98 / 119
第98話 調べるべき相手は?
しおりを挟む
私とデリクを乗せた馬車が『アンジュ』の店の前に到着した。2人で馬車を降りるとデリクが言った。
「アンジェラ、1人で店にいるのは危ないから友人達が来るまでは僕も一緒にいるよ」
「ありがとう」
店の鍵を開けて店内へ入ると私はデリクにお礼を述べた。けれど…私には心配な事があった。
「でもデリク…。貴方が心配だわ。1人で行動して、また危険な目に貴方が遭ったりしないか…。又この間みたいな事になったら、私…」
するとデリクが目を細めて笑みを浮かべると私を抱きしめてきた。
「ありがとう。アンジェラ。心配してくれて…。大丈夫だよ。もう危ない真似はしないと誓うから」
「ええ…お願いね?」
その時―。
コンコン
不意に窓ガラスを叩く音が聞こえ、デリクと2人で顔をあげると窓ガラスからこちらを見つめるシビル、グレタ、イレーヌの姿がそこにあった―。
****
「何だかすみません…お2人の事、邪魔してしまったみたいで…」
「声を掛けるか、掛けまいか悩んだのですけど…」
「覗き見しているのはまずいと思って窓ガラスを叩いてしまいました」
店内に入るなり、グレタ、シビル、イレーヌが申し訳なさげに口々に言った。
「いや、いいんだよ。かえって驚かせてしまったよね?」
デリクは3人に声を掛けると、次に私を見た。
「それじゃ17時にまた迎えに来るよ」
「ええ、ありがとう」
「それじゃ皆。お店の開店準備頑張ってね」
そしてデリクは私達に手をふると店を出て行った。
パタン…
扉が閉じた途端―。
「アンジェラさん。デリク先生ってとっても優しそうですね」
「ニコラス様とは大違いです!」
「まさかお店にいらしていたとは思いませんでした」
3人は一気にまくし立ててきた。
「え、ええそうね。確かにニコラスとは比べ物にならないくらい優しくて素敵な方よ。私には勿体ないくらいだわ。それよりも…3人にパメラの事について聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」
私はどうしても彼女たちにパメラの事で聞きたい事があった。
「パメラのことについてですか?一体何でしょう?」
3人の中で最も強くパメラを恨んでいるシビルが口を開いた。
「ええ。実は先程食事をする為にデリクさんと2人でレストランに入ったのだけど、そこでニコラスとニコラスのお母様、それにパメラが一緒に食事をしている姿を偶然見てしまったのよ」
「えっ!そ、そうなんですかっ?!」
「信じられない…」
「まさか3人が一緒に…」
3人は口々に驚いた様子で話す。
「それじゃ、パメラからはニコラスのお母様と親しくしているという話は聞いたことが無いのね?」
「勿論、無いですよ。それどころか一度だってパメラからニコラスの両親の話を聞かされたことがありません。だから私達、きっと2人の交際は認めて貰っていないのだろうなってずっと思っていましたから」
イレーヌが説明してくれた。
「そうだったの?それじゃ、パメラがコンラート夫人と親しくなったのは…彼女が出所してからって事になるのかもしれないわね…」
「ええ、そうなりますよね…」
神妙そうに返事をするイレーヌ。
一体パメラが出所してくる時に…何があったのだろう?これはやはりコンラート夫人を調べるべきかもしれない。
私は思った。
帰宅後、父に今日見たことを報告をしなければ―と。
「アンジェラ、1人で店にいるのは危ないから友人達が来るまでは僕も一緒にいるよ」
「ありがとう」
店の鍵を開けて店内へ入ると私はデリクにお礼を述べた。けれど…私には心配な事があった。
「でもデリク…。貴方が心配だわ。1人で行動して、また危険な目に貴方が遭ったりしないか…。又この間みたいな事になったら、私…」
するとデリクが目を細めて笑みを浮かべると私を抱きしめてきた。
「ありがとう。アンジェラ。心配してくれて…。大丈夫だよ。もう危ない真似はしないと誓うから」
「ええ…お願いね?」
その時―。
コンコン
不意に窓ガラスを叩く音が聞こえ、デリクと2人で顔をあげると窓ガラスからこちらを見つめるシビル、グレタ、イレーヌの姿がそこにあった―。
****
「何だかすみません…お2人の事、邪魔してしまったみたいで…」
「声を掛けるか、掛けまいか悩んだのですけど…」
「覗き見しているのはまずいと思って窓ガラスを叩いてしまいました」
店内に入るなり、グレタ、シビル、イレーヌが申し訳なさげに口々に言った。
「いや、いいんだよ。かえって驚かせてしまったよね?」
デリクは3人に声を掛けると、次に私を見た。
「それじゃ17時にまた迎えに来るよ」
「ええ、ありがとう」
「それじゃ皆。お店の開店準備頑張ってね」
そしてデリクは私達に手をふると店を出て行った。
パタン…
扉が閉じた途端―。
「アンジェラさん。デリク先生ってとっても優しそうですね」
「ニコラス様とは大違いです!」
「まさかお店にいらしていたとは思いませんでした」
3人は一気にまくし立ててきた。
「え、ええそうね。確かにニコラスとは比べ物にならないくらい優しくて素敵な方よ。私には勿体ないくらいだわ。それよりも…3人にパメラの事について聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」
私はどうしても彼女たちにパメラの事で聞きたい事があった。
「パメラのことについてですか?一体何でしょう?」
3人の中で最も強くパメラを恨んでいるシビルが口を開いた。
「ええ。実は先程食事をする為にデリクさんと2人でレストランに入ったのだけど、そこでニコラスとニコラスのお母様、それにパメラが一緒に食事をしている姿を偶然見てしまったのよ」
「えっ!そ、そうなんですかっ?!」
「信じられない…」
「まさか3人が一緒に…」
3人は口々に驚いた様子で話す。
「それじゃ、パメラからはニコラスのお母様と親しくしているという話は聞いたことが無いのね?」
「勿論、無いですよ。それどころか一度だってパメラからニコラスの両親の話を聞かされたことがありません。だから私達、きっと2人の交際は認めて貰っていないのだろうなってずっと思っていましたから」
イレーヌが説明してくれた。
「そうだったの?それじゃ、パメラがコンラート夫人と親しくなったのは…彼女が出所してからって事になるのかもしれないわね…」
「ええ、そうなりますよね…」
神妙そうに返事をするイレーヌ。
一体パメラが出所してくる時に…何があったのだろう?これはやはりコンラート夫人を調べるべきかもしれない。
私は思った。
帰宅後、父に今日見たことを報告をしなければ―と。
51
お気に入りに追加
4,665
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた
咲桜りおな
恋愛
サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。
好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。
それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。
そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑)
本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
築地シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する
結城芙由奈
恋愛
<死のループから抜け出す為、今から貴方を攻略させて頂きます。>
全く気乗りがしないのに王子の婚約者候補として城に招かれた私。気づけば鐘の音色と共に、花畑の中で彼の『護衛騎士』に剣で胸を貫かれていた。薄れゆく意識の中・・これが12回目の死であることに気づきながら死んでいく私。けれど次の瞬間何故かベッドの中で目が覚めた。そして時間が戻っている事を知る。そこで今度は殺されない為に、私は彼を『攻略』することを心に決めた―。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる