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第74話 連行されるニコラス
しおりを挟む 駆けつけてきたのは3人の男性教師達だった。何故教師達が騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたのかと言うと、理由は明白。私とニコラスが立っていた校舎の前は職員室だったのだ。職員室の窓はカーテンも閉めていないし、窓だって開いている。当然私達の会話は丸聞こえというわけだ。
「おい!君は確かニコラス・コンラートじゃないかっ!何故学園に来ているんだっ!退学になったはずだろう!」
一番先頭を走ってくる教師はニコラスの事を知っているようだった。
「ま、まずいっ!」
ニコラスはあからさまにうろたえている。一方の私は駆けつけてくる教師たちに目が釘付けになっていた。何故なら彼等のうちの1人がデリクさんだったからだ。
「え…?」
嘘でしょう…?
デリクさんは臨時教員で、あまり学校に来ている事は無いと聞いていたのに…。
「ニコラスッ!君はもう部外者の上に我が学園の女子学生に手をあげようとしていたなっ!」
駆けつけてきた男性教師に腕を掴まれるニコラス。
「は、離せよっ!俺はアンジェラに話があって…」
「全く君は退学になっても問題ばかり起こすんだなっ!家に連絡を入れるぞ!」
もう1人の男性教諭が家の話を持ち出すと、ニコラスの顔が真っ青になった。
「連絡なら僕が入れますよ」
デリクさんは一度だけチラリと私の方を見ると、ニコラスに視線を移した。
「あっ!!お、お前…お前のせいで俺は家を追い出されたんだぞっ!それだけじゃない…除籍までされて、俺の後釜になりやがって!!」
ニコラスは2人の教師達に押さえつけられながら、まるで噛みつかんばかりの勢いでデリクさんに食ってかかる。
ニコラスめ…。よくもデリクさんにあんな口を叩いたわね…。
デリクさん贔屓?の私はニコラスの方を向くと言った。
「あら?ニコラス。先程、私が嫌がらせをする為に裏で手を回して自分達を陥れたのだろうと言って責めましたよね?それが今度はこちらの先生を責めるのですか?おかしな話ですね?」
「お、お前…アンジェラ…!わざと俺を挑発したな…っ!」
ニコラスは思い切り恨みを込めた目で私を睨みつけてきた。
「いい加減にしないかっ!君は部外者でありながら学園に不法侵入したんだぞっ!」
「自分の立場をわきまえるんだっ!静かにしないと警察を呼ぶぞっ!」
「け、警察…」
その言葉で初めてニコラスは口を閉ざし、ガックリと肩を落とした。
「よし。とりあえずは生徒指導室へ連れて行くか」
「そうですね」
2人の男性教師達は会話を交わすと、次にデリクさんを見た。
「君はニコラスの家に連絡してくれるか?」
「はい。彼女と少し話をした後に連絡を入れます」
え…?
「ほら、行くぞっ!」
「さっさと来るんだっ!」
2人の教師に連行?されていくニコラス。
「くっそー!覚えてろよ!」
ニコラスが連行されながらこちらを向いて叫ぶ。その様子を見ていたデリクさんが苦笑しながら口を開いた。
「全く…覚えてろよ…。なんて。その台詞が誰に向けられたものかは分かりませんけど、きっと彼はもっと悲惨な目に遭うかもしれませんね」
そして次に私の方を振り向いた。
「大丈夫でしたか?アンジェラさん」
「は、はい…」
「そうですか。それは良かった」
笑顔を向けるデリクさんに思わず自分の顔が赤らむのを感じた―。
「おい!君は確かニコラス・コンラートじゃないかっ!何故学園に来ているんだっ!退学になったはずだろう!」
一番先頭を走ってくる教師はニコラスの事を知っているようだった。
「ま、まずいっ!」
ニコラスはあからさまにうろたえている。一方の私は駆けつけてくる教師たちに目が釘付けになっていた。何故なら彼等のうちの1人がデリクさんだったからだ。
「え…?」
嘘でしょう…?
デリクさんは臨時教員で、あまり学校に来ている事は無いと聞いていたのに…。
「ニコラスッ!君はもう部外者の上に我が学園の女子学生に手をあげようとしていたなっ!」
駆けつけてきた男性教師に腕を掴まれるニコラス。
「は、離せよっ!俺はアンジェラに話があって…」
「全く君は退学になっても問題ばかり起こすんだなっ!家に連絡を入れるぞ!」
もう1人の男性教諭が家の話を持ち出すと、ニコラスの顔が真っ青になった。
「連絡なら僕が入れますよ」
デリクさんは一度だけチラリと私の方を見ると、ニコラスに視線を移した。
「あっ!!お、お前…お前のせいで俺は家を追い出されたんだぞっ!それだけじゃない…除籍までされて、俺の後釜になりやがって!!」
ニコラスは2人の教師達に押さえつけられながら、まるで噛みつかんばかりの勢いでデリクさんに食ってかかる。
ニコラスめ…。よくもデリクさんにあんな口を叩いたわね…。
デリクさん贔屓?の私はニコラスの方を向くと言った。
「あら?ニコラス。先程、私が嫌がらせをする為に裏で手を回して自分達を陥れたのだろうと言って責めましたよね?それが今度はこちらの先生を責めるのですか?おかしな話ですね?」
「お、お前…アンジェラ…!わざと俺を挑発したな…っ!」
ニコラスは思い切り恨みを込めた目で私を睨みつけてきた。
「いい加減にしないかっ!君は部外者でありながら学園に不法侵入したんだぞっ!」
「自分の立場をわきまえるんだっ!静かにしないと警察を呼ぶぞっ!」
「け、警察…」
その言葉で初めてニコラスは口を閉ざし、ガックリと肩を落とした。
「よし。とりあえずは生徒指導室へ連れて行くか」
「そうですね」
2人の男性教師達は会話を交わすと、次にデリクさんを見た。
「君はニコラスの家に連絡してくれるか?」
「はい。彼女と少し話をした後に連絡を入れます」
え…?
「ほら、行くぞっ!」
「さっさと来るんだっ!」
2人の教師に連行?されていくニコラス。
「くっそー!覚えてろよ!」
ニコラスが連行されながらこちらを向いて叫ぶ。その様子を見ていたデリクさんが苦笑しながら口を開いた。
「全く…覚えてろよ…。なんて。その台詞が誰に向けられたものかは分かりませんけど、きっと彼はもっと悲惨な目に遭うかもしれませんね」
そして次に私の方を振り向いた。
「大丈夫でしたか?アンジェラさん」
「は、はい…」
「そうですか。それは良かった」
笑顔を向けるデリクさんに思わず自分の顔が赤らむのを感じた―。
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