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2-12 初めて手に入れた魔石
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そこはだだっ広い、何も置かれていない部屋だった。クローゼットは愚か、椅子すら置かれていない。その様子を見てユベールが言った。
「おい、シルビア。本当にこんながらんどうの部屋に魔石があるのか?」
「はい…確かにあるはずです」
だってこの部屋に入った時から私の頭の中で響く鐘の音はますます大きくなっていくから。この音は…怖い。早く見つけて音を止めなければ…。私は必死に辺りを見渡して音の出所をさぐる。その時、壁に1枚の大きな額縁に飾られた絵画が目に入った。それは城を描いた風景画だった。鐘の鳴り響く音はその絵画から聞こえてくる。
「ユ、ユベール様…お、お願いがあります…」
「シルビア?どうした?顔色が悪いぞ?」
ユベールが私の異変に気付き、声を掛けてきた。
「わ、私の事は大丈夫です。それよりも…あの絵画を調べてきてもらますか?」
「え?あの絵を?一体…」
「ううっ!」
怖い、あの音が…!
とうとう私は立っていられなくなり床に膝をついてしまった。
「シルビアッ!くそっ‥!」
ユベールは絵画に向かって走り、額縁にふれたりと絵画を調べ始め…。
「あっ!」
突如声をあげた。そして少しの間、絵画に触れいているかと思えば不意にあの鐘の音がピタリと止まった。
「え…?音が止まった…?」
途端に気分が楽になり、立ち上がるとユベールがアンリ王子から預かった袋を手にこちらへ向かって歩いて来た。
「ユベール様…」
するとユベールが言った。
「あったぞ」
「え?」
「お前の言った通り、絵画を調べたら魔石が見つかった。絵画の一部が破けており、その中に魔石が入っていたのだ。見てみるか?」
ユベールが袋の中に手を入れようとしたので、慌てて止めた。
「いいえ、結構です!どうかその袋から魔石を出さないで下さい」
私は慌てて止めた。
「ああ、分った…。しかし、それにしても凄いな…お前は本当にあんな小さな魔石の隠し場所が分るのだな?しかも巧妙に隠された場所なのに…」
何所となくユベールの私を見る目が違う。そこには以前のような蔑みの視線が感じられなかった。
「ええ、どうやら私にも一つ位は才能があったみたいですね。では次の魔石を探しに行きましょう。ユベール様は魔石の袋が他の令嬢達に見つからないように隠し持っていて頂けますか?」
「ああ。分った」
ユベールは騎士の制服のポケットに袋をしまうと尋ねて来た。
「ところでシルビア。まだ顔色が悪いが…大丈夫なのか?」
「はい、もう大丈夫です。直に慣れると思いますから」
慣れる?本当にあの不気味に鳴り響く鐘の音に慣れる日が来るのだろうか?私は毎回あの鐘の音を聞きながら、苦しみと孤独の中で12回もの死を迎えてきたのに?けれどもユベールを安心させる為に私は嘘をついてしまった。
部屋を出て、再び魔石の隠し場所を捜し歩いていると、6人組のグループがこちらへ向かって歩いてくる姿があった。そしてそこのリーダーとみられる令嬢が私に言う。
「あら、貴女は確かアンリ王子に目を掛けて貰っている令嬢ね?生憎この先には魔石は無いわよ?空っぽのへやが並んでるだけだったもの。あれでは魔石を隠しようもないし探すまでも無いわ。さっさと別の場所を探したほうがいいわよ。捜索するだけ無駄な場所に貴重な時間を費やさない方が身の為よ」
するとユベールが言った。
「うるさい、お前達にどうこう言われる筋合いは無い。」
「ま、まあっ!こ、こっちは親切心で忠告してあげているのに…!勝手にすればいいわっ!」
その令嬢はカンカンに怒って、ユベールを睨み付けただけでなく私にまで刺すような視線を投げつけると去って行った。
やれやれ…ユベールのせいで、いらぬ怒りを買ってしまった。
私は心の中でため息をつくのだった―。
「おい、シルビア。本当にこんながらんどうの部屋に魔石があるのか?」
「はい…確かにあるはずです」
だってこの部屋に入った時から私の頭の中で響く鐘の音はますます大きくなっていくから。この音は…怖い。早く見つけて音を止めなければ…。私は必死に辺りを見渡して音の出所をさぐる。その時、壁に1枚の大きな額縁に飾られた絵画が目に入った。それは城を描いた風景画だった。鐘の鳴り響く音はその絵画から聞こえてくる。
「ユ、ユベール様…お、お願いがあります…」
「シルビア?どうした?顔色が悪いぞ?」
ユベールが私の異変に気付き、声を掛けてきた。
「わ、私の事は大丈夫です。それよりも…あの絵画を調べてきてもらますか?」
「え?あの絵を?一体…」
「ううっ!」
怖い、あの音が…!
とうとう私は立っていられなくなり床に膝をついてしまった。
「シルビアッ!くそっ‥!」
ユベールは絵画に向かって走り、額縁にふれたりと絵画を調べ始め…。
「あっ!」
突如声をあげた。そして少しの間、絵画に触れいているかと思えば不意にあの鐘の音がピタリと止まった。
「え…?音が止まった…?」
途端に気分が楽になり、立ち上がるとユベールがアンリ王子から預かった袋を手にこちらへ向かって歩いて来た。
「ユベール様…」
するとユベールが言った。
「あったぞ」
「え?」
「お前の言った通り、絵画を調べたら魔石が見つかった。絵画の一部が破けており、その中に魔石が入っていたのだ。見てみるか?」
ユベールが袋の中に手を入れようとしたので、慌てて止めた。
「いいえ、結構です!どうかその袋から魔石を出さないで下さい」
私は慌てて止めた。
「ああ、分った…。しかし、それにしても凄いな…お前は本当にあんな小さな魔石の隠し場所が分るのだな?しかも巧妙に隠された場所なのに…」
何所となくユベールの私を見る目が違う。そこには以前のような蔑みの視線が感じられなかった。
「ええ、どうやら私にも一つ位は才能があったみたいですね。では次の魔石を探しに行きましょう。ユベール様は魔石の袋が他の令嬢達に見つからないように隠し持っていて頂けますか?」
「ああ。分った」
ユベールは騎士の制服のポケットに袋をしまうと尋ねて来た。
「ところでシルビア。まだ顔色が悪いが…大丈夫なのか?」
「はい、もう大丈夫です。直に慣れると思いますから」
慣れる?本当にあの不気味に鳴り響く鐘の音に慣れる日が来るのだろうか?私は毎回あの鐘の音を聞きながら、苦しみと孤独の中で12回もの死を迎えてきたのに?けれどもユベールを安心させる為に私は嘘をついてしまった。
部屋を出て、再び魔石の隠し場所を捜し歩いていると、6人組のグループがこちらへ向かって歩いてくる姿があった。そしてそこのリーダーとみられる令嬢が私に言う。
「あら、貴女は確かアンリ王子に目を掛けて貰っている令嬢ね?生憎この先には魔石は無いわよ?空っぽのへやが並んでるだけだったもの。あれでは魔石を隠しようもないし探すまでも無いわ。さっさと別の場所を探したほうがいいわよ。捜索するだけ無駄な場所に貴重な時間を費やさない方が身の為よ」
するとユベールが言った。
「うるさい、お前達にどうこう言われる筋合いは無い。」
「ま、まあっ!こ、こっちは親切心で忠告してあげているのに…!勝手にすればいいわっ!」
その令嬢はカンカンに怒って、ユベールを睨み付けただけでなく私にまで刺すような視線を投げつけると去って行った。
やれやれ…ユベールのせいで、いらぬ怒りを買ってしまった。
私は心の中でため息をつくのだった―。
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