狽えている。ああ・・・そうか、私と一緒にいるからだな。それならやはりここで私は退散して、オリバーには彼等と行動を共にして貰おう。友人同士みたいだしね。
知り合いと思われるもの嫌だろうから、ここは黙って立ち去って・・・。
オリバーの横を通り過ぎようとすると、突然腕を掴まれて引き戻される。
「おい、何処へ行くつもりだ?」
オリバーが恨めしそうに私を見ている。え?え?何で?こっちは気を利かせて立ち去ろうとしているのに・・・・。何だかまるで捨てられた犬のような目をしている。
「何だ?オリバー。お前・・・ひょっとして・・デートしていたのか?」
「え・・・?マジか・・・?」
どちらかがトビーとセネカの2人がものすごく驚いて私とオリバーを見ている。
どうやら2人は私があの『エリス』だとは気が付いていないようだ。
多分帽子を目深にかぶっているからだろう。
「へえ~どんな顔してるんだよ。ちょと失礼。」
1人の学生が私の帽子に手をかける。ちょ、ちょっとっ!
「おい!何するんだ!セネカッ!」
オリバーが止めようとするも時すでに遅し・・・。
帽子が外れ、バサッとエリスのブロンドヘアが肩にこぼれる・・・。
「「・・・・。」」
2人の男子学生は呆けたように私の顔を見ている。
「へえ~。」
先ほどセネカと呼ばれた学生がマジマジと私の顔を見ると言った。
「君・・・物凄く美人だね。」
え?今・・・何て言ったの?
「ああ。驚いたな・・・。まさかオリバーがこんな可愛い女の子とデートしてるなんてな。」
え?この人も私が誰か気付いていないの?
「君・・・何て名前なのさ。」
突然セネカが私の髪の毛を一房すくいあげると、眼前に迫って来た。何?この男。
私が誰か分からないの?ならば・・・。
「私はエリス・ベネットですけど。」
「げっ!」
「嘘だろうっ!」
大袈裟にのけぞるトビーとセネカ。へ~そんなに前のエリスと今のエリスじゃ別人のように違うのか。
「おい!オリバーッ。お前・・・あのエリスだって知ってたのか?」
セネカがオリバーの肩に手を回しながら言う。
「お、俺は・・・。」
オリバーが言いかけるとセネカが今度は声を掛けて来た。
「分かった、お前・・・また女に騙された?全く・・ほんとに
懲りない奴だな。」
そして私を振り向くとセネカは冷たい視線を投げかけると言った。
「おい!エリスッ!お前・・・白銀のナイトだけでは飽き足らず、今度はオリバーにまで手を出そうとしていたのか?!早く何処へなりとも行けっ!俺達の前から早く立去れよっ!」
そして手でシッシッと追い払う真似をする。
「そうだっ!早く行けっ!」
私は呆れた顔で二人を交互に見つめた。元はと言えば、オリバーが勝手に私に付いてきて、こんな事になったのに・・・・。だけど・・
私はチラリとオリバーを見ると、彼はばつが悪そうに視線を逸らせている。
・・・仕方無いか。
「はい、申し訳ございませんでした。それでは失礼致します。」
ペコリと頭を下げると、足早にその場を立ち去った。去り際にチラリとオリバーの好感度のゲージを見ると・・・何故か好感度が20に上昇していた—。
まあ、別にどうでもいいけどね・・・。
トボトボと歩きながら私は空を見上げてため息をついた。
本当は電車に乗って、この学園から離れた町へ行こうと思っていたが、切符売り場には彼等がいるので戻る訳にはいかない。
仕方ない・・・・。歩いて『コルト』の町まで行こう。あの町ならここから徒歩で行っても15分程で着きそうだ。
今度こそ誰にも声を掛けられないようにしなくては。
帽子をより深く目深にかぶると、私は一心不乱に『コルト』の町目指して歩き続けた。
30分後—
「や、やった・・・つ、ついに到着した・・・。」
息を切らしながらすぐ側にあったベンチに腰を下ろすと足を延ばした。
それにしても甘かった。まさかこんなに『コルト』の町が遠いとは思わなかった。とんだ誤算だ—。
腕時計を見ると時刻は既に11時を過ぎている。これではもう朝食よりも昼食を取る時間だ。
「どこで食事しようかな・・・。」
辺りをキョロキョロ見渡す。
出来るだけ目立ちたくは無いから、一番寂れていそうな店を探して・・・。
私はメイン通りから外れた裏通りに出てみた。
すると1軒、妙に古めかしい店が目に入った。表にメニューの看板らしきものが出ているのでひょっとするとあそこは飲食店なのかもしれない。
「どれ・・・ちょっと行ってみようかな。」
「ふ~ん・・・。ここはカフェみたいなものかあ。」
お店の外のお品書きには10数種類のコーヒーの他にサンドイッチやハンバーガー、パスタなどの軽食メニューが記載されている。店の窓から中を覗いてみると客はまばらで、学園の生徒らしき人達はいないようだ。
よし、ここに入ろう。
私は店のドアを開けて中へと入った―。
「ふう~。美味しかった・・・。」
私は食後のコーヒーを飲みつつ満足げに言った。それにしてもこの店は穴場だった。寂れた雰囲気の店に、まばらな客・・・。きっと味も大したことが無いだろうと思っていたが、それは大間違いだった。私はパスタを注文したのだが、どうやら麺も自家製らしく、腰が強くてモチモチしているのでソースに良く絡んでとても美味しかったし、コーヒーも豆から拘っているのか、引き立ての良い香りが鼻孔をくすぐる。文句なしの味だ。
「この店、気に入った。また来ようかな。」
そしてお店から出る為にたちあがろうとした時、店内のドアがカランカランと鳴り響いた。
うん?誰か来たのかな・・?
何気なくその方向を見て私は思わず声が出そうになってしまった。
え?嘘っ!な・何で・・ここに来ているのよ・・・っ!
フレッド・モリス・・。正直私が苦手な人物・・・その彼が、何故ここに・・・・?
よ、よし・・・。彼が席に着いたら帽子を目深にかぶってお金を払ってこの店を出る。うん、そうしよう。
私はフレッドの様子を注意深く観察する事にした・・・。
フレッドは店内を見渡し、一番奥の窓際の席に着席した。よし、いまだっ!
そっとバレないうように席を立つと、店のカウンターまで行き呼び鈴を鳴らす。
チリンチリン
しーん・・。
誰も来ない・・・・。私はチラリとフレッドの様子をうかがうも、彼は私に今のところ気付く気配が無い。よ、よし・・・もういちど・・・。
チリンチリン
いそがしいのだろうか・・・?そう思い、店の奥を覗きに行こうとした時・・・。
「おい!そこの姉ちゃんっ!」
いきなり近くのテーブルに座っていた男に声を掛けられた。
「・・・?」
恐る恐る振り返ると、何とこの男は昼間からアルコールの匂いをプンプンさせている。うわあ・・・酔っ払いだあ・・。
「うるせえんだよっ!さっきからチリンチリン鐘を鳴らしやがって・・・!」
男は立ち上がって私を見下ろす。
で・・・でかい・・・っ!何て大男なのだろう。見上げると首が痛くなりそうだ。
「あ、あ、あの・・す、すみませんでした・・・。煩くしてしまい・・・。」
震える声で謝罪するも、大男の怒りは収まらない。
「いーや、そんな詫びじゃ治まらないんだよっ!」
そして私を凝視すると言った。
「・・・へえ。あんた・・・よく見ると大層ベッピンじゃねえかっ!」
こんな大男にベッピンと言われても嬉しくも何ともない、それより・・・早くお店の人・・・気が付いてよ。助けてよ・・・。
他の客を見渡すも、誰もが知らんぷりしている。ど・・どうしよう・・。
その時、鋭い声がすぐ側で聞こえた。
「おい!やめろ!その女性が嫌がっているだろう?!」
え・・・?その声は・・・?
驚いて振り向くとそこに立っていたのは先ほどのフレッドだった。
「何だあ?貴様・・・。部外者は黙って・・・・。」
大男が言い終わらぬうちに・・・。
ヒュンッ!
何か風を切る音が聞こえた。え・・・?何の音・・・?
見ると、何と大男の首に剣を突き付けているフレッドの姿がそこにあった。
ヒエエエエッ!な、何で剣を抜いてるのよ!
「あ・・・。」
これには流石の大男も驚いたのか頬から冷汗を流している。
「二度は言わない・・・。」
冷たい瞳を宿した表情でフレッドは言う。
「わ・・・分かった・・か、勘弁してくれ・・・。」
それを聞くとフレッドは無言で剣をカチャリと元のさやに収める。
そして大男はテーブルの上にお金を置くと、逃げるように店から走り去って行った。
「・・・大丈夫だったか?」
フレッドはこちらを振り向くと声を掛けて来た。
その時、いつもの音とともに液晶画面が表示された。
『攻略対象が現れました。次の選択肢から選んでください。』
1 素直に礼を言う。
2 何かお礼をさせてくださいと言う。
3 頭だけ下げて無言で立ち去る。
う~ん・・・ここ無難に1を選択しておこう。
「どうも危ない所を絶付けて頂き、ありがとうございました。
そして頭を下げる。
「いや・・・別に気にする事は無い。」
「それでは失礼致します。」
そして店をでていこうとすると、何故か呼び止められた。
「おい、少し待て。」
え~・・もう私に用事なんか無いでしょう・・?
「まだ近くにあの男がいるかもしれない。この辺りは人通りも少ないし・・・安全な場所へ出るまで付いて行ってやろう。」
じょ、冗談じゃ無いよっ!
「あ、あの・・・・昼食を食べにいらしたんですよね?私の事はお構いなく・・・。」
「いや、いい。遠慮はするな。か弱い女性は守るようにと日頃からいわれ続けているから気にする事は無い。」
「はい・・・・。」
そして私とフレッドは店の外へと出た。そして・・・液晶画面のパネルが表示される事は無かった・・・・。
「それにしても女のくせにあんなさびれた店で食事をしていたのか?普通女性はもっと、明るく、綺麗な店内で食事をする事好むはずだが?そう・・・彼女のように・・。」
彼女・・・ああ、オリビアの事か・・・このフレッドという男は・・・最も寡黙の癖にその心は一番情熱的で、誰よりもオリビアに愛を捧げた男性だったっけな・・・。その為、一番エリスの事を憎んだのも彼だった。
こうなったら・・絶対に私は自分の正体がバレる訳にはいかない—。
「どうした?黙っていないで何か答えないのか?」
いけない!フレッドに怪しまれてしまう!
「そ、そんな事は無いと思いますけど?少なくとも私は外見だけで、物事を判断しませんから・・・。」
値障りのない返事をする。
その時—。
突然強い風が吹き、私の帽子が飛ばされてフレッドの前に顔を晒してしまった。
「・・・・。」
フレッドは私の顔を見るとハッという表情を浮かべた。
私の帽子は風に舞い上げられ、宙に舞う。
「あ!ぼ、帽子がッ!」
思わず叫ぶと、フレッドは驚くべき跳躍力でジャンプすると、片手で帽子をキャッチし、私に手渡すと言った。
「お前・・・・ひょっとすると・・エリスか・・・?」
「はい・・・エリスです・・・。」
「おい、だったら何故すぐに名乗らなかった?俺にすぐ気が付いたんだろう?何故助けを求めなかったのだ?」
フレッドが立て続けに言う。そんなの・・・・。
「そんな事・・・出来ませんよ・・。だってモリス様はオリビア様の件で私を憎んでらっしゃいますから・・・。」
その言葉を聞き、私はフレッドが息を飲む気配を感じた。そして、気付けば大通りに出ていた。
「モリス様。助けて頂き、ありがとうございました。もう、ここまでで大丈夫ですから。」
そして頭を下げて立ち去ろうとしたところをフレッドに呼び止められた。
「エリス、待て。」
「はい、何でしょうか?」
「実は・・この間話してくれたハーブの店・・確か『オドル』と言ったか…?案内してくれないか?」
すると再び液晶画面が表示される。
『 1 断る
2 案内する
3 場所だけ教える 』
これは・・・もう案内するしかないでしょう・・・。
「モリス様。ではご案内いたしますね。」
この町のマップは既に掌握済みだ。私は迷うことなくフレッドを案内する事が出来た。
「ありがとう、エリス。感謝する。」
店に着くとフレッドが初めて私に笑みを浮かべた。え・・・信じられない。あのフレッドがエリスに笑いかけるなんて・・・・・。
そしてフレッドの好感度の値はマイナス70になっていた—。
「おい、エリス。お前は何処の町へ行きたいんだ?」
切符売り場で突然グルリと顔を向けて、オリバーが声を掛けて来た。
「う~ん・・・そうですね・・・・。あまり学園の生徒達が行かない町へ行こうかなと思います。だって、私みたいなのと一緒にいたらオリバー様が白い目で見られるかもしれないじゃないですか。」
私が言うと、オリバーは何故か口をぽかんと開けて私を見ている。
「おい・・エリス。お前・・・本気でそんな事を考えているのか?」
「はい、勿論ですよ。それに・・・なるべく私は目立ちたくないんですよ。」
それもこれも貴方が私に勝手について来たからでしょうが!1人だったら帽子を目深にかぶっていれば、あの悪役令嬢の『エリス』だとばれないでしょうけど・・・。
「俺は・・誰もお前だと気付かないと思うけどなあ・・・。」
のんびりと言うオリバー。
「いやいや、そんな事無いですって。きっとすぐにバレますよ。」
だから早く一番辺境?の町へ行きましょうよっ!
「いーや、そんな事は絶対ないな。よし、バレるかバレないか実際に町へ行ってみようぜ。よし!ここから一番近い『コルト』の町へ行こう!」
え・・・?コルト・・・コルト・・・どんな町だったっけ・・・?ゲームの記憶を必死に手繰り寄せ・・・思い出したっ!
「な・な・な、何言ってるんですかっ!駄目ですよ!『コルト』はこの国の首都じゃないですかっ!そ、それに・・・一番学生も多くいるじゃないですかっ!」
「まあいいから。それじゃバレるかバレないか・・・賭けをしようぜ。」
オリバーはニヤニヤしながら私を見下ろしている。
「賭け・・・ですか?」
「そう、賭けだ。」
「お金をかけるのですか?賭け事をすると下手をすれば退学になりますよ?」
私が言うとオリバーは顔を真っ赤にして言った。
「誰が!金なんか賭けるか!そうだな・・・。もし俺が勝ったら・・来週のコンテストにペアで参加してもらおうかな?」
「コンテスト・・・?一体何のコンテストがあるんですか?」
「ああ、剣の技術がどれだけあるのかを競い合うコンテストがあるんだ。例えば1分間に何回素振りができるかと上から落ちて来る葉っぱを切り裂く事が出来るかとか・・・。」
「ちょ、ちょっと待って下さいっ!私は剣なんて使えません!参加できるわけないじゃないですかっ!」
目の前にいるこのオリバーという男は突然何を言い出すのだろう!大体剣なんて触った事も無いのにコンテストになんか参加できるはずがない!
「いーや、別にエリスは剣を持たなくてもいい。ただ、少しだけ助手をしてくれるだけでいいからさ。」
「それでも嫌ですよ。だって私が参加したら皆さんにバレてしまいます。エリスは学園中の嫌われ者なんですよ?皆さんから白い目で見られるのは流石に耐えがたいです。」
よし、ここは何としてもコンテストのペアの相手に私を選ぶのは諦めて貰わなければ・・・。エリスじゃ泣き落としなんて技?は通用しないかもしれないけれど・・・。
わざと涙目を必死で作って、上目遣いにオリバーを見つめて、訴える。
「お願いですから・・・賭けは無しにして下さい・・・。」
そしてなるべくオリバーから距離を取って・・・。
じ~ッ・・・。
すると・・・。
「わ・・分かったよっ!分かったから・・・・そんな目で見るなってっ!賭けは無しにするからっ!」
不意に視線を逸らせて顔を逸らせるオリバー。しかし・・・何故か彼の耳が赤く染まっている事に気が付いた。更に驚くべき事に頭の上に浮かぶ好感度のゲージが少し上昇している。先程は数値が5を示していたのに、今は10にまで数値が上昇している。え?嘘!な・・何で・・・?
「そ、それじゃ・・・代わりと言っては何だが・・・。」
オリバーがそこまで言いかけた時、突然背後から声が聞こえた。
「よお!オリバーッ!お前、切符売り場で何してるんだよ。何処かに出掛けるつもりだったのか?」
「げ!トビーに・・・セネカ・・・。」
オリバーが何故か狼狽えている。ああ・・・そうか、私と一緒にいるからだな。それならやはりここで私は退散して、オリバーには彼等と行動を共にして貰おう。友人同士みたいだしね。
知り合いと思われるもの嫌だろうから、ここは黙って立ち去って・・・。
オリバーの横を通り過ぎようとすると、突然腕を掴まれて引き戻される。
「おい、何処へ行くつもりだ?」
オリバーが恨めしそうに私を見ている。え?え?何で?こっちは気を利かせて立ち去ろうとしているのに・・・・。何だかまるで捨てられた犬のような目をしている。
「何だ?オリバー。お前・・・ひょっとして・・デートしていたのか?」
「え・・・?マジか・・・?」
どちらかがトビーとセネカの2人がものすごく驚いて私とオリバーを見ている。
どうやら2人は私があの『エリス』だとは気が付いていないようだ。
多分帽子を目深にかぶっているからだろう。
「へえ~どんな顔してるんだよ。ちょと失礼。」
1人の学生が私の帽子に手をかける。ちょ、ちょっとっ!
「おい!何するんだ!セネカッ!」
オリバーが止めようとするも時すでに遅し・・・。
帽子が外れ、バサッとエリスのブロンドヘアが肩にこぼれる・・・。
「「・・・・。」」
2人の男子学生は呆けたように私の顔を見ている。
「へえ~。」
先ほどセネカと呼ばれた学生がマジマジと私の顔を見ると言った。
「君・・・物凄く美人だね。」
え?今・・・何て言ったの?
「ああ。驚いたな・・・。まさかオリバーがこんな可愛い女の子とデートしてるなんてな。」
え?この人も私が誰か気付いていないの?
「君・・・何て名前なのさ。」
突然セネカが私の髪の毛を一房すくいあげると、眼前に迫って来た。何?この男。
私が誰か分からないの?ならば・・・。
「私はエリス・ベネットですけど。」
「げっ!」
「嘘だろうっ!」
大袈裟にのけぞるトビーとセネカ。へ~そんなに前のエリスと今のエリスじゃ別人のように違うのか。
「おい!オリバーッ。お前・・・あのエリスだって知ってたのか?」
セネカがオリバーの肩に手を回しながら言う。
「お、俺は・・・。」
オリバーが言いかけるとセネカが今度は声を掛けて来た。
「分かった、お前・・・また女に騙された?全く・・ほんとに
懲りない奴だな。」
そして私を振り向くとセネカは冷たい視線を投げかけると言った。
「おい!エリスッ!お前・・・白銀のナイトだけでは飽き足らず、今度はオリバーにまで手を出そうとしていたのか?!早く何処へなりとも行けっ!俺達の前から早く立去れよっ!」
そして手でシッシッと追い払う真似をする。
「そうだっ!早く行けっ!」
私は呆れた顔で二人を交互に見つめた。元はと言えば、オリバーが勝手に私に付いてきて、こんな事になったのに・・・・。だけど・・
私はチラリとオリバーを見ると、彼はばつが悪そうに視線を逸らせている。
・・・仕方無いか。
「はい、申し訳ございませんでした。それでは失礼致します。」
ペコリと頭を下げると、足早にその場を立ち去った。去り際にチラリとオリバーの好感度のゲージを見ると・・・何故か好感度が20に上昇していた—。
まあ、別にどうでもいいけどね・・・。
トボトボと歩きながら私は空を見上げてため息をついた。
本当は電車に乗って、この学園から離れた町へ行こうと思っていたが、切符売り場には彼等がいるので戻る訳にはいかない。
仕方ない・・・・。歩いて『コルト』の町まで行こう。あの町ならここから徒歩で行っても15分程で着きそうだ。
今度こそ誰にも声を掛けられないようにしなくては。
帽子をより深く目深にかぶると、私は一心不乱に『コルト』の町目指して歩き続けた。
30分後—
「や、やった・・・つ、ついに到着した・・・。」
息を切らしながらすぐ側にあったベンチに腰を下ろすと足を延ばした。
それにしても甘かった。まさかこんなに『コルト』の町が遠いとは思わなかった。とんだ誤算だ—。
腕時計を見ると時刻は既に11時を過ぎている。これではもう朝食よりも昼食を取る時間だ。
「どこで食事しようかな・・・。」
辺りをキョロキョロ見渡す。
出来るだけ目立ちたくは無いから、一番寂れていそうな店を探して・・・。
私はメイン通りから外れた裏通りに出てみた。
すると1軒、妙に古めかしい店が目に入った。表にメニューの看板らしきものが出ているのでひょっとするとあそこは飲食店なのかもしれない。
「どれ・・・ちょっと行ってみようかな。」
「ふ~ん・・・。ここはカフェみたいなものかあ。」
お店の外のお品書きには10数種類のコーヒーの他にサンドイッチやハンバーガー、パスタなどの軽食メニューが記載されている。店の窓から中を覗いてみると客はまばらで、学園の生徒らしき人達はいないようだ。
よし、ここに入ろう。
私は店のドアを開けて中へと入った―。
「ふう~。美味しかった・・・。」
私は食後のコーヒーを飲みつつ満足げに言った。それにしてもこの店は穴場だった。寂れた雰囲気の店に、まばらな客・・・。きっと味も大したことが無いだろうと思っていたが、それは大間違いだった。私はパスタを注文したのだが、どうやら麺も自家製らしく、腰が強くてモチモチしているのでソースに良く絡んでとても美味しかったし、コーヒーも豆から拘っているのか、引き立ての良い香りが鼻孔をくすぐる。文句なしの味だ。
「この店、気に入った。また来ようかな。」
そしてお店から出る為にたちあがろうとした時、店内のドアがカランカランと鳴り響いた。
うん?誰か来たのかな・・?
何気なくその方向を見て私は思わず声が出そうになってしまった。
え?嘘っ!な・何で・・ここに来ているのよ・・・っ!
フレッド・モリス・・。正直私が苦手な人物・・・その彼が、何故ここに・・・・?
よ、よし・・・。彼が席に着いたら帽子を目深にかぶってお金を払ってこの店を出る。うん、そうしよう。
私はフレッドの様子を注意深く観察する事にした・・・。
フレッドは店内を見渡し、一番奥の窓際の席に着席した。よし、いまだっ!
そっとバレないうように席を立つと、店のカウンターまで行き呼び鈴を鳴らす。
チリンチリン
しーん・・。
誰も来ない・・・・。私はチラリとフレッドの様子をうかがうも、彼は私に今のところ気付く気配が無い。よ、よし・・・もういちど・・・。
チリンチリン
いそがしいのだろうか・・・?そう思い、店の奥を覗きに行こうとした時・・・。
「おい!そこの姉ちゃんっ!」
いきなり近くのテーブルに座っていた男に声を掛けられた。
「・・・?」
恐る恐る振り返ると、何とこの男は昼間からアルコールの匂いをプンプンさせている。うわあ・・・酔っ払いだあ・・。
「うるせえんだよっ!さっきからチリンチリン鐘を鳴らしやがって・・・!」
男は立ち上がって私を見下ろす。
で・・・でかい・・・っ!何て大男なのだろう。見上げると首が痛くなりそうだ。
「あ、あ、あの・・す、すみませんでした・・・。煩くしてしまい・・・。」
震える声で謝罪するも、大男の怒りは収まらない。
「いーや、そんな詫びじゃ治まらないんだよっ!」
そして私を凝視すると言った。
「・・・へえ。あんた・・・よく見ると大層ベッピンじゃねえかっ!」
こんな大男にベッピンと言われても嬉しくも何ともない、それより・・・早くお店の人・・・気が付いてよ。助けてよ・・・。
他の客を見渡すも、誰もが知らんぷりしている。ど・・どうしよう・・。
その時、鋭い声がすぐ側で聞こえた。
「おい!やめろ!その女性が嫌がっているだろう?!」
え・・・?その声は・・・?
驚いて振り向くとそこに立っていたのは先ほどのフレッドだった。
「何だあ?貴様・・・。部外者は黙って・・・・。」
大男が言い終わらぬうちに・・・。
ヒュンッ!
何か風を切る音が聞こえた。え・・・?何の音・・・?
見ると、何と大男の首に剣を突き付けているフレッドの姿がそこにあった。
ヒエエエエッ!な、何で剣を抜いてるのよ!
「あ・・・。」
これには流石の大男も驚いたのか頬から冷汗を流している。
「二度は言わない・・・。」
冷たい瞳を宿した表情でフレッドは言う。
「わ・・・分かった・・か、勘弁してくれ・・・。」
それを聞くとフレッドは無言で剣をカチャリと元のさやに収める。
そして大男はテーブルの上にお金を置くと、逃げるように店から走り去って行った。
「・・・大丈夫だったか?」
フレッドはこちらを振り向くと声を掛けて来た。
その時、いつもの音とともに液晶画面が表示された。
『攻略対象が現れました。次の選択肢から選んでください。』
1 素直に礼を言う。
2 何かお礼をさせてくださいと言う。
3 頭だけ下げて無言で立ち去る。
う~ん・・・ここ無難に1を選択しておこう。
「どうも危ない所を絶付けて頂き、ありがとうございました。
そして頭を下げる。
「いや・・・別に気にする事は無い。」
「それでは失礼致します。」
そして店をでていこうとすると、何故か呼び止められた。
「おい、少し待て。」
え~・・もう私に用事なんか無いでしょう・・?
「まだ近くにあの男がいるかもしれない。この辺りは人通りも少ないし・・・安全な場所へ出るまで付いて行ってやろう。」
じょ、冗談じゃ無いよっ!
「あ、あの・・・・昼食を食べにいらしたんですよね?私の事はお構いなく・・・。」
「いや、いい。遠慮はするな。か弱い女性は守るようにと日頃からいわれ続けているから気にする事は無い。」
「はい・・・・。」
そして私とフレッドは店の外へと出た。そして・・・液晶画面のパネルが表示される事は無かった・・・・。
「それにしても女のくせにあんなさびれた店で食事をしていたのか?普通女性はもっと、明るく、綺麗な店内で食事をする事好むはずだが?そう・・・彼女のように・・。」
彼女・・・ああ、オリビアの事か・・・このフレッドという男は・・・最も寡黙の癖にその心は一番情熱的で、誰よりもオリビアに愛を捧げた男性だったっけな・・・。その為、一番エリスの事を憎んだのも彼だった。
こうなったら・・絶対に私は自分の正体がバレる訳にはいかない—。
「どうした?黙っていないで何か答えないのか?」
いけない!フレッドに怪しまれてしまう!
「そ、そんな事は無いと思いますけど?少なくとも私は外見だけで、物事を判断しませんから・・・。」
値障りのない返事をする。
その時—。
突然強い風が吹き、私の帽子が飛ばされてフレッドの前に顔を晒してしまった。
「・・・・。」
フレッドは私の顔を見るとハッという表情を浮かべた。
私の帽子は風に舞い上げられ、宙に舞う。
「あ!ぼ、帽子がッ!」
思わず叫ぶと、フレッドは驚くべき跳躍力でジャンプすると、片手で帽子をキャッチし、私に手渡すと言った。
「お前・・・・ひょっとすると・・エリスか・・・?」
「はい・・・エリスです・・・。」
「おい、だったら何故すぐに名乗らなかった?俺にすぐ気が付いたんだろう?何故助けを求めなかったのだ?」
フレッドが立て続けに言う。そんなの・・・・。
「そんな事・・・出来ませんよ・・。だってモリス様はオリビア様の件で私を憎んでらっしゃいますから・・・。」
その言葉を聞き、私はフレッドが息を飲む気配を感じた。そして、気付けば大通りに出ていた。
「モリス様。助けて頂き、ありがとうございました。もう、ここまでで大丈夫ですから。」
そして頭を下げて立ち去ろうとしたところをフレッドに呼び止められた。
「エリス、待て。」
「はい、何でしょうか?」
「実は・・この間話してくれたハーブの店・・確か『オドル』と言ったか…?案内してくれないか?」
すると再び液晶画面が表示される。
『 1 断る
2 案内する
3 場所だけ教える 』
これは・・・もう案内するしかないでしょう・・・。
「モリス様。ではご案内いたしますね。」
この町のマップは既に掌握済みだ。私は迷うことなくフレッドを案内する事が出来た。
「ありがとう、エリス。感謝する。」
店に着くとフレッドが初めて私に笑みを浮かべた。え・・・信じられない。あのフレッドがエリスに笑いかけるなんて・・・・・。
そしてフレッドの好感度の値はマイナス70になっていた—。
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