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1-21 新たなテスト
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「おめでとう、レディー達。この席に座る君達は皆勝ち組なんだよ。」
席についてそうそうに、上座に座るアンリ王子が隣にジュリエッタを座らせて笑顔で挨拶する。そしてその背後には、やはり無表情のユベールが身じろぎ1つせずに立っている。
「君達は前期テストは免除される。その代わり別のテストを用意させて貰う事にしたんだ」
テストと聞いて、令嬢たちはざわめいた。誰もが次の後期テストが始まるまでは優雅に城で暮らせると思っていたようだった。
「アンリ王子、テストなんて言い方は少し意地が悪いわ。皆さん動揺しているじゃありませんか。」
アンリ王子の婚約者候補たちから敵のような目で見られていることを十分承知しているジュリエッタは少しでも彼女たちの反感を減らす為に言った言葉なのかもしれないが、逆に男爵令嬢でありながら自分たちすらアンリ王子と自由に会話をする事が許されない彼女たちの怒りを買うだけであった。
「全く・・愚かな女ね・・・」
怒りを抑えてボソリというイメルダの呟きが私の耳にまで届いた。私は心の中でため息をついた。何故、アンリ王子もユベールもジュリエッタの同席を許したのだろうかと。令嬢たちがジュリエッタがアンリ王子の恋人であることは全員が承知している。そして我こそは婚約者に選ばれた暁にはジュリエッタを城から追い出す事しか考えていないような令嬢たちの前であのような発言を許すなんて・・・。私だったら共存の道を考えるのに・・。
妙に達観した気持ちで見ていられるのは・・やはり私が6年間も閉ざされた時間で人生をやりなおしてきたからなのかもしれない。
しかし、当人たちは令嬢たちの苛立ちに気付いていないのか、アンリ王子は笑顔で言う。
「そうだね。ちょっと言い方が意地悪だったかもしれないね。何・・・テストと言っても簡単さ。」
言いながらアンリ王子はポケットに手を入れると青白く光るビー玉サイズの丸い石を取り出した。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
「え・・?」
その石を見た途端、私の耳に小さく鐘の音が聞こえ始めた。そ、そんな・・どうして鐘の音が・・私はその音が嫌いだ。聞いているだけで気分が悪くなってくる・・。
「この石はね、微力だけど魔力を秘めた魔石なんだよ。君達の様に魔力を持った人間ならこの魔石の力を感じる事が出来るはずだ。この魔石を城中の至る所に隠してあるんだ」
楽しそうに話すアンリ王子の言葉に徐々に嫌な予感がしてくる。令嬢達も薄々気付き始めたのかざわめき始めた。
「君達には今日からこの魔石を探し出してほしい。魔石は全部で300個隠してある。それをたくさん集めた上位10人が後期試験に進められるんだ。」
「そ、そんな!無理です!そんな小さな石を探し出すなんて!」
1人の令嬢が我慢できずに立ち上がった。するとアンリ王子が言った。
「うん。こちらもそう言うと思ったよ。だからあるルールを設けようと思うんだ。個人で探し出すもよし。グループを組んで探すもよし。君達の自由だよ。毎月どのくらい集めたかチェックさせて貰うからね。既定の個数以上集められなかった女性はそこで脱落だ。そうだな・・まずは手始めに来月までに30個集めて貰おうかな?グループの人数が多ければ加算させて貰うけどね。」
笑顔で言いながらアンリ王子はサラリと凄い事を言ってのけた。
「そ、そんな・・・。」
声を上げた令嬢ががっくりと肩を落とす。
途端に辺りに悲壮感が漂う。するとそんな状況を打ち破るかのようにイメルダが言った。
「何を皆さん、弱気な事を言ってるのかしら?宝探しとだと思って楽しめばいいじゃないですか!」
そしてイメルダはアンリ王子に言った。
「お任せください、アンリ王子。ご期待に添えるように頑張らせて頂きますわ。」
イメルダには何か秘策があるのだろうか?彼女は自信満々に言ってのけた―。
席についてそうそうに、上座に座るアンリ王子が隣にジュリエッタを座らせて笑顔で挨拶する。そしてその背後には、やはり無表情のユベールが身じろぎ1つせずに立っている。
「君達は前期テストは免除される。その代わり別のテストを用意させて貰う事にしたんだ」
テストと聞いて、令嬢たちはざわめいた。誰もが次の後期テストが始まるまでは優雅に城で暮らせると思っていたようだった。
「アンリ王子、テストなんて言い方は少し意地が悪いわ。皆さん動揺しているじゃありませんか。」
アンリ王子の婚約者候補たちから敵のような目で見られていることを十分承知しているジュリエッタは少しでも彼女たちの反感を減らす為に言った言葉なのかもしれないが、逆に男爵令嬢でありながら自分たちすらアンリ王子と自由に会話をする事が許されない彼女たちの怒りを買うだけであった。
「全く・・愚かな女ね・・・」
怒りを抑えてボソリというイメルダの呟きが私の耳にまで届いた。私は心の中でため息をついた。何故、アンリ王子もユベールもジュリエッタの同席を許したのだろうかと。令嬢たちがジュリエッタがアンリ王子の恋人であることは全員が承知している。そして我こそは婚約者に選ばれた暁にはジュリエッタを城から追い出す事しか考えていないような令嬢たちの前であのような発言を許すなんて・・・。私だったら共存の道を考えるのに・・。
妙に達観した気持ちで見ていられるのは・・やはり私が6年間も閉ざされた時間で人生をやりなおしてきたからなのかもしれない。
しかし、当人たちは令嬢たちの苛立ちに気付いていないのか、アンリ王子は笑顔で言う。
「そうだね。ちょっと言い方が意地悪だったかもしれないね。何・・・テストと言っても簡単さ。」
言いながらアンリ王子はポケットに手を入れると青白く光るビー玉サイズの丸い石を取り出した。
ゴーン
ゴーン
ゴーン・・・
「え・・?」
その石を見た途端、私の耳に小さく鐘の音が聞こえ始めた。そ、そんな・・どうして鐘の音が・・私はその音が嫌いだ。聞いているだけで気分が悪くなってくる・・。
「この石はね、微力だけど魔力を秘めた魔石なんだよ。君達の様に魔力を持った人間ならこの魔石の力を感じる事が出来るはずだ。この魔石を城中の至る所に隠してあるんだ」
楽しそうに話すアンリ王子の言葉に徐々に嫌な予感がしてくる。令嬢達も薄々気付き始めたのかざわめき始めた。
「君達には今日からこの魔石を探し出してほしい。魔石は全部で300個隠してある。それをたくさん集めた上位10人が後期試験に進められるんだ。」
「そ、そんな!無理です!そんな小さな石を探し出すなんて!」
1人の令嬢が我慢できずに立ち上がった。するとアンリ王子が言った。
「うん。こちらもそう言うと思ったよ。だからあるルールを設けようと思うんだ。個人で探し出すもよし。グループを組んで探すもよし。君達の自由だよ。毎月どのくらい集めたかチェックさせて貰うからね。既定の個数以上集められなかった女性はそこで脱落だ。そうだな・・まずは手始めに来月までに30個集めて貰おうかな?グループの人数が多ければ加算させて貰うけどね。」
笑顔で言いながらアンリ王子はサラリと凄い事を言ってのけた。
「そ、そんな・・・。」
声を上げた令嬢ががっくりと肩を落とす。
途端に辺りに悲壮感が漂う。するとそんな状況を打ち破るかのようにイメルダが言った。
「何を皆さん、弱気な事を言ってるのかしら?宝探しとだと思って楽しめばいいじゃないですか!」
そしてイメルダはアンリ王子に言った。
「お任せください、アンリ王子。ご期待に添えるように頑張らせて頂きますわ。」
イメルダには何か秘策があるのだろうか?彼女は自信満々に言ってのけた―。
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