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2-4 私の願い
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「計画…?それは一体どういう計画ですか?」
私が尋ねるとアンリ王子が言った。
「いいかい、僕は本当は今回のテストで選ばれた女性を本当の妻にする気は毛頭無いんだよ。何故ななら愛する女性はただ1人、ジュリエッタだけだからね」
アンリ王子はジュリエッタの肩を抱き寄せた。
「はい…」
ええ、そんなことは分かり切っています。私は過去12回にも及ぶデスループを繰り返してきた。そこで何度も何度もアンリ王子に言われ続けてきた。君が婚約者に選ばれても僕は君を愛することは一生無い…と。
「君は僕の愛なんか望んではいないだろうし、たとえ王太子妃になったとしてもジュリエッタを追い出そうとする気は全くないだろう?」
「ええ、そうですね」
だって私は2人の恋に何の興味も無いから。ただ私が望むのはこれまでのデスループを断ち切って、運命の日…7月7日を乗り切って生き抜くことだけ。
「だから君には最後までテストに残ってもらいたい。」
「え?!そ、そんなっ!私はアンリ王子の婚約者に選ばれたくはないのですよ?!」
本人を前に随分失礼な事を言っているのは自覚があったが、私の命がかかっているのだ。それにアンリ王子は私に興味を持っていない。故に彼にどう思われようが、構わないと思った。
「プッ!」
その時、奇妙な方向から笑い声が聞こえた。え…?その笑い声の主は…?
見ると驚くべきことに笑っていたのはユベールだったのだ。あの冷血鉄仮面男が私の発言で口元を隠し、肩を小さく震わせて笑っている。
「まあ!あのユベールが笑っているわ!」
ジュリエッタが驚いたように声をあげる。
「ああ…全く驚きだ。あのユベールを笑わせるなど…」
アンリ王子は私の発言を気にするよりも、ユベールの笑いに驚いていた。けれど、私自身も驚いていた。今までずっとユベールを見てきたけれども彼は一度も笑ったことが無かったからだ。
するとコホンと咳ばらいをするとユベールは言った。
「うるさい、俺の事などどうでもいい。早く話を先に進めろ」
王子に対し、随分ぞんざいな口の利き方をするユベールを気にも留めることなくアンリ王子が言った。
「シルビア、勿論分かってるよ。君が俺の妻になる事を少しも望んでいないのは」
「だったら私をすぐに屋敷に返してください。私はこんな危険なゲームに参加したくありません。まさか最終的に私と形だけの結婚をして、ジュリエッタ様と夫婦になるおつもりですか?」
「そう考えていたんだけど…駄目かな?君と形だけの結婚をしても君は自由に暮らして構わないよ?どこの誰と恋愛しても構わない。君専用の離れの城を用意するから君はそこで誰にも干渉されずに恋人を作って暮らしても構わない。どうだい?悪い話ではないだろう?」
アンリ王子の話を聞いて納得した。何故私が過去12回のループで必ず最終テストに勝ち残ってきたのか…初めから私が選ばれることがシナリオに書かれていたのだ。ただ、今までの私はその事実を知らなかっただけ。そして今回初めて真実を聞かされたという事は…今までのループとは圧倒的に何かが変わったと言う事。だとしたら、このテストで私と同じようにアンリ王子に全く興味を持たない婚約者候補がいるかもしれない。
「アンリ王子…私はアンリ王子とはたとえ偽装だとしても結婚はしたくありません」
はっきり言った。
「どうしてもテストに出ろと言うのなら。出ますが…私も他の候補者と公平にテストを受けさせて下さい。そして適性が無いと認められれば、どうぞ落としてください」
「そんなことを言って、貴女わざとテストを落ちるつもりじゃないの?」
ジュリエッタが不満気に言う。
「そんなつもりはありません」
そう、最初は手抜きをして落ちようと思ったけれどもこれ程に私がアンリ王子たちにマークされているのであれば、手抜きをすればバレルだろう。
「手は抜きません。きちんとテストを受けまが‥他の令嬢たちの事もちゃんと評価してあげてください。そのうえで、愛が無くてもアンリ王子との結婚を望んでいる令嬢がいれば‥どうかその女性を選んでいただき、私を家に帰して下さい。お願いします」
私は深々と頭を下げた―。
私が尋ねるとアンリ王子が言った。
「いいかい、僕は本当は今回のテストで選ばれた女性を本当の妻にする気は毛頭無いんだよ。何故ななら愛する女性はただ1人、ジュリエッタだけだからね」
アンリ王子はジュリエッタの肩を抱き寄せた。
「はい…」
ええ、そんなことは分かり切っています。私は過去12回にも及ぶデスループを繰り返してきた。そこで何度も何度もアンリ王子に言われ続けてきた。君が婚約者に選ばれても僕は君を愛することは一生無い…と。
「君は僕の愛なんか望んではいないだろうし、たとえ王太子妃になったとしてもジュリエッタを追い出そうとする気は全くないだろう?」
「ええ、そうですね」
だって私は2人の恋に何の興味も無いから。ただ私が望むのはこれまでのデスループを断ち切って、運命の日…7月7日を乗り切って生き抜くことだけ。
「だから君には最後までテストに残ってもらいたい。」
「え?!そ、そんなっ!私はアンリ王子の婚約者に選ばれたくはないのですよ?!」
本人を前に随分失礼な事を言っているのは自覚があったが、私の命がかかっているのだ。それにアンリ王子は私に興味を持っていない。故に彼にどう思われようが、構わないと思った。
「プッ!」
その時、奇妙な方向から笑い声が聞こえた。え…?その笑い声の主は…?
見ると驚くべきことに笑っていたのはユベールだったのだ。あの冷血鉄仮面男が私の発言で口元を隠し、肩を小さく震わせて笑っている。
「まあ!あのユベールが笑っているわ!」
ジュリエッタが驚いたように声をあげる。
「ああ…全く驚きだ。あのユベールを笑わせるなど…」
アンリ王子は私の発言を気にするよりも、ユベールの笑いに驚いていた。けれど、私自身も驚いていた。今までずっとユベールを見てきたけれども彼は一度も笑ったことが無かったからだ。
するとコホンと咳ばらいをするとユベールは言った。
「うるさい、俺の事などどうでもいい。早く話を先に進めろ」
王子に対し、随分ぞんざいな口の利き方をするユベールを気にも留めることなくアンリ王子が言った。
「シルビア、勿論分かってるよ。君が俺の妻になる事を少しも望んでいないのは」
「だったら私をすぐに屋敷に返してください。私はこんな危険なゲームに参加したくありません。まさか最終的に私と形だけの結婚をして、ジュリエッタ様と夫婦になるおつもりですか?」
「そう考えていたんだけど…駄目かな?君と形だけの結婚をしても君は自由に暮らして構わないよ?どこの誰と恋愛しても構わない。君専用の離れの城を用意するから君はそこで誰にも干渉されずに恋人を作って暮らしても構わない。どうだい?悪い話ではないだろう?」
アンリ王子の話を聞いて納得した。何故私が過去12回のループで必ず最終テストに勝ち残ってきたのか…初めから私が選ばれることがシナリオに書かれていたのだ。ただ、今までの私はその事実を知らなかっただけ。そして今回初めて真実を聞かされたという事は…今までのループとは圧倒的に何かが変わったと言う事。だとしたら、このテストで私と同じようにアンリ王子に全く興味を持たない婚約者候補がいるかもしれない。
「アンリ王子…私はアンリ王子とはたとえ偽装だとしても結婚はしたくありません」
はっきり言った。
「どうしてもテストに出ろと言うのなら。出ますが…私も他の候補者と公平にテストを受けさせて下さい。そして適性が無いと認められれば、どうぞ落としてください」
「そんなことを言って、貴女わざとテストを落ちるつもりじゃないの?」
ジュリエッタが不満気に言う。
「そんなつもりはありません」
そう、最初は手抜きをして落ちようと思ったけれどもこれ程に私がアンリ王子たちにマークされているのであれば、手抜きをすればバレルだろう。
「手は抜きません。きちんとテストを受けまが‥他の令嬢たちの事もちゃんと評価してあげてください。そのうえで、愛が無くてもアンリ王子との結婚を望んでいる令嬢がいれば‥どうかその女性を選んでいただき、私を家に帰して下さい。お願いします」
私は深々と頭を下げた―。
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