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5-22 アンリ王子の秘密
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ガチャ…
ユベールがドアを開けると、そこはアンリ王子の部屋だった。しかし、当然中はもぬけの空である。
「え…?ここはアンリ王子の部屋…?」
「そうだ。この本棚は仕掛け扉になっていて、本棚を横にスライドさせると今俺達が出て来た部屋に繋がるようになっているんだ」
言いながらユベールは本棚を壁に沿って引き寄せると、床に蝋でも塗ってあるのか、簡単に本棚がスライドし、隠し部屋が閉ざされた。まさかアンリ王子の部屋にこのような隠し部屋があったなんて…。不思議に思い、じっと本棚を見つめているとユベールが言った。
「この部屋はアンリ王子がいざという時に隠れる為の部屋だ」
ユベールが教えてくれた。だけど…。
「いざという時…とは一体どういう事ですか?」
「ああ、アンリ王子と国王の関係が良くないと言う話はもう知ってるな?」
「ええ、知っています」
「実はアンリ王子はある少年と共に8歳の頃に誘拐されたことがあった。そしてその後、無事に見つかって保護されたのだが…」
そこで何故かユベールは言葉を切った。
「ユベール様?」
するとユベールは再び言葉を続けた。
「シルビア、とりあえずここにいては危険だ。お前を部屋まで送る」
「はい、そうですね。私も…ここにいては危険な気がします」
「では行こう」
そして私とユベールはアンリ王子の部屋を出ると自分の部屋を目指して歩き始めた。
辺りはすっかり静まり返り、廊下の大きな窓からは美しい満月が輝き、青白い月明かりが廊下を照らしている。2人でコツコツと足音を立てて並んで歩きながらユベールの話が再開した。
「アンリ王子は国王の元に連れて行かれたが、アンリ王子を目にした国王は自分の息子ではないと言い張ったんだ。」
「え?そうなのですか?」
「ああ。それから国王はアンリ王子を敵視するようになった」
「そんな…」
「アンリ王子は先の王妃の第一子で、一番の王位継承者なのだが…後妻として嫁いできた現王妃には王子がいる。その王子に王位を譲ろうと思っている。だが、アンリ王子がいる為に…」
「まさか、それでアンリ王子を…?」
「ああ、それで俺がアンリ王子の護衛騎士として…ついていたんだ。アンリ王子は常に暗殺の危険にさらされていた。だから自分の妻になる女性はあらゆる才能に秀でた女性か…もしくは魔力のある女性を望んだ。だから今回、婚約者を選ぶ選定試験を開いたんだ。」
「そうだったのですね…それでジュリエッタは…」
「彼女は俺たちの幼馴染…だと思っていた。だが…俺たちは騙されていたんだな…」
ユベールはため息を付いた。
「あの…ジュリエッタは魅了の魔力を使ってアンリ王子とユベール様を騙していたのですよね?」
私はユベールを見上げた。
「ああ、そうだ」
「ひょっとして…魔力のある女性を選定試験で選ぼうとしたのは…ジュリエッタの提案ではないですか?」
「そう言えば…そうだったな…っと言う事は…っ!」
ユベールはハッとなって私を見た。恐らくユベールも気がついたのだ。そして…いつの間にか、そこはもう私の部屋の前だった。
「シルビア…」
「はい」
ユベールは私を見ると言った。
「お前…1人にするのは危険だ」
「私も…そう思います」
「なら決まりだな」
ユベールは言い、私は頷いた。
そして私とユベールは2人で部屋の中へと入った―。
ユベールがドアを開けると、そこはアンリ王子の部屋だった。しかし、当然中はもぬけの空である。
「え…?ここはアンリ王子の部屋…?」
「そうだ。この本棚は仕掛け扉になっていて、本棚を横にスライドさせると今俺達が出て来た部屋に繋がるようになっているんだ」
言いながらユベールは本棚を壁に沿って引き寄せると、床に蝋でも塗ってあるのか、簡単に本棚がスライドし、隠し部屋が閉ざされた。まさかアンリ王子の部屋にこのような隠し部屋があったなんて…。不思議に思い、じっと本棚を見つめているとユベールが言った。
「この部屋はアンリ王子がいざという時に隠れる為の部屋だ」
ユベールが教えてくれた。だけど…。
「いざという時…とは一体どういう事ですか?」
「ああ、アンリ王子と国王の関係が良くないと言う話はもう知ってるな?」
「ええ、知っています」
「実はアンリ王子はある少年と共に8歳の頃に誘拐されたことがあった。そしてその後、無事に見つかって保護されたのだが…」
そこで何故かユベールは言葉を切った。
「ユベール様?」
するとユベールは再び言葉を続けた。
「シルビア、とりあえずここにいては危険だ。お前を部屋まで送る」
「はい、そうですね。私も…ここにいては危険な気がします」
「では行こう」
そして私とユベールはアンリ王子の部屋を出ると自分の部屋を目指して歩き始めた。
辺りはすっかり静まり返り、廊下の大きな窓からは美しい満月が輝き、青白い月明かりが廊下を照らしている。2人でコツコツと足音を立てて並んで歩きながらユベールの話が再開した。
「アンリ王子は国王の元に連れて行かれたが、アンリ王子を目にした国王は自分の息子ではないと言い張ったんだ。」
「え?そうなのですか?」
「ああ。それから国王はアンリ王子を敵視するようになった」
「そんな…」
「アンリ王子は先の王妃の第一子で、一番の王位継承者なのだが…後妻として嫁いできた現王妃には王子がいる。その王子に王位を譲ろうと思っている。だが、アンリ王子がいる為に…」
「まさか、それでアンリ王子を…?」
「ああ、それで俺がアンリ王子の護衛騎士として…ついていたんだ。アンリ王子は常に暗殺の危険にさらされていた。だから自分の妻になる女性はあらゆる才能に秀でた女性か…もしくは魔力のある女性を望んだ。だから今回、婚約者を選ぶ選定試験を開いたんだ。」
「そうだったのですね…それでジュリエッタは…」
「彼女は俺たちの幼馴染…だと思っていた。だが…俺たちは騙されていたんだな…」
ユベールはため息を付いた。
「あの…ジュリエッタは魅了の魔力を使ってアンリ王子とユベール様を騙していたのですよね?」
私はユベールを見上げた。
「ああ、そうだ」
「ひょっとして…魔力のある女性を選定試験で選ぼうとしたのは…ジュリエッタの提案ではないですか?」
「そう言えば…そうだったな…っと言う事は…っ!」
ユベールはハッとなって私を見た。恐らくユベールも気がついたのだ。そして…いつの間にか、そこはもう私の部屋の前だった。
「シルビア…」
「はい」
ユベールは私を見ると言った。
「お前…1人にするのは危険だ」
「私も…そう思います」
「なら決まりだな」
ユベールは言い、私は頷いた。
そして私とユベールは2人で部屋の中へと入った―。
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