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2章3 私の事情
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「先生、本日もありがとうございました」
1時間の魔法の補講が終わり、オルガ先生にお礼の言葉を述べた。
「ええ。それでは来週、また同じ時間にこの教室で補講をしましょう。魔力の暴走については、私の方でも調べてみるわ」
「え? 本当ですか? 先生」
まさか先生の協力を得られるとは思ってもいなかった。
「ええ、私も実はこの間のリオンの様子を見て危機感を抱いたのよ。生徒たちはリオンの炎の魔力に感心していたけれども、あの時の彼はきっと魔力のコントロールが出来なかったのだと思うわ。このままでは、本当にあなたの言う通り魔力の暴走が起きてしまうかもしれないもの」
先生の顔は真剣だった。
「ありがとうございます、先生」
するとオルガ先生は私の肩に手を置いた。
「ユニスさん、1人で抱え込まないでね」
「はい」
私は笑顔で頷いた――
****
校舎を出た私は正門目指して歩いていた。
学園内には私と同じように正門に向かって歩いている生徒たちが大勢いた。
リオンはまだクラスメイトたちとカフェにいるのだろうか? あの優秀なクラスメイトたちと一緒に……。
私は、本当は勉強が出来る。
私が勉強が出来るのは、多分前世の記憶があるからだと思う。何故なら、この世界と日本で学んできたことはどこか似ていたからだ。
でも、似ているのは当然なのかもしれない。
ここは日本のゲーム会社が作った乙女ゲームの世界なのだから。
わざと試験で私は手を抜いていたのだ。
それはリオンと同じクラスにならないようにする為に必要なことだったからだ。
同じクラスになれば、きっとリオンのことだから私を色々気にかけてくれるだろう。
けれど、私のように外見が地味で魔法が全く使えない人間は目立ってはいけない。
ただでさえ今のリオンは学年で知らない人はいないほどの有名人になっているのだ。
そんな彼の婚約者が私のような相手では釣り合わないし、何よりリオンの評判を落としたくはなかった。
ゲームとは違い、今のリオンは順風満帆な生活を送っている。
母親は健康になり、学校では常に周囲に人が集まってくるような人気者になっている。
私が側にいては、彼の足手まといになってしまうかもしれない。
だからリオンと程良い距離を開け、彼の手助けをしてあげられればと思っている。
そして、18歳になったら現れるヒロインとリオンの恋が成就するまで見届けたら静かに身を引いて……。
「え?」
そこで思考が一時中断した。
「あれは……リオン?」
他の生徒たちに、混ざるようにリオンが女子生徒と一緒に正門に向かって歩いている姿が目に飛び込んできた。
リオン……!
咄嗟に建物の陰に隠れて、二人の様子をそっと伺う。
女子生徒はリオンの腕に自分の腕を絡めて、二人は楽しそうに会話をしながら歩いている。
その姿は幼い恋人同士にも見えた。
「リオン……皆と一緒にカフェに行ったんじゃなかったの? それとも、カフェに行った帰りなのかしら……?」
隣を歩く女子生徒は……カフェに行くとき、リオンの腕を引いた少女だった。
このまま私も正門目指して歩いていれば、二人に気づかれてしまうかもしれない。
そこで二人が正門を出ていくまで、覗き見をしているような罪悪感に囚われつつもその場で待機することにした。
やがてリオンたちの姿が完全に見えなくなったところで、私も正門目指して再び歩き始めた。
「きっと、リオンの事が好きなのでしょうね」
気づけばポツリと言葉にしていた。
今思えば、これは予兆だったのかもしれない。
何故ならその数日後、私は耳を疑う話をリオンから聞かされることになるからだ――
1時間の魔法の補講が終わり、オルガ先生にお礼の言葉を述べた。
「ええ。それでは来週、また同じ時間にこの教室で補講をしましょう。魔力の暴走については、私の方でも調べてみるわ」
「え? 本当ですか? 先生」
まさか先生の協力を得られるとは思ってもいなかった。
「ええ、私も実はこの間のリオンの様子を見て危機感を抱いたのよ。生徒たちはリオンの炎の魔力に感心していたけれども、あの時の彼はきっと魔力のコントロールが出来なかったのだと思うわ。このままでは、本当にあなたの言う通り魔力の暴走が起きてしまうかもしれないもの」
先生の顔は真剣だった。
「ありがとうございます、先生」
するとオルガ先生は私の肩に手を置いた。
「ユニスさん、1人で抱え込まないでね」
「はい」
私は笑顔で頷いた――
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校舎を出た私は正門目指して歩いていた。
学園内には私と同じように正門に向かって歩いている生徒たちが大勢いた。
リオンはまだクラスメイトたちとカフェにいるのだろうか? あの優秀なクラスメイトたちと一緒に……。
私は、本当は勉強が出来る。
私が勉強が出来るのは、多分前世の記憶があるからだと思う。何故なら、この世界と日本で学んできたことはどこか似ていたからだ。
でも、似ているのは当然なのかもしれない。
ここは日本のゲーム会社が作った乙女ゲームの世界なのだから。
わざと試験で私は手を抜いていたのだ。
それはリオンと同じクラスにならないようにする為に必要なことだったからだ。
同じクラスになれば、きっとリオンのことだから私を色々気にかけてくれるだろう。
けれど、私のように外見が地味で魔法が全く使えない人間は目立ってはいけない。
ただでさえ今のリオンは学年で知らない人はいないほどの有名人になっているのだ。
そんな彼の婚約者が私のような相手では釣り合わないし、何よりリオンの評判を落としたくはなかった。
ゲームとは違い、今のリオンは順風満帆な生活を送っている。
母親は健康になり、学校では常に周囲に人が集まってくるような人気者になっている。
私が側にいては、彼の足手まといになってしまうかもしれない。
だからリオンと程良い距離を開け、彼の手助けをしてあげられればと思っている。
そして、18歳になったら現れるヒロインとリオンの恋が成就するまで見届けたら静かに身を引いて……。
「え?」
そこで思考が一時中断した。
「あれは……リオン?」
他の生徒たちに、混ざるようにリオンが女子生徒と一緒に正門に向かって歩いている姿が目に飛び込んできた。
リオン……!
咄嗟に建物の陰に隠れて、二人の様子をそっと伺う。
女子生徒はリオンの腕に自分の腕を絡めて、二人は楽しそうに会話をしながら歩いている。
その姿は幼い恋人同士にも見えた。
「リオン……皆と一緒にカフェに行ったんじゃなかったの? それとも、カフェに行った帰りなのかしら……?」
隣を歩く女子生徒は……カフェに行くとき、リオンの腕を引いた少女だった。
このまま私も正門目指して歩いていれば、二人に気づかれてしまうかもしれない。
そこで二人が正門を出ていくまで、覗き見をしているような罪悪感に囚われつつもその場で待機することにした。
やがてリオンたちの姿が完全に見えなくなったところで、私も正門目指して再び歩き始めた。
「きっと、リオンの事が好きなのでしょうね」
気づけばポツリと言葉にしていた。
今思えば、これは予兆だったのかもしれない。
何故ならその数日後、私は耳を疑う話をリオンから聞かされることになるからだ――
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