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3−19 目覚めた時
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「言っておくが、具合が悪くて横になっている者を無責任に放って何処かへ行くような男じゃないからな、俺は」
言いながらユベールは私の額に手を触れてきた。
「え…?」
「そんな冷たいベンチで横になっていたら身体が冷えるだろう?」
そして自分の来ているコートを脱いで私の身体に掛けてきた。
「そ、そんな。ユベール様、それではユベール様が風邪を引いてしまいますよ?私の事はお構いなく、どうぞコートを着て下さい」
「俺なら鍛えているから少々の寒さぐらい平気だ。大体俺たち騎士は真冬、雪が降る中でも剣術の練習をしたり、身体を鍛える事はしているのだからな」
「ですが…」
するとユベールが何を思ったか私の両目に手をそっと乗せると言った。
「いいから、少し黙って休んでいろ」
「はい。すみません…」
そして目を閉じた私は…本当にそのま眠ってしまった―。
ヒュウウウウ…
冷たい風が頬にあたり、不意に目が冷めて私は驚いてしまった。何とベンチに横たわってる私の隣でユベールが膝と腕を組む仕草でベンチの背もたれによりかかり、居眠りをしていた。慌てて飛び起き、ユベールに声を掛けた。
「ユベール様、起きて下さい、ユベール様!」
しかしユベールは目を覚まさない。彼に触れても良いものか迷ったけれども、このままでは風邪を引いてしまうかもしれない…。
そう思った私はユベールの肩にそっと触れた時―。
突然ユベールが目を冷まし、私の両肩を掴むと思い切りベンチに倒して上から覆いかぶさって来た。
「ユ、ユベール様?!」
思わず声が上ずり、ユベールがそこで眼前に私の顔があることに気づくとハッとしたように身体を離すと言った。
「す、すまん。大丈夫だったか?!」
「あ、は・はい…」
身体を起こそうとした時、ユベールに右手を掴まれ、引き起こされた。
「大丈夫か?どこか身体を痛めたりしていないか?」
「ええ…平気です。でも突然どうされたのですか?」
「ああ、すまない。つい、いつもの癖で…」
「癖?」
「ああ、俺たち騎士は相手の気配を察知出来るように訓練を受けてきたから…意識が無い時に少しでも触れられるとつい、さっきのような行動を取ってしまうんだ。しかも無意識だから加減も出来なくて…本当に悪かった」
「いえ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい」
本当はすごく身体が痛かった。なにしろ出掛ける前に見知らぬ男に突き飛ばされ、意識を失ってしまった後、魔石から鳴り響く鐘の音で気分が悪くなった後だったので身体がズキズキ傷んでいた。けれどユベールに気を使わせるわけにはいかない。
「そうか…だが、辛かったら言うんだぞ?」
「はい、分かりました。あ、そうだ。ユベール様。コートありがとうございます」
私は自分に掛けてあったコートをユベールに返した。
「ああ」
私からコートを受け取ったユベールは袖を通すと言った。
「どれ、そろそろ行くか。立てるか?」
行くって何処へ行くのだろう?いや、それよりも…
「あの、ユベール様。今何時なのでしょうか?」
「ああ、さっき公園の時計を確認したら午後3時を過ぎていたか?」
「え・・?さ、3時?!そ、そんな…!」
なんてこと、私は2時間以上もユベールのそばで眠ってしまっていたなんて!
「本当にすみません!ユベール様の貴重な時間を…!」
「別に気にすることは無い。どうせこれも魔石探しの一貫として考えればどうってことはないしな」
ユベールは特に気にした素振りもなく言う。
「でも…お昼も食べていませんよね?」
「ああ、だから今から遅めの昼の食事に出かけよう。行くぞ」
ユベールがベンチから立ち上がって歩き始めたので私もその後を追った―。
言いながらユベールは私の額に手を触れてきた。
「え…?」
「そんな冷たいベンチで横になっていたら身体が冷えるだろう?」
そして自分の来ているコートを脱いで私の身体に掛けてきた。
「そ、そんな。ユベール様、それではユベール様が風邪を引いてしまいますよ?私の事はお構いなく、どうぞコートを着て下さい」
「俺なら鍛えているから少々の寒さぐらい平気だ。大体俺たち騎士は真冬、雪が降る中でも剣術の練習をしたり、身体を鍛える事はしているのだからな」
「ですが…」
するとユベールが何を思ったか私の両目に手をそっと乗せると言った。
「いいから、少し黙って休んでいろ」
「はい。すみません…」
そして目を閉じた私は…本当にそのま眠ってしまった―。
ヒュウウウウ…
冷たい風が頬にあたり、不意に目が冷めて私は驚いてしまった。何とベンチに横たわってる私の隣でユベールが膝と腕を組む仕草でベンチの背もたれによりかかり、居眠りをしていた。慌てて飛び起き、ユベールに声を掛けた。
「ユベール様、起きて下さい、ユベール様!」
しかしユベールは目を覚まさない。彼に触れても良いものか迷ったけれども、このままでは風邪を引いてしまうかもしれない…。
そう思った私はユベールの肩にそっと触れた時―。
突然ユベールが目を冷まし、私の両肩を掴むと思い切りベンチに倒して上から覆いかぶさって来た。
「ユ、ユベール様?!」
思わず声が上ずり、ユベールがそこで眼前に私の顔があることに気づくとハッとしたように身体を離すと言った。
「す、すまん。大丈夫だったか?!」
「あ、は・はい…」
身体を起こそうとした時、ユベールに右手を掴まれ、引き起こされた。
「大丈夫か?どこか身体を痛めたりしていないか?」
「ええ…平気です。でも突然どうされたのですか?」
「ああ、すまない。つい、いつもの癖で…」
「癖?」
「ああ、俺たち騎士は相手の気配を察知出来るように訓練を受けてきたから…意識が無い時に少しでも触れられるとつい、さっきのような行動を取ってしまうんだ。しかも無意識だから加減も出来なくて…本当に悪かった」
「いえ、大丈夫ですよ。気にしないで下さい」
本当はすごく身体が痛かった。なにしろ出掛ける前に見知らぬ男に突き飛ばされ、意識を失ってしまった後、魔石から鳴り響く鐘の音で気分が悪くなった後だったので身体がズキズキ傷んでいた。けれどユベールに気を使わせるわけにはいかない。
「そうか…だが、辛かったら言うんだぞ?」
「はい、分かりました。あ、そうだ。ユベール様。コートありがとうございます」
私は自分に掛けてあったコートをユベールに返した。
「ああ」
私からコートを受け取ったユベールは袖を通すと言った。
「どれ、そろそろ行くか。立てるか?」
行くって何処へ行くのだろう?いや、それよりも…
「あの、ユベール様。今何時なのでしょうか?」
「ああ、さっき公園の時計を確認したら午後3時を過ぎていたか?」
「え・・?さ、3時?!そ、そんな…!」
なんてこと、私は2時間以上もユベールのそばで眠ってしまっていたなんて!
「本当にすみません!ユベール様の貴重な時間を…!」
「別に気にすることは無い。どうせこれも魔石探しの一貫として考えればどうってことはないしな」
ユベールは特に気にした素振りもなく言う。
「でも…お昼も食べていませんよね?」
「ああ、だから今から遅めの昼の食事に出かけよう。行くぞ」
ユベールがベンチから立ち上がって歩き始めたので私もその後を追った―。
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