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5−23 秘密を明かす時

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 私とユベールは2人で窓を向くように置かれたソファに座り、美しい夜空を見上げていた。ユベールはいつでも剣を抜けるように背中に剣を差している。

「綺麗な満月ですね…」

大きな満月を見上げながら私は隣に座るユベールに言った。

「ああ、本当に見事な満月だな…」

「ユベール様」

私はどうしても聞きたいことがあり、ユベールに声を掛けた。

「何だ?」

「もし…ジュリエッタが襲ってきたらどうしますか?彼女を…切れるのですか?」

「当然切れるに決まってるだろう?ジュリエッタは…俺たちの敵なのだから」

ユベールの顔に戸惑いが浮かんでいた。

「何故、そんな事を聞くんだ?」

「だ、だって…ジュリエッタはユベール様とアンリ王子の…大切な幼馴染ですよね?」

すると突然ユベールが私の頭を引き寄せ唇を押し付けてきた。

「んっ…」

暫く無言で私とユベールは口付けを続けた。やがて…息も止まりそうな深い口付けが終わるとユベールが言った。

「ジュリエッタは…俺たちの幼馴染じゃない。あれは魔女だ。あの女はこの国を乗っ取るために俺たちに近付いたんだ。それに…俺に取って大切な存在はアンリ王子でもジュリエッタも誰でもない。お前だけだ、シルビア」

私の頬を両手ではさみ、熱を帯びた瞳のユベールに見つめられて私の心は高ぶった。今、この瞬間13回目の死がおとずれても、甘んじて受けいれられると思える程に…。

「ユベール様…先程の話の続きですけど…」

「ああ、ジュリエッタの話だろう?」

「はい。恐らくアンリ王子はジュリエッタに操られて…今回の婚約者選びの選定試験を開催したと思うのです。目的は…」

「お前を見つけ出すことだったんだろう?」

ユベールは私の肩を抱き寄せると言った。

「は、はい…」

ユベールの私の肩を抱き寄せる手に力が込められた。

「ジュリエッタが何故お前を探していたのか…本当の目的は分からないが、必ずお前の事は守ってやる。だから安心しろ」

ユベールはそう言ってくれるけれども…でも、私は不安だった。私は既に12回も様々な方法で殺されてきた。誰が私を殺し続けてきたか…今ならはっきり分かる。私はジュリエッタによって殺されてきたのだ。しかも恐ろしいことに彼女は自分で手を下さずに…。ジュリエッタは恐らくユベールを使って私を殺してきたのかもしれない。と言う事は…今回もひょっとすると私は…?

「ユベール様…私の話を聞いて頂けますか…?」

俯き、スカートの裾をギュッと握りしめながら私は口を開いた。

「どうした?」

「今迄…ずっとユベール様に秘密にしていたことがあります…。こんな話、しても信じて貰えないと思っていたから…でも、聞いて頂けますか…?」

「ああ、聞こう。安心しろ、シルビア。お前の話なら…俺はどんな話だって信じる」

どんな話だって信じる…。

ユベールのその言葉は涙が出そうになるほど嬉しかった。ユベールが私を信じてくれるなら、私もユベールを信じて自分の今迄誰にも告げたことのないデスループの話をしよう。

「ユベール様。私は…過去に置いて12回の死を遂げてきました」

私は語り始めた―。
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