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3-22 夕暮れの町並みで
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「ユ、ユベール様…ま、待って下さい。歩くのが早いです…」
外はすっかり夕焼けで辺りの町並みはオレンジ色に染まっていた。ユベールは私の手を引いたまま、石畳の上をカツカツと大股で歩いて行く。背の高い彼の歩く速度が速く、私はほぼ小走りでついて行くのがやっとだった。
その時―。
「あ!」
石畳の上で躓き、バランスを崩しそうになった私は大きく前に身体が倒れた。
転ぶ!
思わずギュッと強く目をつぶった時―。
ドサッ…
何かが私の身体を抱き留めた。
「え…?」
思わず上を見上げると、私はユベールの胸の中に倒れ込んでいたのだ。
「す、すみません!」
あまりに間近にユベールがいたので、慌てて彼から離れようとした時、ユベールが私の肩を引き寄せ…。気付けば強く抱きしめられていた。
「ユ、ユベール様‥?」
一体何が起こったのだろう?何故私はユベールに抱きしめられているのだろう?
ユベールは私の頭を自分の胸に抑え込むかの様に抱き寄せている。彼の心臓の規則正しく脈打つ音に思わず顔が赤くなってしまった。
「…まない」
「え?」
ユベールの声が小さすぎて私には良く聞こえなかった。
「…すまなかった」
少しの間を空けて、ユベールは再び言うと私を抱きしめていた腕をほどいた。
「ユベール様…何故謝るのですか?」
ユベールの顔は苦しそうに歪んでいた。
「俺は…お前に魔石探しのパートナーに選ばれて…本来なら俺はお前を守らなければならない立場なのに…」
声を振り絞るようにユベールは言う。
「それなのに、俺がお前から目を離したせいで、今朝も‥さっきもお前を危険な目に遭わせてしまった…。本当にすまなかった」
ユベールは辛そうな顔で私を見つめている。過去12回のループに置いて、ユベールのこんな表情を見るのは今回が初めてだ。彼が私に向けてきた視線はいつも冷たいものばかりだったから。
「ユベール様のせいじゃありませんよ。私が今朝襲われたのは、魔石を探し出せる力がある事が皆のまえでばれてしまったせいですし、先ほどの酔っ払いだって勝手に私に近付いて来ただけですから」
しかしユベールは激しく首を振ると言った。
「違う!お前が今朝襲われたのだって、俺がお前を1人きりにしてしまったせいだ。そもそも先程の件だって、俺があんな店にお前を連れて行かなければ…!」
「でも、助けに来てくれたじゃないですか」
私は笑みを浮かべると言った。
「シルビア…」
「ありがとうございます。本当に…私なんかの為に…」
そう、過去のユベールはひょっとしたら私を殺した事があるかもしれない人物なのに。今のユベールは自ら助けに来てくれたのだから…。それに比べると雲泥の差だ。
「まただ…」
「え?」
「また、そんな目でお前は俺を見るんだな」
「そんな目って…?」
「何だ?気付いていなかったのか?お前が俺をどんな目で今まで見ていたのか」
「は、はい…」
するとユベールは溜息をつくと言った。
「お前はいつもそうだ。俺の助けを求めているような言い方をしていながら、その目は…何もかも諦めたような瞳をしている。いつも悲し気な目で俺を見ている事に気付いていなかったのか?端から俺には何も期待していない…そんな目で俺を見ているんだよ」
ユベールは苛立たし気に私に言う。気付かなかった…私は今までそんな目でユベールを見ていたなんて。
「す、すみません。決してそんなつもりでは…!」
慌てて頭を下げようとすると制止された。
「謝るな!」
「!」
思わず肩がピクリと動いた。
「別に謝って欲しくてそんな事を言ったわけじゃない」
「ユベール様…」
「何故お前は俺をそんな目で見る?それ程俺は頼りにならない男なのか?答えろ」
ユベールの瞳は‥有無を言わさない程に強いものだった―。
外はすっかり夕焼けで辺りの町並みはオレンジ色に染まっていた。ユベールは私の手を引いたまま、石畳の上をカツカツと大股で歩いて行く。背の高い彼の歩く速度が速く、私はほぼ小走りでついて行くのがやっとだった。
その時―。
「あ!」
石畳の上で躓き、バランスを崩しそうになった私は大きく前に身体が倒れた。
転ぶ!
思わずギュッと強く目をつぶった時―。
ドサッ…
何かが私の身体を抱き留めた。
「え…?」
思わず上を見上げると、私はユベールの胸の中に倒れ込んでいたのだ。
「す、すみません!」
あまりに間近にユベールがいたので、慌てて彼から離れようとした時、ユベールが私の肩を引き寄せ…。気付けば強く抱きしめられていた。
「ユ、ユベール様‥?」
一体何が起こったのだろう?何故私はユベールに抱きしめられているのだろう?
ユベールは私の頭を自分の胸に抑え込むかの様に抱き寄せている。彼の心臓の規則正しく脈打つ音に思わず顔が赤くなってしまった。
「…まない」
「え?」
ユベールの声が小さすぎて私には良く聞こえなかった。
「…すまなかった」
少しの間を空けて、ユベールは再び言うと私を抱きしめていた腕をほどいた。
「ユベール様…何故謝るのですか?」
ユベールの顔は苦しそうに歪んでいた。
「俺は…お前に魔石探しのパートナーに選ばれて…本来なら俺はお前を守らなければならない立場なのに…」
声を振り絞るようにユベールは言う。
「それなのに、俺がお前から目を離したせいで、今朝も‥さっきもお前を危険な目に遭わせてしまった…。本当にすまなかった」
ユベールは辛そうな顔で私を見つめている。過去12回のループに置いて、ユベールのこんな表情を見るのは今回が初めてだ。彼が私に向けてきた視線はいつも冷たいものばかりだったから。
「ユベール様のせいじゃありませんよ。私が今朝襲われたのは、魔石を探し出せる力がある事が皆のまえでばれてしまったせいですし、先ほどの酔っ払いだって勝手に私に近付いて来ただけですから」
しかしユベールは激しく首を振ると言った。
「違う!お前が今朝襲われたのだって、俺がお前を1人きりにしてしまったせいだ。そもそも先程の件だって、俺があんな店にお前を連れて行かなければ…!」
「でも、助けに来てくれたじゃないですか」
私は笑みを浮かべると言った。
「シルビア…」
「ありがとうございます。本当に…私なんかの為に…」
そう、過去のユベールはひょっとしたら私を殺した事があるかもしれない人物なのに。今のユベールは自ら助けに来てくれたのだから…。それに比べると雲泥の差だ。
「まただ…」
「え?」
「また、そんな目でお前は俺を見るんだな」
「そんな目って…?」
「何だ?気付いていなかったのか?お前が俺をどんな目で今まで見ていたのか」
「は、はい…」
するとユベールは溜息をつくと言った。
「お前はいつもそうだ。俺の助けを求めているような言い方をしていながら、その目は…何もかも諦めたような瞳をしている。いつも悲し気な目で俺を見ている事に気付いていなかったのか?端から俺には何も期待していない…そんな目で俺を見ているんだよ」
ユベールは苛立たし気に私に言う。気付かなかった…私は今までそんな目でユベールを見ていたなんて。
「す、すみません。決してそんなつもりでは…!」
慌てて頭を下げようとすると制止された。
「謝るな!」
「!」
思わず肩がピクリと動いた。
「別に謝って欲しくてそんな事を言ったわけじゃない」
「ユベール様…」
「何故お前は俺をそんな目で見る?それ程俺は頼りにならない男なのか?答えろ」
ユベールの瞳は‥有無を言わさない程に強いものだった―。
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