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3-15 バリュー商会
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しばらく馬車は走り続けた。アンリ王子の住まう城の敷地はとても広大だ。森と湖に囲まれた敷地を抜けると、ようやく町へ出ることが出来る。ユベールは黙って窓の外の景色を眺めているので私も黙って乗っていた。やがて草原の道が石畳に変わる頃、ようやくユベールが口を開いた。
「この城下町には魔石を利用した魔道具や武器、防具が売られている店が多数ある。その効果も金額に応じる。一体お前は何が欲しいんだ?」
「そうですね…。やはり自分を守れるアイテムと防具が欲しいですね」
「そうか、なら防具屋に行ってみるか」
ユベールは御者に命じた。
「バリュー商会へ行ってくれ」
「かしこまりました」
御者は返事をするとそのまま馬車を走らせた。
「あの、バリュー商会とは何ですか?」
初めて聞く名前なので尋ねてみることにした。
「ああ、バリュー商会というのはこの町一番の武器や防具を扱う店だ。王宮の騎士たちの武器防具も全てその店で調達しているんだ」
「そうですか。そこなら色々なアイテムや防具がありそうですね」
「ああ、そうだな」
そこまで話した時、馬車が止まった。
「バリュー商会へ到着しました」
「そうか。では降りるか」
ユベールが馬車の扉を開けて降りたので私もそれに続いた。
****
「こ、これがバリュー商会ですか…」
私は目の前に見える大き石造りの建物を見上げた。
「ああ、そうだ」
隣に立っているユベールが返事をする。
「すごく大きいんですね…」
自分の住んでいる屋敷よりも大きい建物を見て驚いてしまった。上に続く窓の数を数えてみると5階建てだという事が分かった。
「さて、それじゃ中へ入るか」
ユベールは目の前の大きなアーチ型の扉を押して中へと入っていく。私も慌てて後を追った。
店の中には鎧や縦などが数多く展示されており、多くの若者たちが店を訪れていた。
「う~ん…なかなかお前に扱えそうな防具は無いな」
ユベールは鎧や盾を見ながら冗談とも本気とも取れない事を言う。しかしドレスを着た他の令嬢達に混ざって、1人鎧や盾を持って魔石探しをするなんて想像も出来ない。
「あの…流石に防具を装備するのは私には無理ですよ。勿論剣も持てません」
「ああ、ほんの冗談だ。どう見てもお前の様にヒョロヒョロな女が武器や防具を持てるとは思えないからな」
ユベールがニヤリと笑った。
「ええ、そうですよ」
その時、不意に背後から声を掛けられた。
「お?ユベールじゃないか。お前、今日は休暇日か?」
振り向くと、そこには銀色の髪の若者が立っていた。
「キリアン…」
キリアンと呼ばれた男性が私を見たので、私は会釈をした。
「ん?君は誰だ?ひょっとして…」
そして彼はユベールを見ると言った。
「ユベール、ひょっとしてお前の恋人か?可愛い子じゃないか。ようやくジュリエッタ嬢の事は諦めがついたんだな?」
「い、いえ。私は…」
するとユベールが言った。
「この女性は今現在王宮で行われているアンリ王子の婚約者選びの候補の1人だ」
「ああ、そうえいばそいやっていたな。え…?で。でもそれってまずいんじゃないのか?仮にもアンリ王子の結婚相手になるかもしれない相手とデートなんて。」
キリアンは焦ったように言う。
「違う、デートなんかじゃない。単にこの女の買い物の付添に来ただけだ」
「ああ、そうか…そうだよな。仮にもデートでくるような場所じゃないからな。武器や防具の店なんて。ところで…お嬢さん。君の名前は何というのかな?」
「シルビア・ルグランです」
「素敵な名前だね?俺の名前はキリアン・ウェールズ。よろしく」
キリアンは私の手を取り、手の甲にキスしてきた―。
「この城下町には魔石を利用した魔道具や武器、防具が売られている店が多数ある。その効果も金額に応じる。一体お前は何が欲しいんだ?」
「そうですね…。やはり自分を守れるアイテムと防具が欲しいですね」
「そうか、なら防具屋に行ってみるか」
ユベールは御者に命じた。
「バリュー商会へ行ってくれ」
「かしこまりました」
御者は返事をするとそのまま馬車を走らせた。
「あの、バリュー商会とは何ですか?」
初めて聞く名前なので尋ねてみることにした。
「ああ、バリュー商会というのはこの町一番の武器や防具を扱う店だ。王宮の騎士たちの武器防具も全てその店で調達しているんだ」
「そうですか。そこなら色々なアイテムや防具がありそうですね」
「ああ、そうだな」
そこまで話した時、馬車が止まった。
「バリュー商会へ到着しました」
「そうか。では降りるか」
ユベールが馬車の扉を開けて降りたので私もそれに続いた。
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「こ、これがバリュー商会ですか…」
私は目の前に見える大き石造りの建物を見上げた。
「ああ、そうだ」
隣に立っているユベールが返事をする。
「すごく大きいんですね…」
自分の住んでいる屋敷よりも大きい建物を見て驚いてしまった。上に続く窓の数を数えてみると5階建てだという事が分かった。
「さて、それじゃ中へ入るか」
ユベールは目の前の大きなアーチ型の扉を押して中へと入っていく。私も慌てて後を追った。
店の中には鎧や縦などが数多く展示されており、多くの若者たちが店を訪れていた。
「う~ん…なかなかお前に扱えそうな防具は無いな」
ユベールは鎧や盾を見ながら冗談とも本気とも取れない事を言う。しかしドレスを着た他の令嬢達に混ざって、1人鎧や盾を持って魔石探しをするなんて想像も出来ない。
「あの…流石に防具を装備するのは私には無理ですよ。勿論剣も持てません」
「ああ、ほんの冗談だ。どう見てもお前の様にヒョロヒョロな女が武器や防具を持てるとは思えないからな」
ユベールがニヤリと笑った。
「ええ、そうですよ」
その時、不意に背後から声を掛けられた。
「お?ユベールじゃないか。お前、今日は休暇日か?」
振り向くと、そこには銀色の髪の若者が立っていた。
「キリアン…」
キリアンと呼ばれた男性が私を見たので、私は会釈をした。
「ん?君は誰だ?ひょっとして…」
そして彼はユベールを見ると言った。
「ユベール、ひょっとしてお前の恋人か?可愛い子じゃないか。ようやくジュリエッタ嬢の事は諦めがついたんだな?」
「い、いえ。私は…」
するとユベールが言った。
「この女性は今現在王宮で行われているアンリ王子の婚約者選びの候補の1人だ」
「ああ、そうえいばそいやっていたな。え…?で。でもそれってまずいんじゃないのか?仮にもアンリ王子の結婚相手になるかもしれない相手とデートなんて。」
キリアンは焦ったように言う。
「違う、デートなんかじゃない。単にこの女の買い物の付添に来ただけだ」
「ああ、そうか…そうだよな。仮にもデートでくるような場所じゃないからな。武器や防具の店なんて。ところで…お嬢さん。君の名前は何というのかな?」
「シルビア・ルグランです」
「素敵な名前だね?俺の名前はキリアン・ウェールズ。よろしく」
キリアンは私の手を取り、手の甲にキスしてきた―。
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