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マルセルの章 ⑧ 君に伝えたかった言葉
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連れてこられた喫茶店はレンガ造りの壁に木目の床の落ち着いた雰囲気の店だった。店内には観葉植物が幾つか置かれている。
そう言えば…俺は一度もアゼリアとこの様な場所に来たことが無かった。いや、それどころかアゼリアは俺と婚約後はあの屋敷から助け出すまで一度も温かい料理を口にしたことは無かったのだ。
「…」
改めて自分の不甲斐なさを悔いていると、不意にイングリット嬢が声を掛けてきた。
「マルセル様、あの窓際の席に座りませんか?」
「え?ええ。いいですよ」
2人で窓際の席に座ると、すぐにウェイターが注文を聞きにやってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文は何に致しますか?」
「イングリット嬢は何にしますか?」
「そうですね…私はアップルティーにします。マルセル様は何になさいますか?」
「俺はコーヒーにします。それではアップルティーにコーヒーをお願いします」
ウェイターに注文した。
「かしこまりました。お待ち下さい」
頭を下げてウェイターが去っていくと、早速俺はイングリット嬢に尋ねた。
「先程馬車の中で俺に助力を仰ぎたいと話されていましたよね?一体どういうことなのでしょう?」
「それは…私とブライアンの事ですわ。」
「ブライアンの事ですか?ではお聞かせ願えますか?」
何となく予想はしていたが、彼のことならば好都合だ。彼女の話を聞いた後、何故俺とアゼリアの事を彼に話したのか尋ねてみよう。しかし、次の瞬間彼女はとんでもないことを口にしたのだ。
「マルセル様、私はなんとしてもブライアンと婚約破棄をしたいのです。彼を説得するために協力して頂けないでしょうか?」
「え?何ですって?」
冗談じゃない。ブライアンは俺に取って尊敬するべき上司だ。何故上司の婚約者からこんな頼みごとをされなくてはならないのだ?
「マルセル様は彼の信頼のおける部下と伺っております。ブライアンは私が何度婚約を破棄してもらいたいと申し出ても首を縦に振ってくれないのです。でもマルセル様のお話ならブライアンも聞き入れてくれると思うのです」
イングリット嬢は真剣な眼差しで俺に言う。
「ちょっと待って下さい。何故、俺にそんな話を…」
そこまで言いかけた時…。
「お待たせ致しました」
ウェイターがトレーに乗せて二人分の飲み物を持ってやってくると、それぞれのテーブルの上に置いていく。
「「…」」
その間、俺とイングリット嬢は黙って見つめ合っていた。
「ごゆっくりどうぞ」
頭を下げて去っていくウェイターを見送ると、すぐにコーヒーに口をつけた。あまりの申し出に喉がカラカラになっていたからだ。
コーヒーを飲んでいると、イングリット嬢が再び口を開いた。
「…無理なんです。私、どうしてもブライアンの事を結婚相手とは思えないのです。好きと言う気持ちすら持てません。だって、彼は私とはあまりに年齢が違いすぎます。父とほぼ同じ年齢の男性なんて、とうてい受け入れられません」
…傍から聞いていると、随分酷いことを彼女は言っていると思った。そこで俺は彼を養護する為に口を開いた。
「イングリット嬢…確かに彼は貴女よりもかなり年齢が上かもしれませんが…ブライアンは独身なので、かなり若く見えると思いますよ?誰もが彼の年齢を知れば驚くほどなのです。それにとても思いやりを持っている人物です。社内の評判もとても良いです。結婚すればきっと幸せにしてくれるはずですよ」
「マルセル様…。私が何故、ブライアントの年齢差に拘っているのか…お分かりにならないのですか?」
イングリット嬢は俺を避難する目で睨みつけてきた。
「え…?」
窓の外は…いつの間にか雨が本降りになっていた―。
そう言えば…俺は一度もアゼリアとこの様な場所に来たことが無かった。いや、それどころかアゼリアは俺と婚約後はあの屋敷から助け出すまで一度も温かい料理を口にしたことは無かったのだ。
「…」
改めて自分の不甲斐なさを悔いていると、不意にイングリット嬢が声を掛けてきた。
「マルセル様、あの窓際の席に座りませんか?」
「え?ええ。いいですよ」
2人で窓際の席に座ると、すぐにウェイターが注文を聞きにやってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文は何に致しますか?」
「イングリット嬢は何にしますか?」
「そうですね…私はアップルティーにします。マルセル様は何になさいますか?」
「俺はコーヒーにします。それではアップルティーにコーヒーをお願いします」
ウェイターに注文した。
「かしこまりました。お待ち下さい」
頭を下げてウェイターが去っていくと、早速俺はイングリット嬢に尋ねた。
「先程馬車の中で俺に助力を仰ぎたいと話されていましたよね?一体どういうことなのでしょう?」
「それは…私とブライアンの事ですわ。」
「ブライアンの事ですか?ではお聞かせ願えますか?」
何となく予想はしていたが、彼のことならば好都合だ。彼女の話を聞いた後、何故俺とアゼリアの事を彼に話したのか尋ねてみよう。しかし、次の瞬間彼女はとんでもないことを口にしたのだ。
「マルセル様、私はなんとしてもブライアンと婚約破棄をしたいのです。彼を説得するために協力して頂けないでしょうか?」
「え?何ですって?」
冗談じゃない。ブライアンは俺に取って尊敬するべき上司だ。何故上司の婚約者からこんな頼みごとをされなくてはならないのだ?
「マルセル様は彼の信頼のおける部下と伺っております。ブライアンは私が何度婚約を破棄してもらいたいと申し出ても首を縦に振ってくれないのです。でもマルセル様のお話ならブライアンも聞き入れてくれると思うのです」
イングリット嬢は真剣な眼差しで俺に言う。
「ちょっと待って下さい。何故、俺にそんな話を…」
そこまで言いかけた時…。
「お待たせ致しました」
ウェイターがトレーに乗せて二人分の飲み物を持ってやってくると、それぞれのテーブルの上に置いていく。
「「…」」
その間、俺とイングリット嬢は黙って見つめ合っていた。
「ごゆっくりどうぞ」
頭を下げて去っていくウェイターを見送ると、すぐにコーヒーに口をつけた。あまりの申し出に喉がカラカラになっていたからだ。
コーヒーを飲んでいると、イングリット嬢が再び口を開いた。
「…無理なんです。私、どうしてもブライアンの事を結婚相手とは思えないのです。好きと言う気持ちすら持てません。だって、彼は私とはあまりに年齢が違いすぎます。父とほぼ同じ年齢の男性なんて、とうてい受け入れられません」
…傍から聞いていると、随分酷いことを彼女は言っていると思った。そこで俺は彼を養護する為に口を開いた。
「イングリット嬢…確かに彼は貴女よりもかなり年齢が上かもしれませんが…ブライアンは独身なので、かなり若く見えると思いますよ?誰もが彼の年齢を知れば驚くほどなのです。それにとても思いやりを持っている人物です。社内の評判もとても良いです。結婚すればきっと幸せにしてくれるはずですよ」
「マルセル様…。私が何故、ブライアントの年齢差に拘っているのか…お分かりにならないのですか?」
イングリット嬢は俺を避難する目で睨みつけてきた。
「え…?」
窓の外は…いつの間にか雨が本降りになっていた―。
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