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5-24 魔女ジュリエッタ
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「12回の死…?一体それはどういう事だ…?」
ユベールは戸惑いの表情を浮かべて私を見ている。
「はい。私は…同じ時間軸をずっと生き続けていたのです。私はある一定の時間から‥ずっと抜け出す事が出来ずにループし続けているのです」
「ある一定の期間と言うのは?」
「1月1日から始まり…7月7日、私が死ぬ…その日までです」
「!」
ユベールの息を飲む気配が伝わった。
「私は…いつもいつもこの城にアンリ王子の婚約者選定試験に招かれ、最終的に必ず試験に勝ち残って正式な婚約者として選ばれます。そして、その翌日…7月7日に私は殺されます。しかも私が殺される方法は毎回違っています。毒殺や水死…火事で死んだこともあれば弓で射貫かれたり、毒蛇に噛まれたり…」
私の話を聞いていたユベールの顔が見る見るうちに青ざめていく。
「な、何て事だ…」
「そして…12回目の死は…」
私は肩を震わせた。どうしよう…この話はユベールにはするべきではないかもしれない。けれど…。
「どうした?シルビア。…辛いなら無理に話す事は無い。誰だって自分の死の記憶が残されているなら…恐ろしくてたまらないだろう?それを無理に思い返す必要は無い」
ユベールが私の肩をグッと抱き寄せたその時―。
フッ
突然部屋に灯していたランプの炎が一斉にかき消され、部屋の中が闇に包まれた。
「フフフ…シルビア。すっかりユベールを手懐けたようね…」
部屋の中にジュリエッタの声が響き渡った。
「ジュリエッタだなっ?!何所だっ!」
ユベールは椅子から立ち上がり、抜刀した。
キラリ
ユベールの抜いた剣の刃先が月明りに照らされて一瞬光る。次の瞬間―
バンッ!!
バルコニーへ続く窓が突然開き、外の景色が丸見えになった。風が吹いているのだろうか。レースのカーテンが風にゆれる。
「気を付けろ!シルビアッ!俺の傍から離れるなっ!」
ユベールが窓の方を見ながら叫ぶ。
「は、はいっ!」
ユベールの傍に駆け寄り、私は彼と共に窓の外の景色を見て‥息を飲んだ。
そこには大きな満月を背したジュリエッタがバルコニーの外で宙に浮かんでいた。
ジュリエッタは私とユベールを見下ろすと妖艶に笑った。その姿は今まで見たことも無い程に美しく見えた。
「ジュリエッタ…おのれ、魔女めっ!」
ユベールは憎々し気に言う。するとジュリエッタはユベールに言った。
「うるさいわね、ユベール。この裏切り者め。貴方はこの私を愛していたはずじゃなかったのかしら?」
ジュリエッタはまるで挑発するような言い方をユベールにする。
「それは昔の事だ!俺が愛するのは…シルビアだっ!」
愛する…?
私はその言葉に耳を疑った。まさかこんな形でユベールから愛を告白されるとは思わなかった。
途端にその言葉を聞いたジュリエッタは憎々し気に顔を歪めると言った。
「ユベール…あれ程私に恋い焦がれ、叶わぬ恋に苦しむ滑稽な姿を、もう私には見せるつもりはないと言うのね?」
「ああ、そうだな。お前はさぞかし楽しんでいたかもしれないが‥‥俺だってお前の魅了の魔法から解放されたのだからな。アンリ王子の目が覚めるのも近いかもしれないな?何しろ今のお前からは魅力の一つも感じられない」
するとジュリエッタが突然高笑いした。
「アハハハハハッ!全く面白い事を言ってくれるわね?過去12回ものループで何度もシルビアを殺して来たきくせに!」
「な、何だって?!」
ユベールは驚いた顔で私の方を振りむいた。けれども驚いたのは私も同じだった。
何故…ジュリエッタが知っているの?私が12回もループし続けていることを…?
それとも…。
「ジュリエッタ…貴女の仕業だったの?私が何度もループし続けたのは…?」
私はジュリエッタを見つめた―。
ユベールは戸惑いの表情を浮かべて私を見ている。
「はい。私は…同じ時間軸をずっと生き続けていたのです。私はある一定の時間から‥ずっと抜け出す事が出来ずにループし続けているのです」
「ある一定の期間と言うのは?」
「1月1日から始まり…7月7日、私が死ぬ…その日までです」
「!」
ユベールの息を飲む気配が伝わった。
「私は…いつもいつもこの城にアンリ王子の婚約者選定試験に招かれ、最終的に必ず試験に勝ち残って正式な婚約者として選ばれます。そして、その翌日…7月7日に私は殺されます。しかも私が殺される方法は毎回違っています。毒殺や水死…火事で死んだこともあれば弓で射貫かれたり、毒蛇に噛まれたり…」
私の話を聞いていたユベールの顔が見る見るうちに青ざめていく。
「な、何て事だ…」
「そして…12回目の死は…」
私は肩を震わせた。どうしよう…この話はユベールにはするべきではないかもしれない。けれど…。
「どうした?シルビア。…辛いなら無理に話す事は無い。誰だって自分の死の記憶が残されているなら…恐ろしくてたまらないだろう?それを無理に思い返す必要は無い」
ユベールが私の肩をグッと抱き寄せたその時―。
フッ
突然部屋に灯していたランプの炎が一斉にかき消され、部屋の中が闇に包まれた。
「フフフ…シルビア。すっかりユベールを手懐けたようね…」
部屋の中にジュリエッタの声が響き渡った。
「ジュリエッタだなっ?!何所だっ!」
ユベールは椅子から立ち上がり、抜刀した。
キラリ
ユベールの抜いた剣の刃先が月明りに照らされて一瞬光る。次の瞬間―
バンッ!!
バルコニーへ続く窓が突然開き、外の景色が丸見えになった。風が吹いているのだろうか。レースのカーテンが風にゆれる。
「気を付けろ!シルビアッ!俺の傍から離れるなっ!」
ユベールが窓の方を見ながら叫ぶ。
「は、はいっ!」
ユベールの傍に駆け寄り、私は彼と共に窓の外の景色を見て‥息を飲んだ。
そこには大きな満月を背したジュリエッタがバルコニーの外で宙に浮かんでいた。
ジュリエッタは私とユベールを見下ろすと妖艶に笑った。その姿は今まで見たことも無い程に美しく見えた。
「ジュリエッタ…おのれ、魔女めっ!」
ユベールは憎々し気に言う。するとジュリエッタはユベールに言った。
「うるさいわね、ユベール。この裏切り者め。貴方はこの私を愛していたはずじゃなかったのかしら?」
ジュリエッタはまるで挑発するような言い方をユベールにする。
「それは昔の事だ!俺が愛するのは…シルビアだっ!」
愛する…?
私はその言葉に耳を疑った。まさかこんな形でユベールから愛を告白されるとは思わなかった。
途端にその言葉を聞いたジュリエッタは憎々し気に顔を歪めると言った。
「ユベール…あれ程私に恋い焦がれ、叶わぬ恋に苦しむ滑稽な姿を、もう私には見せるつもりはないと言うのね?」
「ああ、そうだな。お前はさぞかし楽しんでいたかもしれないが‥‥俺だってお前の魅了の魔法から解放されたのだからな。アンリ王子の目が覚めるのも近いかもしれないな?何しろ今のお前からは魅力の一つも感じられない」
するとジュリエッタが突然高笑いした。
「アハハハハハッ!全く面白い事を言ってくれるわね?過去12回ものループで何度もシルビアを殺して来たきくせに!」
「な、何だって?!」
ユベールは驚いた顔で私の方を振りむいた。けれども驚いたのは私も同じだった。
何故…ジュリエッタが知っているの?私が12回もループし続けていることを…?
それとも…。
「ジュリエッタ…貴女の仕業だったの?私が何度もループし続けたのは…?」
私はジュリエッタを見つめた―。
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