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1章2 ニルヴァーナ学園
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ガラガラガラガラ……
私を乗せた馬車は音をたてながら学園に向かって進んでいた。
ユニス・ウェルナーが通っている学校は初等部から大学部まである名門校だった。
その名も『ニルヴァーナ』学園。
ゲーム内容は学園内で繰り広げられる恋愛や愛憎劇がメインとなっており、このタイトルがつけられていたのだ。
そして私はまだ10歳。
ゲーム開始時までには後8年後、私達が大学部に進学してからがスタートする。
『ニルヴァーナ』学園に入学してきたヒロインが4人の攻略対象の青年たちと出会って恋をしていく、ちょっぴり大人向けの乙女ゲーム。
主人公たちは全員が18歳以上なので、恋愛のシーンも……まぁ、そこそこ濃い内容となっていた。
悪役令息のリオンにもヒロインとの濃いシーンが用意されている。けれど、それは全て彼女の意思を無視したものだった。
リオンはヒロインを手に入れるために監禁し、半ば強引な行為に持ち込むルートもある。けれどそうなると、もはや犯罪だ。
当然、その結末はヒロインにとってのバッドエンドを迎えることになり、リオンの処刑を意味する。
ついでに、ヒロインの監禁に手を貸した罪でモブ婚約者……つまり私も同様に処刑されてしまという恐ろしい結末が用意されているのだ。
「冗談じゃない……リオンに巻き込まれて、一緒に処刑なんてごめんだわ。ううん、それよりもリオンには幸せになってもらいたい。何しろ、彼は私の一番推しのキャラなんだから! とにかく何とかしなくちゃ! そのためには、まずリオンの性格が歪んでしまった原因を作らせなければいいわ。今のところ、彼は素直に育っているようだし……」
そんなことをブツブツ呟いていると馬車の扉が開かれて、御者のトムが顔をのぞかせた。
「ユニスお嬢様、一体どうされたのですか? もうとっくに学園に到着していますけど、降りられないのですか?」
「え? あ! 本当だ! どうもありがとう、トム」
外を見れば、学園内の馬車乗り場に到着していた。
急いでカバンを手にすると、スカートを翻してヒラリと馬車から飛び降りた。
「え……? ユニスお嬢様?」
トムが目をパチパチさせている。見ると、彼は私をエスコートしようと手を差し出していた。
これはまずい。
どうも前世の自分を思い出してからというもの大分性格が変わってしまった。
「ア、アハハハ……遅刻するといけないと思って、つい飛び降りてしまったわ。驚かせてしまったみたいね」
「ええ。それは驚きましたよ。でも、お元気そうなユニス様もいいですね。今までは少しおとなしすぎたところがありますから。やはり10歳になられて、色々変化があったのですか?」
「そうね。10歳になったから心境に変化があったみたい。そ、それじゃ行ってくるわ」
これ以上説明を求められてはたまらない。
「はい、行ってらっしゃいませ。お嬢様、またこちらで15時にお迎えにあがりますね」
トムも私に笑顔で手を振り、私は彼に見送られながら校舎へ向かった――
貴族ばかりが通う名門校、ニルヴァーナ学園はマンモス学園だった。
初等部だけでも8クラスあり、1学年だけで300人以上の生徒が通っている。
そのため、6年間通っても全員と顔見知りになるわけではない。
私は今のところゲームに登場するヒーローたちとは出会っていない。
と、言うことは4人のヒーローたちはまだ登場していない可能性もある。
「どうか、ヒロインが登場する8年後までは誰にも会わないことを祈らなくちゃ」
メインヒーローたちとリオンが顔見知りだったことはゲーム中では明らかにされていない。
それに現段階では、リオンが悪役令息になる片鱗は何処にも見えない。
つまりヒロインに出会うまでの間、私が彼を悪の道を歩ませないように導いてあげれば良いのだ。
そうなると、メインヒーローたちとリオンが出会うのは色々まずい気がする。
「……そうよ、私がリオンを更生させればいいのよ……そしてメインヒーローの1人にして、最終的にはヒロインと結ばせてあげて……」
そんなことをブツブツ呟きながら、他の生徒達に混ざって教室へ向かった――
私を乗せた馬車は音をたてながら学園に向かって進んでいた。
ユニス・ウェルナーが通っている学校は初等部から大学部まである名門校だった。
その名も『ニルヴァーナ』学園。
ゲーム内容は学園内で繰り広げられる恋愛や愛憎劇がメインとなっており、このタイトルがつけられていたのだ。
そして私はまだ10歳。
ゲーム開始時までには後8年後、私達が大学部に進学してからがスタートする。
『ニルヴァーナ』学園に入学してきたヒロインが4人の攻略対象の青年たちと出会って恋をしていく、ちょっぴり大人向けの乙女ゲーム。
主人公たちは全員が18歳以上なので、恋愛のシーンも……まぁ、そこそこ濃い内容となっていた。
悪役令息のリオンにもヒロインとの濃いシーンが用意されている。けれど、それは全て彼女の意思を無視したものだった。
リオンはヒロインを手に入れるために監禁し、半ば強引な行為に持ち込むルートもある。けれどそうなると、もはや犯罪だ。
当然、その結末はヒロインにとってのバッドエンドを迎えることになり、リオンの処刑を意味する。
ついでに、ヒロインの監禁に手を貸した罪でモブ婚約者……つまり私も同様に処刑されてしまという恐ろしい結末が用意されているのだ。
「冗談じゃない……リオンに巻き込まれて、一緒に処刑なんてごめんだわ。ううん、それよりもリオンには幸せになってもらいたい。何しろ、彼は私の一番推しのキャラなんだから! とにかく何とかしなくちゃ! そのためには、まずリオンの性格が歪んでしまった原因を作らせなければいいわ。今のところ、彼は素直に育っているようだし……」
そんなことをブツブツ呟いていると馬車の扉が開かれて、御者のトムが顔をのぞかせた。
「ユニスお嬢様、一体どうされたのですか? もうとっくに学園に到着していますけど、降りられないのですか?」
「え? あ! 本当だ! どうもありがとう、トム」
外を見れば、学園内の馬車乗り場に到着していた。
急いでカバンを手にすると、スカートを翻してヒラリと馬車から飛び降りた。
「え……? ユニスお嬢様?」
トムが目をパチパチさせている。見ると、彼は私をエスコートしようと手を差し出していた。
これはまずい。
どうも前世の自分を思い出してからというもの大分性格が変わってしまった。
「ア、アハハハ……遅刻するといけないと思って、つい飛び降りてしまったわ。驚かせてしまったみたいね」
「ええ。それは驚きましたよ。でも、お元気そうなユニス様もいいですね。今までは少しおとなしすぎたところがありますから。やはり10歳になられて、色々変化があったのですか?」
「そうね。10歳になったから心境に変化があったみたい。そ、それじゃ行ってくるわ」
これ以上説明を求められてはたまらない。
「はい、行ってらっしゃいませ。お嬢様、またこちらで15時にお迎えにあがりますね」
トムも私に笑顔で手を振り、私は彼に見送られながら校舎へ向かった――
貴族ばかりが通う名門校、ニルヴァーナ学園はマンモス学園だった。
初等部だけでも8クラスあり、1学年だけで300人以上の生徒が通っている。
そのため、6年間通っても全員と顔見知りになるわけではない。
私は今のところゲームに登場するヒーローたちとは出会っていない。
と、言うことは4人のヒーローたちはまだ登場していない可能性もある。
「どうか、ヒロインが登場する8年後までは誰にも会わないことを祈らなくちゃ」
メインヒーローたちとリオンが顔見知りだったことはゲーム中では明らかにされていない。
それに現段階では、リオンが悪役令息になる片鱗は何処にも見えない。
つまりヒロインに出会うまでの間、私が彼を悪の道を歩ませないように導いてあげれば良いのだ。
そうなると、メインヒーローたちとリオンが出会うのは色々まずい気がする。
「……そうよ、私がリオンを更生させればいいのよ……そしてメインヒーローの1人にして、最終的にはヒロインと結ばせてあげて……」
そんなことをブツブツ呟きながら、他の生徒達に混ざって教室へ向かった――
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