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アゼリア&カイの章 ⑩ また…会えたね(カイside)
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その日の夜―
僕とラルフは夜の『リンデン』の町に食事に来ていた。本当はホテルのレストランで食事を取ろうかと思っていたけれども、ラルフがどうしても行ってみたい店があるのだと言って聞かなかったからだ。
そしてラルフが連れて来た店を見た時、僕は驚いた。その店は前世でマルセルとイングリット嬢が2人で食事に来ていた店だったからだ。
「え…?この店は…?」
店に到着した僕は驚いてラルフの顔を見た。
「どうだ?すごいだろう?このレトロ感たっぷりの店は。『リンデン』は気候も良いし、戦争や紛争も過去に一度も起きたことが無い平和な場所だったから、こんな古い建物が今もいくつも残っているらしいんだ。このレストランは150年前からあるレストランで一番の老舗レストランなのさ。牛肉料理が有名らしい」
得意げに話をするラルフを見て、僕は感慨深いものを感じた。あの時、僕とマルセルは偶然この店で会って…僕の勧めもあって彼は医者になる決意をしてくれた。
そんな思い出のレストランに…今は外見も名前も変わったラルフがこの店を選んで連れて来てくれたなんて…。
やっぱりラルフは自覚が無くてもマルセルだった時の記憶が残っているのではないだろうか…?
思わず目頭が熱くなったとき、ラルフが心配そうに声を掛けて来た。
「お、おい…どうしたんだよ、カイ…何だか涙目になっているようだけど…?」
「あ…ご、ごめん。ちょっと店の明かりが眩しかったものだから…大丈夫だよ」
目をゴシゴシ擦りながらラルフを見た。
「そうか?ならいいけど…それじゃ、店に入ろう」
「そうだね」
そして僕とラルフは店の中へと入った―。
****
「かんぱーい」
ラルフと2人でグラスを鳴らし、一緒にビールを飲む。
「うーん。やっぱり美味いな~。地場産のビールは最高だ」
この店に入った時から、ラルフはずっと上機嫌だった。
「うん。本当にこのビールは美味しいね」
そして僕はそっと店の中を見渡した。150年前とは似ていて、それでいてどこか異なる空間…あの頃ピアノが演奏されていた場所は今ではカウンター席に作り替えられていた。
「どうしたんだ?カイ」
ステーキ料理を口にしていたラルフが不思議そうに尋ねて来た。
「い、いや。こういうレトロな空間で食事するって初めてだから…何だか新鮮でね」
「そうか…実は…こんな言い方すると変に思われるかもしれないけどさ…ガイドブックに掲載されているこの店を見た時、どうしてもカイとこの店に入ってみたくなったんだ。…おかしいだろう?」
え…?
その話に驚いて僕は目を見開き…胸が熱くなった。
ラルフ…やっぱり君の中にはマルセルだった時の記憶が残っているんだね?
前世の記憶を持ったまま生まれて来た僕は何所か孤独だった。
出来れば、ラルフにマルセルだった頃の記憶を取り戻して貰いたい…。
僕は心の中で密かに願った―。
僕とラルフは夜の『リンデン』の町に食事に来ていた。本当はホテルのレストランで食事を取ろうかと思っていたけれども、ラルフがどうしても行ってみたい店があるのだと言って聞かなかったからだ。
そしてラルフが連れて来た店を見た時、僕は驚いた。その店は前世でマルセルとイングリット嬢が2人で食事に来ていた店だったからだ。
「え…?この店は…?」
店に到着した僕は驚いてラルフの顔を見た。
「どうだ?すごいだろう?このレトロ感たっぷりの店は。『リンデン』は気候も良いし、戦争や紛争も過去に一度も起きたことが無い平和な場所だったから、こんな古い建物が今もいくつも残っているらしいんだ。このレストランは150年前からあるレストランで一番の老舗レストランなのさ。牛肉料理が有名らしい」
得意げに話をするラルフを見て、僕は感慨深いものを感じた。あの時、僕とマルセルは偶然この店で会って…僕の勧めもあって彼は医者になる決意をしてくれた。
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やっぱりラルフは自覚が無くてもマルセルだった時の記憶が残っているのではないだろうか…?
思わず目頭が熱くなったとき、ラルフが心配そうに声を掛けて来た。
「お、おい…どうしたんだよ、カイ…何だか涙目になっているようだけど…?」
「あ…ご、ごめん。ちょっと店の明かりが眩しかったものだから…大丈夫だよ」
目をゴシゴシ擦りながらラルフを見た。
「そうか?ならいいけど…それじゃ、店に入ろう」
「そうだね」
そして僕とラルフは店の中へと入った―。
****
「かんぱーい」
ラルフと2人でグラスを鳴らし、一緒にビールを飲む。
「うーん。やっぱり美味いな~。地場産のビールは最高だ」
この店に入った時から、ラルフはずっと上機嫌だった。
「うん。本当にこのビールは美味しいね」
そして僕はそっと店の中を見渡した。150年前とは似ていて、それでいてどこか異なる空間…あの頃ピアノが演奏されていた場所は今ではカウンター席に作り替えられていた。
「どうしたんだ?カイ」
ステーキ料理を口にしていたラルフが不思議そうに尋ねて来た。
「い、いや。こういうレトロな空間で食事するって初めてだから…何だか新鮮でね」
「そうか…実は…こんな言い方すると変に思われるかもしれないけどさ…ガイドブックに掲載されているこの店を見た時、どうしてもカイとこの店に入ってみたくなったんだ。…おかしいだろう?」
え…?
その話に驚いて僕は目を見開き…胸が熱くなった。
ラルフ…やっぱり君の中にはマルセルだった時の記憶が残っているんだね?
前世の記憶を持ったまま生まれて来た僕は何所か孤独だった。
出来れば、ラルフにマルセルだった頃の記憶を取り戻して貰いたい…。
僕は心の中で密かに願った―。
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