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2−11 魔石の隠し場所は?
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「シルビア、この城の作りは知っているのか?」
私の後ろを歩きながらユベールが尋ねてきた。
「はい、知っています」
「え…?この城にやってきたばかりなのにもう知っているのか?」
ユベールの言葉に私は自分が失言してしまった事に気づいた。
「お前、昨日この城にやってきたばかりだろう?何故知ってるのだ?」
明らかに不信の目を向けてくれるユベールに慌てて言う。
「知ってると言っても、たかが知れていますよ?この南塔と東塔はともに5階建ての作りで、南塔には厨房があり、東塔には地下室があるということ位でしょうか?」
とっさに誤魔化すために誰でも分かるような知識を言った。
「何だ、それくらいなら知ってるうちには入らないだろう。でも…最もお前には関係ないかもしれないな。なにせ魔石の在り処がお前には分かるのだろう?」
「分かると言っても…多分魔石に自分から近づかなかければどうしようもありませんから」
私は耳をそばだてながら辺りをキョロキョロ見渡した。するとその時、1人の令嬢が廊下に飾られている花瓶に手を突っ込んでいる姿が目に入った。
「あんなところにアンリが隠しているとは思えないけどな」
ポツリとユベールが言う。
「そうなのですか?」
「ああ、あの廊下には良く花が飾られている。アンリがメイドたちの目にすぐ触れるような場所に魔石を隠すとは思えない」
「そうですね。言われてみれば確かにそうかもしれませんね。どうしましょう?あの令嬢にその事を教えてあげましょうか?」
「…」
するとユベールは妙な顔で私を見る。
「どうしましたか?」
「いや…お前、本気でそんな事を言ってるのか?ライバルは少ないほうがいいだろう?」
「ですが、魔石を多く手に入れた令嬢たちがいれば、仮に私が魔石を手に入れても奪いに来る令嬢たちが分散されますよね?もし彼女たちが一斉に奪いに来れば私は魔石を守りきれる自信がありませんから」
言いながら私は奥へ続く廊下を歩き始めた。この辺りにでは、あの恐ろしい鐘の音が聞こえてこない。もっと奥に行ったほうが良さそうだ。
「おい、シルビア。勝手に先へ進むな。危険だろう?」
スタスタと早足出歩いているとゆベールが背後から声を掛けてきた。そこで私は言った。
「大丈夫です、私はまだ魔石を1つも集めていませんから。そんな私を襲って意味がないでしょう?」
「確かにそうだが…」
「それにアンリ王子は他の令嬢達は魔石を見つけることが出来ないと言っていましたが、私はそうは思いません。あの中で何人かは確実に魔力を持っています」
「そうなのか?」
「はい」
あの水晶に触れて反応があった令嬢は確実に魔力があるに違いない。何故なら彼女たちは毎回最終テスト直前まで勝ち残っていたからだ。
「私は彼女たちとは争いたくありません。なので彼女たちとは鉢合わせしない事を祈っています」
その時―
ボーン
本当に僅かだがだ、あの鐘の音が私に耳に聞こえてきた。
「え?」
思わず足を止めて、音の出どころを探す。
「おい?見つかったのか?」
ユベールが声を掛けて来るが、私にはその質問に答える余裕はない。どこ?一体どこから音が…?
すると左側から音が聞こえている事に気がついた。左側…?
そこには部屋があった。
「ユベール様、この部屋は何の部屋ですか?」
ドアノブ握りしめながら私は尋ねた。
「ああ、ここは空き部屋になっている。中には何も無いはずだが…?」
私はユベールの言葉を聞きながらドアノブをカチャリと回し、扉を開けた―。
私の後ろを歩きながらユベールが尋ねてきた。
「はい、知っています」
「え…?この城にやってきたばかりなのにもう知っているのか?」
ユベールの言葉に私は自分が失言してしまった事に気づいた。
「お前、昨日この城にやってきたばかりだろう?何故知ってるのだ?」
明らかに不信の目を向けてくれるユベールに慌てて言う。
「知ってると言っても、たかが知れていますよ?この南塔と東塔はともに5階建ての作りで、南塔には厨房があり、東塔には地下室があるということ位でしょうか?」
とっさに誤魔化すために誰でも分かるような知識を言った。
「何だ、それくらいなら知ってるうちには入らないだろう。でも…最もお前には関係ないかもしれないな。なにせ魔石の在り処がお前には分かるのだろう?」
「分かると言っても…多分魔石に自分から近づかなかければどうしようもありませんから」
私は耳をそばだてながら辺りをキョロキョロ見渡した。するとその時、1人の令嬢が廊下に飾られている花瓶に手を突っ込んでいる姿が目に入った。
「あんなところにアンリが隠しているとは思えないけどな」
ポツリとユベールが言う。
「そうなのですか?」
「ああ、あの廊下には良く花が飾られている。アンリがメイドたちの目にすぐ触れるような場所に魔石を隠すとは思えない」
「そうですね。言われてみれば確かにそうかもしれませんね。どうしましょう?あの令嬢にその事を教えてあげましょうか?」
「…」
するとユベールは妙な顔で私を見る。
「どうしましたか?」
「いや…お前、本気でそんな事を言ってるのか?ライバルは少ないほうがいいだろう?」
「ですが、魔石を多く手に入れた令嬢たちがいれば、仮に私が魔石を手に入れても奪いに来る令嬢たちが分散されますよね?もし彼女たちが一斉に奪いに来れば私は魔石を守りきれる自信がありませんから」
言いながら私は奥へ続く廊下を歩き始めた。この辺りにでは、あの恐ろしい鐘の音が聞こえてこない。もっと奥に行ったほうが良さそうだ。
「おい、シルビア。勝手に先へ進むな。危険だろう?」
スタスタと早足出歩いているとゆベールが背後から声を掛けてきた。そこで私は言った。
「大丈夫です、私はまだ魔石を1つも集めていませんから。そんな私を襲って意味がないでしょう?」
「確かにそうだが…」
「それにアンリ王子は他の令嬢達は魔石を見つけることが出来ないと言っていましたが、私はそうは思いません。あの中で何人かは確実に魔力を持っています」
「そうなのか?」
「はい」
あの水晶に触れて反応があった令嬢は確実に魔力があるに違いない。何故なら彼女たちは毎回最終テスト直前まで勝ち残っていたからだ。
「私は彼女たちとは争いたくありません。なので彼女たちとは鉢合わせしない事を祈っています」
その時―
ボーン
本当に僅かだがだ、あの鐘の音が私に耳に聞こえてきた。
「え?」
思わず足を止めて、音の出どころを探す。
「おい?見つかったのか?」
ユベールが声を掛けて来るが、私にはその質問に答える余裕はない。どこ?一体どこから音が…?
すると左側から音が聞こえている事に気がついた。左側…?
そこには部屋があった。
「ユベール様、この部屋は何の部屋ですか?」
ドアノブ握りしめながら私は尋ねた。
「ああ、ここは空き部屋になっている。中には何も無いはずだが…?」
私はユベールの言葉を聞きながらドアノブをカチャリと回し、扉を開けた―。
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