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第1幕 『星の銀貨』のヒロインの場合 ⑨
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翌日もルナは借金取りから逃げつつ、次の教会を目指して歩いていた。ここ最近は無人の教会ばかりであった。
(今度こそ・・神父さんがいらっしゃる教会でありますように・・。)
ルナには家族も住む家も何も無いが、人一倍信仰心が厚く、神様を一番見直に感じられる場所で暮したいと思っていた。教会でお世話になる代わりに一生懸命働いて、ゆくゆくはシスターになるのがルナの密かな夢であった。
吹きすさぶ風は一層冷たくなり、すっかり薄着になってしまったルナの体温を容赦なく奪っていく。
「神様、どうぞ私をお守りください・・・。」
ルナは神に祈りながら、両手を擦り合わせてかじかんだ手に息を吹きかけた。
そしてようやく次の村に辿り着いた時には、すっかり身体の感覚が麻痺してしまう程に冷え切っていた。
村には人の気配が感じられず、ルナは不安になってきた。
(もしかするとこの村には人が誰も住んでいないのかしら・・・?)
その時、ルナよりは若干年下に見える少女がフラフラとルナの元へとやって来た。可哀そうに、その少女は薄い下着を身に着けているだけの姿をしていた。
「お姉さん・・・寒くて寒くて堪らないの・・・。お姉さんの着ている服をどうか私に恵んでいただけませんか・・・・?」
その少女は今にも命の灯が消えてしまうのでは無いかと思われるほどに衰弱していた。ルナの身体も十分すぎる位冷え切ってはいたが、とてもでは無いが目の前の少女を見捨てる事は出来なかった。
「まあ・・・なんてかわいそうなの?いいわ。私のこの服をあげる。」
ルナは躊躇いもせずに自分の着ているワンピースを脱ぐと少女に着せてやった。
「お姉さん・・・ありがとう。」
少女は笑みを浮かべてルナにお礼を言った。そこでルナは尋ねた。
「ねえ、この村に教会は無いかしら?」
すると少女は答えた。
「教会ならこの道をずっと真っすぐ行った所にあるわ。」
少女の指さした方向には道がずっと続いていた。
「ありがとう。」
ルナはお礼を言うと教会を目指して歩き始めた。今やルナの姿は肌着わりの膝丈ほどのノースリーブと下着を身に着けただけの姿だった。
(いいわ。どうせこの村には誰も人の姿が見えないんだもの。恥ずかしがる必要は無いわ。)
そして歩き続け、ようやく教会へと辿り着いた。
「あ・・?温かい・・?」
教会に入ると何故か温かった。みると暖炉に火が灯っている。
「まあ・・・暖炉・・。」
ルナは思わずフラフラと近づき・・足を止めた。何と暖炉の側には3人の若い男が座り込んで温まっていたのだ。
「へえ・・・こんな所に下着だけの女が現れるとはな・・。」
「こいつ・・いい身体してるじゃねえか・・・・。」
「よし、それじゃ・・俺達といい事しようぜ・・・?」
3人は立ち上がると下卑た目でルナを見つめた。
「い・・・いや・・・こ、来ないで・・・。」
ルナはじりじりと後ずさったが、1人の男がルナに飛び掛かって来た。
「キャアアッ!!」
ルナは床に倒され、男は乱暴にルナの下着を破った。
「イヤアアッ!!」
あっという間に全裸にされてしまったルナに男達は群がり、ルナの身体をまさぐって来た。
「イヤアアアッ!だ、誰かっ!神様助けてっ!」
すると1人の男が言った。
「ヘッヘヘ・・・この世に神なんていねーんだよ。」
今まさにルナに狼藉を働こうとした矢先・・・・。
「お前達っ!何をしているっ!その女性から離れろっ!」
扉を開け放して飛び込んできたのはアーサーだった。彼は城の優秀な騎士である。
そしてあっという間に男達を叩きのめすとルナを見つめた。
「あ・・・・。」
ルナは恐怖と恥ずかしさで裸の身体を隠すように身を縮こめてしゃがみ込んでいた。するとアーサーは黙って自分の上着を脱ぐと、そっとルナにかけてあげると言った。
「やっと・・・貴女に出会えました。」
そして笑みを浮かべた—。
(今度こそ・・神父さんがいらっしゃる教会でありますように・・。)
ルナには家族も住む家も何も無いが、人一倍信仰心が厚く、神様を一番見直に感じられる場所で暮したいと思っていた。教会でお世話になる代わりに一生懸命働いて、ゆくゆくはシスターになるのがルナの密かな夢であった。
吹きすさぶ風は一層冷たくなり、すっかり薄着になってしまったルナの体温を容赦なく奪っていく。
「神様、どうぞ私をお守りください・・・。」
ルナは神に祈りながら、両手を擦り合わせてかじかんだ手に息を吹きかけた。
そしてようやく次の村に辿り着いた時には、すっかり身体の感覚が麻痺してしまう程に冷え切っていた。
村には人の気配が感じられず、ルナは不安になってきた。
(もしかするとこの村には人が誰も住んでいないのかしら・・・?)
その時、ルナよりは若干年下に見える少女がフラフラとルナの元へとやって来た。可哀そうに、その少女は薄い下着を身に着けているだけの姿をしていた。
「お姉さん・・・寒くて寒くて堪らないの・・・。お姉さんの着ている服をどうか私に恵んでいただけませんか・・・・?」
その少女は今にも命の灯が消えてしまうのでは無いかと思われるほどに衰弱していた。ルナの身体も十分すぎる位冷え切ってはいたが、とてもでは無いが目の前の少女を見捨てる事は出来なかった。
「まあ・・・なんてかわいそうなの?いいわ。私のこの服をあげる。」
ルナは躊躇いもせずに自分の着ているワンピースを脱ぐと少女に着せてやった。
「お姉さん・・・ありがとう。」
少女は笑みを浮かべてルナにお礼を言った。そこでルナは尋ねた。
「ねえ、この村に教会は無いかしら?」
すると少女は答えた。
「教会ならこの道をずっと真っすぐ行った所にあるわ。」
少女の指さした方向には道がずっと続いていた。
「ありがとう。」
ルナはお礼を言うと教会を目指して歩き始めた。今やルナの姿は肌着わりの膝丈ほどのノースリーブと下着を身に着けただけの姿だった。
(いいわ。どうせこの村には誰も人の姿が見えないんだもの。恥ずかしがる必要は無いわ。)
そして歩き続け、ようやく教会へと辿り着いた。
「あ・・?温かい・・?」
教会に入ると何故か温かった。みると暖炉に火が灯っている。
「まあ・・・暖炉・・。」
ルナは思わずフラフラと近づき・・足を止めた。何と暖炉の側には3人の若い男が座り込んで温まっていたのだ。
「へえ・・・こんな所に下着だけの女が現れるとはな・・。」
「こいつ・・いい身体してるじゃねえか・・・・。」
「よし、それじゃ・・俺達といい事しようぜ・・・?」
3人は立ち上がると下卑た目でルナを見つめた。
「い・・・いや・・・こ、来ないで・・・。」
ルナはじりじりと後ずさったが、1人の男がルナに飛び掛かって来た。
「キャアアッ!!」
ルナは床に倒され、男は乱暴にルナの下着を破った。
「イヤアアッ!!」
あっという間に全裸にされてしまったルナに男達は群がり、ルナの身体をまさぐって来た。
「イヤアアアッ!だ、誰かっ!神様助けてっ!」
すると1人の男が言った。
「ヘッヘヘ・・・この世に神なんていねーんだよ。」
今まさにルナに狼藉を働こうとした矢先・・・・。
「お前達っ!何をしているっ!その女性から離れろっ!」
扉を開け放して飛び込んできたのはアーサーだった。彼は城の優秀な騎士である。
そしてあっという間に男達を叩きのめすとルナを見つめた。
「あ・・・・。」
ルナは恐怖と恥ずかしさで裸の身体を隠すように身を縮こめてしゃがみ込んでいた。するとアーサーは黙って自分の上着を脱ぐと、そっとルナにかけてあげると言った。
「やっと・・・貴女に出会えました。」
そして笑みを浮かべた—。
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