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3−8 言い争い
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ボーン
ボーン
ボーン
10時を知らせる音が城中に響き渡る。私とユベールはまだダイニングルームに残っていた。
「始まったな…」
ティーカップを皿の上にカチャリと置くとユベールが言った。
「はい、そうですね」
するとユベールが顔を寄せてくると言った。
「おかしいと思わないか?」
「え…?何がですか?」
「この部屋には何でこんなに多くの令嬢たちが残っていると思う?」
確かに言われてみれば、他の令嬢達は私達と違ってとっくに食事が終わっているはずなのに、何故いつまでもこの部屋に残っているのだろうか…?
「恐らく、皆お前の動きを探っているんだ」
「え?」
「お前の後をついて行けば…確実に魔石の隠し場所を見つける事が出来るからだろう?それに万一お前が見つけたら、それを奪おうとしているのかもしれない」
確かに言われてみれば彼女たちは全員私達の方を見ている。
「あ、ユベール様。あのグループを見て下さい」
私は小声でユベールに言った。私の視線の先には4人の令嬢達のグループの中に屈強そうな若い1人の騎士が混じっている。
「あ、あいつは…!」
ユベールが舌打ちした。
「どうかしたのですか?あの騎士を知っているのですか?」
「ああ、あいつは第2騎士団の団員のブラッドだ。まさかあいつが魔石探しに加わるとは…さては女に誘惑されたか?」
「え?」
「あの男は女癖が悪いからな。多分あのグループの女どもに誘惑でもされたんだろう?」
ユベールの言う通り、彼らの様子を確認してみるとブラッドと呼ばれた騎士は赤毛の令嬢と親しげに話をしている。ひょっとしてあの令嬢が…?
「だが所詮俺の相手ではないな。あいつの所属は第2騎士団だ。しかも単なる団員。第1騎士団の団長である俺の敵ではない。だが…お前に直接襲ってきた場合は…ひとたまりもないかもな」
「え?ユベール様は団長だったのですか?!」
「ああ、そうだ。何だ?お前知らなかったのか?」
「は、はい…」
そんな、私は12回もループしてきたのにユベールが第1騎士団の団長だとは知らなかった。でもそれだけ過去の歴史において私とユベールの関係が希薄なものだった現れかもしれない。
「そうだったのですか…それじゃ本当はお忙しい方だったのですね」
私はまずいことをしてしまったかもしれない。
「俺はてっきりそんな事は知っていいて俺に仲間になってくれるように頼んできたのかと思っていたがな」
ユベールは腕組した。
「いえ、知っていたら…」
その時―。
「おい、お前たち!いつまでこんなところで油を売っているつもりだ?!」
突然ブラッドがこちらへ近づいてきながら声を掛けてきた。そして私達のテーブルのそばに立つと、じろりと恐ろしい目で睨みつけてくる。
「何だ?ブラッド。何故お前に指図されなければいけないんだ?」
ユベールは椅子に座り、腕組みしたままブラッドに視線を合わせることもなく返事をする。
「何いってるんだ?これは俺の指図じゃない。アンリ王子から俺たちに命じられた使命だろう?」
「なら俺たちに構わずにさっさと探しにいけばいいじゃないか?」
そしてユベールは再びティーカップに手を伸ばして、紅茶を飲んだ。
「き、貴様…俺を馬鹿にしてるのか?せっかくこっちは親切心で言ってやってるっていうのに!」
そしてユベールでは拉致が開かないと思ったのか、今度は私を睨みつけてきた。
「おい!女!お前の名前…何だっけ?」
「私?私はシルビア・ルグランと申しますが…」
「そうか、シルビアか。おい!何故お前はさっさと魔石探しに行かないんだ?!」
「い、いえ。別に行かないという訳では…」
するとユベールが言った。
「シルビア、こんな男と話をする必要は無いぞ」
「な、何だって?!貴様、やはり俺を馬鹿にしているなっ?!」
「お前…一体誰に対してそんな口を利いているんだ?」
ユベールとブラッドが激しく睨み合った―。
ボーン
ボーン
10時を知らせる音が城中に響き渡る。私とユベールはまだダイニングルームに残っていた。
「始まったな…」
ティーカップを皿の上にカチャリと置くとユベールが言った。
「はい、そうですね」
するとユベールが顔を寄せてくると言った。
「おかしいと思わないか?」
「え…?何がですか?」
「この部屋には何でこんなに多くの令嬢たちが残っていると思う?」
確かに言われてみれば、他の令嬢達は私達と違ってとっくに食事が終わっているはずなのに、何故いつまでもこの部屋に残っているのだろうか…?
「恐らく、皆お前の動きを探っているんだ」
「え?」
「お前の後をついて行けば…確実に魔石の隠し場所を見つける事が出来るからだろう?それに万一お前が見つけたら、それを奪おうとしているのかもしれない」
確かに言われてみれば彼女たちは全員私達の方を見ている。
「あ、ユベール様。あのグループを見て下さい」
私は小声でユベールに言った。私の視線の先には4人の令嬢達のグループの中に屈強そうな若い1人の騎士が混じっている。
「あ、あいつは…!」
ユベールが舌打ちした。
「どうかしたのですか?あの騎士を知っているのですか?」
「ああ、あいつは第2騎士団の団員のブラッドだ。まさかあいつが魔石探しに加わるとは…さては女に誘惑されたか?」
「え?」
「あの男は女癖が悪いからな。多分あのグループの女どもに誘惑でもされたんだろう?」
ユベールの言う通り、彼らの様子を確認してみるとブラッドと呼ばれた騎士は赤毛の令嬢と親しげに話をしている。ひょっとしてあの令嬢が…?
「だが所詮俺の相手ではないな。あいつの所属は第2騎士団だ。しかも単なる団員。第1騎士団の団長である俺の敵ではない。だが…お前に直接襲ってきた場合は…ひとたまりもないかもな」
「え?ユベール様は団長だったのですか?!」
「ああ、そうだ。何だ?お前知らなかったのか?」
「は、はい…」
そんな、私は12回もループしてきたのにユベールが第1騎士団の団長だとは知らなかった。でもそれだけ過去の歴史において私とユベールの関係が希薄なものだった現れかもしれない。
「そうだったのですか…それじゃ本当はお忙しい方だったのですね」
私はまずいことをしてしまったかもしれない。
「俺はてっきりそんな事は知っていいて俺に仲間になってくれるように頼んできたのかと思っていたがな」
ユベールは腕組した。
「いえ、知っていたら…」
その時―。
「おい、お前たち!いつまでこんなところで油を売っているつもりだ?!」
突然ブラッドがこちらへ近づいてきながら声を掛けてきた。そして私達のテーブルのそばに立つと、じろりと恐ろしい目で睨みつけてくる。
「何だ?ブラッド。何故お前に指図されなければいけないんだ?」
ユベールは椅子に座り、腕組みしたままブラッドに視線を合わせることもなく返事をする。
「何いってるんだ?これは俺の指図じゃない。アンリ王子から俺たちに命じられた使命だろう?」
「なら俺たちに構わずにさっさと探しにいけばいいじゃないか?」
そしてユベールは再びティーカップに手を伸ばして、紅茶を飲んだ。
「き、貴様…俺を馬鹿にしてるのか?せっかくこっちは親切心で言ってやってるっていうのに!」
そしてユベールでは拉致が開かないと思ったのか、今度は私を睨みつけてきた。
「おい!女!お前の名前…何だっけ?」
「私?私はシルビア・ルグランと申しますが…」
「そうか、シルビアか。おい!何故お前はさっさと魔石探しに行かないんだ?!」
「い、いえ。別に行かないという訳では…」
するとユベールが言った。
「シルビア、こんな男と話をする必要は無いぞ」
「な、何だって?!貴様、やはり俺を馬鹿にしているなっ?!」
「お前…一体誰に対してそんな口を利いているんだ?」
ユベールとブラッドが激しく睨み合った―。
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