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2-6 仲間にしたい相手は
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「アンリ王子、彼女たちは王子の婚約者になろうと必死なんですよ?どんな手を使って奪おうとしてくるか分らないじゃないですか?それなのに私に見つけた魔石を彼女たちから守れと仰るのですか?」
アンリ王子は優しい声で語っているが、話している内容は滅茶苦茶だ。魔石を実力で奪い取らせるなんて…そこには私の命をどことなく軽視しているように聞こえてならなかった。だけど、私が疑心暗鬼になってしまうのも無理はない。だって私はこの婚約者選びのテストで過去に12回も命を落としているのだから。
「だったら君も他の令嬢たちの様に仲間を見つければいいじゃないか?令嬢たちの中で組みたい相手はいるかい?もしいないなら、この城の人達を仲間にしたっていい。もし仲間にしたい人物がいるなら言ってごらん。」
アンリ王子の言葉に私の心は大きく揺らいだ。仲間にしたい人物…。確かにいる。この城でたった1人だけ。その相手は…。私はユベールをじっと見た。
「な、何だ?お前のその目は…。何故俺をそんな目で見るんだ?」
ユベールは露骨に嫌そうな…迷惑そうな目で私を見る。
ユベール・マルタン。
彼は過去12回の私の死に…全て係わって来た人物。そして12回目の死は、彼に剣で胸を貫かれて私は死んだ。今度こそ私は絶対に死にたくない。何より次に死んでしまった場合、再びループしてやり直せるかも分らないし、何故私が毎回同じ日に死に…同じ時間に戻るのか?それら全てが謎なのだから。第一穏やかな死を迎える事が出来たことなどほとんどない。毎回、理不尽に…強引に何らかの運命により、私は命を奪われてきた。
するとアンリ王子も私の視線に気づいたのか、尋ねてきた。
「おや?シルビア。もしかして…君はユベールを仲間にしたいのかい?」
「はい、そうです。ユベール様は騎士の中でも特に強いお方です。ユベール様なら私を守ってくれると信じています」
「断るっ!」
しかし、ユベールは即答した。
「あら、ユベール。折角シルビアさんが貴方を指名してきたのだから、彼女の騎士をしてあげればいいじゃないの?」
ジュリエッタが良い事を言ってくれた。
「駄目だ、ジュリエッタ。俺はアンリ王子の護衛騎士だ。それなのにこの女の…ましてや自分より身分の低い人間を護衛するつもりは全くない」
ユベールは騎士の風上にも置けないような発言をする。だけど、もともと彼はこのような冷たい人間だったから別に今更何を言われても驚かない。ただ、彼を仲間にしようとしたのは、彼に命を狙われない為なのだから。私の命を守ってくれるかどうかは別として…少なくとも私の死に繋がりそうな要因は出来るだけ今から排除しておきたかったのだ。
「まあ!ユベールって…本当に冷たい人なのね。それじゃ私も男爵家の人間だから私の事も護衛しないと言うわけね?」
ジュリエッタが言うと、ユベールは即答した。
「いや、ジュリエッタ。お前は別だ。何しろ幼馴染だからな」
「まあ。フフフフ…ユベールったら」
ジュリエッタは嬉しそうに笑う。それを傍で聞いていたアンリ王子が言った。
「おいおい、ジュリエッタ。忘れたのかい?君の恋人は僕だって言う事を。ユベール、僕のジュリエッタに変な気を起こさないでくれよ?」
「い、いや…俺は別に…」
ユベールは顔を少しだけ赤らめながら言う。その間、私は1人蚊帳の外状態だった。そういう3人だけの内輪の会話は出来れば私がいない処でやって欲しい。
「あの…それでユベール様が私の護衛騎士になって下さる話は…」
「断る」
ユベールは言うが、アンリ王子は首を振った。
「いいや駄目だ、ユベール。君は今からシルビアの護衛騎士になってもらう。彼女の望みをかなえてやるんだ」
「なっ!」
ユベールは明らかに不満気だったが、アンリ王子は私を見ると言った。
「それではシルビア。ユベールと協力して魔石探しを頑張るんだよ」
「はい、分りました。アンリ王子。よろしくお願いします。ユベール様」
そして私はユベールに頭を下げた―。
アンリ王子は優しい声で語っているが、話している内容は滅茶苦茶だ。魔石を実力で奪い取らせるなんて…そこには私の命をどことなく軽視しているように聞こえてならなかった。だけど、私が疑心暗鬼になってしまうのも無理はない。だって私はこの婚約者選びのテストで過去に12回も命を落としているのだから。
「だったら君も他の令嬢たちの様に仲間を見つければいいじゃないか?令嬢たちの中で組みたい相手はいるかい?もしいないなら、この城の人達を仲間にしたっていい。もし仲間にしたい人物がいるなら言ってごらん。」
アンリ王子の言葉に私の心は大きく揺らいだ。仲間にしたい人物…。確かにいる。この城でたった1人だけ。その相手は…。私はユベールをじっと見た。
「な、何だ?お前のその目は…。何故俺をそんな目で見るんだ?」
ユベールは露骨に嫌そうな…迷惑そうな目で私を見る。
ユベール・マルタン。
彼は過去12回の私の死に…全て係わって来た人物。そして12回目の死は、彼に剣で胸を貫かれて私は死んだ。今度こそ私は絶対に死にたくない。何より次に死んでしまった場合、再びループしてやり直せるかも分らないし、何故私が毎回同じ日に死に…同じ時間に戻るのか?それら全てが謎なのだから。第一穏やかな死を迎える事が出来たことなどほとんどない。毎回、理不尽に…強引に何らかの運命により、私は命を奪われてきた。
するとアンリ王子も私の視線に気づいたのか、尋ねてきた。
「おや?シルビア。もしかして…君はユベールを仲間にしたいのかい?」
「はい、そうです。ユベール様は騎士の中でも特に強いお方です。ユベール様なら私を守ってくれると信じています」
「断るっ!」
しかし、ユベールは即答した。
「あら、ユベール。折角シルビアさんが貴方を指名してきたのだから、彼女の騎士をしてあげればいいじゃないの?」
ジュリエッタが良い事を言ってくれた。
「駄目だ、ジュリエッタ。俺はアンリ王子の護衛騎士だ。それなのにこの女の…ましてや自分より身分の低い人間を護衛するつもりは全くない」
ユベールは騎士の風上にも置けないような発言をする。だけど、もともと彼はこのような冷たい人間だったから別に今更何を言われても驚かない。ただ、彼を仲間にしようとしたのは、彼に命を狙われない為なのだから。私の命を守ってくれるかどうかは別として…少なくとも私の死に繋がりそうな要因は出来るだけ今から排除しておきたかったのだ。
「まあ!ユベールって…本当に冷たい人なのね。それじゃ私も男爵家の人間だから私の事も護衛しないと言うわけね?」
ジュリエッタが言うと、ユベールは即答した。
「いや、ジュリエッタ。お前は別だ。何しろ幼馴染だからな」
「まあ。フフフフ…ユベールったら」
ジュリエッタは嬉しそうに笑う。それを傍で聞いていたアンリ王子が言った。
「おいおい、ジュリエッタ。忘れたのかい?君の恋人は僕だって言う事を。ユベール、僕のジュリエッタに変な気を起こさないでくれよ?」
「い、いや…俺は別に…」
ユベールは顔を少しだけ赤らめながら言う。その間、私は1人蚊帳の外状態だった。そういう3人だけの内輪の会話は出来れば私がいない処でやって欲しい。
「あの…それでユベール様が私の護衛騎士になって下さる話は…」
「断る」
ユベールは言うが、アンリ王子は首を振った。
「いいや駄目だ、ユベール。君は今からシルビアの護衛騎士になってもらう。彼女の望みをかなえてやるんだ」
「なっ!」
ユベールは明らかに不満気だったが、アンリ王子は私を見ると言った。
「それではシルビア。ユベールと協力して魔石探しを頑張るんだよ」
「はい、分りました。アンリ王子。よろしくお願いします。ユベール様」
そして私はユベールに頭を下げた―。
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