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2-5 アンリ王子の条件
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「ああ、分ったよ。君の言う通りにしようじゃないか?」
アンリ王子はニコリと笑った。
「それで?君はもうすぐ始まるゲームは誰と組むのかい?」
「私は…誰とも組んでいません。」
私は答えた。だって…棄権するつもりだったから。
「何だって?まさか1人でゲームに参加するつもりだったのかい?」
これには流石のアンリ王子は顔色を変えた。
「それはいくら何でもちょっと無謀じゃないかしら?」
ジュリエッタも眉を潜める。
「でしたらルールを変えて頂けないでしょうか?魔石を他人から奪ってはならないと。」
そう、そんなルールさえ無ければ私はこんなにも悩むことは無かったのに。
「でも…そんなルールを作れば、きっと魔石を探し出せる人間は殆どいないと思うよ。」
アンリ王子は言うと立ち上がった。
「…?」
一体何所へ行くのかと首を傾げているとアンリ王子は棚の上に置かれていた小箱を持って戻って来た。
「この箱はね、魔力を遮断する装置なんだよ」
言いながら箱の蓋を開けると、途端に私の耳にあの鐘の音が聞こえ始めて来た。そして中から現れたのは青く光る魔石だった。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
鈍く光り輝く魔石に合せるように鐘の音が響いている。
「あ…」
駄目だ、その音を聞くと気分が悪くなってくる。そんな私を見てジュリエッタが声を掛けてきた。
「ねえ、シルビアさん。大丈夫?顔色が真っ青よ?」
「ああ…そうだな?大丈夫か?」
ユベールも腕組みをしながら私に尋ねたが、彼はその場から動こうとはしない。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
「お…お願いです。どうか蓋を閉めて頂けませんか…?」
その音を聞くのが怖い。私の死に際にいつも流れてくる鐘の音が聞こえてくるから…。私はアンリ王子に懇願した。
すると私が苦しむ様子を見てアンリ王子が言った。
「シルビア…やっぱり君は本当に魔力があるんだね?」
「え…?」
「この魔石はね、この国の鉱山で溢れる程採掘出来るんだよ。それを色々な商品に加工して、流通しているんだけどね…」
そこでアンリ王子の様子が変わった。
「おかしいと思わないかい?魔石はこんなに採掘出来るのに、今では魔力がある人間がいないなんて…」
アンリ王子は魔石が入った箱をさらに私に近付けてくる。すると、不思議な事に魔石の光が一段と強くなった。それと同時に鐘の音も大きくなってくる。
「アンリ王子…蓋を閉めて下さい。気分が…」
私は頭を抱えながら王子に訴える。
「ちょっと!アンリ!やめなさいよっ!」
「そうだ!いくら何でもやり過ぎだっ!」
ジュリエッタとユベールがアンリ王子に言う。しかし、彼は2人の言葉が耳に入らなのか、尚も私に箱を近づけて来る。
「君なら、容易にこの魔石を探し出せるはずだ…だから…」
「や、やめて下さい。それを近づけないで…」
「よせっ!」
その時鋭い声が上がり、ユベールがアンリ王子から魔石の入った箱を奪うと蓋を閉めた。途端に鐘の音が聞こえなくなり、気分が楽になって来る。
「大丈夫?」
ジュリエッタが心配そうに声を掛けてきた。
その時、ハアハアと荒い息を吐き、ソファに倒れ込んでいるとユベールとアンリ皇子の言い争う声が聞こえてきた。
「おい!アンリ!一体どういうつもりだっ!」
「どういうつもりも何も…お前も見ただろう?シルビアの様子を。彼女こそ本物の魔力保持者だ。我らに必要な力なんだよ」
「それはまだ分らないだろう?他の令嬢もシルビア並に魔力を持っているかもしれん」
しかし、それには答えずにアンリ王子は私に言った。
「どうだった?君はあの魔石に反応したのに、僕たちは何も感じなかった。でもこれが普通の人間の反応なんだよ?」
そして私の間にしゃがみこむと言った。
「いいかい、シルビア。相手から魔石を奪ってもいい…というのは君が僕の婚約者候補から外れる為の手段なんだよ?」
「手段…?」
「ああ、そうだ。このままでは君がこのゲームの勝利者になり、僕の婚約者候補になってしまうだろう。何故なら他の令嬢たちは魔石の気配すらか感じ取れないはずだからね。探し出す事は多分不可能だろう。だけどそんな彼女たちにだって勝利者になれる可能性はある」
「それが…魔石を奪ってもいいルール…ですか?」
「ああ、君には絶対このゲームには参加してもらう。そして君が集めた魔石を実力で奪い取った相手を婚約者候補にするよ。言っておくけど、わざと奪われるような真似をしたら許さないからね?」
アンリ王子はニッコリ笑うと言った―。
アンリ王子はニコリと笑った。
「それで?君はもうすぐ始まるゲームは誰と組むのかい?」
「私は…誰とも組んでいません。」
私は答えた。だって…棄権するつもりだったから。
「何だって?まさか1人でゲームに参加するつもりだったのかい?」
これには流石のアンリ王子は顔色を変えた。
「それはいくら何でもちょっと無謀じゃないかしら?」
ジュリエッタも眉を潜める。
「でしたらルールを変えて頂けないでしょうか?魔石を他人から奪ってはならないと。」
そう、そんなルールさえ無ければ私はこんなにも悩むことは無かったのに。
「でも…そんなルールを作れば、きっと魔石を探し出せる人間は殆どいないと思うよ。」
アンリ王子は言うと立ち上がった。
「…?」
一体何所へ行くのかと首を傾げているとアンリ王子は棚の上に置かれていた小箱を持って戻って来た。
「この箱はね、魔力を遮断する装置なんだよ」
言いながら箱の蓋を開けると、途端に私の耳にあの鐘の音が聞こえ始めて来た。そして中から現れたのは青く光る魔石だった。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
鈍く光り輝く魔石に合せるように鐘の音が響いている。
「あ…」
駄目だ、その音を聞くと気分が悪くなってくる。そんな私を見てジュリエッタが声を掛けてきた。
「ねえ、シルビアさん。大丈夫?顔色が真っ青よ?」
「ああ…そうだな?大丈夫か?」
ユベールも腕組みをしながら私に尋ねたが、彼はその場から動こうとはしない。
ゴーン
ゴーン
ゴーン
「お…お願いです。どうか蓋を閉めて頂けませんか…?」
その音を聞くのが怖い。私の死に際にいつも流れてくる鐘の音が聞こえてくるから…。私はアンリ王子に懇願した。
すると私が苦しむ様子を見てアンリ王子が言った。
「シルビア…やっぱり君は本当に魔力があるんだね?」
「え…?」
「この魔石はね、この国の鉱山で溢れる程採掘出来るんだよ。それを色々な商品に加工して、流通しているんだけどね…」
そこでアンリ王子の様子が変わった。
「おかしいと思わないかい?魔石はこんなに採掘出来るのに、今では魔力がある人間がいないなんて…」
アンリ王子は魔石が入った箱をさらに私に近付けてくる。すると、不思議な事に魔石の光が一段と強くなった。それと同時に鐘の音も大きくなってくる。
「アンリ王子…蓋を閉めて下さい。気分が…」
私は頭を抱えながら王子に訴える。
「ちょっと!アンリ!やめなさいよっ!」
「そうだ!いくら何でもやり過ぎだっ!」
ジュリエッタとユベールがアンリ王子に言う。しかし、彼は2人の言葉が耳に入らなのか、尚も私に箱を近づけて来る。
「君なら、容易にこの魔石を探し出せるはずだ…だから…」
「や、やめて下さい。それを近づけないで…」
「よせっ!」
その時鋭い声が上がり、ユベールがアンリ王子から魔石の入った箱を奪うと蓋を閉めた。途端に鐘の音が聞こえなくなり、気分が楽になって来る。
「大丈夫?」
ジュリエッタが心配そうに声を掛けてきた。
その時、ハアハアと荒い息を吐き、ソファに倒れ込んでいるとユベールとアンリ皇子の言い争う声が聞こえてきた。
「おい!アンリ!一体どういうつもりだっ!」
「どういうつもりも何も…お前も見ただろう?シルビアの様子を。彼女こそ本物の魔力保持者だ。我らに必要な力なんだよ」
「それはまだ分らないだろう?他の令嬢もシルビア並に魔力を持っているかもしれん」
しかし、それには答えずにアンリ王子は私に言った。
「どうだった?君はあの魔石に反応したのに、僕たちは何も感じなかった。でもこれが普通の人間の反応なんだよ?」
そして私の間にしゃがみこむと言った。
「いいかい、シルビア。相手から魔石を奪ってもいい…というのは君が僕の婚約者候補から外れる為の手段なんだよ?」
「手段…?」
「ああ、そうだ。このままでは君がこのゲームの勝利者になり、僕の婚約者候補になってしまうだろう。何故なら他の令嬢たちは魔石の気配すらか感じ取れないはずだからね。探し出す事は多分不可能だろう。だけどそんな彼女たちにだって勝利者になれる可能性はある」
「それが…魔石を奪ってもいいルール…ですか?」
「ああ、君には絶対このゲームには参加してもらう。そして君が集めた魔石を実力で奪い取った相手を婚約者候補にするよ。言っておくけど、わざと奪われるような真似をしたら許さないからね?」
アンリ王子はニッコリ笑うと言った―。
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