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第96話 3人の密会?
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「一体どういう事なんだ…?」
「さぁ…デリクが分からないなら私はもっと何も分からないわ」
私とデリクは顔を寄せ合って、ヒソヒソ話しながら3人の様子を伺っていた。
「大体どうしてあの3人が一緒にいるんだろう…?」
「ひょっとしてニコラスは母親からは見捨てられていなかったのじゃないかしら?」
「言われてみればその可能性はあるかもしれない。伯爵から既に財産を分けて貰えていても住む場所を追い出されてしまえば、ニコラスのような人間はあっという間に露頭に迷っておかしくないはずなのに…」
「そうよね。それにパメラだって屋敷も差し押さえられて、両親は未だに刑務所にいるわけでしょう?だから教会に身を寄せるはずだったのに…結局パメラの居場所が掴めなかったのよね?」
「うん、どこの教会にもパメラはいなかったんだ。と言うことは…」
私達はじっと3人の様子を観察していた。そこへウェイターが注文を聞きにテーブルにやってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「「コーヒーをお願いします」」
私とデリクの声が見事にハモる。
「え…?ええっ?!ほ、本当にコーヒーだけで宜しいのですか?」
「「はい、そうです」」
私とデリクは息ぴったりだ。こんな非常事態で悠長に食事などしている場合ではない。
「か、かしこまりました…」
ウェイターは首を傾げながら私達のテーブルを離れていく。
「それにしても…随分仲が良さげだと思わないかい?」
デリクが眉をひそめる。
「ええ、そうね。私もそう思うわ」
先程から3人は楽しげに笑いながら食事をしている。ニコラスの母はパメラの肩に手まで添えている有様だ。
「ねぇ、デリク。もしかするとニコラスとパメラは一緒に暮らしているのじゃないかしら?ニコラスの母親の援助で」
「もしかしなくても…多分そうだろうね。だけど…伯爵はその事を知っているのだろうか…?」
「そうよね…」
そこが一番怪しいところだ。3人だけで会っている…と言う事は伯爵が知らない可能性もあるし、その反対もありえる。
「もっと近くで話が聞ければな…」
デリクが悔しそうに言う。
「そうね、この席だと遠すぎて会話が聞こえないわ」
かと言って、あまりにも席が近ければあの3人にバレてしまう可能性がある。
そこへ…。
「お待たせ致しました」
ウェイターが私達のテーブルにソーサーの上に乗ったコーヒーカップを持って
現れた。
「ホットコーヒーでございます」
「「ありがとうございます」」
「で、では…ごゆっくりどうぞ…」
ウェイターは首をひねりながら去って行った。
「デリク…どうする?あの3人を問い詰めに行く?」
「うん…僕もそう思ったけれど、ひょっとすると今問い詰めても『偶然会っただけ』と言ってごまかされてしまうかもしれない…。あの3人は、元々繋がっているという確たる証拠が欲しいな…」
「私…お父様に尋ねてみようかしら?」
2人でコーヒーを飲みながら3人から片時も目を離さずに私達は会話を続けた。
その時、3人が動いた。
「あ、どうやら食事が終わって店を出るみたいだわ」
ニコラスの母がウェイターを手招きしている。どうやらお金を支払うようだ。
「よし…彼等が席を立ったら後をつけてみよう。アンジェラは店に戻ったほうがいい。友達が来るんだろう?」
「え?そんな…1人では危険よ。この間襲われたばっかりなのに」
「大丈夫だよ。今度はそんなヘマはしないから」
「駄目よ、私も行くわ」
もうあんな目に遭って貰いたくは無かった。
「アンジェラッ!何言ってるんだい?友達が来るんだろう?」
「ええ、でも店に来るのは午後2時半だもの。それより貴方が1人で行動するほうが心配だわ」
2人でそんな話をしている内に、ニコラスの母はお金を支払っている。
「やっぱり全員の食事代を払っている…兎に角、僕達も急ごう」
そしてデリクは手を上げてウェイターを呼んだ。
「はい、いかが致しましたか?」
それは先程のウェイターだった。
「お会計をお願いします」
デリクは財布を取り出し、お金をテーブルの上に置くと私に言った。
「よし、行こう。アンジェラ」
「ええ」
そして私達は席を立った―。
「さぁ…デリクが分からないなら私はもっと何も分からないわ」
私とデリクは顔を寄せ合って、ヒソヒソ話しながら3人の様子を伺っていた。
「大体どうしてあの3人が一緒にいるんだろう…?」
「ひょっとしてニコラスは母親からは見捨てられていなかったのじゃないかしら?」
「言われてみればその可能性はあるかもしれない。伯爵から既に財産を分けて貰えていても住む場所を追い出されてしまえば、ニコラスのような人間はあっという間に露頭に迷っておかしくないはずなのに…」
「そうよね。それにパメラだって屋敷も差し押さえられて、両親は未だに刑務所にいるわけでしょう?だから教会に身を寄せるはずだったのに…結局パメラの居場所が掴めなかったのよね?」
「うん、どこの教会にもパメラはいなかったんだ。と言うことは…」
私達はじっと3人の様子を観察していた。そこへウェイターが注文を聞きにテーブルにやってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「「コーヒーをお願いします」」
私とデリクの声が見事にハモる。
「え…?ええっ?!ほ、本当にコーヒーだけで宜しいのですか?」
「「はい、そうです」」
私とデリクは息ぴったりだ。こんな非常事態で悠長に食事などしている場合ではない。
「か、かしこまりました…」
ウェイターは首を傾げながら私達のテーブルを離れていく。
「それにしても…随分仲が良さげだと思わないかい?」
デリクが眉をひそめる。
「ええ、そうね。私もそう思うわ」
先程から3人は楽しげに笑いながら食事をしている。ニコラスの母はパメラの肩に手まで添えている有様だ。
「ねぇ、デリク。もしかするとニコラスとパメラは一緒に暮らしているのじゃないかしら?ニコラスの母親の援助で」
「もしかしなくても…多分そうだろうね。だけど…伯爵はその事を知っているのだろうか…?」
「そうよね…」
そこが一番怪しいところだ。3人だけで会っている…と言う事は伯爵が知らない可能性もあるし、その反対もありえる。
「もっと近くで話が聞ければな…」
デリクが悔しそうに言う。
「そうね、この席だと遠すぎて会話が聞こえないわ」
かと言って、あまりにも席が近ければあの3人にバレてしまう可能性がある。
そこへ…。
「お待たせ致しました」
ウェイターが私達のテーブルにソーサーの上に乗ったコーヒーカップを持って
現れた。
「ホットコーヒーでございます」
「「ありがとうございます」」
「で、では…ごゆっくりどうぞ…」
ウェイターは首をひねりながら去って行った。
「デリク…どうする?あの3人を問い詰めに行く?」
「うん…僕もそう思ったけれど、ひょっとすると今問い詰めても『偶然会っただけ』と言ってごまかされてしまうかもしれない…。あの3人は、元々繋がっているという確たる証拠が欲しいな…」
「私…お父様に尋ねてみようかしら?」
2人でコーヒーを飲みながら3人から片時も目を離さずに私達は会話を続けた。
その時、3人が動いた。
「あ、どうやら食事が終わって店を出るみたいだわ」
ニコラスの母がウェイターを手招きしている。どうやらお金を支払うようだ。
「よし…彼等が席を立ったら後をつけてみよう。アンジェラは店に戻ったほうがいい。友達が来るんだろう?」
「え?そんな…1人では危険よ。この間襲われたばっかりなのに」
「大丈夫だよ。今度はそんなヘマはしないから」
「駄目よ、私も行くわ」
もうあんな目に遭って貰いたくは無かった。
「アンジェラッ!何言ってるんだい?友達が来るんだろう?」
「ええ、でも店に来るのは午後2時半だもの。それより貴方が1人で行動するほうが心配だわ」
2人でそんな話をしている内に、ニコラスの母はお金を支払っている。
「やっぱり全員の食事代を払っている…兎に角、僕達も急ごう」
そしてデリクは手を上げてウェイターを呼んだ。
「はい、いかが致しましたか?」
それは先程のウェイターだった。
「お会計をお願いします」
デリクは財布を取り出し、お金をテーブルの上に置くと私に言った。
「よし、行こう。アンジェラ」
「ええ」
そして私達は席を立った―。
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