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第79話 重要な話
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「妙な話と思うかもしれませんけど…」
デリクさんは私から視線をそらし、遠くの星を眺めながら言う。
「こんな風に…貴女と一緒に星を眺めた事がある様な気がします…」
「え…?」
その話に妙にドキリとした。
前世の私は手芸作家として忙しい日々を過ごしていた。土日祝日の休みなどは関係無かった。むしろ、祝日の方が講演会や講習会と言ったイベントの仕事が入って来たので逆に忙しい位だった。
当然恋人とはデートをする余裕等はあまりなかった。なので週に1回程度、仕事帰りに一緒に食事をして帰る…それが私と彼のデートの定番だった。
まさか…デリクさんは…私の…前世で恋人だった人なのだろうか…?
デリクさんの話は続く。
「アンジェラさんが学食でニコラスに手を上げられそうになっている姿を初めてみた時、自分でも驚く位…彼に怒りがわきました。そして気付けば彼の腕を掴んでいました」
「…」
私は黙ってデリクさんの話を聞いていた。
「あの当時…実はコンラート家から養子縁組を匂わせる話が既に持ち上がっていたのです。けれど、僕は断るつもりでした。今更成人を過ぎて、養子縁組なんて…しかも親戚とはいえコンラート家とは面識が無かったのですから。そして丁度その頃だったのですよ。ニコラスが貴女に手をあげたのは」
デリクさんが眉をしかめながら言う。
「学園で、しかも女子学生に手をあげるなんて一体どんな名前の学生なのだろうと思い、名簿を調べました。そして、彼がニコラス・コンラートである事を知りました。更にアンジェラさんが許嫁であると言う事も…」
「そうだったのですか…?」
知らなかった。まさかそんな経緯があったなんて。
「はい、それで僕はコンラート伯爵家を尋ねて、色々話を聞いてきました。ニコラスには貴女という許嫁がいるにも関わらず、平民の幼馴染の恋人がいるということや、貴女に対してひどい態度ばかりを取っているということも。それでついにコンラート伯爵も、今度何かニコラスが問題を起こせば廃嫡処分にしようと決めたそうですね」
デリクさんがじっと私を見つめてきた。
「ええ…私もそう聞いていました…」
「あの店を訪れたのは…本当に偶然だったのです」
不意にデリクさんが話題を変えてきた。
「え?」
「あの日はたまたまあの近くを用事があって通りかかったのです。すると店の窓から何処かで見覚えのある布製品が飾ってあって…つい見入ってしまったのです。そこへアンジェラさんがお店の外に現れたのですよ」
「え…?見覚えのある布製品…?」
デリクさんの言葉に耳を疑った。私が来月オープンする店で売る布雑貨は前世の私が自分でデザインして作り上げた品物ばかりで、恐らくこの世界には似たような商品は出回っていないはず。
それなのに、デリクさんはあの店に並べた布製品に見覚えがあるなんて…。
ひょっとして彼は…?
私はじっとデリクさんを見つめた―。
デリクさんは私から視線をそらし、遠くの星を眺めながら言う。
「こんな風に…貴女と一緒に星を眺めた事がある様な気がします…」
「え…?」
その話に妙にドキリとした。
前世の私は手芸作家として忙しい日々を過ごしていた。土日祝日の休みなどは関係無かった。むしろ、祝日の方が講演会や講習会と言ったイベントの仕事が入って来たので逆に忙しい位だった。
当然恋人とはデートをする余裕等はあまりなかった。なので週に1回程度、仕事帰りに一緒に食事をして帰る…それが私と彼のデートの定番だった。
まさか…デリクさんは…私の…前世で恋人だった人なのだろうか…?
デリクさんの話は続く。
「アンジェラさんが学食でニコラスに手を上げられそうになっている姿を初めてみた時、自分でも驚く位…彼に怒りがわきました。そして気付けば彼の腕を掴んでいました」
「…」
私は黙ってデリクさんの話を聞いていた。
「あの当時…実はコンラート家から養子縁組を匂わせる話が既に持ち上がっていたのです。けれど、僕は断るつもりでした。今更成人を過ぎて、養子縁組なんて…しかも親戚とはいえコンラート家とは面識が無かったのですから。そして丁度その頃だったのですよ。ニコラスが貴女に手をあげたのは」
デリクさんが眉をしかめながら言う。
「学園で、しかも女子学生に手をあげるなんて一体どんな名前の学生なのだろうと思い、名簿を調べました。そして、彼がニコラス・コンラートである事を知りました。更にアンジェラさんが許嫁であると言う事も…」
「そうだったのですか…?」
知らなかった。まさかそんな経緯があったなんて。
「はい、それで僕はコンラート伯爵家を尋ねて、色々話を聞いてきました。ニコラスには貴女という許嫁がいるにも関わらず、平民の幼馴染の恋人がいるということや、貴女に対してひどい態度ばかりを取っているということも。それでついにコンラート伯爵も、今度何かニコラスが問題を起こせば廃嫡処分にしようと決めたそうですね」
デリクさんがじっと私を見つめてきた。
「ええ…私もそう聞いていました…」
「あの店を訪れたのは…本当に偶然だったのです」
不意にデリクさんが話題を変えてきた。
「え?」
「あの日はたまたまあの近くを用事があって通りかかったのです。すると店の窓から何処かで見覚えのある布製品が飾ってあって…つい見入ってしまったのです。そこへアンジェラさんがお店の外に現れたのですよ」
「え…?見覚えのある布製品…?」
デリクさんの言葉に耳を疑った。私が来月オープンする店で売る布雑貨は前世の私が自分でデザインして作り上げた品物ばかりで、恐らくこの世界には似たような商品は出回っていないはず。
それなのに、デリクさんはあの店に並べた布製品に見覚えがあるなんて…。
ひょっとして彼は…?
私はじっとデリクさんを見つめた―。
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