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ケリーの章 ⑱ 待ちわびていたプロポーズ
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「ヨハン先生…」
ポツリと呟くとローラさんが私の手にそっと触れながら言った。
「ケリー。貴女…ヨハン先生の事…好きなんでしょう?」
「はい」
コクリと頷く。
「そうなのね…?でも、その様子だと気持ちは告げていないみたいね?」
「はい。私とヨハン先生は…11歳も年が離れていて…私の事は大人としてみてくれていないと思うんです。それにヨハン先生が好きな女性は…今もアゼリア様ですから」
するとローラさんが言った。
「ケリー。聞いて?私は多分…ヨハン先生はアゼリア様の事を妹のように感じていたのではないかと思うの。貴女が思うような恋愛感情は持っていなかったんじゃないかしら?そうでなければ、あっさりカイザード王子様にアゼリア様を譲らなかったのじゃないかしら?」
「けれど、今もヨハン先生は…時折アゼリア様が使っていたお部屋で1人、過ごす事があるんです。それはアゼリア様の事を今も思っているからではないでしょうか?」
「ケリー…でもそれは…」
ローラさんが私をじっと見つめる。
「ヨハン先生は…とても素敵な男性です。私みたいな平凡な人間ではなく、やっぱりアゼリア様のような女性が…きっと理想の女性なのだと思うんです」
「でも私は…ケリーは十分魅力的な女性だと思うわよ?」
ローラさんはそう言って笑みを浮かべた―。
****
それからローラさんと1時間近く話をし…アメリアのお昼寝の時間があるからと言ってローラさんは帰って行った。
午後4時―
「ただいま」
私がリビングで洗濯物を畳んでいた時に、ヨハン先生が帰宅してきた。
「お帰りなさい、ヨハン先生」
「ただいま。ケリー。あれ?ローラさんはもう帰ったのかい?」
ヨハン先生は私が1人でリビングにいた事を不思議に思ったのか首を傾げた。
「はい、ローラさんはアメリアのお昼寝の時間があるからと言って、午後2時には帰られました」
「そうか、そう言えばアメリアが一緒だったね。それじゃ僕は着替えてくるよ。一緒にお茶でも飲まないかい?」
ヨハン先生が笑みを浮かべながら私に言う。
「はい。ではお湯を沸かしておきますね?」
「うん、よろしく」
ヨハン先生はそれだけ言うと、リビングを出ていった。
「ヨハン先生…」
先生が出ていった後、私はポツリと呟いた。
先生が着ていたスーツはこの間、初めて2人でレストランへ行った時に着ていたのと同じ上質なスーツだった。…ヨハン先生は滅多な事ではスーツ等着ない。ひょっとすると…デートでもしてきたのだろうか?私はヨハン先生の好きな女性はずっと今も変わらずアゼリア様だとばかり思っていた。けれどローラさんはアゼリア様の事は妹として見ていたのではないかと言う。
だとしたら?ひょっとすると…実はヨハン先生は私の知らないところで恋人が出来て、それで…私に出ていって貰いたくてお見合いの話を…?
ヨハン先生。私はひょっとして邪魔者なのでしょうか?だからお見合いの話を進めようとしているのですか…?けれど、もしヨハン先生がこのまま私とトマスさんのお見合い話を進めたいなら…甘んじてそれを受けいれよう。
だって、ヨハン先生が大好きだから。
大好きな人を…私は困らせたくなかったから―。
ポツリと呟くとローラさんが私の手にそっと触れながら言った。
「ケリー。貴女…ヨハン先生の事…好きなんでしょう?」
「はい」
コクリと頷く。
「そうなのね…?でも、その様子だと気持ちは告げていないみたいね?」
「はい。私とヨハン先生は…11歳も年が離れていて…私の事は大人としてみてくれていないと思うんです。それにヨハン先生が好きな女性は…今もアゼリア様ですから」
するとローラさんが言った。
「ケリー。聞いて?私は多分…ヨハン先生はアゼリア様の事を妹のように感じていたのではないかと思うの。貴女が思うような恋愛感情は持っていなかったんじゃないかしら?そうでなければ、あっさりカイザード王子様にアゼリア様を譲らなかったのじゃないかしら?」
「けれど、今もヨハン先生は…時折アゼリア様が使っていたお部屋で1人、過ごす事があるんです。それはアゼリア様の事を今も思っているからではないでしょうか?」
「ケリー…でもそれは…」
ローラさんが私をじっと見つめる。
「ヨハン先生は…とても素敵な男性です。私みたいな平凡な人間ではなく、やっぱりアゼリア様のような女性が…きっと理想の女性なのだと思うんです」
「でも私は…ケリーは十分魅力的な女性だと思うわよ?」
ローラさんはそう言って笑みを浮かべた―。
****
それからローラさんと1時間近く話をし…アメリアのお昼寝の時間があるからと言ってローラさんは帰って行った。
午後4時―
「ただいま」
私がリビングで洗濯物を畳んでいた時に、ヨハン先生が帰宅してきた。
「お帰りなさい、ヨハン先生」
「ただいま。ケリー。あれ?ローラさんはもう帰ったのかい?」
ヨハン先生は私が1人でリビングにいた事を不思議に思ったのか首を傾げた。
「はい、ローラさんはアメリアのお昼寝の時間があるからと言って、午後2時には帰られました」
「そうか、そう言えばアメリアが一緒だったね。それじゃ僕は着替えてくるよ。一緒にお茶でも飲まないかい?」
ヨハン先生が笑みを浮かべながら私に言う。
「はい。ではお湯を沸かしておきますね?」
「うん、よろしく」
ヨハン先生はそれだけ言うと、リビングを出ていった。
「ヨハン先生…」
先生が出ていった後、私はポツリと呟いた。
先生が着ていたスーツはこの間、初めて2人でレストランへ行った時に着ていたのと同じ上質なスーツだった。…ヨハン先生は滅多な事ではスーツ等着ない。ひょっとすると…デートでもしてきたのだろうか?私はヨハン先生の好きな女性はずっと今も変わらずアゼリア様だとばかり思っていた。けれどローラさんはアゼリア様の事は妹として見ていたのではないかと言う。
だとしたら?ひょっとすると…実はヨハン先生は私の知らないところで恋人が出来て、それで…私に出ていって貰いたくてお見合いの話を…?
ヨハン先生。私はひょっとして邪魔者なのでしょうか?だからお見合いの話を進めようとしているのですか…?けれど、もしヨハン先生がこのまま私とトマスさんのお見合い話を進めたいなら…甘んじてそれを受けいれよう。
だって、ヨハン先生が大好きだから。
大好きな人を…私は困らせたくなかったから―。
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