命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ発売中

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2-9 ゲーム開始の準備

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「やあ、皆。よく集まってくれたね。」

アンリ王子によって大広間に集められた私達は壇上に立っている彼の説明を聞いていた。

「幸い、君たちの中でこのゲームを棄権する令嬢は1人もいなかったよ。皆それだけこの僕の婚約者になろうと必死になってくれているんだね?ありがとう」

私はアンリ王子の言葉を冷めた気持ちで聞いていた。私は本当はこんな場所にいたくは無いのに…死のループさえなければ逃げ出していたのに。
それにしても…私はアンリ王子の話を聞きながら辺りの様子を伺った。確かに棄権した令嬢は誰もいなかった。彼女たちはそれぞれ最低でも2人、最大で5~7人前後のグループに分かれ、互いにけん制し合っている。そしてそのグループの中には見慣れない女性や男性達が混じっている。恐らくあの人物たちは令嬢たちの魔石探しに駆り出された彼女たちの従者やこの城に勤めている人々かもしれない。
そして私とユベールは一番注目されていた。

「ねえ、見て。あの令嬢…グループに入っていないみたいよ?」
「余程自信があるのかしらね?」
「隣に立っている方は…アンリ皇子の護衛騎士の方じゃないかしら?」

等々、こちらを見て囁き合っているのが嫌でも耳に入って来る。ユベールもその事に気付いているようで、ただでさえ不愛想な顔がますますぶっきらぼうになっている。

「全く煩い女どもだ‥おとなしくアンリ王子の説明を聞いていれば良いものを‥‥」

忌々し気に呟いている。そこで私はユベールにさりげなく近付くと言った。

「ユベール様、あまり周囲を刺激するような態度や言動は控えて頂けませんか?ただでさえ私達は目立っているのですから」

「誰のせいで目立っていると思っているんだ」

ジロリとユベールは私を睨みつける。

「はい、私です。すみません…なるべくユベール様のお手を煩わせないように努めますのでよろしくお願いします」

なるべく低姿勢で頭を下げる。

「フン」

ユベールは腕組みすると再びアンリ王子の話に耳を傾ける。

「それでは君たちには来月までに最低個数30個を集めてもらうよ。ただし5人以上のグループには50個以上集めなければ失格にさせてもらうからね。そしてこの魔石を集める時間は午前10時から午後5時まで。それ以外の時間は魔石を探すのも奪うのも禁止だからね。このルールを破ればその場で失格にさせてもらうよ。それに土日は魔石探しはお休みだ。君たちにも休息は必要だろう?ここまでが僕の説明だけど…何か質問がある人はいないかな?」

するとイメルダが手を上げた。

「ああ、君はこの間の令嬢だね?質問は何だい?」

「はい、もし仲間内で誰かがルールを破ればその本人だけが失格になるのですか?」

「ああ、いい質問だね。その場合は全体責任としてグループの全員が失格になるからね。」

その言葉を聞いて令嬢たちはざわめいた。おそらく彼女たちは自分たちよりも身分の低い令嬢に罪を押し付けようと考えていたのかもしれない。

「はい、他に質問はないかな?」

アンリ王子は周囲を見渡しながら尋ねる。…どうしよう。何故誰もあの質問をしてくれないのだろう?魔石を見つけた場合の保管方法を…。

「では無ければこれで…」

「す、すみません!」

私はアンリ王子に質問するべく手を上ると、一斉に私の目に全員の目が集中した―。
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